セラミックス 第53巻 12月号(2018年)

多様性vs.自己組織化,そして価値の創造!?pdf
自己組織化が人間社会に置き換えて議論されるのは、社会的ダーウィン主義の繰り返しになりかねない。特に日本の経営者は信用出来ないのでコンサルがこの言葉を使いだしたら警戒しなければなるまい。

溶液法による高品質SiC結晶成長pdf
SiCといえば耐熱素材やヒーターのイメージがあった。半導体としても利用が推進されているのか。
結晶成長時の不純物(添加物?)の組み合わせが試されきれていないそうで、青色ダイオードみたいに以外な発見がある可能性もゼロではなさそうだ。

TSMG法によるサファイア育成とその光透過特性pdf
 サファイアと聞いて。最大直径300mm、重量80kgの大型バルクサファイアとは凄い。サファイアの削りだし加工で部品を作るという工具が死にそうな製造方法もありえるのかなぁ。
 機械式時計のグレードにルビー石数が使われていることも知った。こっちはサファイアじゃなくてルビー呼称なのか。青じゃなくても赤以外のコランダムはサファイアであることを考えれば、サファイア呼びの方が真摯に感じられる。機械式時計が本当に赤いルビーを使っているならいいけど。

高温混合水熱法による水酸アパタイト結晶の大型化とその応用pdf
 水酸アパタイトをHApと略称している。いまだにHApへのMgの固溶限が確定していないという話が興味深かった。炭酸カルシウムはできていそう。

人工宝石pdf
 京セラが販売している人工宝石の紹介。地球に変わって再結晶化させて、宝石に似せるのではなく再現しているから再結晶宝石を名乗っているとのことだが、結晶化にかける時間が再現できていないだろうと……。
 アレキサンドライトに添加する微量元素は天然ではクロムと第二鉄であるのに対して、京セラの人工アレキサンドライトはクロムとバナジウムらしい。添付された写真はカラーで見たかった。


ほっとSpring 国際会議2017IEEEISAF-IWATMD-PFMConferenceに参加して
 アメリカ、アトランタの観光案内。コカ・コーラのレシピが入った金庫がミュージアムに展示されて、観光資源にされていることが面白い。歴史の短い国ゆえの貪欲さを感じた。
カテゴリ:工学 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0)

帝国宇宙軍1―領宙侵犯― 佐藤大輔

 さらば佐藤大輔。もう続刊が出ないことに悩まされる日は来ない。3巻まで出す約束を解説者としたらしいが、本作は公認の未完に終わってしまった。
 編集者も深い感慨をもって(未完)の結びをつけたはず。

 架空戦記でならした著者が最後に原稿をおこしたのはスライドによって宇宙の孤児になった人々が生み出した歪んだ国家の数々が争うSFだった。
 楽観主義的な帝国はいいのだが、古代ギリシアに範をとったとする「ヘレネス」統一体が韓国のあからさまなパロディにすぎた。個人的には、なんとなく著者の余裕のなさを感じてしまった。著者が大好きな諧謔というには露悪的すぎたのではないか。
 ヘレネス統一体が韓国だとすれば、自由星系共和国は中華人民共和国に当てはまりそうだ(国力は帝国よりも小さそうだけど)。自由星系共和国の住民は生きている間に野放図に性転換をくりかえす性向をもっていて、なかなか強烈だった。
 フリーダム・スターズから独立した解放希求同盟は情報不足すぎて妄想が広がった。自由からの解放とは一体?

 主人公である天城真守大尉のキャラクターは「ライトな新城直衛」っぽくて好感が持てた。そうすると、敵方のアストレア・イズモは、ユーリア閣下に当たるのかな(ラブシーンも描かれているし)。皇国の守護者のセリフパロディとして読むこともできたかもしれない。
 実年齢で考えてはいけない世界観には作者の願望が入っていそう。いや、作者だけではなく、読者も高齢化してきたか。

佐藤大輔作品感想記事一覧

帝国宇宙軍1-領宙侵犯- (ハヤカワ文庫JA)
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カテゴリ:架空戦記小説 | 22:21 | comments(0) | trackbacks(0)

宇宙へ。挑戦者たちの栄光と挫折  BBC

 NASAの貴重な映像を使ったドキュメンタリー。スペースシャトルへの輸送手段の転換は「進歩」として描かれている。まぁ、歴史にもしもはありえない態度でみれば、否定はしにくいのかもしれない。
 印象的な事故でなくなった人々の映像も収録されていて、胸の詰まる気持ちを味わった。
 過去の人々をとりあげた映像なら今はなくなっている人も多いだろうに、この直後に事故で亡くなると知って観る場合は不思議と特別に感じてしまう。
 生きている姿と死のイメージが直結するから?

