作家の珈琲 平凡社

 作家たちの脳髄を刺激し、作品を抽出させてきた珈琲の話が読める本。
 お気に入りの喫茶店に通う作家もいれば、自宅でこだわりの珈琲を淹れる作家もいる。ネスカフェのインスタントコーヒーを飲んでいた作家もいたりする。
 それぞれが自分の考えを持って珈琲に接して生きていて、充実した時間を過ごしていそうだった。

 高倉健のコーヒー40杯伝説は尾鰭背鰭がついたもので、十数杯が最高だろうとのこと。そんなに飲んだら身体がおかしくなる。カフェインで頻尿になる自分には十数杯でも信じられない。

 欧米に渡った経験のある作家はやはり珈琲にも思い入れが強くて、異色でハイカラな感じがした。パリで暮らした画家、藤田嗣治は有名喫茶店の絵画を手がけた点で二重に出演していた。

関連書評
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はじめての浮世絵3〜いろんな浮世絵を楽しもう!

 深光冨士男・著

 浮世絵に存在した多彩なジャンルが整理されている。江戸時代の人が子供をあたたかい目でみていたことが改めて実感できた。姉や母が子供の世話をしている絵はたくさんあっても、兄がなさそうなのは美人画要素もなくなってしまうから?

 役者絵にくらべて美人画は一見同じ顔にみえるとの解説には現代の「判子絵」を連想した。細かくみればちゃんと違いが描写されているらしい……。

 遊び心のある絵もおおくて、雷神がうっかり川に落ちて這い上がろうとしているところを河童にひっぱられている絵には腹を抱えて笑った。
 元々意図されていた笑いではないけれど、はんじ絵の「不明 いまだに、なぞのままです」にも笑いが止まらなかった。答えも配布しないから。
 紹介されている風刺画で歌川国芳がねらった「さまざまな解釈を生むことにこそ、ねらいがあったようです。その結果、話題性、売れ行きアップ」もエヴァンゲリオン的というか……むかしから頭をひねって商品開発がされていたことが分かる。

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いろんな浮世絵を楽しもう!
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カテゴリ:雑学 | 17:46 | comments(0) | trackbacks(0)

はじめての浮世絵2〜人気絵師の名作を見よう!知ろう!

 深光冨士男・著

 江戸後期はずっと歌川派のターン!
 子供向けなのでしかたないが、ウタマロが世界に知られている背景に春画をあげられない片手落ち感……あくまでも美人画の一種と処理してしまえば、それまでなのかな?

 巻末では日本国内の浮世絵博物館・美術館が紹介されていて、北斎の名を関したミュージアムが2つに対して、広重は4つと大きな差がでていた。ほかには菱川師宣記念館があった。
 この比較では日本中の風景に密着した広重に有利に働いたのかな。

 明治期になっても活動していた浮世絵師は、当時の人々が求めていた文明の情報を届けつづけていた。浮世絵は最後までマスコミの機能を果たしていたんだな。
 役者絵が一ジャンルになるほど人気なのも変わらぬ国民性を感じさせる。

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人気絵師の名作を見よう! 知ろう!
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カテゴリ:雑学 | 17:48 | comments(0) | trackbacks(0)

はじめての浮世絵1〜浮世絵って何?どうやってつくるの?

 深光冨士男・著。
 浮世絵を起源から知ることのできる絵本。絵は浮世絵の写真であるが。
 とてもよくまとまっていて、大人でも勉強になる内容だと感じた。(肉筆浮世絵じゃない)浮世絵は絵師一人ではなりたたず、版元、彫師、摺師との共同作業によって世に送り出されていた。
 それぞれに腕の見せ所があるのも面白い。自分で彫ったり摺ったりしてみる絵師はいなかったのかな……絵師というより版画家になるな。

 幕府による検閲が浮世絵研究者にとっては重要な情報源になっている点は皮肉に感じられた。改印デザインを変えていたのは、せめてもの複製対策だったのかなぁ。どうせ彫られた姿になってしまうので、少しすれば改印の贋作は簡単だ。
 たぶん無印で出すよりも改印の贋作の方がハイリスクだろうけど。

 知らなかった浮世絵師として初期に活躍した鈴木春信がいた。かなり独特の人物画を描く人で、何度も見ていると癖になりそう。
 キャプションを読む前に、人物から鈴木春信の絵だと気づけたときは嬉しかった。
 自分の知らない絵師はいくらでもいる。浮世絵の世界は実に奥が深い。

関連書評
月岡芳年の武者絵〜大日本名将鑑 歴史魂編集部

浮世絵って何? どうやってつくるの?
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カテゴリ:雑学 | 17:45 | comments(0) | trackbacks(0)

