にっぽんのスズメと野鳥仲間〜身近な「お散歩鳥観察」 中野さとる

 中野さとる氏が撮影地に選んでいる名古屋近くの「ある公園」が気になって気になって気になって……だが、そっとしておくべき。それよりも自分にとっての「野鳥観察聖地」を探すべきであろう。
 そのヒントを本書は与えてくれている。

 スズメの周りの野鳥に視野を広げた本書では、身近な野鳥について知識を得ることができる。
 野鳥の英名の由来についても触れることが多くて、学名とは違う新鮮さがあった。イギリスにいない鳥なのか、安直な名前が多いのだが。

 日本ではありきたりなヒヨドリが、日本以外の地域ではめずらしく海外の野鳥ファンにとって日本に来たら観たい鳥になっているのが面白かった。
 いろいろな分野でありそうな話である。

にっぽんのスズメと野鳥仲間
にっぽんのスズメと野鳥仲間
カテゴリ:写真・イラスト集 | 08:27 | comments(0) | trackbacks(0)

世界一不思議な錯視アート 北岡明佳

 思ったほど錯視が見えなくてショックを受けた。何かがおかしいことは分かるのだが、違和感が錯視現象にまでつながっていってくれない。目のコンディションにもよるのか?
 文字は少ないのに一気に読もうとすると目が疲れる本でもあった。

 モノクロなのに色がみえたり、ギラギラ光って見えるオプアートがあったり、漫画にも応用できそうな可能性を感じた。
 やりすぎるとポケモンフラッシュ事故が起こる?

 動物にも錯視があるが、錯視を面白がるのは人間だけということが興味深い。人類はいつか錯視を楽しめる地球外生命体に出会える日が来るのだろうか。

世界一不思議な錯視アート
世界一不思議な錯視アート
カテゴリ:写真・イラスト集 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(0)

インフラメンテナンス 山崎エリナ

 インフラメンテナンスの工事現場を写した写真集。縁の下の力持ちとなって社会を支える人々の姿が活写されている。
 作業者は地下であったり、高所であったり、流れる川の上であったり、思わぬ現場で働いている。地下用水路メンテナンスの現場はとくに湿度が高そうで過酷にみえたが、外は冬の雪景色だったというから湿度は高くても気温には恵まれている?
 崩落や酸欠の恐怖はまとわりつくものと思われる……。

 福島で高速道路のメンテナンスをしている人々は、インタビューが載せられている影響もあって、特に印象的だった。
 現場の苦労で渋滞により運転手から罵声を浴びせられる点があげられていて辛い……いろいろ工夫はしているらしいが、物流業界の余裕のなさも影響しているはずで、現場だけの対応では限界がありそうだ。

 仕事のやりがいはそのままに、現場の環境が着実に改善されていくことを願わずにはいられなかった。
 作業内容はそれぞれ興味深くて面白い。「はたらくくるま」は好きだったしなぁ。

インフラメンテナンス 日本列島365日、道路はこうして守られている
インフラメンテナンス 日本列島365日、道路はこうして守られている
カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:28 | comments(0) | trackbacks(0)

ニッポンのはたらく人たち 杉山雅彦

 サンダー(ディスクグラインダー)を使うときは手元を見てほしい……チェーンソーやアセチレンバーナーも同様だ。
 いろいろな職業の集合写真を劇的に演出する写真集だが、やっていることについては気になる点があり、安全作業的に間違った印象を植え付けてしまわないか心配になってしまう職業病だった。

 いっそ合成であってほしい気もするのだが、ほとんど修正なしの一発撮りである。
 梯子から身を乗り出している写真でちゃんと安全帯をつけていたのは良かった。食品会社だったかな。

 タイトルは「ニッポン」のはたらく人たちだが、作者が静岡県の人だけに静岡の企業がとても多かった。静岡大学の研究室すら二つ紹介されている。
 企業の説明文には、いろいろ内実を勘ぐってしまうところもあったのだが……写真集としては面白かった。

ニッポンのはたらく人たち
ニッポンのはたらく人たち
カテゴリ:写真・イラスト集 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0)

日本の原風景 滝 森田敏隆・宮本孝廣

 北海道から沖縄まで日本の名瀑を網羅した写真集。
 一枚一枚の撮影に費やされた労力のすごさが想像できる。紅葉や凍結の季節を狙い、アングルを追求している。接近できない滝についても望遠撮影で綺麗に撮っている。

 それにしても、日本人は「白糸の滝」が好きだな。ネーミングに困ったら白糸を使っていそう。
 なかなか紛らわしい。
 吹割りの滝の異名「東洋のナイヤガラ」は言い過ぎな気もしたが、写真をみたらナイヤガラっぽいことは納得できた。

 滝は岩盤が露出している場所がほとんどだから、写真集で岩石の姿を楽しむこともできた。横倒しになった地層、柱状節理など見応えは十分。温泉と関連した滝もけっこうある。
 両方を併せ持った存在として鹿児島県霧島市の丸尾滝はすばらしかった。

日本の原風景 滝
日本の原風景 滝
カテゴリ:写真・イラスト集 | 13:34 | comments(0) | trackbacks(0)

目でみることばのずかん おかべたかし・やまでたかし

 漢字の秘密が写真で分かる。子供向けだが、大人が読んでも勉強になる本。
 こうしてみると、楔形文字に比べると漢字は元の形を保っている?楔形文字は横倒しになっているからな。
 山の漢字にぴったりな日光白根山は、漢字に合う山の方を探してきたパターンだが。

 なぜか2項目だけ英語のページもある。ラットとマウスの違いは写真にしてもインパクトがないかな?

