わかる!使える!配管設計入門 西野悠司

 配管設計のABCがわかりやすく解説されている。最後の方の計算問題は難しくなってくるが、実数を使った工学的な計算なので落ち着いて紐解いていけば理解できるはず(理解していない)。

 軽くかじっただけでも、サポートの置き方や鋼管の耐熱温度など参考になる情報がたくさんあった。
 サポートを建築業ではブラケットとも言うらしいが、その注意はなかった。300Aと12Bの同居など用語の扱いにくさが過酷な分野でもある。さらにアメリカやヨーロッパでは規格が違うし。

 熱膨張を事前に考慮して配管を設計する方法(コールドスプリング)が載っていた。原発のずさんな工事を指摘する記事で、配管を無理矢理曲げてフランジを合わせていると書かれていたのだけど、もしかしてこの工法だったのではないか。
 実際のところは不明ながら知識があれば扇情的な情報にたいしても慎重になれる。少しでも取り入れてレベルアップしたい。

関連書評
入門ビジュアルテクノロジー よくわかる真空技術 (株)アルバック
ダクトの設計 池本弘 理工図書刊

わかる! 使える! 配管設計入門<基礎知識><段取り><実設計>
わかる! 使える! 配管設計入門<基礎知識><段取り><実設計>
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セラミックス 第53巻 10月号(2018年)

・陶磁器研究に想う
 斜陽産業の悲哀を感じる。関連分野が活発に動いているだけいいのかもしれないが・・・・・・陶磁器が時代の最先端だった時期が確かにあったことは忘れないでおきたい。

■ 水溶液プロセスのポテンシャルと展望
 水溶液プロセスの概要がまとめられている。ゾル-ゲル法の名前を知っている程度の知識だったので勉強になった。研究分野名の名前が意外と大事らしい。いい研究をすれば、それが広報になるなんて、やっぱり幻想なのではないか。

■ 水溶液プロセスによる階層的で精緻な材料形態のデザイン:バイオミネラルにおけるナノロッド配向集積体とその模倣
 生物は水溶液プロセスで巧みに構造物を生み出している。考えたわけではなくても、よく考えられたような構造になっていて、進化の力が感じられる。そこから学んで再現する能力が科学に備わってきたこともいいことだ。

■ 水溶液プロセスによる複合酸化物・固溶体・準安定相の合成
 蛍石型・スピネル型・フェルグソン石型など、鉱物の名前がたくさんでてきて親しみが湧いた。蛍石とスピネルが別に書かれているってことは等軸晶系などよりも細かい分類なのだろう。

■ 加水分解プロセスを利用した新規ナノセラミックスの合成
 なつかしい「チンダル現象」の文字だけに反応する。アパタイトが出てきた関係、生化学的な雰囲気すら感じた。

名古屋大学 機能性物質物性研究室(V研究室)
 物質ABCDとあえて開発した物質の名前を出さずに関心を引く作戦だった。発電する鍋の会社はどうも破産してしまっているようだ。北海道地震のときに生産していればたくさん売れただろうに。
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耐火物 第70巻 第10号

・随  想:岐阜へようこそ
 鉄鋼用耐火物専門委員長の任期2年間は両方共、岐阜県で委員会を開催するとのこと。岐阜市と高山市ではかなり離れているけれど。これまで6回の開催地に北九州が3回も含まれているところは流石製鉄の町だと思った。これまで全部西日本だったというが、岐阜も東京からみれば糸静線の向こうなので西日本扱いと思われる。


・高温における酸化物中の物質移動解析に基づく耐環境性保護膜の構造設計
 蒸気との反応性に言及しているところが気になったが、もともとSiCをコーティングしてタービンブレードに使用することが目的だった。それは蒸気との反応性が大事だわ。というか、よくこんな高温でもつものだ。運転環境が過酷でも安定していれば、やりようはあるのだろう。

・MgO-CれんがにおけるMgOの還元速度に及ぼす気孔率の影響
 やっぱり気孔率は少ないほうがいいよね、と分かった。新しい計算式の提案まで行くところには驚いた。その式の定数の意味など、まだまだわからないことだらけなんだなぁ。

・形状の異なる鋼繊維を添加したキャスタブルの機械的特性
 長い繊維の方が有効。あまり短すぎると意味がない。フック状形状にしても効果はあまりない?最後の件がちょっと残念。そうそう面白い結果は出ないのだった。完全に同じ長さで曲げたものとストレートなもので比較してほしくはある。

・マグネシア原料種がマグネシアークロム質れんがの特性に及ぼす影響
 前も似たような記事がなかった?天然マグネシアにも高純度なら有利な面があることが意外だった。完全な海水マグネシアの下位互換じゃないんだな。海水マグネシアの需要が増しても生産量は、塩の生産量に制限されるはずなので、どこまで増産できるのやら。にがりの売却益で天日塩に対してコスト的に有利になっていくことで生産量を増やす?