 弾道飛行の成功直後は一躍時の人になった宇宙飛行士も今ではマニアにしか名前を知られておらず、後からやってきたアームストロング船長に半永久的な名声をもっていかれてしまうのだから、名声とは実にうつろい易いものである。
 競争相手であるソ連の事情については、無視と言っていいほど触れられていなかった。こういう映像のソ連版もあれば、すばらしいのになぁ。

関連書評
宇宙に挑む1〜彗星を追いかけろ ナショナルジオグラフィック

宇宙へ。挑戦者たちの栄光と挫折 [Blu-ray]
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カテゴリ:映像資料 | 12:40 | comments(0) | trackbacks(0)

ユーロファイター〜欧州を守る最新鋭機 驚異の製造現場

 ナショナルジオグラフィック

 ヨーロッパの四カ国が協力して製造しているユーロファイターの製造現場を紹介するドキュメンタリー。
 イギリス・ドイツ・イタリア・スペインとフランスを包囲するみたいな参加国である。スペインはちょっと意外な顔だ。さすがに出資比率は一番少ない。
 それぞれの担当部品や出資率も紹介されていて興味深い。エアバスに近いものを感じる。主力戦闘機をお互いの存在なしでは製造できなくすることも、安全保障の一部なのかもしれない。輸送路を寸断された場合は?

 主翼の中が燃料タンクになっていて、増槽を取り付ける必要がなく、その分だけ兵器を搭載できるコンセプトや機動性の高い部分は何かなつかしいものを思い出させた。
 低速での安定性が悪いところは違うけれども。

 テストパイロットがコクピットが快適なので空中給油で9時間飛び続けても疲れなかったと語っていて「それはお前が化け物なだけだろ」と突っ込んでしまった。
 まぁ、疲れにくいのは本当なんじゃないかな。
「空の王者」とのまとめには「F-22ラプター」が黙っていない気がした。褒め殺しか。

ナショナルジオグラフィックDVDレビュー記事一覧

ナショナル ジオグラフィック ユーロファイター 欧州を守る最新鋭機 驚異の製造現場 [DVD]
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カテゴリ:架空戦記小説 | 23:57 | comments(0) | trackbacks(0)

第二次世界大戦〜歴史に埋もれた真実 ナショナルジオグラフィック

 ノルウェーにあるナチスの純水製造工場攻撃に向かったノルウェー人レジスタンスの戦いと、日本軍の甲標的と神風特攻が描かれている。前者と後者ではずいぶん違う。
 前者の人々はしぶとく生還しているからな……崖の底まで降りて、反対側の崖を登り「ここは通れるぞ」と仲間に言ったエピソードを読んだときは(ナチスも大変な連中を敵に回したものだ)と思ってしまった。
 そういう人たちだから潜入工作員に選ばれたのだ。
 無辜の人々が乗っているフェリーを爆破した件は、ノルウェー人レジスタンスなのに、そこまでイギリスの命令に逆らえないものなのかと驚いた。
 失敗したことにしちゃう手もあったし、隣人や家族を手に掛ける可能性すらあったから、投降してもしかたのない状況に思われた。イギリスに一緒に逃げた人がいて、人質にとられた気分だったのかもしれない。

 神風については、アメリカ人がその脅威を大きく語っていることが印象的だった。本当に脅威だったのか、「自分はこんな危険を潜り抜けてきたんだ」と自慢したいところもあるのか。
 とりあえず57隻の戦艦を撃沈は嘘である。アメリカの生産力でも、さすがにそれは……こんなコテコテの翻訳ミスをした奴は誰だ!?
 甲標的が間に挟まっているのは、一応生還を考慮した無謀な作戦があったことを示したうえで、神風特攻の助かる見込みのなさを印象づけたかったから?
 鹵獲された甲標的がアメリカ国内での宣伝に引き回されたことを知って、あの作戦全体への評価に影響を受けた。

