世界のタワー〜Towers〜

 タワーにはビルも含まれるとのことで、世界中の高層建築物写真をあつめた写真集。結果的に、いきおいに乗っている国や地域がみえてくる。
 東側諸国の実用性一辺倒のタワーにも独特の雰囲気があってよかった。

 パナマのレボリューションタワーをはじめとする捻った構造のタワーに一定の人気があることが面白い。内部にいる人間は方向感覚が狂わないのかな。決まった階しか利用しないか。

 中国の広州テレビ塔が綺麗でうらやましい。広州テレビ塔みたいなLEDライトで証明されたタワーはそんなに気にならないのに、アイスランドのイマジン・ピースタワーは光害が気になってしまった。周囲が暗くて天体観測やオーロラ観測に良さそうだからかな。

 日本のタワーはやや古びたものもありながらも、スカイタワーが出てくることで、それなりに締められていた。
 表紙にもなっている世界一高いブルジェ・ハリファの偉容よりも、人口島につくられたブルジェ・アル・アラブの成金趣味っぷりに震える。

関連書評
ブルジュ・ハリファ〜世界一高いビルへの挑戦
建設中。 勝田尚哉

世界のタワー
世界のタワー
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(0)

[超微細]美しい昆虫写真 レヴォン=ビス 丸山宗利・訳

 オックスフォード大学博物館におさめられた昆虫の見事な光学顕微鏡写真を多数おさめた写真集。
 昆虫の表面が肉眼ではとらえきれないほど細かい構造によって作られていることが分かる。構造色が美しく彼らの体を彩っている。
 白い昆虫は珍しいとのことでナミビアのシロクロキリアツメとブラジルのオシロイトゲバネコブゾウムシがあえて取り上げられていた。

 ペルーのオオムラサキニジダイコクの美しさが妖しい。最高級のタンザナイトにも負けていない。これで腐肉食性というところも興味深い。

 アフリカコンボウビワハゴロモは写真と名前をみたときは言い得て妙と思ったのだが、棍棒で琵琶で羽衣なんて要素を集めすぎにも思える。

 美麗な写真はピントを少しずつずらして撮影していき、場所によって証明も調整するので、1枚の完成までに約三週間かかるとのこと。フォトショップすごい。

関連書評
昆虫のすごい瞬間図鑑 石井誠
昆虫の擬態 海野和男

[超微細]美しい昆虫図鑑
[超微細]美しい昆虫図鑑
カテゴリ:生物 | 19:06 | comments(0) | trackbacks(0)

セレンゲティに生きる ナショナルジオグラフィックDVD

 アフリカ、タンザニアの広大な大地セレンゲティ。そこに生きる動物と人を描いたドキュメンタリー。

 おたくの息子さん、北斗の拳に出てきそうな外見をしていますね?
 写真家ヒューゴー氏の息子グラブ氏が非常にそんな感じで、背景や車の雰囲気から言っても北斗の拳を彷彿とさせた。実に鍛えられた体をしている。
 母親は有名なジェーン・グドール氏らしい……。
 ヒューゴー氏もただものではなく、動物の「個性」に注目した研究の道を切り開いた先駆者とのことだった。シマウマ狩りをしていたリカオンの群れが、シマウマを倒せるほど強い二頭が死んでからはシマウマ狩りをやめた話が興味深い。
 シマウマを倒せない個体も追いかけて混乱させる役目は果たしていたのだろうが、強い二頭からシマウマを倒す技術を会得するまでには至らなかったらしい。

 後半では現地のマサイ族が時代の変化に適応を試みている姿が描かれている。マサイ族ではじめて小学校に通ってアメリカの大学で修士をとって帰ってきたサイトティ氏(作中でオロトシュル氏に名前が変わる)もすごいが、彼の父親のキャラクターが濃すぎて強烈な印象に残った。
 野球帽にメガネ、妻は8人、子供は64人の長老である。他の長老は伝統的な姿をしていたので、あれほど異端でも力を維持できる実力があったのだろうなぁ。

関連書評
オカバンゴの狩人 ナショナルジオグラフィックDVD

ナショナルジオグラフィックDVDレビュー記事一覧

セレンゲティに生きる [DVD]
セレンゲティに生きる [DVD]
カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)

月と太陽ってどんな星? 縣秀彦

 サブタイトルは「もっとも身近で不思議な星を科学しよう」。もっともは身近だけに掛かっていて不思議には掛かっていない?二つ併せておきる月食と日食の現象は宇宙的にみても、不思議な部類かもしれない。

 太陽については、赤色巨星になったときでも金星軌道までしか膨らまないと書かれていて、「地球軌道まで来るか来ないか」と言われていた時代から知識がアップデートされた。

 月の出は中心が地平線上にみえたときで、日の出は端っこがみえたときと、微妙に定義が異なることも新知見だった。
 肉眼観察時代からの伝統的にそうなる理由は理解できるが、ややこしい……。

