にっぽんのスズメと野鳥仲間〜身近な「お散歩鳥観察」 中野さとる

 中野さとる氏が撮影地に選んでいる名古屋近くの「ある公園」が気になって気になって気になって……だが、そっとしておくべき。それよりも自分にとっての「野鳥観察聖地」を探すべきであろう。
 そのヒントを本書は与えてくれている。

 スズメの周りの野鳥に視野を広げた本書では、身近な野鳥について知識を得ることができる。
 野鳥の英名の由来についても触れることが多くて、学名とは違う新鮮さがあった。イギリスにいない鳥なのか、安直な名前が多いのだが。

 日本ではありきたりなヒヨドリが、日本以外の地域ではめずらしく海外の野鳥ファンにとって日本に来たら観たい鳥になっているのが面白かった。
 いろいろな分野でありそうな話である。

にっぽんのスズメと野鳥仲間
にっぽんのスズメと野鳥仲間
カテゴリ:写真・イラスト集 | 08:27 | comments(0) | trackbacks(0)

世界一不思議な錯視アート 北岡明佳

 思ったほど錯視が見えなくてショックを受けた。何かがおかしいことは分かるのだが、違和感が錯視現象にまでつながっていってくれない。目のコンディションにもよるのか?
 文字は少ないのに一気に読もうとすると目が疲れる本でもあった。

 モノクロなのに色がみえたり、ギラギラ光って見えるオプアートがあったり、漫画にも応用できそうな可能性を感じた。
 やりすぎるとポケモンフラッシュ事故が起こる?

 動物にも錯視があるが、錯視を面白がるのは人間だけということが興味深い。人類はいつか錯視を楽しめる地球外生命体に出会える日が来るのだろうか。

世界一不思議な錯視アート
世界一不思議な錯視アート
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(0)

知られざる弥生ライフ 誉田亜紀子

 弥生時代のイラスト概説書。弥生土器にも縄文のついたものがあることをフックに、弥生時代への関心を誘っている。
 マニアックな部分にまで言及していて、戦争で殺害された死体のレポートは、ゆるいイラストで見るのがちょど良かったかもしれない――人骨の写真も出てくるが。
 大量の鏃を打ち込まれた人は、戦闘の結果というよりも処刑であり、呪術的な意味も込めて、ああいう形になったのではないかなぁ。生前に受けた矢か、死後に受けた矢か、鑑定できないことが残念だ。

「卑弥呼の住まい」イラストは大阪府弥生文化博物館の想像復元模型を更にイラスト化しているため、参考にしてはいけない感じがした。あまりにも足場にするものが不安定で、空中に浮いているかのようだ。
 復元模型の制作経緯を聞けば、多少は印象が変わるのかな?

 縄文時代の土偶と石棒は別系統の祭祀だったらしいが、弥生時代の祈りでは男女一対の思想が強くなってきている点も興味深い。両者の関係に何か変化があったのだろう。

知られざる弥生ライフ: え? 弥生土器なのに縄文がついたものがあるって本当ですか!?
知られざる弥生ライフ: え? 弥生土器なのに縄文がついたものがあるって本当ですか!?
カテゴリ:日本史 | 10:27 | comments(0) | trackbacks(0)

陶芸で多面体〜フラーレン、ナノチューブ、トポロジー 石黒武彦

 陶土を素材にして数学的に有名な立体をいろいろ作成してみた本。常に新しい形態を追求している陶芸家にとってヒントになりそうだ。
 計算さえすれば形が自然と決まってくるところも陶芸家には新鮮であろう。まぁ、計算通りの形をえるための試行錯誤は、かなりあった様子が伺える。
 折り紙の折り方が説明されていても、正確に折るためには技量が必要なことに似ている。

 釉薬の使い方は比較的に素朴で、面がわかりやすくする機能を重視しているところがある。
 最後に載せられている作品は上手と思ったら、長年陶芸を学んだ著者の奥さんが作った作品であった。
 フラーレンの形が何度も話題になっているけれど、個人的には石榴石によく見られる結晶形が陶器で再現されている点がおもしろかった。

