その時歴史が動いた「上杉鷹山 ふたたびの財政改革」 NHK

 上杉鷹山の藩政改革は二回おこなわれていた!そして、一回目は無惨にも失敗していた。
 失敗を経験した上杉鷹山が二度目の挑戦では成功できた理由は何か?現代の政治を考える上でも興味深い話。しかし、暴騰に小泉元首相の改革発言を出されたのには参った。
 一度目の失敗改革を担った汚職家臣と竹中氏が被る。

 漆のロウソクで2万両の収入を期待したのに、ちょうど櫨のロウソクが流行しはじめたタイミングで上手く行かなかった話は切ないものがある。
 切り倒されてしまったのは漆器にはロウソクよりも高度な技術が必要で、そっちへの転用は難しいからか。

 しかし、二度目の絹織物開発はかなり高度な技術に挑戦していた。そういえば、越後時代の上杉家は青ソで潤っていたはずで、何らかの伝統が領内に残されていた?
 手持ちのカードをよく知って、得意を活かして、利益につなげることが大切だな。

 暗黒時代の俸禄33%カットで、武士が汚職に走ったところも現代に通じる教訓を帯びていた。直系の領主たちは養子の鷹山と違って領民の生活を省みず、浪費三昧。情けない話である。

NHK「その時歴史が動いた」 上杉鷹山 ふたたびの財政改革~上杉鷹山(41歳)、2度目の藩政改革に乗り出す~ [DVD]
NHK「その時歴史が動いた」 上杉鷹山 ふたたびの財政改革~上杉鷹山(41歳)、2度目の藩政改革に乗り出す~ [DVD]
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探検!日本の鉱物 寺島靖夫

 鉱物採集歴60年。神岡鉱山につとめたこともある著者が長年をかけて採集した日本の鉱物を写真で紹介する鉱物コレクションの入門書。
 いまでは跡形もない産地も多い一方で、最近採集したとの情報が載せられている場合もあって、心強い。譲ってもらった標本もそれなりにあったが、もらった相手に大学教授がたくさんいて著者の交友関係の広さがうかがえる。まぁ、標本を静岡県の奇石博物館などに提供しているくらいなので。

 個別の標本をみていくと、兵庫県中瀬鉱山の自然金は結晶までみえる非常に立派なもので閉山時の標本販売を察知した著者のめざとさに感心する。輝安鉱がともなっているところもいい。
 岩手県崎浜のリチア電気石は濃いピンク色で透明感があり、国産のイメージを吹き飛ばす美しさだった。表紙にも出てきている。
 神岡鉱山産の硫酸鉛鉱はシャープで美しい。閃亜鉛鉱上にあるので黒と白(無色透明)のコントラストも鮮やかだった。
 宮城県本砂金産の菫青石も結晶がよく表れていて迫力があった。風化した桜石と同じものとは思えないほど。
 有名な雨塚山にならぶ紫水晶産地として鳥取県藤屋があげられていた(その標本写真はなかった)が、その名前を知らなかったので興味を引きつけられた。

 最後にアメリカとカナダでの鉱物採集情報も少し載っている。日本にも同じように採集できる産地が増えるといいなぁ。とりあえず甲武信鉱山はあるが。

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探検! 日本の鉱物
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カテゴリ:地学 | 17:35 | comments(0) | trackbacks(0)

ビジュアル日本の鉄道の歴史1明治〜大正前期編 梅原淳

 井上勝の偉大さを思い知る。
 夭折した技師モレルの後を継ぎ、日本人だけによる鉄道建設の理想を追い求めた井上勝の活躍が分かる。私鉄の国有化も、公共利益の確保を目指して提案していて、国鉄民営化のときに井上勝の理念が議論になったであろうと想像した。

 中山道か東海道かという議論で、前者の建設費が約1500万円(現在の1125億円)、後者が約1000万円(現在の750億円)とまとめられている。
 現在、新国立競技場にそそぎ込んでいる国費に比べればメリットの非常に分かりやすい投資である。

 闇の側面としては横川から軽井沢間の難工事で500人以上の死者を出したことが紹介されていた。伊藤博文が井上勝に命じた東海道線の突貫工事(第一回帝国議会に全国の代議士が利用できるようにするため)も、無理によって大量の死者を出したはず。
 もちろん戦争でも利用されているし、初期の鉄道は平和的な存在とは言い難い。