関連書評
系外惑星の事典 井田茂・田村元秀・生駒大洋・関根康人
大宇宙MAP〜天体の距離から見えてくる宇宙の構造〜 沼沢茂美・脇谷奈々代

月と太陽ってどんな星?―もっとも身近で不思議な星を科学しよう (子供の科学★サイエンスブックス)
月と太陽ってどんな星?―もっとも身近で不思議な星を科学しよう (子供の科学★サイエンスブックス)
カテゴリ:天文 | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0)

デジタルカメラによる天体写真の写し方 中西昭雄

 ほぼ一眼レフデジタルカメラに集中。デジタルカメラを使った天体写真の撮影方法を固定撮影から、天体望遠鏡をもちいた拡大追尾撮影まで紹介している入門書。
 とりあえず一眼レフデジタルカメラと丈夫な三脚がほしくなってしまうのは否めない。赤道儀に手を出したら天体写真沼へ足を踏み入れたとの自覚が必要か。
 一部説明が重複している感じなのは、雑誌の連載特集を一冊の本にしたて直した関係と思われる。

 できるだけ条件をそろえて、ひとつの設定だけを変更した写真をたくさんとって比較してくれており、設定の効果がとてもわかりやすかった。
 光害のために毎晩移動を繰り返したと思うと……おつかれさまである。

 サンプル写真のために三脚を用意する人と、撮影をする人が、別の女性である点がなんとなく気になった。

関連書評
双眼鏡で星空ウォッチング 第3版 白尾元理
星降る絶景〜一度は見てみたい至極の星景色 沼澤茂美
よくわかる天体望遠鏡ガイド えびなみつる

デジタルカメラによる天体写真の写し方―基礎からわかるきれいに撮れる
デジタルカメラによる天体写真の写し方―基礎からわかるきれいに撮れる
カテゴリ:天文 | 19:35 | comments(0) | trackbacks(0)

京都時代MAP 幕末・維新編

 幕末の京都、お寺多すぎ……!
 当時の地図をみることでわかる幕末京都の姿であった。大名の屋敷もそれなりにあるが、敷地の広さが石高に比例しているとは言えない。おそらく江戸とは違い、京都とのつながりには藩によって軽重があったことが伺える。大坂をふくめて藩邸の敷地面積と石高をならべたら、おもしろい資料になりそうだ。

 後半で幕末京都事件について蛤御門の変や鳥羽伏見の戦い、新撰組関連が取り上げられている。
 坂本龍馬暗殺に関しては石碑で中岡慎太郎の名前が坂本龍馬と同じサイズで彫られていることに感心した。コナクソ発言の犯人はよくわからない。見出しに下男の籐吉が暗殺されたと書かれている割りに、詳述では彼が殺された経緯が見られず気になった。

 新撰組の隊士数はMAXで200名だったようで、鳥羽伏見の戦いにみる各藩の兵力から考えれば、確かに無視できる人数ではない。
 鳥羽伏見の焼失地域には大きい建物が比較的多い感じがした……現代のマクドナルドやヴィクトリア、アルペンが幕軍部隊指揮官の名前にみえて混乱した。てっきり軍事教練に雇った外国人かと。

関連書評
京都時代MAP 平安京編
ドキュメント幕末維新戦争 藤井尚夫

京都時代MAP 幕末・維新編 (Time trip map)
京都時代MAP 幕末・維新編 (Time trip map)
カテゴリ:日本史 | 19:04 | comments(0) | trackbacks(0)

京都時代MAP 平安京編

 ずっと東寺が廃れない!すごいぞ、東寺!しぶといぞ、東寺!本編では特に言及されていないぞ!

 平安時代を前中後の三つにわけて、京都の変化を地図にした本。それぞれの時代における重要な変化もまとめている。

 平安時代前期は藤原氏が支配し、唐風から国風への転換があった。その象徴として漢文に詳しかった菅原道真の左遷があげられている。しかし、遣唐使をやめさせたのも菅原道真ではなかったか。民間交流が活発になったからなどの理由があっても、そこに触れていない本書の主張を素直に受け止めることは出来なかった。

 中期は源氏物語に関する情報がメイン。人物相関図をみているだけでクラクラしてくる。親子連続で関係をもつことが、姿も似ているのだから自然、みたいな?源氏物語が当時の常識的感覚を描いていたはずもないが、これにあこがれ、受け入れられる土壌はあったのだな。イラストのせいか、朧月夜がいちばん魅力的にみえた。
 春夏秋冬をイメージした六条院に愛人を配置したことは、もし男性がなろう小説で書いたら目立ったときに相当いわれるやつだ……紫式部は現代の自分すら置き去りにするほど尖鋭的すぎる。

 後期は武士の時代がやってくる。平清盛が六条河原の戦いに勝ってから、権力を完全に握るまでの間には二条天皇親政派との第二ラウンドがあったことを知った。
 運良く手に入れた権力であっても、完璧に固めて見せたことは、清盛が配置した建物の地図が語っていた。

