図解よくわかる廃熱回収・利用技術 大高敏男

 今後ますます活用されることが期待される、というよりも活用できなければ人間社会の先がない廃熱回収・利用技術の図解本。
 一刻も早くこれらが普及してほしいと思ってしまうが、そうはいかない理由まではなかなか解説されないものである。技術的問題ならまだしも、政治的法規制的な問題が絡んでいると難しい……。
 消費者としては機会のあるごとに利用の可能性を探っていくしかなさそうだ。

 紹介されている技術の中でヒートパイプが気になった。メンテナンスに関わる問題がない点はやっぱり重要だ。ヒートパイプを介して効率的な地熱利用ができるようになれば、冷暖房に費やしている電力も減ってくれるはず。
 逆に複合的なシステムでメンテナンスが必要なことをEV化によって部品点数の減少が確実な自動車関連産業の脱出先に使えないかとも思う。自動車のように一家に一台、コ・ジェネレーションシステムが普及すればなぁ。

 ヒートポンプがわりと万能にみえてしまうのも何かありそうだ。地球環境そのものへの廃熱をヒートポンプで利用する話は壮大すぎた。できるだけ温度の高い排出前に利用したいぞ。

関連書評
史上最強図解これならわかる!機械工学 大高敏夫

図解 よくわかる廃熱回収・利用技術
図解 よくわかる廃熱回収・利用技術
カテゴリ:工学 | 13:24 | comments(0) | trackbacks(0)

史上最強図解これならわかる!機械工学 大高敏夫

 「史上最強図解」は言い過ぎかもしれないが、非常によくまとまっている。限られたページ数でかゆいところに手が届く詳しさを何とか確保していると感じた。
 もちろん極度に専門的な人からみれば不満があるはずだし、取り上げきれなかった加工方法などもあるに違いない。それでも関連分野の概要を知ることには役立ったし、いちおう知っていることでも小耳に挟んでおきたい豆知識が含まれていた。
 計算に関しては練習問題が回答込みで出題されているところも良かった。

 ただ、作図方法についてはJIS規格と経験からくる原則の区別がつかなくなりそうなところは不満だったかな。
 見た目で明らかに円形とわかればφはいらないと説明されても、実際にφのない図面を描いたら怒られる現場が多そうだ。
 いろいろな図面を相手にする製造現場よりも、図面を出す側の方が自分ルールで融通が利かない場合が多いのかもしれない。
 仕様決定から製造まで通して解説されている本だからこそ与えてくれる視点があった。

史上最強図解これならわかる! 機械工学
史上最強図解これならわかる! 機械工学
カテゴリ:工学 | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0)

耐火物 2018/12月号

・東洋耐火煉瓦のルーツ
 大野氏が満州で発見した福州粘土が九州の鉄鋼業になくてはならない存在になった話、戦後の影響が気になった。時間差があるから材料転換がされていたか、戦後に代替品を見つけたのか。素直に輸入――は、すぐには無理なはず。
 明治の偉人はアクティブな人が多いと感じるけれど、現代でもこうやって経歴をまとめられる人物がいればアクティブなんだろうな。

・合成したチタン酸アルミニウムの特性と耐火物への適用
  熱膨張率の低さを活かして良い素材ができないか試してみたが、あらゆる面で駄目だったというまとめ。残念な成績も公開されないと、同じことを試して資源を無駄にしかねないので大切だ。まぁ、やっぱりアルミナは優秀だよね、と思った。

・新開発低セメント系乾式吹付け材の施工実績
 いまいち使い方がイメージできないところはあったが、便利そう。作業性は人手不足の時代にはますます大事になる。

・ロータリーキルン用耐爆裂性キャスタブルの開発
 割れてしまうなら、先に割ってしまえばいいじゃない!適度なマイクロクラックが爆裂を防ぐ。最高責任者がちゃんと管理している「まともな」工程で乾燥期間を長く取れさえすれば、と思わないでもない。

・アルミン酸ナトリウムの劇物指定に伴う法令順守対応
 ユーザーにとっては、代用品開発で済んでよかった。コストアップはしたのかもしれないが……。

・リジェネバーナ用SiC蓄熱体の開発
 アルミナが使われている蓄熱体の代わりに、SiCを使ってみた結果が紹介されている。コーティングは必要だが、有望な素材みたいだ。コストについては、元々導入コストがあがっても燃費をあげるためにリジェネバーナーが採用されているわけで、他に問題がなければ変更が進んでいくかもしれない。