・MgO-C煉瓦稼働面の高温状態推定
 記事の中でFactSageというものを知った。ページをみると教育版は無料で利用できるらしい。入れるだけ入れてみようかな。そして放置してしまう、と。


・耐火物サロン:私のお気に入りの廃墟
 は、廃墟マニアだーーっ!意外なところに意外な趣味の人が。常に仕事と結びつけて説明していることには苦笑い。自分だったら趣味のときは仕事から完全に離れたいから……。
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耐火物 第70巻 第9号

・特集号「耐火物の分析・評価技術」の発刊にあたって
 これまでに取り上げた分析関係の号をまとめている。こういうのがあると検索性が上がって助かる。

・時々刻々移動する元素の動きを可視化するX線技術の開発
 こんなことが可能とは驚いた。まぁ、赤外線をフィルターでカットしているのは知っていたので、X線も同じことか。改造に専門性はあるものの、改造キットを開発して売る企業があっても良さそう。X線を扱う関係で必要な資格などはあるのかな。この方法による新成果があがってきてほしい。

・レーザー顕微鏡による耐火物の破断面の評価
 顕微鏡なのに焦点がどの面にも合うのはいいなぁ。マーズ・グローバル・サーベイヤーのレーザー高度計で作られた火星地図を思い出した。金星も同じ方法で地図が作られていたか。

・耐火物の熱伝導率測定方法と課題
・高温下における耐火物の試験・評価方法:伝統的手法と最新動向
 規格になっている測定方法の機器は昔のままだが、規格にない測定方法は年々進化しているとのこと。規格の方も変わっていく必要があるのではないか。でも、新しく規格に入れられると進歩が阻害される結果を招く気もしてしまった。
 フラッシュ法の名前だけでも覚えておきたい。

・熱分析の基礎と最新アプリケーション
 TG-MSに聞き覚えがあったので、そこだけ集中して読んだ(他も重要そうだけど)。物質ごとに温度によって発生するガスのデータをせっせと集めた人は偉大である。

・アルミニウム溶解炉に発生するオバケの実態
 タイトルにフックがある。オバケの正体見たり、反応生成物。オバケだけを除去しても耐火物は劣化しており寿命は改善されない。オバケそのものをコーティングにできればとも思ったが、反応物の通る道が形成されてしまうらしい。


・デジタル画像相関法による耐火物の亀裂の評価
 自然科学の分野でも使える技術の予感。構造地質学とコラボしてくれないかな。

・亀裂の進展を考慮したFEMによる熱応力のコンピューターシミュレーション
 亀裂の発達にあわせて新しいメッシュを切るシミュレーションとは・・・すごいことになっている。どれくらいのマシンパワーを要する計算なのだろう。
カテゴリ:工学 | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0)

[最新]熱処理のしくみと技術 仁平宣弘

 2017年7月の発行で最新の熱処理技術を教えてくれる本。
 鉄の基本から、今後の発展が期待される技術まで充実した内容だった(難しかったが)。
 左ページに文章を、右ページに豊富な写真やグラフを表示する形式で、比較的読み進めやすかった。

 個人的には破損とその調査法のところが一番関心を持った。応力腐食割れにはSUS304からSUS316Lに変更した方がいいとのアドバイスを受けたことがあったけれど、SUS304Lに変えるだけでも効果があるんだな。
 破損の予防にエッジの排除が大切なことは、コストダウンの流れで無視されそうなので気をつけたい。

 それにしても著者の知識が広範なことには驚いた。これが、ちゃんと積み上げてきた人なんだ……。

関連書評
トコトンやさしい 薄膜の本 麻蒔立男

最新 熱処理のしくみと技術
最新 熱処理のしくみと技術
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福島第一廃炉の記録 西澤丞

