司馬遼太郎と城を歩く4〜上田城・高取城・洲本城・丸亀城

 上田城は親子で敵味方にわかれるシーンが名場面あつかいされていることに違和感。本当に強いならば自分たちが集中してついた方を勝者にできるわけで、運命に翻弄される弱者であることを認める苦渋の展開としか思えない。他にもやっている連中がいるし、これを昌幸の高度な知恵あつかいしてしまうのは、どうなのか。
 上田の町にあふれる六文銭の映像をみて、仙石氏がちょっとだけ不憫になった。

 高取城は幕末に思わぬ出来事に遭遇していた。尊皇が高まりすぎた愚連隊みたいな連中と大坂城を落としたときの大砲で戦闘とは喜劇的なシチュエーションである。本人たちは至って大まじめだし、昔の兵器でも人は効果的に死にうる。そんな物事の二面性も感じる。

 洲本城を通じて地味な裏切り者、脇坂安治の情報がたくさん出ていた。脇坂家に続いて淡路をおさめることになった蜂須賀氏が洲本城を破壊せずに温存していたことも興味深い。戦国時代を生き抜いてきた家の知恵とされているが、バレたら困ったことになるのは福島正則の末路をみて承知していたはずで際どいことをしたものだ。

 丸亀城では坂本竜馬が人材を求めて高知からやってきた逸話が語られている。竜馬が江戸で剣道を修めたことも司馬作品ではしっかり消化されていることが分かった。

司馬遼太郎と城を歩く 第4巻 [DVD]
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司馬遼太郎と城を歩く3〜松山城・宇和島城・首里城・姫路城

 松山城ではめずらしく地味な加藤に光が当たっている。藤堂高虎が秀吉子飼いとして、清正たちと同じカテゴリに入れられていることには違和感があった。秀長の家臣なのだが……。
 石落としを鉄砲で撃つ設備だと説明しているところがナイスだった。

 宇和島城をおさめていた伊達家の成立経緯がおもしろい。めずらしい東から西への流れがあって、そんな彼らが日本人だけで初めて蒸気船を造っている。
 東西の住民の気質の違いではなく、住んでいる場所によって外来技術への反応に差が出てしまったことが予想できる逸話だった。

 首里城の章はあまり首里城に集中できず沖縄内の他のグスクもけっこう紹介されている。司馬遼太郎氏による文章が不足していたのかもしれない。
 首里城を通して覚える第二次世界大戦での司馬氏の罪悪感は、もはやあまり共感してもらえない時代になってしまった可能性があり、寂しい。

 姫路城は「播磨灘物語」での黒田官兵衛の経験をメインにしていて、現在の江戸時代以降に成立した姫路城とはミスマッチなところがあった。
 城側はまだまだ名城がいくらでもあるけれど、現代の城の映像にぴったりの司馬作品のストックが苦しくなっている?

司馬遼太郎と城を歩く 第3巻 [DVD]
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千年の王国ビザンチン〜砂漠の十字架に秘められた謎〜

 シナイ半島に今も残る正教会の聖エカテリニ修道院の活動からイスラム社会と共存してきたビザンチン的なるものを浮き彫りにするドキュメンタリー。
 聖エカテリニ修道院の人が十字軍にたいして明確に否定的な意見を述べていたことに驚いた。そこまで言っていいんかい。
 まぁ、第四次十字軍への不満もあるかもしれない。ビザンチン帝国滅亡の責任はイスラムよりもカトリックにあると言わんばかりの描き方だった。
 正確にはイスラム相手で手一杯のところに、カトリックが後ろから殴りかかってきたせいだと思うけど。

 イスラム勢力が来る前に修道院内にモスクを造っておいて、出迎えたエピソードは涙ぐましくも逞しい。外見の要塞っぷりもすさまじい。力で攻め落とすには只ではすまない雰囲気も漂わせている。
 周辺のベドウィンと共存関係を今に至るまで続けられているのも、歴代修道士の不断の活動があってこそ。ISで物騒になっている地域だが、今後も活動が引き継がれてほしいものだ。
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恐竜の大陸 南アメリカ ディスカバリーチャンネル

 南アメリカをタイトルにしながらも大半はアルゼンチンにおける恐竜発掘調査を扱っている。ブラジルも最後に出てきたけれど、対象はサンタナ周辺の翼竜であり、翼竜は恐竜ではない。
 元々のタイトルは「恐竜の時代:ゼロ地点」だったらしい(やはりブラジルの翼竜はタイトルに入れてもらえていない)。

