そだててあそぼう67〜ハクサイの絵本 わたなべえいえつ・へん

 みねぎしとおる・え。
 ハクサイの日本における歴史はわずか100年。日清戦争・日露戦争の時期に日本に渡ってきて、いまや日本料理に欠かせない食材になっているハクサイ。
 その育て方が分かる絵本。

 日本での歴史がそんなに浅いのに、「健康にいい日本食」を研究したヨーロッパ人によって、向こうでの生産量が増えている話がずいぶんな冗談だった。
 まぁ、百年ならば寿命に対する影響の試験は済んでいると考えられるかな。

 それにハクサイの類似作物は以前から育てられていて、日本人は似たような栄養素をそっちから得ていたかもしれない。
 そのためにハクサイに雑種ができて新しい種が結球しない問題に悩まされたことが面白かった。松島は島ごとにハクサイを育て分けたことがわかったけれど、愛知県や石川県はどんな対応をしたのだろう?山間部で育てるって奴なのかなぁ。

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ハクサイの絵本 (そだててあそぼう)
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そだててあそぼう55〜ミカンの絵本 かわせけんじ・へん

 いしまるちさと・え。
 ミカンと言えば温州みかん!でも、実は紀州みかんは来歴のことなる別の品種だったりする。品種改良によってとても広い品種をもつに至った柑橘類の育て方を紹介する絵本。
 タイトルにミカンとあるのは柑橘では子供の読者に伝わりにくいためのようだ。

 育てるものとしては温州みかんが一番に来ているけれど、別にレモンを鉢植えで育てたり、酢ミカンを接ぎ木を利用して一本の木に三種類育てたりすることが紹介されていた。
 レモンや酢ミカンは使用量が限られているから鉢植えでも家庭用には、それなりに満足できる量が得られるのではないか。なんともロハスな感じがする。
 人の育てた大きなお化けレモンを見たことがあったのだが、枝に付けっぱなしにしておけば自然となるそうだ。でも、ジュースが減るので直径5.5cmくらいで収穫した方がいいらしい。

 温州ミカンの場合はヘタが黄色くなるまでならしておくと最も美味しい実になるのだが、それをやると木の体力を奪ってしまい翌年の収穫に悪影響がある。
 すべての実のヘタを黄色にする木と、全部摘果して休ませる木を半々にしておけば最高のミカンを毎年楽しめるとのこと。
 そうして収穫量度外視で味わうミカンこそ自分で育てる醍醐味のあるミカンなのではないか。

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ミカンの絵本 (そだててあそぼう)
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おもしろサイエンス〜宝石の科学 宝石と生活研究会

 宝石について簡単に知識を得られる本。
 とても読み進めやすく新しい知識もあった。モース硬度には15段階の新モース硬度なんてものが提唱されていたんだ。
 ダイアモンドとコランダムの間にある大きな空間に炭化硼素と炭化珪素が置かれていたが、中間的な硬度を持つ物質って存在するのかな?下の方は割とモース硬度と変わっていないが、水晶が8で溶融石英が7にされている点が気になる。
 あまり細かくすると硬度の異方性が問題になってきそう。

 やはりダイアモンドが宝石の王様あつかいされていて、この宝石については有名な単体についての解説が3ページにわたって行われていた。
 ある時期の取引価格がでているダイアモンドもあって興味深い。
 他の宝石についても同様の細かさがあれば、さらに嬉しかったなぁ。
 日本人がブラックオパール好きなのは知っていたが、キャッツアイもほとんどが日本に来ているらしい。熾烈な国際争奪戦に晒されるよりは、その方が価格が安定する?

 宝石全体としては、やはり減少傾向にあるみたいで、この流れが変わることは難しいと思われる。月や小惑星から採掘できるようになれば……とても待っていられないし輸送コストが怖い。
 だからといって焦ることなく気に入ったものを、ひとつひとつ大事に購入するように心がけたいものだ。

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おもしろサイエンス 宝石の科学 (B&Tブックス)
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論語 金谷治訳注

 中国春秋時代のおっさん孔丘の言行をまとめた儒教の聖典。
 論語で実際におっさんの発言に触れれば偏見がおさまると思っていたけれど、むしろ個人的な評価は悪くなった。同格の思想家を説得できず、大きな年齢差のある相手や元無頼漢ばかり弟子にしている時点で察せられるものがある。
 それだけ自分なりの哲学をもつ年齢になった人間を説得するのは難しいわけでまさに「不惑」なのであろうか。

 孔子が顔回が好きで好きでたまらないことも良くわかった。口を開けば二言目には「顔回なら〜」では、他の子が拗ねちゃうよ。
 子路に対しては、からかいながらも評価している感じでツンデレと言えるかもしれない。魯を実質的に牛耳っていた連中への態度は本当に取り付く島もない。

 子貢の言動を伝え聞いて「悪口を言うやつは暇人」と言いながら、けっこう悪口(低い評価)の発言が残っているのは、先生も永久に就職活動中の人だから……ってことで良いのかな。実は承知の上での自嘲だったりするかもしれない。