 林は人が作ったもので、森は自然にできたもの、というのは一部業界での定義っぽいと感じた(検索したら農林水産省による定義らしい)。
 おもしろいけれど絶対的な定義と考えない方がいいのかもしれない。

目でみることばのずかん
目でみることばのずかん
カテゴリ:写真・イラスト集 | 22:59 | comments(0) | trackbacks(0)

岩合さんの好きなネコ 岩合光昭

 鹿児島から青森まで、日本各地のネコを撮影した写真集。それぞれ人々の生活に密着して、いろいろな表情をみせてくれる。
 野生動物には考えにくい適応力の高さもネコの魅力だ。

 ふつうの名前のネコがいる一方で、「デブ」君や「タヌキ」がいることには驚いた。本当にタヌキの写真が出てくると思ってしまった。
 実際に出てきたネコ以外の動物は、柴犬とロバ、そしてヒトくらいだったな。

 ネコの行動に対して著者が解釈を提示しているが、それも一つの考えにすぎず、ネコの考えていることは誰にもわからない。
 そこもネコの良さである。

関連書評
ネコに金星 岩合光昭
野生動物カメラマン 岩合光昭

岩合光昭写真集 岩合さんの好きなネコ
岩合光昭写真集 岩合さんの好きなネコ
カテゴリ:写真・イラスト集 | 07:40 | comments(0) | trackbacks(0)

地質学者が見た風景 坂幸恭 築地書館

 地質学者である著者が世界中で撮った写真を、自らカラーイラストになおした作品集。個人的に実物から目が離れてしまっている点で「スケッチ」と呼ぶことには抵抗がある。
 現場で肉眼で描いたものに比べれば情報的な劣化は避けられない。代わりに海外の風景であってもたくさん見ることができる。車窓から撮影した一枚というものまである。

 地域ではケニアやアイスランドの割合が比較的多く、著者が長くフィールドとしてきたことが分かる。北ヨーロッパとは異なるアイスランドの氷河地形は興味深かった。
 新しい溶岩相手ではU字谷も浅くなるらしい。
 あと、トルコと中国の絵も多い。トルコではクルド人のレジスタンス組織が活動していて、中国では監視の目があって、ちょっと物騒だった。シリア国境などは今、近づけるのだろうか。

 成因でイラストが並べられているため、海外の地形と日本の地形がほぼ同時に観察できる点も興味深い。同じ地球上であり似たような機構が働けば似たような地形が生まれることが分かる。

地質学者が見た風景
地質学者が見た風景
カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:40 | comments(0) | trackbacks(0)

茶のある暮らし(my life in chanoyu) 千宗屋

 三千家のひとつ、武者小路千家による2年分のインスタグラムを正月から始まり12月まで月ごとに一冊の本にまとめたもの。
 歴史ある茶道とインスタグラムの組み合わせが面白い。日本をエキゾティックに見せる点で相性がよさそうだ。
 しょうじき日本人からみてもエキゾティックなところがあり、近代に入ってから生じた日常生活の強烈な変化を意識せざるを得なかった。京都には京都の時間が流れている?

 著者は東京や名古屋、海外でも活動していて、各地の茶室がみられた。また、月の最後に和菓子がまとめられている。とっても美味しそうだ。価格もたいしたものだろう。
 著者の号、随縁は陶芸家の荒川豊蔵が座右の銘としていたものでもあり、何らかの関係がありそう。荒川豊蔵の弟子である加藤孝造との交流も載っているし。

茶のある暮らし  千宗屋のインスタ歳時記 (講談社の実用BOOK)
茶のある暮らし 千宗屋のインスタ歳時記 (講談社の実用BOOK)
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鬼才 月岡芳年の世界 浮世絵スペクタル 加藤陽介

「血みどろ」絵師あるいは「最後の浮世絵師」とも呼ばれる月岡芳年の作品をテーマに沿って多数収録した本。本書初公開の絵もあるそうだ。
 最初に「血を描く」をもってきて、血みどろ絵の強烈なパンチを放ってくれた。これが娯楽になったというのだから、当時の人々は感性が違う。評価している最近の人とも、少しズレがあるかもしれない。
 血みどろ絵は芳年にとって一時期の表現であって、しかも過渡期的な作品であったことが、熱心に説明されている。

 その後は戦争画はともかく美人画や静的な武者絵など、方向性の異なる作品も描いている。
 ただし、根本の雰囲気は変わらず、コメントを寄せている山口貴由先生が言われるとおり、一発勝負の緊張感に満ちていた。だから長時間一枚の絵で人を引きつけられる。
 庶民が浮世絵を買うために払ったお金に見合う時間の「暇つぶし」に耐えられる作品を提供しているとも感じられた。

 個人的に惹かれた作品は月百姿の武田信玄。駿河湾ごしに月と富士山を見物している戦国大名の顔はごく一部しか描かれていないのに、姿勢と背中が人物を雄弁に物語っている。
 南朝の武将や天皇そのものが多く題材になっているところは、やはりに明治を生きた絵師であった。

関連書評
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鬼才 月岡芳年の世界:浮世絵スペクタクル (コロナ・ブックス)
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カテゴリ:写真・イラスト集 | 12:21 | comments(0) | trackbacks(0)
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