世界恐竜発見地図 ヒサクニヒコ

 世界中での恐竜発見状況を地図とイラストで感嘆に把握することができる。また中生代の三つの時代を色分けしており、どの地域からどの時代の恐竜化石が発見されているのかも一目で分かる。

 そのため三畳紀の化石産地が世界的にみても少ないことがわかった。ジュラ紀の産地すら限られており、大規模なものは白亜紀の産地ばっかりに思えてくる。三畳紀の恐竜が紹介されていると思ったら魚竜だったりする。
 時代が下るほど恐竜が繁栄したことが感覚的に感じられて、その絶頂において滅んだことが尚更ミステリアスに思えてくる。まぁ、鳥類で生き残って現代も繁栄していると解釈すれば、そうでもないのだが。

 著者は同じ恐竜のイラストでもコピーせず産地ごとに別の絵を描いている(何かの情報を取り入れて特徴にしているのだろうか)。また、歯だけしか見つかっていないような化石にも全身の復元図を用意している。
 科学的な「正しさ」からは離れた姿勢であるが、視覚的にはとても分かりやすかった。

 あと福井県勝山市で日本産の名前の付いた恐竜7種のうち5種が発見されているのだが、しつこく「フクイ」ばかり名前につけていて――コシサウルスの越も越中から取っている――ひとつくらいカツヤマにわけてやれと思った。
 フクイサウルス、フクイティタン、フクイベナトル、フクイラプトル……慣れれば覚えやすいのかなぁ。確実に名前の付きそうな「ムカワリュウ」の動向にも目が離せない。

 巻末で恐竜が展示されている博物館に「笠岡市立カブトガニ博物館」が含まれていて、生きた化石のカブトガニとは言え脱線しすぎじゃないかと思った。一体や二体じゃなくて四体の恐竜全身骨格レプリカと一体の首長竜全身骨格があるらしい。なんなの?

世界恐竜発見地図 (ちしきのぽけっと)
世界恐竜発見地図 (ちしきのぽけっと)
カテゴリ:地学 | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0)

半島有事4〜漢江の攻防 大石英司

 八二一部隊が隠し持った核爆弾を追いかけて自衛隊とパンナラ部隊が急追を掛ける。何とか、ゆいいつの被爆国の名前を守り切れたな……うれしくないことだが。

 北朝鮮軍にも人間味のある士官がたくさん出てくるところが面白い。冷徹無比な殺人マシーンがいる反動なのか。
 登場人物紹介でも北朝鮮軍は何故か日本よりも先に紹介されている。あいうえお順なら大韓民国が日本よりも先に紹介されるはずだし、謎の順番である。

 日本の戦車部隊が200もの車両を連ねて韓国の大地を疾走している状況が、かなり特別なものに感じられる。
 混乱から回復していない韓国軍の戦車は少数派、だったのだが、ソウル近郊の巨大地下施設が明らかになったので最後は活躍してくれることであろう。

 ずっと気になっていた済州島は無事だった。あそこにはラジオ局などはなかった扱い?有事のことを考えれば、もっと移住が進んでいてもよさそうなものだが――南で気候もよさそうだし――韓国最高峰の山があるくらいだし、地形的に住める人口が限られているのかな。

大石英司作品感想記事一覧

半島有事4 漢江の攻防 (C★NOVELS)
半島有事4 漢江の攻防 (C★NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 18:03 | comments(0) | trackbacks(0)

半島有事3〜ソウル・レジスタンス 大石英司

 日本の大使が発案者となって生まれたレジスタンスが動き出す。そして、さっそく北朝鮮軍に包囲される。やっぱりソウルは三十八度線から近すぎる。
 住民を処刑しまくって圧力をかけてくる北朝鮮軍のやり口が、もしも現実に行われたら再統一は不可能になるだろうと思った。自国が攻められる段階になっても北朝鮮は自国民を人間の盾にするのかなぁ。この世界の北朝鮮ならやりそうだ。

 釜山とソウル以外で重要な戦場になった密陽が巻頭の地図に載っていない……拡大図と言わないまでもおおよその位置が分かる地図はほしかったところだ。

 ものすごく素早い反撃によって、釜山に敵が残っている状態からソウルの解放に向けて動き出している。
 戦いが奇跡的に早く終わってもダーティーボムの被害対策は数十年単位で必要と考えてしまうと憂鬱な戦場である。

大石英司作品感想記事一覧

半島有事3  ソウル・レジスタンス (C★NOVELS)
半島有事3  ソウル・レジスタンス (C★NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:23 | comments(0) | trackbacks(0)

半島有事2〜釜山の幽霊部隊 大石英司

 日韓同盟軍は未だに釜山から先に進めず!一都市をめぐる局地戦が繰り広げられている。そんなことをしている間にもソウルからは外国人が北に拉致されていて、外交交渉の道具にされようとしている。ちょっとだけでもソウルに行ったことのある身としては恐怖を覚える。
 日常の儚さを伝えるのが目的なら成功しているのではないか。

