スペイン〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 アニタ・クロイ著、ホセ・マヌエル・レイエス/ラクエル・メディナ監修。
 批判を受けながらも闘牛熱はいまだに冷めず。情熱の国スペインの複雑な歴史がわかる一冊。フランコ時代を乗り越えて、ファン・カルロス一世のおかげで再発展の機会をえたスペイン。今ではEUで四番目、世界でも十指に入る工業国だと本書は語る。
 EUの中では国債の評価が問題になっている側の国だなどとは決して語られない……というかEUで4位だとイタリアより上になってしまうような?
 それともイギリスがカウントされていないのか。疑問に感じるランキングではあった。
 まぁ、イージス艦も持っているしな。

 開発が遅れたおかげなのか、スペインは自然も豊富であり、オオカミやヤマネコが辛うじて残っている。人間だけじゃなくて動物にとっても、西の果ての最終避難所になっている感じである。
 ここより西にはもう逃げ場がない土地で、人間や動植物が繰り広げてきた物語に思いを馳せたい。

 写真に載っている悔悛者の姿がKKK団にあまりにも似ていると思っていたら、キャプションでまったくなんの関係もないことが強く主張されていた。
 ナチスの巻き添えで葬られた風習の二の舞は避けたいところだからなぁ。

関連書評
スペインの魂 ナショナルジオグラフィックDVD
スペイン パラドール紀行 小畑雄嗣・香川博人
図説ポルトガルの歴史 金七紀男

スペイン (ナショナルジオグラフィック世界の国)
スペイン (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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テラ・フォーミング〜宇宙コロニーの実現 ディスカバリーチャンネル

 人類は宇宙に移住するべき。移住するべきと言ったら移住するべき。ちょっと論理的に怪しさもあるが、人(特にアメリカ人)を引きつけてやまないテーマについて、研究者やSF作家への取材と多くのイメージ映像を駆使して布教を繰り広げる映像作品。

 マッケイやズブリン、オニールなどの有名どころにくわえて、キム・スタンリー・ロビンスンが出演している。
 あの本の作者はこんな顔をしていて、こんな話し方をするのだと新鮮に思った。

 アポロに刺激をうけた若者たちが科学の道を志したことに触れているが、その後の空白期間に育った子供に同じ効果は期待できない「問題」が徐々に表れてくることを予感した。
 火星探査やテラ・フォーミングの流れについては本でだいたい把握していたけれど、映像にされることで理解がしやすかった(裏付けのない説得力も増えてしまった?)。
 バブルの中にはえた月面都市の植物は月の長い夜をどうやって凌ぐのやら……光害とはちょっと違うのかもしれないが、照明が下からだと育成に影響がありそうだ。

関連書評
火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳
人類が火星に移住する日 矢沢サイエンスオフィス・竹内薫

ディスカバリーチャンネル テラ・フォーミング-宇宙コロニーの実現- [DVD]
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カナダ〜ナショナルジオグラフィック世界の国

 ブライアン・ウィリアムズ著、トム・カーター/ベン・セシル監修。
 国名の語原はイロコイ語の村を意味する「カナタ」。巨大な村であり、80%以上が都市にすむカナダの本。
 表紙になっている牛乗りが気になったのだけど、ほんのちょっとしか言及されていなかった。

 いくら人口が少なくても国土が広すぎる。さらに国民の民族的な背景も多種多様なのだ。
 近年は東南アジアからの移民が多いとのことだが、よく気候の違いに耐えているなぁ。逆方向の移民なら汗腺の少なさに苦しむけれど、寒いなら我慢すればいいだけ?

 地図にしか情報がなかったものの、アレクサンダー・マッケンジーの太平洋に向けての冒険の移動距離がすごくて関心を引いた。だいたい川筋を移動しているみたいだが。
 現代でも木材を流すのに使われていたり、カナダの交通における河川が果たしてきた役割は大きい。

カナダ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
カナダ (ナショナルジオグラフィック世界の国)
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航空宇宙軍史・完全版二 火星鉄道一九/巡洋艦サラマンダー 谷甲州

 第一次外惑星動乱の全体的な流れが一冊でわかる。完全版一では開戦までの経緯と、開戦劈頭の奇襲攻撃が分かったわけで、こうしてみると短編集の集合体でも上手くまとまっている。

 やっぱり目立つ存在は外惑星連合唯一の正規巡洋艦であるサラマンダーに関する物語であろう。
 土砂降り戦隊からサラマンダー追跡までの4本が巡洋艦サラマンダーに関連する話になっている。航空宇宙軍のあまり冴えない部署に配置された個人の働きがつながって、歴史を完全に変えてしまう様子が分かる。
 これぞ歴史の一面と言えるが、本人たちでも正確に認識できないほど事情は複雑である。サラマンダー側の立場になって考えると、ついていないにも程がある。
 まぁ、幸運だったとしても末路には大差がなかったかもしれない。アナンケ迎撃戦で、死すべき定めの作戦に投入された囮艦隊と仮装巡洋艦隊が一隻の犠牲も出さずに済んだのは、シュルツ大佐の加護と思いたい。