・AESファイバーにおける皮膚刺激性の低減に関する検討
 規制されたCRFに代わって採用されているAESファイバーはチクチク感があって施工者は困っており、その原因が探られている。原因除去で性能が下がっても困るし、苦労が続きそうだ。

・良いスピーチとは?
「スピーチとスカートは短いほうが良い」……今の時代になんてデンジャラスな格言であろう。なお、この格言を引いて記事を書いた人は女性だった。
カテゴリ:工学 | 19:06 | comments(0) | trackbacks(0)

セラミックス 第53巻 12月号(2018年)

多様性vs.自己組織化,そして価値の創造!?pdf
自己組織化が人間社会に置き換えて議論されるのは、社会的ダーウィン主義の繰り返しになりかねない。特に日本の経営者は信用出来ないのでコンサルがこの言葉を使いだしたら警戒しなければなるまい。

溶液法による高品質SiC結晶成長pdf
SiCといえば耐熱素材やヒーターのイメージがあった。半導体としても利用が推進されているのか。
結晶成長時の不純物(添加物?)の組み合わせが試されきれていないそうで、青色ダイオードみたいに以外な発見がある可能性もゼロではなさそうだ。

TSMG法によるサファイア育成とその光透過特性pdf
 サファイアと聞いて。最大直径300mm、重量80kgの大型バルクサファイアとは凄い。サファイアの削りだし加工で部品を作るという工具が死にそうな製造方法もありえるのかなぁ。
 機械式時計のグレードにルビー石数が使われていることも知った。こっちはサファイアじゃなくてルビー呼称なのか。青じゃなくても赤以外のコランダムはサファイアであることを考えれば、サファイア呼びの方が真摯に感じられる。機械式時計が本当に赤いルビーを使っているならいいけど。

高温混合水熱法による水酸アパタイト結晶の大型化とその応用pdf
 水酸アパタイトをHApと略称している。いまだにHApへのMgの固溶限が確定していないという話が興味深かった。炭酸カルシウムはできていそう。

人工宝石pdf
 京セラが販売している人工宝石の紹介。地球に変わって再結晶化させて、宝石に似せるのではなく再現しているから再結晶宝石を名乗っているとのことだが、結晶化にかける時間が再現できていないだろうと……。
 アレキサンドライトに添加する微量元素は天然ではクロムと第二鉄であるのに対して、京セラの人工アレキサンドライトはクロムとバナジウムらしい。添付された写真はカラーで見たかった。


ほっとSpring 国際会議2017IEEEISAF-IWATMD-PFMConferenceに参加して
 アメリカ、アトランタの観光案内。コカ・コーラのレシピが入った金庫がミュージアムに展示されて、観光資源にされていることが面白い。歴史の短い国ゆえの貪欲さを感じた。
カテゴリ:工学 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0)

わかる!使える!配管設計入門 西野悠司

 配管設計のABCがわかりやすく解説されている。最後の方の計算問題は難しくなってくるが、実数を使った工学的な計算なので落ち着いて紐解いていけば理解できるはず(理解していない)。

 軽くかじっただけでも、サポートの置き方や鋼管の耐熱温度など参考になる情報がたくさんあった。
 サポートを建築業ではブラケットとも言うらしいが、その注意はなかった。300Aと12Bの同居など用語の扱いにくさが過酷な分野でもある。さらにアメリカやヨーロッパでは規格が違うし。

 熱膨張を事前に考慮して配管を設計する方法(コールドスプリング)が載っていた。原発のずさんな工事を指摘する記事で、配管を無理矢理曲げてフランジを合わせていると書かれていたのだけど、もしかしてこの工法だったのではないか。
 実際のところは不明ながら知識があれば扇情的な情報にたいしても慎重になれる。少しでも取り入れてレベルアップしたい。

関連書評
入門ビジュアルテクノロジー よくわかる真空技術 (株)アルバック
ダクトの設計 池本弘 理工図書刊

わかる! 使える! 配管設計入門<基礎知識><段取り><実設計>
わかる! 使える! 配管設計入門<基礎知識><段取り><実設計>
カテゴリ:工学 | 22:07 | comments(0) | trackbacks(0)