 アルゼンチンの「月の谷」には、中生代の地層がいっぺんに現れたすばらしい露頭があって、不明なことの多かった恐竜の初期について多くの情報を与えてくれていた。
 ヘルレラサウルス、エオラプトル、ズーバイサウルス(三畳紀の虎と渾名されていた)など、初期の恐竜が紹介される一方で、チタノサウルス、アルゼンチノサウルス、ギガノトサウルス、メガラプトルなど南アメリカの恐竜の特色である「大きいこと」を満たした連中も紹介されている。
 メガラプトルは巨大な爪の一振りで2.5メートルの傷を負わせることができたそうで、日本刀で斬りつけられるのよりも恐ろしいかもしれない。

 サンタナの石灰岩から出てくる化石は、ゾルンホーヘンの化石を思わせる美しさで、もっと評価されるべきだと思った。そういえば積極的にコレクションしているのがドイツの博物館なのも、そういうつながりがあるのかな。

関連書評
恐竜の大陸〜アジア ディスカバリーチャンネル
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ディスカバリーチャンネル 恐竜の大陸 南アメリカ [DVD]
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ハーバード白熱教室3「お金で買えるもの買えないもの」「動機と結果どちらが大切?」

 軍の志願制と徴兵制に関するデリケートな議論。また、イマヌエル・カントの難解な主張の解説が行われている。
 志願制と徴兵制の話に関しては、偏った層であるハーバードの学生による議論だということも考えなければならない。自分や兄弟が兵役についた経験を聞かれて手をあげる学生は少数しかいなかった。まぁ、日本の場合は更に希少になるわけだが。
 アメリカ南北戦争時代のアメリカ合衆国が従軍の義務を人を雇うことで回避させていたことが興味深い。せめて自分に変わる一人じゃなくて、複数人を負担させていれば印象が違ったかな?それはそれで歪ではある。

 カントについては議論についていけるハーバード大生の優秀さに舌を巻いた。事前にテキストを与えられて予習してきているから、いきなりながら見している自分とは立場が違うけど。
 「傾向性」に対比される「義務」は訳語が悪い雰囲気がする。そうだとしても自分は他律ばっかりで自律がないと落ち込んでしまう部分のある思想だった。
 誰もが強くなれたらいいんだけどな。そして人の尊厳を大事にするほど優しく……「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格がない」

関連書評
ハーバード白熱教室1「殺人に正義はあるか」「命に値段をつけられるのか」
ハーバード白熱教室2「「富」は誰のもの?」「この土地は誰のもの?」

NHK DVD ハーバード白熱教室3 [DVD]
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ハーバード白熱教室2「「富」は誰のもの?」「この土地は誰のもの?」

 リベラリズムとジョン・ロック。世界を覆う潮流と、その源流について議論が交わされる。
 リベラリスト側に立って議論を引き受けた三人の学生が勇敢だった。とても真似できる気がしない。主張はともかく(あえてそっち側に立っているようにも見えたが)そうとうディベートを積み上げてきたのだろうなぁ。

 議論に関連して「不可譲」という言葉を覚えた。が、意味は忘れかけている。自由のために制限されているもの、「社会以前の社会を維持するために」必要な自然法の縛りに関連していることは何とか覚えておく。

 リベラリストの主張は「フリーライダー」と紙一重でなければ、そのもので、国家が価値を保証する通貨を利用している間は甘えにしか見えないのではないか。
 そこで仮想通貨の出番だったわけだが、まだ上手く行くようには見えない。
 しかし、未来を占うに当たって重要な示唆が散りばめられていたように感じる。

 それにしても解説の日本の教授が開くページの適当さよ……。

NHK DVD ハーバード白熱教室2 [DVD]
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ハーバード白熱教室1「殺人に正義はあるか」「命に値段をつけられるのか」

 はてな匿名ダイアリーに変形した形で投げかけたら、たくさんのブックマークとトラックバックを集められそうなテーマ。そんな価値観はそうとう歪んでいることを自覚しつつ、「JUSTICE」に関するマイケル・サンデル教授の授業を楽しませてもらった。
 回答する生徒達も1000人も参加して録画までされている状況で、勇敢に答えている。設定された設問に答えるだけならまだしも、回答に対してさらなる質問をサンデル教授が出してくる場合があるので、なかなか大変である。