 福島第一原子力発電所の廃炉作業をひたすら追い続けた写真集。
 防護服を身につけた作業の大変さが想像できる。防護服とマスクのせいで人物の特定が難しいので、背中に会社名のシールが貼られている。
 元々の敷地が大きいのでたくさんの設備を増設できているが、狭かったらどうなっていたのかな。地図は俯瞰的な写真があることで、空間的な問題が気になった。

 四号機の屋上には植物が生えていて、たくましいと言うか、木だったら成長したとき厄介になりそうだ。

 断面での説明の「ほぼ燃料デブリなし」は、炉心内部に残っていないという意味で、メルトスルーしちゃったことの説明らしいが勘違いしてしまいそうになった。
 これからも大変な廃炉作業は続くが、少しずつ作業環境は整えられている様子。風化させることなく、見守り続けたい。

伝える。遺す。廃炉の記録。 - 廃炉プロジェクト|ビジュアルコンテンツ|東京電力ホールディングス株式会社

関連書評
建設中。 勝田尚哉

福島第一 廃炉の記録
福島第一 廃炉の記録
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耐火物 第70巻 第8号

明治の窯業技術者たちの生涯
 ワグネルとかグリフィスとかゼーゲルコーンとか、出てくるカタカナがいちいちカッコいい。明治の人も海外に憧れるはずだわ。
 明治時代の人の業績がきちんと記録に残っていて筆者が追跡できたことが興味深かった。

不活性ガス雰囲気におけるマグカーボンれんがの高温強度の経時変化
 重量が減った分はどこに消えてしまったのか?ガス化して排気されたとしか考えにくいが、なんだか不気味に感じてしまう。
 要約的な記事が多い中、けっこうたくさんのグラフが出てきて意外だった。

技術報告:Al4SiC4-C系マトリックスにおける耐食性モデル
 自己修復的な力をもった素材の研究。Al4SiC4-C系マトリックスから発生したAlガスとCOが反応してAL2O3と炭素として再凝集が起きて空隙を埋めるそうな。この凝集は吸熱反応なのかなぁ。スラグの湿潤との戦いなど、過酷な環境に置かれている素材である。

技術報告:炉内条件に適応したセメントロータリーキルン脱着帯用マグネシア・スピネル質れんが
 写真でのボロボロっぷりが凄い。表面が剥がれ落ちてある厚さに達するまでが平常状態という運用なんだろう。切断されたレンガの真ん中に長方形の黒い部分が現れているのが気になった。向かい合わせの切断されたレンガとは別のレンガのようだ。コランダムとスピネルはやはり強いんだな。名前が出てくれば、とりあえず良さそうな感じがする。

耐火物における熱力学計算の基礎
 とりあえず保存。

耐火物サロン:趣味から広がる世界
 イタリアの調理器具(クレイパン)は大きな熱容量で調理するタイプと。エネルギー効率は悪そうだ。日本は江戸時代のバイオマスしか燃料がなかった時代に調理器具の省エネが進んだのかもしれない。イタリアだって似た時代を経験していそうな気はするが。
カテゴリ:工学 | 22:57 | comments(0) | trackbacks(0)

トコトンやさしい 薄膜の本 麻蒔立男

 メッキからCVDまで最先端技術を支える薄膜技術についてわかりやすくまとめた本。半導体工場などでは、とてつもなく精密なことが行われていることが分かった。
 使用されているガスも聞いたこともない成分が多くて、それらを扱うための独自技術は、先鋭的に発達しているように思われる。0から新規参入できる会社とか、あるのかなぁ。

 著者が「真空の本」も書いているとおり真空技術との縁も深くて、装置系統の図が興味深かった。
 また、ひとつの方法の繰り返しにこだわらず、機械的に研磨してみたり、いろいろな方法を組み合わせて求める性能を達成しようと日々試みられていることが分かった。

関連書評
トコトンやさしい地熱発電の本 當舎利行・内田洋平
トコトンやさしい水処理の本 オルガノ(株)開発センター編
今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいバイオエタノールの本

トコトンやさしい薄膜の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
トコトンやさしい薄膜の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
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セラミックス 第53巻 7月号(2018年)

■ Ce3+を発色源とする新規な優環境型の赤茶色無機顔料
 原発事故のせいでマイナスのイメージがついてしまっているセリウムであるが、赤色無機顔料として無害なものを作れる可能性があるらしい。酸化鉄では需要を満たせないんだな……
 日本の希元素に頼らない政策によって余ってしまっているので用途を模索している事情は皮肉だった。

■ 酸化亜鉛受光層によるUVセンサー
 どうも、この筋の研究では亜鉛がけっこう熱いらしい。発見はけっこう遅れた元素だしなぁ。
 健康目的というか、子供を心配する親が関連商品をもたせたがりそうな技術だ。学校に採用されれば一気に広がるかも?