セラミックス 第53巻 10月号(2018年)

・陶磁器研究に想う
 斜陽産業の悲哀を感じる。関連分野が活発に動いているだけいいのかもしれないが・・・・・・陶磁器が時代の最先端だった時期が確かにあったことは忘れないでおきたい。

■ 水溶液プロセスのポテンシャルと展望
 水溶液プロセスの概要がまとめられている。ゾル-ゲル法の名前を知っている程度の知識だったので勉強になった。研究分野名の名前が意外と大事らしい。いい研究をすれば、それが広報になるなんて、やっぱり幻想なのではないか。

■ 水溶液プロセスによる階層的で精緻な材料形態のデザイン:バイオミネラルにおけるナノロッド配向集積体とその模倣
 生物は水溶液プロセスで巧みに構造物を生み出している。考えたわけではなくても、よく考えられたような構造になっていて、進化の力が感じられる。そこから学んで再現する能力が科学に備わってきたこともいいことだ。

■ 水溶液プロセスによる複合酸化物・固溶体・準安定相の合成
 蛍石型・スピネル型・フェルグソン石型など、鉱物の名前がたくさんでてきて親しみが湧いた。蛍石とスピネルが別に書かれているってことは等軸晶系などよりも細かい分類なのだろう。

■ 加水分解プロセスを利用した新規ナノセラミックスの合成
 なつかしい「チンダル現象」の文字だけに反応する。アパタイトが出てきた関係、生化学的な雰囲気すら感じた。

名古屋大学 機能性物質物性研究室(V研究室)
 物質ABCDとあえて開発した物質の名前を出さずに関心を引く作戦だった。発電する鍋の会社はどうも破産してしまっているようだ。北海道地震のときに生産していればたくさん売れただろうに。
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耐火物 第70巻 第10号

・随  想:岐阜へようこそ
 鉄鋼用耐火物専門委員長の任期2年間は両方共、岐阜県で委員会を開催するとのこと。岐阜市と高山市ではかなり離れているけれど。これまで6回の開催地に北九州が3回も含まれているところは流石製鉄の町だと思った。これまで全部西日本だったというが、岐阜も東京からみれば糸静線の向こうなので西日本扱いと思われる。


・高温における酸化物中の物質移動解析に基づく耐環境性保護膜の構造設計
 蒸気との反応性に言及しているところが気になったが、もともとSiCをコーティングしてタービンブレードに使用することが目的だった。それは蒸気との反応性が大事だわ。というか、よくこんな高温でもつものだ。運転環境が過酷でも安定していれば、やりようはあるのだろう。

・MgO-CれんがにおけるMgOの還元速度に及ぼす気孔率の影響
 やっぱり気孔率は少ないほうがいいよね、と分かった。新しい計算式の提案まで行くところには驚いた。その式の定数の意味など、まだまだわからないことだらけなんだなぁ。

・形状の異なる鋼繊維を添加したキャスタブルの機械的特性
 長い繊維の方が有効。あまり短すぎると意味がない。フック状形状にしても効果はあまりない?最後の件がちょっと残念。そうそう面白い結果は出ないのだった。完全に同じ長さで曲げたものとストレートなもので比較してほしくはある。

・マグネシア原料種がマグネシアークロム質れんがの特性に及ぼす影響
 前も似たような記事がなかった?天然マグネシアにも高純度なら有利な面があることが意外だった。完全な海水マグネシアの下位互換じゃないんだな。海水マグネシアの需要が増しても生産量は、塩の生産量に制限されるはずなので、どこまで増産できるのやら。にがりの売却益で天日塩に対してコスト的に有利になっていくことで生産量を増やす?