陶芸で多面体―フラーレン,ナノチューブ,トポロジー― (Ceramic Art Approach to Polyhedrons)
陶芸で多面体―フラーレン,ナノチューブ,トポロジー― (Ceramic Art Approach to Polyhedrons)
カテゴリ:ハウツー | 21:17 | comments(0) | trackbacks(0)

知られざる縄文ライフ 誉田亜紀子

 縄文時代の最新研究をわかりやすく紹介する本。縄文時代に興味があるのに、学校で習ったことから知識がアップデートされていない人に向いている。

 極一部のシャーマンがつけていたであろう漆塗りの櫛が一般的な装飾品に感じられてしまう描写があったり――別のところではヒスイなどは特別なアイテムだと説明はされているのだが――注意が必要に感じられる部分も見受けられる。
 婿通い婚だった可能性を示しておきながら、交易のついでに嫁入りする女性のイラストがあったりもした。そういう例も普通にあっただろうけど。
 ……あれだけ長い時代と広大な地域を一冊にまとめることの難しさを感じる。

 一番興味深かったのは縄文時代の服作成に掛かるコストで、一日8時間編むとしても1年以上かかるそうだ。
 まぁ、戦国時代でも農民は悪くすれば一生に一着に近い状態だったらしいからなぁ……現代との差がとても大きい分野である。

知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?
知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?
カテゴリ:日本史 | 06:21 | comments(0) | trackbacks(0)

タケの大研究 内村悦三

 草でも木でもないタケの秘密がわかる子供向けの本。タケの増やし方を載せることが爆弾の作り方を載せるのに似た行為に思えてしまうのだった……モウソウチクは江戸時代までなかったので侵略的外来種だな!それを言い出すと、どこまで遡るか、難しい部分はあるかなぁ。

 タケは太平洋をまたいでアメリカ大陸にも分布している。アフリカ大陸や東南アジアにもあり、かなり海を越える力が強いようにみえるのだが、そのあたりの説明は特になかった。
 地下茎で越えたのか、種で越えたのか?

 世界には実が食べられるタケがあると知って驚いた。あと、熱帯アジアのタケは密集して生えて、温帯のタケとは雰囲気が違っていることを知った。
 確かに映画などで密集したタケをみたことがある。

タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
タケの大研究(仮) (楽しい調べ学習シリーズ)
カテゴリ:生物 | 21:53 | comments(0) | trackbacks(0)

ゲーム理論入門の入門 鎌田雄一郎

 ナッシュ均衡を表面的に理解した。囚人ゲーム、共有地の悲劇もだいたい分かった。
 ある種のゲームで最善手を指し続けると先手か後手のどちらかが必ず勝つか引き分けにことが分析できることに何となく似通った要素がある気がした。
 著者はカリフォルニア大学バークレー校でゲーム理論を研究している気鋭の研究者。日本語よりも英語で発表したことの方が多そうだ。

 (特に日本の企業では)現実には最善手が選ばれることは少なく、その場合の対策も必要になってくるのだろうが、議論の叩き台としてゲーム理論が有効になることは理解できた。
 相手が最善手じゃないならば、こちらが最善手を選ぶことで必ず勝てるかと言えば、なんかいろいろ難しい。著者の「ラーメンバーサンゲーム」で、その雰囲気は伝わってきた。

 なお、実在の人物や企業名を例にするのは、どうかと思ってしまった。対象に対する知識がないほど変なイメージがつく。

ゲーム理論入門の入門 (岩波新書)
ゲーム理論入門の入門 (岩波新書)
カテゴリ:科学全般 | 12:34 | comments(0) | trackbacks(0)

