騎馬民族国家〜日本古代史へのアプローチ 江上波夫
2012.01.26 Thursday | by sanasen
ユーラシア大陸に発展した遊牧騎馬民族の歴史と習俗を概観し、その類型を用いて古代日本王朝の起源を解き明かそうとした意欲的な研究。初版は1967年だが、いまだに新鮮さを失っていないところがある。
ともかく、スキタイ・匈奴・突厥・鮮卑・烏桓のまとめが面白い。著者の目的は深遠なところにあるのだが、簡潔だが取りこぼしの感じられないまとめによって遊牧騎馬民族に純粋な興味をもって、その習俗を知ることもできた。
ただ、姉妹婚の風習は古代中国全体にあったはずなので、遊牧民族特有のものと考えるのは違うのではないか。嫂婚の方は北狄の影響を強く受けているに違いない秦が晋の王族に対して行ったら嫌がられているので、遊牧民族特有の可能性がより高そうだ――ただし、こっちの古代日本における例は少ししか挙げられていない。
あと、遊牧民族の王は、異腹の姉妹と自由に結婚できるというのも印象的だった。エジプトの王朝とは、また背景が違うようだ。
天皇家と遊牧騎馬民族の比較については、何だか読んでいて苦しい。あまりにも多くの説が詰め込まれているせいで、新しく素直に受け容れることができないのかもしれない。他の資料を批判よりも肯定で使うことがすこぶる多い関係か、自説に都合のいい材料を選んで集めている印象をもってしまった。
胡族との関係でナムジ−大國主−を思い出した。
おまけ的な扱いの日本民族の形成については、あまり無理を感じず、すらすらと読めた。越の人々が祖先という説に、聞き覚えがあったせいか。
邪馬台国や徐福のような耳目を引きつける――そして、引力のあまりの強さで実像を歪めてしまいやすい――トピックにあまり触れていなかったことも、振り返れば印象的であった。

騎馬民族国家―日本古代史へのアプローチ (中公新書)
ともかく、スキタイ・匈奴・突厥・鮮卑・烏桓のまとめが面白い。著者の目的は深遠なところにあるのだが、簡潔だが取りこぼしの感じられないまとめによって遊牧騎馬民族に純粋な興味をもって、その習俗を知ることもできた。
ただ、姉妹婚の風習は古代中国全体にあったはずなので、遊牧民族特有のものと考えるのは違うのではないか。嫂婚の方は北狄の影響を強く受けているに違いない秦が晋の王族に対して行ったら嫌がられているので、遊牧民族特有の可能性がより高そうだ――ただし、こっちの古代日本における例は少ししか挙げられていない。
あと、遊牧民族の王は、異腹の姉妹と自由に結婚できるというのも印象的だった。エジプトの王朝とは、また背景が違うようだ。
天皇家と遊牧騎馬民族の比較については、何だか読んでいて苦しい。あまりにも多くの説が詰め込まれているせいで、新しく素直に受け容れることができないのかもしれない。他の資料を批判よりも肯定で使うことがすこぶる多い関係か、自説に都合のいい材料を選んで集めている印象をもってしまった。
胡族との関係でナムジ−大國主−を思い出した。
おまけ的な扱いの日本民族の形成については、あまり無理を感じず、すらすらと読めた。越の人々が祖先という説に、聞き覚えがあったせいか。
邪馬台国や徐福のような耳目を引きつける――そして、引力のあまりの強さで実像を歪めてしまいやすい――トピックにあまり触れていなかったことも、振り返れば印象的であった。

騎馬民族国家―日本古代史へのアプローチ (中公新書)