 やはり一番納得しづらいのは喪に三年ふくす風習で、三年の間は親の方針を変えるなとすら言っている。せんせーは、それが悪い風習で親の恨みで子が殺されても親孝行だと思っていたのかな。変化を期待する民衆に対して残酷ではないか。
 不可能なことに挑戦していると民衆に言われていたことを誇らしげに記録しているのは、カルト化の兆候。

 いろいろ思うところはあるが、それでも「民を訓練しないで戦争に行かせることは、民を捨てることだ」という主旨の言葉は第二次世界大戦のときの日本軍指揮官やブラック企業経営者に100万回読んで欲しい。

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新訳 孟子「孔子の正当な後継者」が唱えた理想的なリーダーの心得 守屋洋

論語 (岩波文庫 青202-1)
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カテゴリ:雑学 | 20:28 | comments(0) | trackbacks(0)

ナショナルジオグラフィック世界の国 アフガニスタン

 スーザン・ウィットフィールド著、トマス・バーフィールド/マリハ・ズルファカル監修。
 イギリス軍やソ連軍を撃退したが、被害もまた大きかったアフガニスタン。その特殊な国土について写真と図で教えてくれる。
 アフガニスタンの国土の20%しか農地じゃないと聞いて、国土の多くが森林になっている日本人として「意外に多い」と思った。せっかく造られたダムの大半が稼働していない状況なのは残念だ。オサマ・ビンラディンは執筆時の自由の身から、魂が肉体から自由の身に変わっている。

 さすがに遊牧の習慣が残っていてパキスタンに避難していた遊牧民が平和になって戻ってきたと読んで――国境線がいい加減だなぁと。
 地方によっては独立状態で大統領の言うことを聞かないというから、国家の定義に挑戦している。いまだにシャーがいるように思ってしまう。

 かつての北部同盟は名前の通りに北部に、いまのタリバンは南部に拠点を確保していて、簡単には全土を制圧できない環境もヒンドゥークシュ山脈を抱えたアフガニスタンらしい。
 ヤギをボール代わりに馬でやるラグビーのごとき競技「ブズカシ」の荒っぽさには驚かされた。むちで敵を追い払っていいとか、時代によってはそのまま戦争の原因になっただろうなぁ……。

関連書評
図解 現代の陸戦 毛利元貞
イスラーム歴史文化地図 マリーズ・ルースヴェン+アズィーム・ナンジー
バーミヤン写真報告2002 中淳志

アフガニスタン (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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地図でみるアフリカ系アメリカ人の歴史

 大西洋奴隷貿易から20世紀まで
 ジョナサン・アール著。古川哲史・朴┗ 訳。

 アメリカ合衆国における黒人の歴史を地図を使って教えてくれる本。南北戦争前後の苦しい時代、ベトナム戦争までの人口比で白人の二倍の兵士を送っていた事実、最近でもニュースになっているように苦難が続いていること、などなど考えさせてくれる。
 黒人以外の少数民族との関係も気になるところだったのだが、アメリカ先住民相手の戦いに派遣されてバッファロー・ソルジャーと畏敬をこめて呼ばれたことくらいしか取り上げられていなかった。
 どうしても、まずは白人相手の関係が正面になってしまう。

 KKKを代表とするリンチの恐怖が減ったとはいえ1953年まで続いていたことに「歴史」の近さを感じる。裏返しすれば、いま当たり前と思えていることでも、危ういわけで油断は禁物である。
 黒人の支持が共和党から民主党に移った時期に、二人のローズベルト大統領が関わっていて興味深い。人口的に考えづらいが、どちらの党も受け皿になっていなかったら、どうしたのかなぁ。
 黒人の運動家として、有名なアーサー・キングやマルコムX以外に、フレデリック・ダグラスの存在が印象に残った。活動の時期が長くてねばり強い。我が子を南部連合との戦場に送ってもいる。
 訳者の片方がフレデリック・ダグラスの研究を専門にしている関係もあるのかもしれないが、訳書なので最初から取り上げられていなければ目立つことは不可能だ。

関連書評
戦争指揮官リンカーン〜アメリカ大統領の戦争 内田義雄
アメリカ歴史地図 マーティン・ギルバート/池田智
大陸別世界歴史地図3〜北アメリカ大陸歴史地図

地図でみるアフリカ系アメリカ人の歴史―大西洋奴隷貿易から20世紀まで―
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カテゴリ:歴史 | 13:25 | comments(0) | trackbacks(0)

弥生の村〜日本史リブレット3 武末純一

 日本中の弥生時代の村遺跡を挙げて、弥生社会の変化を描こうとする意欲的な一冊。
 環溝集落の平面図が大量に収録されていて、大小さまざまなものがあることが興味深かった。小さすぎる環濠は矢が奥まで届いてしまうわけで、防御施設と考えるのは難しい。
 濠が土手のどちら側に配置されているかの外土手と内土手の指摘も興味深かった。戦争目的ではなかったとして、外土手の場合はどんなメリットがあったのだろう。とりあえず濠がゴミ捨て場として利用できるな(そういう遺跡があったことも挙げられている)。

 区画が円であれば平等社会で、方形であれば階級社会という要素の単純なまとめが印象的だった。戦国時代にくだるが円系の起請文は平等の証と言われるのに似ている?
 権力者が重要施設を自分の支配下に引き寄せていく様子が、遺跡の変遷からありありと現れてくるのは興味深くも恐ろしかった。みんなのものなのに私物化しているわけで……意識の変化は強烈なものだっただろうなぁ。ゆっくり世代を跨いで行えばそれほどでもない?