球状コンクリーションの科学 吉田英一

 世界各地から、はては火星でも発見されている球状コンクリーション。この成因について画期的な研究をおこなってきた著者による一冊。
 研究の重要性を伝える冒頭で現代技術をもってしてもコンクリートは100年もたないと書いているが、ローマ時代のコンクリートは遙かに長持ちしている。
 耐用年数は鉄筋コンクリートにしている影響が大きいはずで、コンクリーション並の強度なら現代技術でも再現できないのかな?そんな疑問が湧いた(強度比較がほしかった)。
 そのため、懐疑的な姿勢で読み進めたが、途中で疑問に思ったことにはだいたい回答がでてくる内容になっていた。一番してほしかった再現実験もおこなわれている。
 地質学的には短期間でも再現実験するには長期間みたいなことにはならなくて良かった。

 いちばん引っかかったのは(一部)アンモナイトのコンクリーションが扁平な理由の説明かなぁ。ツノガイみたいに口の部分を中心に腐食酸がひろがるなら、やっぱり球状に広がらないと違和感がある。そういう例も紹介されていたし。
 殻の縁から漏れているの?

 鉄コンクリーションの元となるコンクリーションは生物起源じゃないところも多少の混乱をかきたてた。化石が入っていなければ同位体分析するしかないってことかな。

 核廃棄物処理場のシールに使うのは、スケールが小さいから地震で壊れない構造も、大きくなると壊れる可能性がある問題に直面すると想像したが、どうなのだろうか。

球状コンクリーションの科学
球状コンクリーションの科学
カテゴリ:地学 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0)

縄文時代の歴史 山田康弘

 縄文時代の歴史を通観しようとする意欲的な文庫。そして、「縄文文化」の呪縛を解き、各地の文化を再認識する。
 個人的には下った時代の「弥生文化」を地域ごとに分類して、そこから「縄文文化」の解体に向かった方が同意してもらいやすい気がする。情報量の関係もあって。

 縄文時代の社会がユートピアだったとは思っていなかったが、結婚が部族主体で行われる政治的意味合いが強いものだったとの解釈には衝撃を受けた。人間そのものが交換財というエグさは古い時代には避けられない……。
 まぁ、縄文時代のはじめほど婿入り婚が多かったみたいで、その場合に交換されるのは男性になるのだが。
 ストロンチウムを利用した人骨の出身地分析はどんどん広がってほしい研究手法だ。人と物の交流が縄文時代を解く鍵になるというよりも、交流中心で見るしかないのかも。

 定住が生み出すゴミや人間関係ストレスの問題が社会を複雑化させる現象も興味深かった。「日本人」が社会で受ける苦しみは、この頃から始まっていたとも言えてしまうかもしれない。

縄文時代の歴史 (講談社現代新書)
縄文時代の歴史 (講談社現代新書)
カテゴリ:日本史 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0)

インフラメンテナンス 山崎エリナ

 インフラメンテナンスの工事現場を写した写真集。縁の下の力持ちとなって社会を支える人々の姿が活写されている。
 作業者は地下であったり、高所であったり、流れる川の上であったり、思わぬ現場で働いている。地下用水路メンテナンスの現場はとくに湿度が高そうで過酷にみえたが、外は冬の雪景色だったというから湿度は高くても気温には恵まれている?
 崩落や酸欠の恐怖はまとわりつくものと思われる……。

 福島で高速道路のメンテナンスをしている人々は、インタビューが載せられている影響もあって、特に印象的だった。
 現場の苦労で渋滞により運転手から罵声を浴びせられる点があげられていて辛い……いろいろ工夫はしているらしいが、物流業界の余裕のなさも影響しているはずで、現場だけの対応では限界がありそうだ。

 仕事のやりがいはそのままに、現場の環境が着実に改善されていくことを願わずにはいられなかった。
 作業内容はそれぞれ興味深くて面白い。「はたらくくるま」は好きだったしなぁ。

インフラメンテナンス 日本列島365日、道路はこうして守られている
インフラメンテナンス 日本列島365日、道路はこうして守られている
カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0)
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