おいしい”つぶつぶ”穀物の知恵 盛口満 文・絵

 ゲッチョ先生の穀物コレクション

 とっても身近な作物、穀物について収穫前の姿からスケッチをしている絵本。最初に出てくるのはイネ科の旗手イネであるが、イネ科に属さない双子葉植物のアマランサスやソバにも出番が与えられていた。
 インドで作物化されている雑草があったり、ヒエだけは日本原産の可能性が隠されていたり、おいしいつぶつぶ穀物の世界も奥が深い。

 雑草にも丁寧に処理すれば食べられるつぶつぶがたくさんあることを知った。でも、サバイバル本で採集を勧められているところは、あまり見ないような……そんな雑草を収穫に適した性質に品種改良して、現代に伝えてくれた先祖に感謝である。
 収穫量の多い穀物だけに偏らず、バランスよく後世に受け継いでいけたらいいなぁ。

 品種改良について穀物側が生き残るために「考えた」ような視点から説明していた。それも一つの見方ではあるけれど、やはり人間による淘汰圧を意識せざるを得ない。

関連書評
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おいしい“つぶつぶ
おいしい“つぶつぶ" 穀物の知恵 ゲッチョ先生の穀物コレクション(ゲッチョ先生の自然誌コレクション)
カテゴリ:写真・イラスト集 | 19:32 | comments(0) | trackbacks(0)

日本の豆ハンドブック 長谷川清美 文一総合出版

 著者のマメな活動が結実。日本の北から南まで、在来種とよばれる昔から農家で自家採種して育てられてきた豆類を収録した図鑑。
 日本にはまだまだ知られざる豆があるに違いない。せめて自分の周りだけでも道の駅に行ったときに探してみようか。そんな気持ちになれる本だった。

 栽培者の年齢は非常に高齢者が多くなっていて、在来豆の将来が心配になった。次の世代が育てる用意をしてくれているなら、いいのだが。

 数十年、ときに100年を超える栽培歴をもつ豆があることに驚いていたら京都の馬路大納言の数百年つづく農家は次元が違った。
 北海道にもちこまれた豆だけじゃなくて、北海道から本州に入ってきている(戻ってきている?)豆もあることが興味深かった。

 まえがきでは「意識低い系の農家が惰性でつくっている」印象をあたえる書き方をされていたけれど、種苗交換会で入手されていたりして、作物に積極的な人が作っている印象だった。
 そもそも豆ごとの細かい特徴を把握して、その長所を愛さなければややこしい在来豆を作るはずもない。
 コラム的に入ってくる豆料理の紹介もおいしそうでよかった。

関連書評
そだててあそぼう9〜ダイズの絵本 こくぶんまきえ・へん
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日本の豆ハンドブック
日本の豆ハンドブック
カテゴリ:科学全般 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0)

400年後のニューヨーク 劇的!都市の大改造

 ナショナルジオグラフィック

 ニューヨークを環境に適応した都市に改造しようとの試み。似たような東京の映像を観たあとだったので、わかる人間にはうさんくさいのかもしれないと疑いの目でみてしまった……とりあえず東京よりスケールが大きいことは確かだ。目標地点は400年後だからな。

 ニューヨークに住み着きだしたコヨーテや昔からブロンクス川に生きている大きな亀など、アメリカの大都市が意外に自然豊かなことが伝わってきた。
 コヨーテには東京に住んでいるタヌキを思い出した。セントラルパークが皇居の役割を果たしている感じかな。

 ニューヨークを維持するためにはフランスの国土並の面積が必要とのことで、それをニューヨークだけで自給可能な都市にできないか検討しているグループがいた。
 その機能は災害時にも維持されるのかな……物資流入の習慣がなくなった後に、大量の物資が必要になったら地獄を見そう。

 わりと地に足のついたところでは屋上緑化の話題があった。高架跡が公園になっている様子には、姫路市にも参考にしてほしく感じた。

関連書評
東京2020「庭園都市」への挑戦 ナショナルジオグラフィック

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ナショナル ジオグラフィック 400年後のニューヨーク 劇的!都市の大改造 [DVD]
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:47 | comments(0) | trackbacks(0)

モンゴル”風の馬”の民 ナショナルジオグラフィック

 地球民族紀行〜さいはての光をたずねてシリーズ。
 モンゴルで遊牧民生活をつづける人々に文化人類学者のデイビス博士が近づいて、ナーダムでの競馬を頂点とする馬の調教をみる。
 競馬の距離25kmはずいぶんと遠くて、円運動もしないので「観客」にはゴールの様子しかみることができない。それを気にしたらマラソンや駅伝の応援も似たようなものだ。
 神事としては神様が天から観ていてくれる気分なのだろうな。
 時速50kmで駆け抜けるというから、およそ30分のレースである。