 サラマンダー追撃戦の様子がここまでビスマルク追撃戦を連想させる内容だとは最初に読んだときは感じなかったなぁ。
 そう思ったのだけど、古い単行本の感想を確認したら、ちゃんとビスマルク追撃戦に言及していた(あの感想を書いたときが初見じゃないけど)。
 過去の感想と照らし合わせるのも大事だな。

 敵がもっている兵器を我が一から開発する点で、タイタン航空隊と巡洋艦サラマンダーは似ている。そうして考えると、外惑星連合の開発陣はかなり健闘したと思われる。
 もっとも、タイタン航空隊の場合は「寄生戦闘機ゴブリン」みたいな運用上の制限も大きかった。タイタンの大気組成について最初の執筆時とは比べものにならない情報が得られたので、さすがに話の雰囲気が変わっていた。

 終戦時の混乱がわかる最終兵器ネメシスを読むと、開戦時と同じく政変はカリストで起こっており、ガニメデの政治的な安定感が際立つ。巻末の組織表によれば外惑星連合軍の主席司令官はガニメデ宇宙軍参謀総長であるのも、その関係だろうか?それこそ開戦時にミソをつけて、幕僚会議議長が交代した影響が大きいのかな。
 カリストからの重水素輸出がガニメデやタイタンからの物よりも遙かに多いという「ドン亀野郎ども」の情報も両国の政治的な安定度の差に影響していそうだ。
 それにしてもエウロパの気配が薄いな……あちらはイオと違って地上都市で生活できるだろうに。水分が多すぎてガニメデやカリストに比べると鉱物資源には恵まれないのかなぁ。
カテゴリ:SF | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0)

真田疾風録〜覇道の関ヶ原 伊藤浩士

 真田一族の談合が関ヶ原の戦いを変える王道歴史シミュレーション。
 一冊ですっぱり完結している。そのために、ややご都合主義的な展開に感じられる場面が目に付いた。井伊直政は史実でも死んだから仕方がないが、榊原康政まで戦死させるとは……。
 ちょっと真田信幸にとって良い方向に偶然が重なりすぎていた。

 まぁ、関ヶ原の合戦に秀忠軍団や立花宗茂が参戦していたら?という歴史IFからの短期間での合戦の連続はよかった。
 けっきょく東北や九州での関ヶ原の戦いが短時間で停止されることは変わらないんだな。
 いきなり政権の首班におさまった真田親子に内心で不満をもつ人物は多そうだ。でも、徳川家と真田信幸の結びつきが大きな支えになりそう。
 豊臣家とは信繁(作中では幸村表記だったが)がつなぎになるし、信幸の政権運営しだいでは、それなりに安定するかなぁ。
 徳川にも豊臣にも政争によるチャンスがないとも言えなくはない終わり方だった。信幸が淀殿対策で寿命を縮めないことを願う。
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0)

地球に生きる神秘的なサル 公益財団法人ニホンモンキーセンター監修

 近い種であるがために表情を読んでしまいやすく、そこに神秘性を感じることの多いサルの写真集。
 全部で300種ほどいるとされるサルのうちの96種が収録されている(亜種もありそうなので、もう少し少ないかもしれない)。

 ネズミキツネザルの仲間がたくさんいて、ネズミなのかキツネなのかサルなのかハッキリしてほしくなる。そうかと思えばイタチキツネザルまで登場。最後にはジェントルキツネザルが出てきて、紳士がネズミやイタチと同列の存在であることが明らかになった。

 童謡に出てくるアイアイが思ったよりも怖かった。自分の頭の中でロリスと入れ替わっていた気がする。
 マントヒヒ、マンドリルなど名前に聞き覚えのあるサルでも、姿のイメージは結構混乱していることが確認できた。精進せねば。

 サルの種類は大きく旧世界猿と新世界猿に分けられて、後者はアフリカからアメリカ大陸にわたった一種類から派生していった種類らしい。マーモセットと名前につくやつ以外の新世界サルは分からなかったが、まずはその区別を覚えておきたい。

関連書評
あさひやま動物園写真集 今津秀邦・多田ヒロミ

地球に生きる神秘的なサル
地球に生きる神秘的なサル
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:22 | comments(0) | trackbacks(0)

ウォーキングwithダイナソー スペシャル:5伝説の恐竜ビッグ・アル

 全身の骨格が発見されたアロサウルスのビッグ・アル。彼の骨に残された大量の骨折跡からその生涯を再現したCG映像が楽しめる映像作品。
 楽しむというには、あまりに悲しい生涯ではあった……見事に童貞あつかいである。骨は残しても子孫は残していないというのか。