■ コアシェル型セリア微粒子による構造色の発現
 構造色は経年劣化しない!そういう強みを活かそうという話。そういえば正倉院の玉虫厨子は今でも綺麗なのかと思ったが、そもそも玉虫の羽根がほとんど失われているらしかった。復元品でイメージが混乱していた。

■ 無機蛍光体を分散させた農業用波長変換シート
 透明なシートにルビーを混ぜることで作物が利用できない波長域の太陽光線を利用させる研究。植物側を遺伝子操作して緑色の光に反応させる方法もありそうだけど……
 実用化されればルビーを使っているとしてブランド化してくることが瞼に浮かぶような技術だ。

■ ホタテ貝殻から創製した蛍光体とその応用
 炭酸雰囲気でホタテ貝殻を焼けば蛍光する。ホタテ以外の貝殻でも蛍光するのか?個人的にはそっちが気になってしまった。大気中で高温にさらしても数日間は光るらしいので個人レベルでもアサリの貝殻などで試せるかも?
 利用方法については実用化のために製薬会社が導入する精巧極まる機械のことを想像して頭が痛くなった。それでもお金を持っている業界なので必要があれば導入するだろう。


■ UNITECR2017とサンティアゴ訪問
チリの首都サンティアゴで開かれた学会の報告と、サンティアゴの観光案内。日本から直行便が出ていなくて27時間の旅になったそうだ。これにお金を出してくれる筆者の会社(新日鐵)は、やっぱり凄いな。聖堂の姿などには新大陸でもけっこう歴史が感じられた。

■ 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 大場研究室
 計算によって目的とする物性をもった物質をあらかじめシミュレーションして材料開発の近道を作ろうという研究をしている研究室。計算のために利用されている量子力学が直接的に一般の生活に役立っていることが分かる。
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耐火物 第70巻 第7号

日本の独自性
 アメリカのインフラはソフト面で弱いという話――は分かったのだが、結びがまるでコンプライアンスを軽視し、我が国のトップにもやりたい放題させろと言っているように読めてしまって眉をひそめた。
 自販機に行けと言うアメリカの窓口は訴訟されて負ければいいのに。

副原料の違いによるMgO-Cれんがの特性挙動
 バインダーの粘土とALの添加量を調整することで性能アップが可能とのこと。グラフにすべてR^2を記入してあるが0.2とかもあった。

都市ごみ焼却炉の耐火物耐用向上アプリケーション
 自分の税金も使われているので強い関心をもって読むことができた。節税のためにも広く共有してほしい知見で、公共のものなのに、炉の情報は分析している人たちにも出されていないっぽい。なんでそんなに秘密主義になってしまうのか……

マグネシアクロムれんがの耐還元性評価
 るつぼ試験のわかりやすさがありがたい。やはりコランダムは強かった。はるか未来的には材質を全部サファイアにできれば解決。ArもOも宇宙にありふれた物質だ。材料業界では三二酸化物なんて言い方があるんだな。

セメントロータリーキルン焼成帯用マグネシア・スピネル質れんがの耐剥離性の改善
 緻密化を勧める成果が多目である。耐スポーリング性に関しては気孔があったほうが良かったと思うのだが、両立する要素なのかなぁ。断熱性は奥にある材料で確保すればいいだけだが。


セメントロータリーキルン落口用SiC含有キャスタブル材の適用例(続報)
 写真が環境の過酷さを物語っている。そして、こんな状態でも「持っている」と判断されている。消耗が前提で他に替わるものがないとユーザーにも理解されているのだな。

セメントロータリーキルン用マグネシア・スピネル質れんがの機械的特性の向上
 壊れることでそれ以上は壊れない微妙なバランス。セメントロータリーキルンの仕様によって最適なれんがが違ってきたりはしないのかなぁ。

離島の魅力
 沖永良部島の宣伝だった。話に出てきたDr.コトーの舞台は下甑島だったが、フェリーや飛行機の見送りは似た感じになるらしい。
 数時間平気で立ち話してしまう性質は、都会の人には我慢出来ないかもしれない。
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