ニッポンのはたらく人たち 杉山雅彦

 サンダー(ディスクグラインダー)を使うときは手元を見てほしい……チェーンソーやアセチレンバーナーも同様だ。
 いろいろな職業の集合写真を劇的に演出する写真集だが、やっていることについては気になる点があり、安全作業的に間違った印象を植え付けてしまわないか心配になってしまう職業病だった。

 いっそ合成であってほしい気もするのだが、ほとんど修正なしの一発撮りである。
 梯子から身を乗り出している写真でちゃんと安全帯をつけていたのは良かった。食品会社だったかな。

 タイトルは「ニッポン」のはたらく人たちだが、作者が静岡県の人だけに静岡の企業がとても多かった。静岡大学の研究室すら二つ紹介されている。
 企業の説明文には、いろいろ内実を勘ぐってしまうところもあったのだが……写真集としては面白かった。

ニッポンのはたらく人たち
ニッポンのはたらく人たち
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0)

海辺で調べる生き物の生態〜さまざまな生き物のくらし 小林安雅

 海辺はファンタジックな生き物の宝庫。海辺で観察できる様々な生き物の姿と生態が紹介されている。
 底が抜けた砂茶碗にたとえられるツメタガイの卵がおもしろかった。水中考古学者が騙されかねない形状をしている。昔の人がつくるには螺旋の形状が難しすぎるけれど。

 カイワリの幼魚とキタマクラの「カップル」は、大きなキタマクラ側にもメリットがあるのだろうか?
 多少なりとも姿が大きく見えればデメリットではない?勝てない相手に襲われたときはカイワリの幼魚が犠牲になるってことかもしれない……。

 待ち伏せ中の姿と捕食シーンを二枚の写真にまとめたものが非常にわかりやすい。メガネウオとマゴチにくらべてしまうと、ホシノエソの待ち伏せはあまり隠れていない気がしたが。

海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:29 | comments(0) | trackbacks(0)

光るいきもの〜海のいきもの 大場裕一・宮武健仁

 なんとなく古い本でフィルムカメラで撮影したものと思いこんでいたら、2015年の本だった。デジタル機材に違いあるまい……冷静に考えて見返せばアナログ機材で、同じレベルの写真を撮るのは不可能に近い。
 ヤコウチュウの写真など、ヤコウチュウの光と背景の光を両方みえるようにするためには、画像処理が必要と思われる。

 光る理由がいちおう理解されているホタルイカやウミホタルと違って、ヤコウチュウなど光る理由がわからない生き物の方が多い感じだった。
 同じ種類に光るものがいるという情報も発光の進化を考える上で重要なのだろうな。
 とりあえず、体中に1000の光る点をもつというホタルイカの接近写真が綺麗だった。でも、腹部の滲んだ光点はたんなるピントの問題なのね……。

海のいきもの (光るいきもの)
海のいきもの (光るいきもの)
カテゴリ:生物 | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0)

鳴き声から調べる昆虫図鑑〜おぼえておきたい75種 高嶋清明

 日本に生息して日本人の耳を楽しませる鳴く昆虫75種をとりあげた本。バッタとセミが二大勢力をなしている。むかし懐かしいケラが鳴くことを意識していなかったな。
 移入種に対しても比較的フラットな書き方をしている。
 
 人間の耳には聞こえない周波数でなく虫もいて、彼らが日常空間を認識できない方法で利用していることが分かる。
 鳴き声を収録したCDまでついていて親切だが、CDはまだ聴いていない。高機能な音楽編集ソフトとして勧められていた「Audacity」もインストールしてみたい。
 耳に聴くことのできない虫の声も、デジタル機器を介することで目で楽しめるのだから、すごい時代になったものだ。

 鳴き声サンプリング方法に関するコラムも興味深く読めた。

鳴き声から調べる昆虫図鑑ーおぼえておきたい75種 パソコン用CD付き
鳴き声から調べる昆虫図鑑ーおぼえておきたい75種 パソコン用CD付き
カテゴリ:生物 | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0)

やっぱりいらない東京オリンピック 小笠原博毅・山本敦久

 ひさしぶりに岩波ブックレットを読んだ。No.993である。
 東京オリンピック――ひいては現代のオリンピックがもつ問題について、鋭く切り込む一冊。復興オリンピックの欺瞞については、特に繰り返し批判を続けていかねばなるまい。
 そうしなければオリンピックの熱狂に温度差を感じた被災者の人々に疎外感を与えてしまう。オリンピックに熱狂している人にとっては「水を差すな」と言いたいことなのかもしれないが、復興に水を差したのはオリンピックの方なのである。
 こうして社会の分断が進んでいく?