関連書評
平清盛〜「武家の世」を切り開いた政治家 上杉和彦
図説源平合戦のすべてがわかる本 洋泉社ムック

京都時代MAP 平安京編 (Time trip map)
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カテゴリ:日本史 | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0)

スキタイ 騎馬遊牧国家の歴史と考古 雪嶋宏一

 ヘロドトスがペルシアの侵攻をはねのけた民族として注目したことで歴史に名を残したスキタイ。その歴史の謎を史料の精査と発掘調査の結果をあわせて、少しずつ解き明かしていく一冊。
 ロシアにおける考古学調査が重要なボリュームを占めていて新鮮だ。ただし、スキタイはウクライナの領土にも関わっているから、近年は研究が阻害されることもあるらしい……。

 スキタイの王族は名前からイラン系と考えられるそうで、それだけでも東から西へのベルトコンベアーで単純化してイメージしてしまう遊牧民の動きに変化が出てきた。
 キンメリオイを追ったスキタイもサウロマタイに追われて弱小勢力になってしまうのは歴史の流れであろうか。クリミア半島で踏ん張っていた小スキティア時代も興味深かった。
 ビザンチオン帝国やハン国しかりで、クリミア半島はいろんな勢力の最後の拠り所になりやすい地理的要素をもっているらしい。

 やはり盗掘による遺跡の攪乱が目立つ点は残念である。シベリア鉄道に乗った金ハンターどもめ……黄鉄鉱でも拾ってろ!

関連書評
興亡の世界史02 スキタイと匈奴 遊牧の文明 林俊雄
歴史・中 ヘロドトス/松平千秋・訳
遊牧国家の誕生〜世界史リブレット98 林俊雄

スキタイ騎馬遊牧国家の歴史と考古 (ユーラシア考古学選書)
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カテゴリ:歴史 | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0)

オスマン帝国の近代と海軍 小松香織

 世界史リブレット79
 地中海の覇者から、ボスポラス海峡を塞いでくれればいい存在まで。
 オスマン帝国の衰退にあわせて力を失っていったオスマン帝国海軍の物語。ドイツの軍艦を購入したことが、オスマン帝国を第一次世界大戦に引き込んだところもあるので、最後は軍事が政治を優先させて道を誤らせてしまった感じがある。

 いつのまにか海賊の採用が中心じゃなくなったオスマン海軍にとって「ルーム」と呼ばれるギリシア系住民の雇用が非常に大きな意味をもっており、ギリシアの独立は致命的な影響を与えていた。
 オスマン陸軍にとって騎兵の供給源であったクリミア・ハン国が脱落したことで深刻な影響があった現象に似ている。他民族国家の有利を享受していた国が、民族主義の高揚によって受けるダメージの深刻さが伺われる。

 古代ローマ人じゃないけれど、餅は餅屋に任せっぱなしで、海岸に進出したから漁業や通商にも挑戦してみるとはならないのだなぁ。
 深い部分でのアイデンティティの問題が関わっていそうだ。まぁ、どうしても自分たちでやるしかないとなればやれるのだが……。

関連書評
興亡の世界史10〜オスマン帝国500年の平和 林佳代子
世界の戦争3〜イスラムの戦争 牟田口義郎・編
オスマン帝国衰亡史 アラン・パーマー/白須英子

オスマン帝国の近代と海軍 (世界史リブレット)
オスマン帝国の近代と海軍 (世界史リブレット)
カテゴリ:歴史 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0)

世界で一番美しいクジラ&イルカ図鑑 水口博也

 写真家たちのとらえた決定的な瞬間。クジラやイルカたちの驚異的な姿を写した写真集。
 さすがにクジラは大きくて全容をつかみやすい水中写真は珍しい。そのおかげでクジラのもつ圧倒的なスケールが伝わってくる。シロナガスクジラは生まれたてでも全長7m、体重4トンもあるらしい。まぁ、生まれた直後に泳いで呼吸ができないと命に関わるから、しっかり準備して生まれてくるのもあるだろう。

 クジラとイルカの関わりも興味深い情報で、クジラがお産した瞬間にイルカたちも騒いだ事例が報告されているらしい。
 同じ海生ほ乳類として通じ合うものがあるにしろ、不思議なできごとに感じられる。霊長類では同じような現象が……起こるかも。ただ、日頃から親しんでいる個体に限るかな。
 イルカの方が息が続かないので、クジラにまとわりついているイルカが、息継ぎ時にクジラの位置を教えてくれることも面白かった。

 白いクジラ&イルカに限定したコーナーがあったのも、彼らならではと思われる。食物連鎖の上位だから目立っても長生きできるのだ。

関連書評
サボり上手な動物たち〜海の中から新発見! 佐藤克文・森阪匡通

世界で一番美しい クジラ&イルカ図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
世界で一番美しい クジラ&イルカ図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
カテゴリ:生物 | 21:44 | comments(0) | trackbacks(0)
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