 二人の調教師ムフダライとテムジンが出てくるのだが、両者のやり方が微妙に違っているようだ。どちらの場合も少しでも優れた馬の未来につないで、さらにいい馬を作り出すことが、最終的にたどりつく場所になる。

 デイビス博士はモンゴル人のいう「風の馬」が、「魂」を指すものと解釈した。慣れ親しんだ人と馬の心が一体になったような感覚から、見えない馬が魂を形容するという考えはとても魅力的だった。
 最後の方はデイビス博士もかなりモンゴル式の乗馬に慣れていたことも印象的だ。

関連書評
NHKスペシャル文明の道5モンゴル帝国
馬―ウマやポニーの世界を探る― ジュリエット・クラットン=ブロック

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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 23:11 | comments(0) | trackbacks(0)

サイボーグ誕生〜人間が支配される日 ナショナルジオグラフィック

 人間と機械の未来はバラ色か、それとも?
 ハリウッド映画の見すぎにも思えるサイボーグのお話。今話題の「AI」の用語こそ出てこなかったが内容はそういう部分が大きい。ソフトウェアとハードウェアの面があってややこしい。
 人間のように感じるロボットを目指すなら、ハードウェアの開発もおろそかにできない。サイボーグの場合はなおさらだ。一方で人間をコンピューターに入れてしまう話もあった。自分の耳にはその技術の名前が「テクノブレインラン」と聞こえたが、テクノブレイクに似ていますね。

 どんな方向に展開するにしても、現代の人々には想像しにくい世界が拓ける気がする。
 人類が複数種類に分かれてしまうとの恐ろしい予想も絵空事とは思えなかった。

 自分の健常な身体にセンサーを埋め込んだケイン・ワーウィック博士がなかなかのマッドサイエンティストだった。自分の身体で実験は基本と言えば基本かな。
 ぼくにはとてもできない。
 勝手に電脳化世界のラスボスにされていそう。

関連書評
サイボーグ昆虫、フェロモンを追う 神崎亮平
AIの遺電子1巻 山田胡瓜:ヒューマノイドが人に混じって暮らすAIが支配する世界を描いたSF漫画
航空宇宙軍史・完全版三〜最後の戦闘航海/星の墓標 谷甲州

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ナショナル ジオグラフィック〔DVD〕 サイボーグ誕生 人間が支配される日
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 23:08 | comments(0) | trackbacks(0)

海上自衛隊 最強レシピ集 艦めし 協力:海上自衛隊

 陸を離れて活動する際、隊員にとって貴重な癒しとなるため、非常にこだわりが強いという海上自衛隊の食事について紹介するレシピ集。読んでいるだけで、お腹が空いてくる。
 最初のカレーラッシュから最後のスイーツまで読むだけでお腹いっぱいの内容ともいえた。

 いちばん食べたくなった料理は、掃海艇みやじまの「長いものチーズ焼き」。岩国航空基地隊がやたらと岩国れんこんにこだわっていることも分かった。食物繊維豊富だから隊員の健康に気を使っているのかな。

 潜水艦の数が多いこと、小さな潜水艦でもそれぞれに独自のレシピがあって一つの世界であることも感じられた。大型艦護衛艦いずものメニューもそれはそれで興味深かった。

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海上自衛隊 最強レシピ集 艦めし 艦艇&部隊のおいしすぎる料理を紹介!
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カテゴリ:ハウツー | 23:07 | comments(0) | trackbacks(0)

わたしたちのくらしと家畜2〜家畜にいま何がおきているのか 池谷和信

 家畜の歴史から現在へ。そのまま未来にはつっこまないところが地に足がついている。
 イスラム国であるはずのバングラディシュでの豚放牧は1巻から気になっていた。どうも人口の9割はイスラム教徒らしいので、残りの1割がやっている?
 著者は東南アジアの家畜にかなり注目しているらしい。そこから太平洋に進出したポリネシア人三種の神器にも豚と鶏がいるからな(残りはタロイモ)。東南アジアの家畜はかなり奥が深い。

 仏教の肉食に関する戒律「三種の浄肉」が他の宗教にくらべておかしなものに感じられた。
「殺されるところをみていない、自分のために殺したと聞いていない、自分のために殺したことを知らない」を満たせば肉を食べられるとのこと?まるで食肉業者に忖度させているみたいだな……知らぬ存ぜぬで、利益だけはいただいちゃうのだから表面的な情報だけ聞くと納得できなかった。
 いろいろと深い理由付けはなされていると思うが。