 オリンピックが大量の浪費をともなっている現状については、かつての植民地が国家の金を一部の利権者のふところに入れるための迂回路だったことを連想させた。
 国威発揚だのその時代の美辞麗句を使って反論を封じながら、やっていることの醜さは変わっていない。早急に引導を渡さなければ、社会の方が滅びてしまいかねない。

やっぱりいらない東京オリンピック (岩波ブックレット)
やっぱりいらない東京オリンピック (岩波ブックレット)
カテゴリ:雑学 | 19:21 | comments(0) | trackbacks(0)

海の擬態生物〜海中の美しく不思議な変身術 伊藤勝敏

 監修 海野和男。
 子供向け出版物の体裁で作りたい本を作るおじさんたち!解説の専門性が普通に高いため、子供向けにあきたらない子供を喜ばせそうだ。
 写真も見応えのあるものばかり、文章は最後の解説にまとまっていて、擬態した海の生物の姿を最小限の説明で楽しめる。

 フラッシュを焚いた状態だから擬態していても見つけやすいが、フラッシュなしだと、さらに見つけにくいことを示している写真があって感心した。
 作者はよく擬態した動物を見つけるものだ。

 昆虫の擬態を主に研究している監修者の解説は、昆虫との比較に注意が向いていて興味深かった。
 視覚の優れた鳥のいない海中では、陸上ほど偽の目玉模様が流行していないらしい。それでも、目の部分に縞模様を掛からせている魚が何種類もいることは印象に残った。

関連書評
昆虫の擬態 海野和男

海の擬態生物―海中生物の美しく不思議な変身術 (子供の科学サイエンスブックス)
海の擬態生物―海中生物の美しく不思議な変身術 (子供の科学サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0)

水生昆虫大集合〜水辺に生きる昆虫たち 築地琢郎

 日本に生息する主な水生昆虫を一挙に紹介。種ごとに飼育方法も掲載している。
 水槽に落ち葉を入れておいただけの「生き餌の発生装置」が妙に印象的だった。「発生した餌」を水槽にうつすときはスポイトで吸い上げるのかなぁ。
 目の細かい網ですくって、まずはバケツに移す?

「完全変態上目」の分類名は重い十字架を背負わせすぎだと思った。人気のコウチュウ目が入っているから、大丈夫かなぁ。

 水生昆虫にふくまれないけれど紹介されているミズグモの生態がいちばん興味深く感じてしまった。空気室の運用にロマンを感じざるをえない。ここでも酸素と二酸化炭素が自然に交換されている?

水生昆虫大集合―水辺に生きる昆虫たち (子供の科学サイエンスブックス)
水生昆虫大集合―水辺に生きる昆虫たち (子供の科学サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0)

うまれたよ!イモリ 写真・文 関慎太郎

 イモリの誕生から成長をおいかけた自称「写真絵本」
 大人になって陸上行動をしているときの生態は意外とよく分かっていないらしい。雌が100〜400個の卵を産むというのだから生存率は推して知るべし。
 かなり厳しい生活を送っていそうだ。

 卵から出たときは前足しかなくて、前足ががっしりしてきてから後ろ足が生えることを知った。
 同じく幼生時代は水中生活のオタマジャクシから考えれば不思議な事じゃないのに、知らないから不思議に感じてしまう。
 たしかカエルは後ろ足から生えるから、それぞれ優先する足が違う点も興味深い。

 表紙にもなっているエラのある顔は特徴的でかわいい。

よみきかせ いきものしゃしんえほん (34) うまれたよ!  イモリ (よみきかせいきものしゃしんえほん)
よみきかせ いきものしゃしんえほん (34) うまれたよ! イモリ (よみきかせいきものしゃしんえほん)
カテゴリ:生物 | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0)

日本の古生物大研究 冨田幸光・監修

 古生代からつい最近まで、日本の古生物を紹介する子供向けの本。
 非常によくまとまっていて、奇蹄類から偶蹄類に繁栄する種が移り変わっていったことなど、わかりやすく説明されていた。
 やはり日本は広くて、いろんな時代の化石がなにかしら見つかっている印象を受ける。実際には抜け落ちている時代や環境があるとしても、一通りみれる状態になっている国は貴重なのかもしれない。

 北アメリカに生きる唯一の有袋類キタオポッサムが、南アメリカから進撃して定着したことも面白かった。
 負けてばっかりに思える有袋類の中にも気合いの入った種がいるんだな。

 新生代の化石では岐阜県の存在感が大きかった。
 瑞浪市は有名だが、可児市もかなりの存在感がある。やるじゃん岐阜県、まったくそれに比べて愛知県は〜。

日本の古生物大研究 どこで見つかった? 絶滅した生き物 (楽しい調べ学習シリーズ)
日本の古生物大研究 どこで見つかった? 絶滅した生き物 (楽しい調べ学習シリーズ)
カテゴリ:古生物学 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0)

リアルサイズ古生物図鑑〜古生代編 土屋健・群馬県立自然史博物館

 CGの力は偉大なり。
 見慣れた風景と古生物の再現CGを合成し、古生物のスケール感をわかりやすくした古生物図鑑。古生物単体や当時の風景ではわかりにくかった大きさをイメージしやすくなっている。
 中には調理された姿を晒している古生物もいて、ちょっと哀れ……味についての想像をさせてくれる点では有意義である。五感の中でも味覚で古生物を考えてみることは、あまりなかったな。

 各時代冒頭のページで、その時代の古生物の顔が一覧になっている演出も好きだった。
 なんとなく漂う群像劇感がたまらない。こっちはスケール無視で「顔」がクローズアップされているのだけど。

 古代の樹木を合成した都市の風景も興味深かった。イチョウの街路樹なんかは、CGをそのままやっているところがある?

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 古生代編
古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 古生代編
カテゴリ:架空戦記小説 | 21:39 | comments(0) | trackbacks(0)
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