 アロサウルスたちが集まってディプロドクスを狩るシーンが特にエキサイティングであると同時に、狩り方が地味でもあった。狩られる側にはたまったもんじゃないけれど……塩の平原で狩ることで自然とお肉が味付けされるところもポイントが高いな。
 後からやってきて肉を独占する大きな雌がいて、ビッグ・アルの負傷の原因となった雌と一緒に、アロサウルスの雌の印象を悪くしている。印象のいい雌は、ビッグ・アルの母親だけだ。

 後半部はビッグ・アルの発掘と研究の風景がまとめられていた。アメリカでは女性研究者が恐竜の研究にも活躍していることが分かった。


ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:伝説の恐竜ビッグ・アル DVD
ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:伝説の恐竜ビッグ・アル DVD
カテゴリ:映像資料 | 21:24 | comments(0) | trackbacks(0)

ウォーキングWITHダイナソーVol.4 海の恐竜たち

 Sea Monstersの英題を「海の恐竜たち」と訳す日本語版のセンスのなさに絶望する。あいつらは恐竜じゃない。
 わかりやすさの都合を優先させすぎで正確さをおいてけぼりにするのは、せっかく古代生物の実像に迫ろうとした作品に対して失礼ではないか。

 Vol.3につづいてナイジェル・マーヴェンがタイムスリップで過去の世界を旅している。危険度の低い方から高い方へ、海を冒険していく。
 日本のバラエティー番組も芸人に罰ゲームを課すなら、これくらいやればいいのに。
 オルドビス紀は大気組成の違いもしんどそうだった。水中活動だと更に致命的になる理屈が気になるところだ。潜水病の関係か?

 主役とは限らないものの多くの時代でサメが活躍していて、軟骨魚類の実力を垣間見た。いまだに奴らが跋扈している現代の海をランク付けしたら、どこに入ってくるのかな。
 始新世と暁新世の間くらいかもしれない。メガロドンは最近いただけに危険性のリアリティーが桁違いだった。

 Vol.1でも驚異だったリオプレウロドンは2番目に危険。そして、1番目に輝いたのはモササウルスであった。
 ……クロノサウルスは?どうもリオプレウロドンと被るから出番がなかったらしい。名前のインパクトでクロノサウルスを覚えていたよ。
 最後のシーンは恐怖よりも笑いをこもらせて観てしまった。仮に自分が実際に経験した場合も、あんまりすぎて笑うしかなさそうだ。

ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:海の恐竜たち DVD
ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:海の恐竜たち DVD
カテゴリ:映像資料 | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0)

ウォーキングWITHダイナソーVol.3 タイムスリップ!恐竜時代

 ついに本当に恐竜と一緒に歩く日が。
 動物学者にして冒険家のナイジェル氏と(カメラマンと)一緒に、恐竜の生きていた時代にタイムスリップ。
 大きな爪を持っていたデリジノサウルスの謎に迫るエピソード1と、最大の恐竜アルゼンチノサウルス、それを襲っていた最大の肉食恐竜ギガノトサウルスを目撃するエピソード2を収録している。

 合成映像であることを承知しながらもワニの仲間にちょっかいを掛けるシーンではハラハラしながら見守ってしまった。
 人と恐竜が動いて一緒の画面にいると、それぞれのサイズがイメージしやすい。テリジノサウルスの爪が柄をつければそのまま剣にできそうなサイズであることが良く分かった。

 飛行機で翼龍と飛ぶシーンなど、人々が夢に思うことを動画にしてみせたスタッフの創造力にひたすら感心した。ちょっとのシーンにも莫大な作業時間とお金が掛かったはず。
 本当によくやるものだ。

ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:タイムスリップ! 恐竜時代 DVD
ウォーキング WITH ダイナソー スペシャル:タイムスリップ! 恐竜時代 DVD
カテゴリ:映像資料 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0)

ウォーキングWITHダイナソーVol.2 BBCワールドワイド

 恐竜が生きた最後の時代、白亜紀の情景を三章にわけて描く。
 南極の風景がとても珍しく興味深かった。ほかの地域は暖かすぎて四季がなかったけれど、南極には四季があったらしい。そして、冬には大規模な移動がみられたらしい――アフリカなどの例から類推した生態なのであろう。
 大型の両生類がワニのニッチを持っていたりするところもなかなか特殊なのだけど、南極が寒冷化してオーストラリア・南米などが分離してしまった現代には生きて伝われず……。

 年老いた翼龍の最後の渡りを描く話には制作者の「交尾ができずに死ぬ」展開への強いこだわりを感じた。野生動物には最大の悲劇というだけではなく、彼らが現代につながる種でないことを個体を通して伝えたがっている感じである。
 でも白亜紀のラストは鳥が恐竜の生き残りであることを高らかにうたっていた。まぁ、翼龍は恐竜とは違うしなぁ。

 映像のメイキング特典もとても良かった。恐竜のマペットを使って演技をする人たちの技量の高さを強く感じた。
 どの役割をはたす人も強いプロ意識をもって協力して仕事に当たっている。実に見事であった。
カテゴリ:映像資料 | 21:58 | comments(0) | trackbacks(0)
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