塩のちから〜なぜ塩がないと人は生きられないか 尾方昇

 塩のことがわかる絵本。副題の塩がないと生きられない理由については普通の説明であって、わざわざ副題にするほど解説に力を入れているとは感じられなかった。
 野生動物には塩化ナトリウム以外の「塩」を摂取してなんとかやっている奴もいるらしく、人間でも同じことが可能なのかとか、そのあたりを詳しく知りたかったんだけどな。
 にがりはどんどん減らす方向に来ているらしい。昔から日本の西側はにがりのない塩を好んでいたが、東側ではあえてにがりの含まれる粗塩が好まれていたはずで、嗜好の変化がおこった原因も気になるところだった。
 海からとれた高純度のマグネシウムは工業的に利用価値が高いけどね。

 塩の大半は工業用に使われていて、食用は13%くらい。そっちはほとんど国産ということも覚えておきたい。
 輸送コストが少なくても、天日塩に国産の塩は勝てないのだなぁ……海上輸送は低コストで、塩は腐らないのもありそうだ。

関連書評
つくってあそぼう12〜塩の絵本 たかなしひろき・へん
つくってあそぼう32〜漬けものの絵本2
つくってあそぼう21〜すしの絵本 ひびのてるとし・へん

塩のちから―なぜ塩がないと人は生きられないか (知の森絵本)
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カテゴリ:雑学 | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0)

わたしたちのくらしと家畜2〜家畜にいま何がおきているのか 池谷和信

 家畜の歴史から現在へ。そのまま未来にはつっこまないところが地に足がついている。
 イスラム国であるはずのバングラディシュでの豚放牧は1巻から気になっていた。どうも人口の9割はイスラム教徒らしいので、残りの1割がやっている?
 著者は東南アジアの家畜にかなり注目しているらしい。そこから太平洋に進出したポリネシア人三種の神器にも豚と鶏がいるからな(残りはタロイモ)。東南アジアの家畜はかなり奥が深い。

 仏教の肉食に関する戒律「三種の浄肉」が他の宗教にくらべておかしなものに感じられた。
「殺されるところをみていない、自分のために殺したと聞いていない、自分のために殺したことを知らない」を満たせば肉を食べられるとのこと?まるで食肉業者に忖度させているみたいだな……知らぬ存ぜぬで、利益だけはいただいちゃうのだから表面的な情報だけ聞くと納得できなかった。
 いろいろと深い理由付けはなされていると思うが。

 日本の畜産業データでは、宮崎県が口蹄疫と鳥インフルエンザで、ウシとニワトリの飼育頭数を激減させてランクが落ちているらしかった。さすがに宮崎県の酪農農家が気の毒だ。
 気候とか流行してしまいやすい要素があるのかな。

関連書評
そだててあそぼう19〜カイコの絵本 きうちまこと・へん もとくにこ・え
そだててあそぼう94〜ウサギの絵本 たけだるりこ・へん
ヒツジの絵本 むとうこうじ・へん/スズキコージ・え

家畜にいま何がおきているのか (わたしたちのくらしと家畜)
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カテゴリ:雑学 | 23:06 | comments(0) | trackbacks(0)

わたしたちのくらしと家畜1〜家畜ってなんだろう 池谷和信

 ウシからはじまってウズラまで人間が家畜として利用している動物をリストアップして利用方法などを簡単に説明している。
 子供向けにしては難しい内容もところどころにあった。

 最後に「日本で家畜化された動物はいない」と著者がいっていて、「ニホンウズラ」は違うのか!?と混乱した。中国朝鮮ロシアにも分布しているらしいが?
 Wikipediaによればウズラは明治時代に入ってから日本での家畜化らしい。タイミング的に伝統のものとは言い難く、いないと表現したのかな。

 タイやラオスにおいては家鶏と野鶏が行き来ている場合があるとのこと。ほのぼのした交流風に描かれていても野生種の遺伝子を大切にする側には深刻な問題と思われる。
 生態的には野生を維持できる環境が残されていても、純粋な野生種は絶滅してしまっているかもしれない。

関連書評
そだててあそぼう42〜ミツバチの絵本 よしだただはる・へん
銃・病原菌・鉄1〜文明の始まり ナショナルジオグラフィックDVD
銃・病原菌・鉄 上 ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰

家畜ってなんだろう (わたしたちのくらしと家畜)
家畜ってなんだろう (わたしたちのくらしと家畜)
インドの家畜の養老院が凄かった。闇があれば光がある。ただし、この光はヒンドゥー教じゃなくてジャイナ教だった。
カテゴリ:雑学 | 23:02 | comments(0) | trackbacks(0)

フランス世界遺産の旅 山田和子

 フランスは世界遺産の宝庫。ヨーロッパが仕掛けた観光政策の一手段と言われても納得の宝庫。フランスのランスも世界遺産に登録されていた。
 著者の趣味によって歴史文化遺産の比重が圧倒的に重く、自然遺産は巻末にちょっぴり載っているだけ。立ち入り禁止になっているラスコー壁画のコピーというラスコー兇気になる。それも歴史を帯びていけば、単体で歴史遺産になったりするのであろうか。