・MgO-C煉瓦稼働面の高温状態推定
 記事の中でFactSageというものを知った。ページをみると教育版は無料で利用できるらしい。入れるだけ入れてみようかな。そして放置してしまう、と。


・耐火物サロン:私のお気に入りの廃墟
 は、廃墟マニアだーーっ!意外なところに意外な趣味の人が。常に仕事と結びつけて説明していることには苦笑い。自分だったら趣味のときは仕事から完全に離れたいから……。
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耐火物 第70巻 第9号

・特集号「耐火物の分析・評価技術」の発刊にあたって
 これまでに取り上げた分析関係の号をまとめている。こういうのがあると検索性が上がって助かる。

・時々刻々移動する元素の動きを可視化するX線技術の開発
 こんなことが可能とは驚いた。まぁ、赤外線をフィルターでカットしているのは知っていたので、X線も同じことか。改造に専門性はあるものの、改造キットを開発して売る企業があっても良さそう。X線を扱う関係で必要な資格などはあるのかな。この方法による新成果があがってきてほしい。

・レーザー顕微鏡による耐火物の破断面の評価
 顕微鏡なのに焦点がどの面にも合うのはいいなぁ。マーズ・グローバル・サーベイヤーのレーザー高度計で作られた火星地図を思い出した。金星も同じ方法で地図が作られていたか。

・耐火物の熱伝導率測定方法と課題
・高温下における耐火物の試験・評価方法:伝統的手法と最新動向
 規格になっている測定方法の機器は昔のままだが、規格にない測定方法は年々進化しているとのこと。規格の方も変わっていく必要があるのではないか。でも、新しく規格に入れられると進歩が阻害される結果を招く気もしてしまった。
 フラッシュ法の名前だけでも覚えておきたい。

・熱分析の基礎と最新アプリケーション
 TG-MSに聞き覚えがあったので、そこだけ集中して読んだ(他も重要そうだけど)。物質ごとに温度によって発生するガスのデータをせっせと集めた人は偉大である。

・アルミニウム溶解炉に発生するオバケの実態
 タイトルにフックがある。オバケの正体見たり、反応生成物。オバケだけを除去しても耐火物は劣化しており寿命は改善されない。オバケそのものをコーティングにできればとも思ったが、反応物の通る道が形成されてしまうらしい。


・デジタル画像相関法による耐火物の亀裂の評価
 自然科学の分野でも使える技術の予感。構造地質学とコラボしてくれないかな。

・亀裂の進展を考慮したFEMによる熱応力のコンピューターシミュレーション
 亀裂の発達にあわせて新しいメッシュを切るシミュレーションとは・・・すごいことになっている。どれくらいのマシンパワーを要する計算なのだろう。
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[最新]熱処理のしくみと技術 仁平宣弘

 2017年7月の発行で最新の熱処理技術を教えてくれる本。
 鉄の基本から、今後の発展が期待される技術まで充実した内容だった(難しかったが)。
 左ページに文章を、右ページに豊富な写真やグラフを表示する形式で、比較的読み進めやすかった。

 個人的には破損とその調査法のところが一番関心を持った。応力腐食割れにはSUS304からSUS316Lに変更した方がいいとのアドバイスを受けたことがあったけれど、SUS304Lに変えるだけでも効果があるんだな。
 破損の予防にエッジの排除が大切なことは、コストダウンの流れで無視されそうなので気をつけたい。

 それにしても著者の知識が広範なことには驚いた。これが、ちゃんと積み上げてきた人なんだ……。

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トコトンやさしい 薄膜の本 麻蒔立男

最新 熱処理のしくみと技術
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カテゴリ:工学 | 10:25 | comments(0) | trackbacks(0)

福島第一廃炉の記録 西澤丞

 福島第一原子力発電所の廃炉作業をひたすら追い続けた写真集。
 防護服を身につけた作業の大変さが想像できる。防護服とマスクのせいで人物の特定が難しいので、背中に会社名のシールが貼られている。
 元々の敷地が大きいのでたくさんの設備を増設できているが、狭かったらどうなっていたのかな。地図は俯瞰的な写真があることで、空間的な問題が気になった。

 四号機の屋上には植物が生えていて、たくましいと言うか、木だったら成長したとき厄介になりそうだ。

 断面での説明の「ほぼ燃料デブリなし」は、炉心内部に残っていないという意味で、メルトスルーしちゃったことの説明らしいが勘違いしてしまいそうになった。
 これからも大変な廃炉作業は続くが、少しずつ作業環境は整えられている様子。風化させることなく、見守り続けたい。

伝える。遺す。廃炉の記録。 - 廃炉プロジェクト|ビジュアルコンテンツ|東京電力ホールディングス株式会社

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建設中。 勝田尚哉

福島第一 廃炉の記録
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