関連書評
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ビジュアル日本の鉄道の歴史1明治~大正前期編
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カテゴリ:歴史 | 00:09 | comments(0) | trackbacks(0)

ガザ〜戦争しか知らないこどもたち 清田明宏

 21世紀に入ってからも4度の戦争を経験しているガザ。そこに生きるこどもたちや戦う医療従事者たちの姿を写した写真集。
 戦争の主体であるイスラエルやイスラム武装勢力のことには徹底的にふれていないので「戦争」という顔のない化け物が存在して、人々の住居を破壊して回っているように感じる。
 おかげで日本人読者には災害に似て感じられて共感しやすいかもしれない。

 苦労して建てた住居が数分の戦闘で破壊され、外気にさらされて生活せざるを得ない状況は本当に気の毒だ。半壊した建物などにしかたなく住んでいる人も多いけれど、地中海沿岸のガザは地震がありえる地域だったはず。
 もしも大地震が起こったら生じる被害はおそろしいものになり、戦争の被害そのものとも言える。

 ひどい状況だけど、写真にそこそこ緑が写っていたことは慰めになった。イスラエルの本によれば南の方は乾燥地帯だったはずだが、海岸にあるガザ地区の場合はそれなりに雨が降るのかな。
 ただし、無期限停戦後の豪雨で非常事態宣言という記述もあって……。

ガザ: 戦争しか知らないこどもたち
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カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:46 | comments(0) | trackbacks(0)

リビングストンの探検 ピエロ・ベントゥーラ絵

 ジアン・パオロ・チェゼラーニ文、吉田悟郎 訳。
 産業革命時代のイギリスに生まれ、酷い労働環境を経験した少年だったリビングストンは、苦学の末に医学をおさめアフリカにキリスト教を伝える宣教師となった。
 そんな彼が夢見たアフリカ横断の交通路捜索の夢は、半ば成功し半ば失敗することになる。

 歩いて行くことはできたが、ザンベジ川には滝があって水路として使うことができなかった。
 まぁ、後世からみれば地理上の発見だけでも、たいへんな成果であって、未知の病気がわんさかある状況において冒険をなしとげただけでもリビングストンは偉大である。

 そんな偉大な成果の利用のされ方が、ぜんぜん良くないものだったことは帝国主義の諸国家の責任だ。
 奴隷制がリビングストンの心を何度も揺さぶった様子も衝撃的であった。奴隷商人も兼ねているアラブ商人に助けてもらったとき、リビングストンはどんな気持ちだったことだろう……。

リビングストンの探検 (児童図書館・絵本の部屋)
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カテゴリ:歴史 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0)

世界の不思議な野菜 湯浅浩史 子供の科学サイエンスブック

 日本の野菜になれた目からは想像もできない奇妙な野菜たちが世界にはある。
 とくに熱帯地方は樹木の野菜などが存在していて興味深かった。バオバブやウチワサボテンも食べられるのか。
 動物の家畜化にくらべると植物の野菜化は自由度が高いとみることもできた。

 ヨーロッパの不思議な野菜はアーティチョークとスウェーデンカブくらいで、大半の野菜が奇妙とは感じられなくなっていそうだ。日本に入ってきた当時は大層奇妙なものに見えただろうに。

 一方で沖縄の野菜が珍しいもの扱いされている。文化的に大きな違いがあることは事実であろうが……これを言い出したら国内でも地域ごとに珍しい野菜は多少はあるんじゃないかな。

 バオバブやキャッサバの葉の粉末ペーストは他に栄養源がないから野菜になっている感じもした。必要な栄養をとることが最優先の野菜は将来的には厳しいかもしれないな。

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世界の不思議な野菜: これって食べられるの!? 驚きの姿のひみつ (子供の科学★サイエンスブックス)
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カテゴリ:雑学 | 13:15 | comments(0) | trackbacks(0)

野山の生き物〜ひと目で見分ける340種 久保田修

 日本に生きる動物の見分け方と簡単な解説をまとめたポケット図鑑。
 見分けることが難しいネズミやモグラなどは説明そのものを回避するなど思い切った方針で書かれている。タイトルに野山が入っているように、山登りの途中で出会うタイプの生き物がメインになっていて、平地だけに住むような生き物には触れていない。
 野山に住んでいる外来生物については、ちゃんと触れていたりする。