関連書評
ヒトラーと第三帝国 地図で読む世界の歴史
戦火の記録〜ヨーロッパ戦線 ディスカバリーチャンネル

ナショナルジオグラフィックDVDレビュー記事一覧

ナショナル ジオグラフィック 第二次世界大戦 歴史に埋もれた真実 [DVD]
カテゴリ:ナショナルジオグラフィックDVD | 21:35 | comments(0) | trackbacks(0)

8つの化石 進化の謎を解く[中生代]ドナルド・R・プロセロ

 化石が語る生命の歴史シリーズ2巻。江口あとか 訳。
 恐竜の時代とも限らない中生代の化石が8つ取り上げられている。それでも恐竜は強烈な印象を残してくる。植物の変化も重要だったはずなんだけどな……動物ばっかりで寂しい。

 有名なメアリー・アニングについて、かなり詳しく書かれていた。崖っぷちでの命懸けの化石採集を何度も何度も繰り返して生還しただけでも、凄いことに思われた。
 化石を発掘すること以外にも注意深い人だったのだろう。

 著者のメディアへの怒りは2巻でも健在であり、1巻のディスカバリーチャンネルに続いて、BBCとヒストリーチャンネルも槍玉にあがった。一方、ナショナルジオグラフィックについてはスピノサウルス発見の件で言及があったものの、厳しいことは言われていなかった。
 恐竜よりも絶滅の難しい進化論会議主義者の行動については言及する必要もないと思った。現代に恐竜が生きていれば進化論を否定できるって、どんな理屈なのやら。

 ややもするとニセ科学の話題に意識を奪われがちになってしまって、肝心の内容が忘れやすくなってしまう点は残念だった。ニセ科学批判はコラムにまとめてくれれば良かったのに。
 最大の肉食恐竜や竜脚類について、現時点で骨格標本の残存率からほぼ確実といえる名前を紹介しているので覚えておくと面白いかもしれない。

関連書評
三畳紀の生物 土屋健 群馬県立自然史博物館監修
ジュラ紀の生物 土屋健 群馬県立自然史博物館監修
白亜紀の生物・上巻 土屋健 群馬県自然史博物館監修

8つの化石・進化の謎を解く[中生代] (化石が語る生命の歴史)
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カテゴリ:古生物学 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0)

11の化石生命誕生を語る[古生代] ドナルド・R・プロセロ

 化石が語る生命の歴史シリーズ1巻。江口あとか訳。
 シリーズ1巻というか、一冊の英著が三分割されたうちの一冊目である。古生代の重要な化石について、研究史込みで紹介している。この分野での重要な研究者がわかる。著者がその列にくわわっていることも。

 印象に残るのはいわいる「カンブリア爆発」の否定であり、著者は数千万年にわたって、ゆっくり進行した変化であると主張している。魚による陸への上陸にも同様の主張がみられた。トビハゼかわいい。
 疑似的に大きな変化がみえてしまうのは、化石の世界ではいかにもありそうなことだ。考古学の世界にも同様の事例があるかもしれない。

 節足動物に比べれば脊椎動物なんて大したことないよ〜と途中で説明しておいて脊椎動物の話が多いのは「商業的理由」らしい。シリーズの最後をホモサピエンスに持って行っているなら仕方ないところはある。
 節足動物が最も繁栄しているなら現代の節足動物を最終章の主人公にした古生物本があっても良さそうではある。案外、聖書の影響もあるのかなぁ。

 訳者はアメリカで著者の地球史の授業を受けたことがあるだけあって、地球科学に堪能で、翻訳にアラがなかった。あえて注文をつけるなら著者があげている博物館に、日本の博物館を追記してほしかった。
 愛知県蒲郡市の生命の海博物館や岐阜の最古の石博物館は、なかなか注目だよ。

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オルドビス紀・シルル紀の生物 土屋健

11の化石・生命誕生を語る[古生代] (化石が語る生命の歴史)
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カテゴリ:古生物学 | 12:26 | comments(0) | trackbacks(0)