 繰り返すようだが本文の上の余白部に大量の図があって、モノクロながらもビジュアル的に見応えがあった。弥生時代の研究の進展が楽しみだ。

関連書評
「弥生時代」の発見〜弥生町遺跡 石川日出志
弥生集落像の原点を見直す〜登呂遺跡 岡村渉
弥生実年代と都市論のゆくえ〜池上曽根遺跡 秋山浩三
最古の農村〜板付遺跡 山崎純男

弥生の村 (日本史リブレット)
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カテゴリ:歴史 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0)

小さなプランクトンの大きな世界 小田部家邦・高岸昇

 濁った水の中にすんでいる。プランクトンたちの姿を伝える絵本。
 絵の画力がすさまじく高く、絵本の絵というよりは、絵画のような印象を受ける。スケッチ風のプランクトンが単独で描かれているよりも、そういう背景の中にプランクトンがあるほうが不気味さを緩和してくれる。
 表紙のスケッチはわかりやすいが、やっぱり不気味なところがある。

 絵や人物の服装からなんとなくヨーロッパのことに感じてしまうが、やっぱり日本のようで、出てくるプランクトンの種類も日本のものと考えてよさそうだ。
 著者のプランクトンの動きの描写に彼らへの愛があふれていてよかった。
 1滴の水の中の小宇宙に魅了されているし、読者を魅了したいのだなぁ。

 そんな著者の経歴が警察の鑑識だったりするのも面白い。

関連書評
クラゲの秘密〜海に漂う不思議な生き物の正体 三宅裕志

小さなプランクトンの大きな世界 (たくさんのふしぎ傑作集)
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カテゴリ:科学全般 | 12:21 | comments(0) | trackbacks(0)

パノラマ世界史1〜世界史のはじまり 羽田正

 輪切りで見えると書いてあるが、地球が輪切りになっているわけではなく、地球全体の同時代をイラスト化して紹介している本である。
 アメリカ大陸は鉄器がなくても変化はあっていいのだが、オーストラリアのアボリジニがいつまで経っても変化しないので空しくなってくる。ずっと狩猟採集だからしかたがないな……彼らよりも南太平洋を海上移動をした人々が描写される変化の中心になるのかもしれない。
 日本の変化も平行して紹介されているので、世界からの影響や日本の立ち位置がみえてくる。

 最初が超大陸パンゲアだったことには笑った。地学的に笑えないのが、鉄に関する説明文でジャイアントインパクトのときに飛び散ったものとされている……そんなの定説になっているか?
 マグマオーシャン時の分化に絡めて、そういうことが言われても違和感はないが、地上にあって利用されているすべての鉄がそのときのものと考えるのは暴論だと思う。さらに後から落ちてくる隕鉄もあるし。

関連書評
大陸別世界歴史地図5〜アフリカ大陸歴史地図
アレクサンドロス大王〜今に生きつづける「偉大なる王」
原典訳ハンムラビ「法典」 中田一郎訳

輪切りで見える!パノラマ世界史1 世界史のはじまり
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カテゴリ:歴史 | 20:26 | comments(0) | trackbacks(0)

図説 鉱物の博物学――地球をつくる鉱物たち――

 松原聰・宮脇律郎・門馬綱一 著。
 鉱物図鑑と鉱物学の入門書がまとめられた本。前半は黒をバックに鉱物写真が大きく載せられている。必要なデータは視認性よくまとめられていて、説明文は非常に簡潔である。
 標本のグレードは基本的に高いが、あえて国産のものを載せている関係で綺麗ではない標本が載っている場合もある。外国産の標本は産出国までしか書かれておらず、鉱山名などは不明な点が残念だった。だいたい「いつもの産地」と考えておけばよさそうだけど。
 毒性や磁性をもつ鉱物は名前の横にそれを表す記号が描かれている。なんで蛍光性の記号はないの……。

 かんらん石をオリーブ石と表記していて何事かと思ったら、かんらんはオリーブとは別の植物だから適当ではないと言うこだわりがあるそうだ。
 言い方を増やしたくないのでオリーブ石とするならオリビンとカタカナ表記してほしいなぁ。

 鉱物標本で興味をかき立てたあとに鉱物学の話がはじまるのだが、知らないところや専門的なところも押さえていて、なかなか良かった。
 コラムでは著者(三人の内の誰なのかは不明)が経験した研究に関わるマニアックな話を読むこともできた。
 後半にはレアメタル図鑑も収録されていて、めずらしい金属リチウムの写真などを観ることができた。

関連書評
新鉱物発見物語 松原聰

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図説 鉱物の博物学
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カテゴリ:地学 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0)
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