 鳥の鳴き声を説明する表記がとても面白かった。
 言語化すると、どれも奇妙な感じで印象に残る。鳴き声を言葉に当てる文化は海外にもあるのかなぁ。

 世界での分布についても言及している場合があって、日本では希少だけど世界では普通。あるいはその逆という事例が興味深かった。
 北海道が生物の分布で考えると日本でも特殊な地位にいることも分かる。津軽海峡は障壁として優秀。

ひと目で見分ける340種 野山の生き物 ポケット図鑑 (新潮文庫)
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カテゴリ:科学全般 | 22:55 | comments(0) | trackbacks(0)

誰かに話したくなる雑草のふしぎ 森昭彦

 ガーデナーの大敵、身近な雑草たち。そのメンツは多彩すぎて豪華に感じられてくるほど。
 ユーモアを交えた説明文で、雑草の不思議を描く本。

 意外と食べられる雑草が多くて、ふむふむと思う。最後のジュズダマみたいに食べるために手間が掛かりすぎるのは救荒作物になるのか怪しいけれど。
 でも、鳥取城の干殺しみたいな時は全部(有毒植物もふくめて)食べられたんだろう。そんな怖い想像もしてしまった。

 ただし、新顔の帰化植物連中は当時では食べようがない。
 花の愛らしさでつい許されている雑草こそ、本当におそろしい。そんな気持ちもしてくる本だった。

 あと、アカザ・シロザを撮影したがる人の謎が解けていないことが不気味。

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カテゴリ:科学全般 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0)

つじつまを合わせたがる脳 横澤一彦 岩波科学ライブラリー257

 人間の脳はいろいろな感覚情報を統合する過程で、つじつま合わせを行っている。そのために事実とは異なる感覚を抱く事例を中心に、脳の不思議が語られている。
 章ごとに錯視図形が飾られている点も象徴的である。

 刺激の情報と視覚情報の組み合わせによって、ラバーハンドを自分の手と錯覚する「ラバーハンド錯覚」はおもしろい現象だ。バーチャルリアリティ技術への応用効果も高そうである。
 痛みを与える実験は倫理的な問題が大きいと説明していたが、一部の軍隊では逆に現実の危害をくわえずに痛みを錯覚させて尋問する研究をしていそうだと思ってしまった……。

 人が確率が非常に小さい現象を見落としてしまいやすい問題では、手荷物検査の人や校正の人と一般人の比較が行われている。持続する集中力の偉大さを思い知る。
 よく棋士に研究協力してもらうことがニュースになるけれど、手荷物検査や校正の人も同じように活躍していると知ることができた。

 斜め前方、やや上からの「典型的な見え」を人が好む問題については、三面図を描いている自分は平均からずれてきている。斜めの情報では寸法を得られないので、斜め一枚よりも、二方向二枚の情報を好ましいと感じる。

 日本人とアメリカ人では色の好みに関して、違いが生じる実験も興味深かった。日本人は色から抽象的な概念も連想するので違ってくると聞いて、アメリカ人は色から抽象的な概念を連想しないのかと驚いた。
 平均しての問題だろうから、注意は必要かなぁ。


 あと、ネットで話題になった青と黒、白と金のドレスが、ブランドのラインナップから本当は青と黒らしいことを知ることができた。

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つじつまを合わせたがる脳 (岩波科学ライブラリー)
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カテゴリ:科学全般 | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0)

その時 歴史が動いた「信長 執念の天下統一」 NHK

〜大坂本願寺との十年戦争〜
 信長得意の付き合いきれない長期戦。美濃の斉藤氏がやられたみたいに、信長から大坂本願寺も終わりの見えない攻撃を受ける。
 それでも宗教組織にして、経済力をもった本願寺だから十年もったのだろう。そして、その力を信長が取り込んだときに対抗できるものは誰もいなくなる、はずだった。

 信長が送った柴田勝家たちへの「足を向けて寝ないつもりで仕えろ」文書には呆れてしまう。そういう言葉を形にするほど形にならないところで面従腹背されやすくなるとは考えられなかったらしい。
 信長の人心掌握術は、ふつうは出世できない次男三男を子飼いにするところ止まりだったのかと思ってしまう。

 本願寺から出てくる檄文の数をグラフ化して、顕如と教如の戦意の変化を示したところが興味深かった。
 結果、相反する命令を末端に出してくる困った総本山だ。退去で済んだのは全国に組織があるおかげだろうに、その末端組織に迷惑を掛けるなよ。

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ドキュメント信長の合戦 藤井尚夫
歴史秘話ヒストリア 戦国武将編二〜織田信長

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