 ゴキブリ型のロボット「バグ」が大活躍しているけれど、現実にそんなものがあれば、流石に福島原発の調査がもっと進展しているはずで、ファンタジーとしか思えなかった。
 まぁ、八二一部隊(漢数字で書くとカタカナのハニーみたいだ)も活動もファンタジーにあふれているし、ファンタジー同士の対決と思えば気にすることもない。

 それにしても、この世界の北朝鮮はダーティーボムを遠慮なく使うなぁ。韓国を占領するつもりなら、汚染された土地の始末は自分たちでしなければいけないはずだが、自覚があるのか怪しい。
 無事な土地だけでもおつりが来るとは考えていそう。こんな攻撃を成功例にしてしまっては、世界が混沌とする。

大石英司作品感想記事一覧

半島有事2 釜山の幽霊部隊 (C★NOVELS)
半島有事2 釜山の幽霊部隊 (C★NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 18:48 | comments(0) | trackbacks(0)

半島有事1〜潜入コマンド蜂起 大石英司

 「対馬奪還戦争」につづいて勃発した朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の戦争をえがくシリーズ一冊目。昨日まで対馬で殺し合っていた自衛隊は韓国を救援するため釜山に向かうことになる。
 展開が急すぎて大半の一般市民は追いつけていないはず。昨日の敵は今日の友とは言っても共通の敵があらわれただけだ。本当に友になるためには、どれほどの出血が求められることか。そして、本当に友になるなんてことが国民レベルでありえるのだろうか。
 厳しいことを考えてしまう。

 北朝鮮軍は驚くほど巧みに韓国領に乗り込んでいて、一日にして通信がすべて途絶する物凄い事態になった。さすがにやりすぎではなかろうか……。
 「第一次」朝鮮戦争のことを考えれば、中には機転の利く将軍の一人くらいはいても良さそうなものだ。

 まぁ、一人は脱出して日本に来たし、他にも雌伏して再起の機会をうかがっている人物がいると思いたい。
 フルクラムとイーグルを見間違えるのは自分も漫画でやった覚えがあるので大使たちが間違えているのをみて、冷や汗が出た。なんであんなに似ているんだか。

大石英司作品感想記事一覧

半島有事1 潜入コマンド蜂起 (C★NOVELS)
半島有事1 潜入コマンド蜂起 (C★NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 21:15 | comments(0) | trackbacks(0)

南十字星の輝く国 ニュージーランド 柳木昭伸

 1986年に発行されたニュージーランドの写真集。
 ニュージーランドの自然と牧畜にいきる人々の暮らしを写している。自然についても植生には大きく手が加えられていて、大量の動植物が持ち込まれた後の姿であることは注意したい。
 特にどこまでも続くような牧草地は自然からかけ離れた存在である。

 だがまぁ、ニュージーランドの主要産業である(あった?)牧畜に関する写真は、くわしい解説がついていたこともあって興味深かった。
 降水量などの自然環境に応じて肉用や乳用、毛用の牛や羊が分けて育てられている。少人数の家族経営でやっている農場が多いことも印象に残った。
 滅多に休みがとれず、大変そうだ。
 また、そんな牧畜業に携わっている人口が意外と少ないことも面白かった。その他の人々は町で暮らしているのだろうが、外貨を稼いでいない以上は国内向けの産業に従事していることになるのか。
 解説にあった地熱発電の話などと絡めて考えてみることもできる。

 ニュージーランドは日本と似ている面がよくあげられるけど、実際には似た要素があるために違っている部分がよく目立っていた。美しい氷河の存在などは、その最大のものと言える。
 夏の平均気温が低いことが氷河の維持を助けているそうだ。

ニュージーランド―南十字星の輝く国 (Newton Books)
カテゴリ:雑学 | 23:34 | comments(0) | trackbacks(0)

デタラメにひそむ確率法則〜地震発生確率87%の意味するもの 小林道正

 途中まではわかりやすい確率のお話。いちばん踏み込んだ真ん中あたりが難しいだけで、後半の地震の話もそんなに難しくはないかもしれない。
 地震の確率予測がある種の「デタラメ」であることが分かってしまう。単なる年周期の事実だけを伝えようとすると、東海地震の例はよくても、周期の長い直下型地震の例では警戒心の薄くなる人が増えてしまう危険性は予想できる。
 それでも狼少年化するよりは事実を懇切に伝えていった方が、最終的にはいいのかもしれない。研究予算の獲得なんかも絡んでいそうだが……。
 最後に批判していた原子力発電はますますそれが酷い。