嗅覚はどう進化してきたか〜生き物たちの匂い世界 新村芳人

 岩波科学ライブラリー278

 象さんはお鼻が良いのよね?そうよ、香りも習うのよ。

 そんな知識が身についた一冊。嗅覚に関する人間といろいろな生物の興味深い研究成果が集められている。嗅覚受容体遺伝子の種類から、様々なほ乳類の嗅覚が比較されている。
 我ら人類(約400種)はそれなりに成績のいい方だった。そして、イヌ(811種)よりもラット(1207種)よりも、ゾウ(1948種)の嗅ぎ分け能力が優れていることが分かった。
 「感度」においてはイヌが優れているとされているが、人に比べて一億倍鼻がいいなどと言われる研究データが最も古く最も極端なものであることが指摘されていた。
 ソースを追跡する大切さも学んだ。

 なお、ゾウとは対照的にイルカは12種類の嗅覚受容体遺伝子しか持たず、味覚も塩辛さの一種類しかもっていないそうだ(意外と粗雑なところがある)。代わりにエコーロケーションを発達させているとのことだが、有毒生物は学習で回避しているのかな?
 嗅覚の世界は(三つの色が見える哺乳類は珍しい視覚の世界も)生物が知覚している環境と人間が知覚している環境が大きく異なっていることを教えてくれた。
 案外、ロボットの周辺認識能力に関する研究でも、こういった知識は役に立つのかもしれない。

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嗅覚はどう進化してきたか――生き物たちの匂い世界 (岩波科学ライブラリー)
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カテゴリ:生物 | 22:53 | comments(0) | trackbacks(0)

稼げる!農家の手書きPOP&ラベルづくり 石川伊津

 本のタイトルまで農作物のPOP風になったある意味で徹底した本。「稼げる!」のアオリが生々しい、農家向けPOPの作り方をわかりやすく説明している。
 他の農家がPOPを使うなら、こちらも使わざるを得ない。軍拡競争じみた状況になり、際限なく農家の労力が販売に投じられる恐れがある。POPを禁じている売場があるとの説明にも納得した。今度はラベルに凝ったりするらしい……。
 規制がない場合は利益をあげるためにも、広告に挑戦しなければいけない。構造を変えられないなら、その構造の中で、方法を紹介してくれるのはありがたい。そんな皮肉な見方がついつい湧き上がってきた。

 キャラクターの簡単な描き方は本当に簡単そうで、場合によってはいらすとやみたいに、ちまたにこの絵が溢れそうに感じる。そういえばネットのフリー素材を使って広告する方法は紹介されていなかった。
 手作りの素朴さを重んじている影響もありそうだ。

 POPに使う字の説明で「達筆である必要はない」と説明しながら、教科書的な意味での達筆じゃなくても、サンプルの字が非常にうまいことにはニヤニヤしてしまった。
 きっちりサイズが揃っていて、本当に見やすい字だった。意外と学校の先生の参考になるかもしれない。それは、それ用の書体があるのか?

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カテゴリ:ハウツー | 19:15 | comments(0) | trackbacks(0)

鬼才 月岡芳年の世界 浮世絵スペクタル 加藤陽介

「血みどろ」絵師あるいは「最後の浮世絵師」とも呼ばれる月岡芳年の作品をテーマに沿って多数収録した本。本書初公開の絵もあるそうだ。
 最初に「血を描く」をもってきて、血みどろ絵の強烈なパンチを放ってくれた。これが娯楽になったというのだから、当時の人々は感性が違う。評価している最近の人とも、少しズレがあるかもしれない。
 血みどろ絵は芳年にとって一時期の表現であって、しかも過渡期的な作品であったことが、熱心に説明されている。

 その後は戦争画はともかく美人画や静的な武者絵など、方向性の異なる作品も描いている。
 ただし、根本の雰囲気は変わらず、コメントを寄せている山口貴由先生が言われるとおり、一発勝負の緊張感に満ちていた。だから長時間一枚の絵で人を引きつけられる。
 庶民が浮世絵を買うために払ったお金に見合う時間の「暇つぶし」に耐えられる作品を提供しているとも感じられた。

 個人的に惹かれた作品は月百姿の武田信玄。駿河湾ごしに月と富士山を見物している戦国大名の顔はごく一部しか描かれていないのに、姿勢と背中が人物を雄弁に物語っている。
 南朝の武将や天皇そのものが多く題材になっているところは、やはりに明治を生きた絵師であった。

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月岡芳年の武者絵〜大日本名将鑑 歴史魂編集部
はじめての浮世絵1〜浮世絵って何?どうやってつくるの?

鬼才 月岡芳年の世界:浮世絵スペクタクル (コロナ・ブックス)
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カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:21 | comments(0) | trackbacks(0)
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