やっぱりいらない東京オリンピック 小笠原博毅・山本敦久

 ひさしぶりに岩波ブックレットを読んだ。No.993である。
 東京オリンピック――ひいては現代のオリンピックがもつ問題について、鋭く切り込む一冊。復興オリンピックの欺瞞については、特に繰り返し批判を続けていかねばなるまい。
 そうしなければオリンピックの熱狂に温度差を感じた被災者の人々に疎外感を与えてしまう。オリンピックに熱狂している人にとっては「水を差すな」と言いたいことなのかもしれないが、復興に水を差したのはオリンピックの方なのである。
 こうして社会の分断が進んでいく?

 オリンピックが大量の浪費をともなっている現状については、かつての植民地が国家の金を一部の利権者のふところに入れるための迂回路だったことを連想させた。
 国威発揚だのその時代の美辞麗句を使って反論を封じながら、やっていることの醜さは変わっていない。早急に引導を渡さなければ、社会の方が滅びてしまいかねない。

やっぱりいらない東京オリンピック (岩波ブックレット)
やっぱりいらない東京オリンピック (岩波ブックレット)
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読みたくなる「地図」国土編 平岡昭利・編

・日本の国土はどう変わったか

 ということで、いつか見た本に近い内容。それもそのはず縮尺を大きくした続編版であることが最初に説明されていた。
 やはり干拓と塩田は大人気だ。海岸線の形は山の稜線よりも遙かに変化させられやすい。東京・大阪から過去にタイムスリップしたら海にボチャンが普通かもしれない。
 名古屋は三大河川が西側を割と埋め立て続けているのか?二大都市ほどは埋め立てを取り上げられないイメージがある。

 また、島の変化はわかりやすく面白い。
 半島になった桜島、建物の分布が変化している南大東島など、全体が見て取れるだけに、そこを知った気持ちになれる。本当はやはり現地に行ってみないと分からないのだろうけど、一方的に親しみが湧くのであった。

読みたくなる「地図」 国土編 ― 日本の国土は どう変わったか
読みたくなる「地図」 国土編 ― 日本の国土は どう変わったか
カテゴリ:雑学 | 20:21 | comments(0) | trackbacks(0)

本のことがわかる本2〜知っているようで知らない「本」 能勢仁

 ユネスコによれば49ページ以上の不定期刊行物が本らしい。すなわち、本のことがわかる「本」を名乗っている本書も32ページなので、ユネスコのいう本の定義には含まれないことになる。
 まぁ、絵「本」においては49ページを超えることの方が稀だし、孫子だって解説文がなければ49ページ未満に収まるはず。だから、本としての価値が減るとも思えない。
 ひとつの便利な基準として覚えておきたい。

 ページ数表記を「ノンブル(フランス語)」と呼ぶことについて、しつこく掘り下げている点が印象的だった。英語でナンバーって言えばいいのは、確かに!
 いっぽうで、「ルビ」については説明していない。たぶん、語り尽くされたと感じているのだろう。

 最後は「クールジャパン」の説明にきて、ちょっと鼻白んでしまった。外から言われる分にはよくても、自分たちで言うことじゃない気が……それを巧く言うブランディングこそが、これからの時代は大事なのかなぁ。

見てみよう!  知っているようで知らない「本」 (本のことがわかる本)
見てみよう! 知っているようで知らない「本」 (本のことがわかる本)
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豊臣秀吉を名乗る人物から刀狩りの連絡が来ました。詐欺でしょうか?

 歴史ネタの本。歴史上の有名な事例を現代ネット社会のテンプレートに落とし込んでいる。
 スパムメールやバナー広告など怪しさがアップすることから考えても本当のスパムメールやバナー広告に効果があるのか、疑問になってきた。でも、一定の成果を上げ続けているからあの体裁で広告し続けているはず……。

 歴史ネタとしては薄く、ここからまじめに知識を得ようなんて考えない方がいい。火縄銃のクロスレビューは他でも見たことがあった。どちらが先だったのかは分からない。
 タイトルになっている刀狩りも秀吉以前にも部分的には行われていたのではなかったか。それなら詐欺とは思うまい。いや、実際にあった経験があるから、今度は詐欺の場合もあるのかなぁ。

 社会に浸透した現代の定番的な表現がいろいろあることに気づかされた(はてな匿名ダイヤリーはなかった)。多様化したと言われるが共通の話題は見つかるものだな。
カテゴリ:雑学 | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0)