 地震に関連して、長方形のサイコロについて目の出る確率の方程式が未だにできていないとの紹介にとても驚いた。構造がシンプルなものでも確率が絡むと難しい?
 人間に分かっている領域の狭さをあらためて思い知らされる。

 あと、執筆に使用された試行の結果を出してくれるソフト「Mathematica」のことが気になった。でも、紹介されている連続して一日中5が出ない結果を得られた興奮はリアルにサイコロを降っていないと味わえないだろうなぁ。

デタラメにひそむ確率法則――地震発生確率87%の意味するもの (岩波科学ライブラリー)
デタラメにひそむ確率法則――地震発生確率87%の意味するもの (岩波科学ライブラリー)
カテゴリ:科学全般 | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0)

板碑と石塔の祈り 千々和到 日本史リブレット31

 日本の中世に宗教目的で作られた多くの板碑。その研究の一例が関東地方を中心に紹介されている。
 江戸時代からの長い研究の歴史があって、当時の文化人の日記などを丹念に読み解いていくことで判明する事実がある。板碑が作られた中世だけじゃなくて、その後の時代についても知っておく必要があるようだ。
 おもしろそうだが大変だ。

 石塔の種類や仏を表すことのできる梵字の機能についても簡単にまとめられていて勉強になった。
 身の回りのお寺にもいくらかはありそうだから、注意してみたい。

 板碑が建立当初の意味を離れて、作られた地域の信仰の対象に変化して行った点も興味深かった。
 大昔の物が長い年月を生き延びてくるためには、何らかの理由が必要なようだ。

関連書評
石造物が語る中世職能集団〜日本史リブレット29 山川均:こちらとの関連が非常に深い

板碑と石塔の祈り (日本史リブレット)
板碑と石塔の祈り (日本史リブレット)
カテゴリ:歴史 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

キッチンでできる草木染めレッスン帖 佐藤麻陽

「材料から染め上がりまで写真でわかる」と副題にあるように、写真で染色の様子がよくわかる草木染めのハウツー本。
 ただし、色は印刷の問題だけではなく、天然染料ゆえの微妙な違いで変化するようだ。そこが草木染めの面白さでもあるはず。

 木綿を染めるには媒染が必要になってくるが、サンプルの写真をみると、それでもほとんど染まっていない染料も多い。シルクの染まり易さが圧倒的で、入門用に向いていることが良く分かる。

 天然のものでも、身近で手に入る染料ではなく、販売されているような染料はさすがに染まり方が鮮やかだ。スオウの紅色の美しさには目を引かれた。
 鉄媒染によって紫色にもなる便利さもよい。でも、基本的にはみょうばん媒染が出す明るい色が感じよい。そう思って鉄媒染をスルーばかりしていると、いい色を見逃すのかなぁ。

 巻末の染料としてみた植物図鑑がお役立ち。

関連書評
つくってあそぼう18〜草木染の絵本 やまざきかずき・へん
そだててあそぼう18〜アイの絵本 くさかべのぶゆき・へん

草木染めレッスン帖 (レディブティックシリーズno.4401)
草木染めレッスン帖 (レディブティックシリーズno.4401)
カテゴリ:ハウツー | 17:55 | comments(0) | trackbacks(0)

にんじん・ごぼう〜おいしく食べる知恵 おくむらあやお・中川学

 おもしろふしぎ日本の伝統食材4。萩原一・写真。

 名脇役の根菜ふたつ。ごぼうはにんじんほど頻繁には登場せずに、出てくれば印象的な存在だけれど、ここでは一つにまとめられている。きんぴらごぼうを代表に同じ料理になることも多い。

「日本人が好きな香り」ときっぱり説明されてしまうと、日本人の嗜好をそこまで一般化してしまっていいのか、不安になる。
 ネットでの議論になれると隙が気になってしまうけれど、時には言い切りも大事なんだろうな。

 にんじんには東洋系と西洋系のにんじんがあって、カロチンのオレンジ色をもっているのは西洋系のにんじんだけ。東洋系のにんじんはトマトと同じリコピンの赤をもっている。
 全体的に優れた東洋系にんじんが、栽培の問題で、金時にんじんしか実用栽培されていないのは勿体ない。でも、すでにいろいろ挑戦して現状なんだろうな。

 ごぼうでは非常に太らされた大浦ごぼうや堀川ごぼう、葉を食べる葉ごぼうなど、知らなかったごぼうが出てきて新鮮だった。
 その料理に至っては、知っているごぼうの料理のはずなのに完全に未知の領域と感じた。

おもしろふしぎ日本の伝統食材〈4〉にんじん・ごぼう―おいしく食べる知恵
おもしろふしぎ日本の伝統食材〈4〉にんじん・ごぼう―おいしく食べる知恵
カテゴリ:ハウツー | 12:37 | comments(0) | trackbacks(0)
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