 日本の畜産業データでは、宮崎県が口蹄疫と鳥インフルエンザで、ウシとニワトリの飼育頭数を激減させてランクが落ちているらしかった。さすがに宮崎県の酪農農家が気の毒だ。
 気候とか流行してしまいやすい要素があるのかな。

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そだててあそぼう94〜ウサギの絵本 たけだるりこ・へん
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家畜にいま何がおきているのか (わたしたちのくらしと家畜)
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カテゴリ:雑学 | 23:06 | comments(0) | trackbacks(0)

わたしたちのくらしと家畜1〜家畜ってなんだろう 池谷和信

 ウシからはじまってウズラまで人間が家畜として利用している動物をリストアップして利用方法などを簡単に説明している。
 子供向けにしては難しい内容もところどころにあった。

 最後に「日本で家畜化された動物はいない」と著者がいっていて、「ニホンウズラ」は違うのか!?と混乱した。中国朝鮮ロシアにも分布しているらしいが?
 Wikipediaによればウズラは明治時代に入ってから日本での家畜化らしい。タイミング的に伝統のものとは言い難く、いないと表現したのかな。

 タイやラオスにおいては家鶏と野鶏が行き来ている場合があるとのこと。ほのぼのした交流風に描かれていても野生種の遺伝子を大切にする側には深刻な問題と思われる。
 生態的には野生を維持できる環境が残されていても、純粋な野生種は絶滅してしまっているかもしれない。

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そだててあそぼう42〜ミツバチの絵本 よしだただはる・へん
銃・病原菌・鉄1〜文明の始まり ナショナルジオグラフィックDVD
銃・病原菌・鉄 上 ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰

家畜ってなんだろう (わたしたちのくらしと家畜)
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インドの家畜の養老院が凄かった。闇があれば光がある。ただし、この光はヒンドゥー教じゃなくてジャイナ教だった。
カテゴリ:雑学 | 23:02 | comments(0) | trackbacks(0)

深海を照らしてみた!世にも不思議な海洋生物

 ナショナルジオグラフィック

 タイトルもサブタイトルもちょっと内容からズレている。タイトルの方は英題の直訳みたいなのでしかたないが「海水を透明にしてみた」「海をスケルトン化してみた」の方が理解しやすい。前者は「海水が透明なのは当然じゃん」とツッコミを受けるので、照らしたと表現したのかな。
 光の届かない深海でもCGによって透明に表示してしまう映像作品だった。

 そして主役は海流の循環であって、海洋生物はそこにまとわりつく存在に近い。
 北大西洋からはじまった海水循環のたびが1000年かけて北大西洋まで戻ってくる様子が視覚的に表現されている。

 それなりに知られた深海よりも海の表面における渦巻く水の動きが興味深かった。喜望峰からブラジルまで渦が維持されたまま到達していて意外としぶとい。
 生物の拡散を考える上でも非常に有意義なデータに違いない。

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海水を抜いてみた!〜世にも不思議な海底地形 ナショナルジオグラフィック:姉妹版的な作品

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ナショナル ジオグラフィック 深海を照らしてみた!世にも不思議な海洋生物 [DVD]
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0)

睡眠の不思議 ナショナルジオグラフィック

 眠れなくなり最終的には死に至る恐怖の病気FFI。
 その患者の脳を分析することで人は睡眠への知識を深めていった。だが、いまだにFFIの治療法は発見されておらず、FFIを発症する可能性をもった人々は恐怖に苛まれながら日々を暮らしている。

 日本なら「苦しむかもしれないのに子供を産むなんて無責任」とか酷いことを言われそうだなぁ。人権をおさえる優性思想がまき散らされている。自分もそれに染まりかけていることを自覚してしまった。
 発症しない可能性もあるとはいえ、子供をもうけることが重い決断になるのも確かだ。なんで自分を産んだと親を恨んでしまう発症者もいたかもしれない。
 世界に40家族しかいないと言われていたのは40の家系かな?家族だと、いくらなんでも少なすぎる気がした。元の言葉はファミリーだろう。

 遺伝性の病気は不可抗力だが、アメリカ軍による捕虜を眠らせない拷問は恐ろしかった。11日間眠らせないなんて、社会復帰が不可能になる……人間を容赦なく破壊する国家の恐ろしさが伝わってくる。ジュネーブ条約違反だし。
 拷問抵抗の訓練を受けた人も勇敢だった。米兵なら誰もが課せられているとすれば、それもまた恐ろしい。

ナショナルジオグラフィックDVDレビュー記事一覧

ナショナル ジオグラフィック 睡眠の不思議 [DVD]
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カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 22:57 | comments(0) | trackbacks(0)
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