どんなところ?小さな国大研究 関真興・監修

 世界の小さな国を紹介する子供向けの本。紹介欄も小さい国がたくさんあった。ナウルについては、さらっと流しちゃいけない事情がたくさんある気が……イギリス連邦が命綱だな。
 バチカン市国にある長さ300メートル、世界最短の鉄道が気になった。もう、手こぎトロッコでいいのでは?バチカン市国の二重国籍を、日本は認めないのだろうか。

 2002年に独立したり、王国を名乗ったりしている国が複数あって、なぜか2002年が世界の小さな国にとって転機の年だったことが分かった。
 スイスの国連加盟も2002年だ。21世紀に入ったことで動き出して、翌年に決定した感じか?

 ブルネイの立憲君主制だったのが、専制の度合いを強めている事情がなんだか恐ろしい。歴史は一方通行ではないらしい。
 中米で二番目に豊かなコスタリカの印象がなんとなく良くなった。あと、ドミニカ共和国とは別のドミニカ国が存在するんだ。

関連書評
グアテマラ(ナショナルジオグラフィック世界の国) アニタ・クロイ

どんなところ? 小さな国大研究
どんなところ? 小さな国大研究
カテゴリ:雑学 | 12:23 | comments(0) | trackbacks(0)

超訳こども「ニーチェの言葉」 齋藤孝

精神は、まず駱駝となり、駱駝が獅子となり、そして最後に獅子が子供となる!

 子供向けに訳された神殺しニーチェさんの言葉。「ツァラトゥスツラはこう言った」から引用されている。
 良いことを言っていてもブラック企業の道具になりそうだと気になっていたが、自分を大事にすることもたびたび訴えているので気をつければ大丈夫だろう。
 ブラック企業の支配は、相手の心にむりやり神の虚像を作るみたいなものかもしれない。

 引用されている言葉からは獅子が二回、駱駝が一回、蠍が一回出てきたと思う。1900年に死去したドイツ人とのことで、他のヨーロッパ列強に遅れながらも祖国がアフリカに進出した関係もあったのかなぁ。
 まぁ、獅子は実物をみたことがない人でも、例にあげる有名動物なので、なんともいえない。

関連書評
世界名言集 岩波文庫編集部
古代ギリシャの言葉 ジャック・ラカリエール/中井久夫

絶対に負けない強い心を手に入れる! 超訳こども「ニーチェの言葉」
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カテゴリ:雑学 | 22:50 | comments(0) | trackbacks(0)

日本懐かしカード大全 堤哲哉 辰巳出版

 駄菓子屋でお菓子と抱き合わせで売られた仮面ライダーのカードから始まった子供向けカードコレクションのディープな世界を垣間見せてくれる本。
 昭和らしいカオス感がたまらない。
 同じ番号なのに違いがあったり、特定の地域だけで発売されたカードがあったり。

 カードに通し番号をつけたことでコレクション性があがったのに、普及が進むとそれを悪用して番号を水増しし、たくさんのカードがあるように見せかけるなど大人の汚さもあらわれている。日清製菓なんて現代では大手になっているところが、やらかしているから恐ろしい。
 中でもパチモンカードコレクションには笑いながらも、同時代のなけなしのおこづかいを握りしめた子供のをことを考えて、悲しくなってしまった。

 値段や種類数すら不明のカードも普通に出現してくる。現代まで存続している会社でも分からないことがたくさんある。カードではなく、原作の方であるが、マスターテープが上書きされた「突撃!ヒューマン!!」の悲劇には言葉を失った。

関連書評
ニッポン貝人列伝〜時代をつくった貝コレクション 石本君代・奥谷喬司

日本懐かしカード大全 (タツミムック)
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カテゴリ:雑学 | 23:22 | comments(0) | trackbacks(0)

おもしろサイエンス〜岩石の科学 西川有司

 岩石の定義から成因、人類による利用まで岩石について科学的に紹介する大人向けの入門書。目新しさはあまり感じなかったが、いろいろな知識をおさらいすることが出来た。

 地下利用のひとつに地下ダムがあげられている。地下水力発電に流した水はどこへ消えるんだ?よほど地下水位が低くないと実用できない。ポンプで汲み上げてしまったら意味がない。
 あるいは山岳地帯の地下を利用して、地下ダムに利用した水を横に排水するのか……規模を大きくして考え過ぎなのかもしれない。ビルの排水からでも発電できるとニュースになる時代だからな。