 宗教建築や絶対王政の産物、南フランスでは古代ローマの水道橋など写真で眺めるだけでも見所が多かった。
 個人的にもっとも衝撃を受けたのはステンドグラス。中でもシャルトルの大聖堂のステンドグラスである。日本だったら地震で損壊して遺らないんじゃないかなぁ……。地盤の安定した北フランスの歴史をそんな部分にも感じた。
 ガラスの色をよく考えて巧みに配置したステンドグラス職人の個人的で宗教的情熱にいろどられた工夫を想像すると、彼らの技がいまにも生きていることが奇跡に思える。
 シャンボール城では有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの晩年の仕事もうかがるようだ。

 キリスト教第三の聖地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道が、各道だけでそれぞれ別に登録されていることに扱いの良さを感じた。

フランス世界遺産の旅 (ショトルトラベル)
フランス世界遺産の旅 (ショトルトラベル)
カテゴリ:雑学 | 21:56 | comments(0) | trackbacks(0)

サプリメント大図鑑 佐藤務・稲葉貴洋

 副題は「サプリメントの「?」が一目でわかる!」
 ?が分かるようにまとめられている一方で、新しい?を生むサプリメントのキャラクター化に挑戦してしまった本。ぶっちゃけ語感からデザインしていそうなキャラクターがたくさん並んでいる。ビタミンAなどは、わかりやすくAのシルエットを持っていたりする。

 サプリメントで栄養を摂取することにこだわらず、それらが含まれる食品についても紹介してくれている。
 とりあえず牛乳とゴマを食べることを心がけることにした。牛乳は最近、電子レンジで温めて飲めているし、ゴマはゴマドレッシングでとりまくっているが。

 効果の逆に不足した場合の問題点も書いている。そこは定量的でないと恐怖を感じすぎて、食べ過ぎてしまう人もいるかもしれない。最初の説明で、ちゃんと定められた以上の量はとっちゃいけないと書いてあるのだが……。
 なお、ハーブのバレリアンだけは「摂りすぎると…」と、過剰な場合の問題点が紹介されていた。

関連書評
そだててあそぼう76〜ハーブの絵本 ひろたせいこ・へん
新版「生活の木」の手作り石けんの基本 梅原亜也子

サプリメント大図鑑
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カテゴリ:雑学 | 21:47 | comments(0) | trackbacks(0)

中東世界データ地図〜歴史・宗教・民族・戦争 ダン・スミス

 龍和子 訳。
 紛争の絶えない中東世界の歴史をデータの載った地図でしめす本。普通の歴史地図とはちょっと雰囲気が違っている。見た目より空間への描写が強くない反面、タイトルにあるデータの表示にはこだわりが感じられた。

 中東の現状はオスマン帝国から始まっているとして、変化を追っていき、最後は中東各国の状況が示される。モロッコまで中東に含めたのだから、モロッコのまとめも見せてほしかった。
 有志連合に軍を派遣していたり、かなり興味深い動きを示しているので。西サハラで泥沼に足を突っ込んでいるのに、やたらと元気である。
 本書ではトルコを中東に含めていない。歴史的経緯を重視したその理由も説明されて、それなりに納得した。しかし、トルコをヨーロッパ側に含める分類にも異論が出そうで、世界の新潟県的な立ち位置になっている。
 ちなみに日本がテロリストグループがリビアから支援されたことで名前が出てきていた。あと、石油の輸入国として。基本的に遠い国の印象を受けてしまうのだが、やはり目を離せない地域だ。
 だから本書が出ているわけだ。

 各国ではひどい状況の国が多くため息が漏れた。イエメンの年表で「戦争の第○ラウンド」って表記されるのいつまで続くのかと……。イラクでも悲惨なのに、シリアはもっとひどい。サウジアラビアをのぞく湾岸6王国の状況は比較的ましだが、それはパンとサーカスを王が民衆に与えているおかげと分析されている……。
 サウジアラビアはいちおう平時でありながら多方面作戦を展開していて戦略的にもいまいちに見えた。資源を集中してひとつずつ一気に解決するべきなのだが、サウジアラビアが資源を集中してすら一気に解決できる問題が中東にはないとも思えてくる。

関連書評
アラブ・イスラエル紛争地図 マーティン・ギルバート 小林和香子・監訳
ナセル〜アラブ民族主義の隆盛と終焉 池田美佐子
[図説]湾岸戦争〜ペルシャ湾岸の砦を巡る210日間の攻防

中東世界データ地図:歴史・宗教・民族・戦争
中東世界データ地図:歴史・宗教・民族・戦争
カテゴリ:雑学 | 17:57 | comments(0) | trackbacks(0)
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