 地下利用には紹介されている多くの利点があるのにカッパドキアの地下都市が放棄された理由が気になった。あるいは現代において地下都市が目立って繁栄していない理由も。
 やっぱりメンテナンス性の問題なのかなぁ(日本は災害の問題が厳しすぎる)。それでもポーランドの岩塩鉱山みたいに条件が整えば……という夢は尽きない。
 他にも粘土が千の機能をもつと言われていることなど、可能性を秘めた分野なので、知っておくといつか良いことがあるかもしれない。

関連書評
岩石はどうしてできたか 諏訪兼位 岩波科学ライブラリー269
三つの石で地球がわかる〜岩石がひもとくこの星のなりたち 藤岡換太郎
鉱石の生い立ち 島崎英彦

岩石の科学 (おもしろサイエンス)
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カテゴリ:雑学 | 20:59 | comments(0) | trackbacks(0)

よくわかる人工知能〜何ができるのか?社会はどう変わるのか? 松尾豊

 すべての漢字によみがなが振られた子供向けの学習本。人工知能についての基礎的な知識を得ることができる。

 人工知能のブームが三回あって、現在はディープラーニングを使った三回目のブームらしい。このままブレーキが掛かることなく四回目のブームを経験せずに人工知能が社会に浸透しそうである。
 二回目の「エキスパートシステム」が、SF小説航空宇宙軍史に出てきたラザルスのシステムっぽい。年代的にディープラーニングは採用できないからなぁ。
 人間の神経を模倣した方法がコンピューターに応用しても、ここまで有効ということが驚きだった。未知の思考方法をもった宇宙人がいるとして、それを予想して模倣することはコンピューターにはできない、ってことでもあるかな?

 人工知能が代替していく仕事は警備の見回りなどとされていて、銀行の対人業務は人間が必要としている。
 でも、日本の場合は窓口業務こそ人工知能の需要が高いんじゃないかと思ってしまった。特にクレーマーの相手は人工知能にやらせておけばいいよ。

関連書評
航空宇宙軍史 火星鉄道一九 谷甲州
コロンビア・ゼロ〜新・航空宇宙軍史 谷甲州

よくわかる人工知能 何ができるのか?社会はどう変わるのか? (楽しい調べ学習シリーズ)
よくわかる人工知能 何ができるのか?社会はどう変わるのか? (楽しい調べ学習シリーズ)
カテゴリ:雑学 | 21:18 | comments(0) | trackbacks(0)

まるごと探求!世界の作物 イネの大百科 堀江武

 日本や他のアジア諸国にとってとても大きな意味をもっている作物イネ。その歴史と生態、今後への展望がみえてくる。
 本書だけから情報をえると、日本の農業の未来は明るい感じがする。意欲的な取り組みを紹介しているのだが、その広がりは見えてこないから。この本も取り組みが広がる助けになればいいなぁ。
 アイガモ農法が中国では1000年以上前から行われていたらしいことには笑った。それこそ一部地域のやりかたで広がらなければもったいないことになる。広がらない合理的な理由もなにかしらあったりするけれど。

 稲と米みたいに言い分ける国は日本以外には朝鮮や中国、もちは日本以外では中国の一部しか食べていないらしい(代わりに日本は米の麺を食べていない)ことなど、国際的なトリビアも手に入った。
 水さえ確保できれば日射量が多いほど育成に有利なため、カリフォルニアやオーストラリアの灌漑でえられる米の田んぼ面積あたりの収穫量は日本を超えているらしい。
 しかし、不安定なオーストラリアの米収穫量グラフをみていると、あてにしちゃいけない気しかしない……一定量はかならず確保して、バイオエタノールにしているわけでもなし。

 アフリカイネとアジアのイネを交配させた品種がアフリカの救世主になる可能性に触れられていた。逆にアフリカイネの遺伝子資源がアジアのイネにとっても役に立つ場合はないのなぁ。
 あと、イネがコムギよりもタケに近縁だと知って驚いた。

関連書評
そだててあそぼう6〜イネの絵本 やまもとたかかず・へん
おいしい”つぶつぶ”穀物の知恵 盛口満 文・絵

イネの大百科 (まるごと探究!世界の作物)
イネの大百科 (まるごと探究!世界の作物)
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