 サバイバルのために人を殺して肉を食べてしまった実際の事件の話では、アルゼンチンにおける航空機事故での「聖餐」を思い出した。だが、あちらは既に死んでいる人を食べたため例に挙げられなかったのだろうな。
 第2回の功利主義に関する話題ではアメリカ企業がしてきた計算に呆れる一方で、それが社会に晒されて積極的な議論の題材になっていることに羨ましさも覚えた。
 確かにインフレの判断は重要だな。うむ。

 J・S・ミルが話に出てきて、読みかけたままの「自由論」を何とか読み進められないものかとも思った。血肉にして議論で使えなければ急いで読了してもいまいちかなぁ。

NHK DVD ハーバード白熱教室1 [DVD]
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宇宙へ。挑戦者たちの栄光と挫折  BBC

 NASAの貴重な映像を使ったドキュメンタリー。スペースシャトルへの輸送手段の転換は「進歩」として描かれている。まぁ、歴史にもしもはありえない態度でみれば、否定はしにくいのかもしれない。
 印象的な事故でなくなった人々の映像も収録されていて、胸の詰まる気持ちを味わった。
 過去の人々をとりあげた映像なら今はなくなっている人も多いだろうに、この直後に事故で亡くなると知って観る場合は不思議と特別に感じてしまう。
 生きている姿と死のイメージが直結するから?

 弾道飛行の成功直後は一躍時の人になった宇宙飛行士も今ではマニアにしか名前を知られておらず、後からやってきたアームストロング船長に半永久的な名声をもっていかれてしまうのだから、名声とは実にうつろい易いものである。
 競争相手であるソ連の事情については、無視と言っていいほど触れられていなかった。こういう映像のソ連版もあれば、すばらしいのになぁ。

関連書評
宇宙に挑む1〜彗星を追いかけろ ナショナルジオグラフィック

宇宙へ。挑戦者たちの栄光と挫折 [Blu-ray]
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NHKグレートサミッツ世界の名峰 第1巻モンブラン

 副題はアルプスの白き女王。
 アルピニズム発祥の地であるアルプス最高峰のモンブラン登山を描いた映像作品。モンブラン周辺の観光ガイド的な冊子が付属している。
 6代にわたる山岳ガイド一家のダヴィッド氏親子の案内で、NHK取材班がモンブランに登る。カメラマンが一番大変なのは言うまでもない……しかし、写されることはない。
 山頂付近の切り立った峰は踏み外したら真っ逆様であり、観ているだけでも怖かった。これを酸素の薄い足下がおぼつかない状態で歩こうというのだから、登山はクレイジーだ。
 だが、モンブランは山容のやさしい方であり、冊子巻末の同縮尺マッターホルンをみると、軽く絶望できる。圧倒的な傾斜が下までずっと続いている!
 そんなマッターホルンを登るのが第2巻らしい。

 この1巻はガイドの取材的な面も強くて、山岳ガイドを仕事にしている人がみたら得る物がありそうだと思った。

NHKグレートサミッツ 世界の名峰〈1〉モンブラン (小学館DVD BOOK)
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密着ムジャヒディン〜素顔のイスラム戦士〜

 ムジャしやがって……潜入取材を試みたジャーナリスト、クレイシ氏の勇気が凄かった。
 いっしょに銃をとって戦えと迫られたときの返しも立派だった。こういう人がいるから、ムジャヒディンの姿が伝わってくるのだが、戦闘への同行などは一歩間違えれば死んでいた。
 取材時にもスパイと疑われるなどの危険がつきまとっている。この映像を発表したことによる危険もあるのではないか――離脱した経緯から考えて、まず許可をとれていないはず。
 襲撃の失敗はなかなかの不始末だったしなぁ。

 子供がムジャヒディンに憧れているような言動を取るときに、横から誰かが回答を指示している様子が怖かった。たぶん、それを言っているのも子供で、同調圧力が非常に強い社会みたいだ。
 攻撃が失敗したときの罵り合いをみても、アフガニスタン人と日本人には気質の近いところがあるのかもしれない。ゲリラ戦は被害なく攻撃行動ができれば成功なので、取材のあった攻撃はギリギリ成功の部類と思うのだが……無理を強要して被害を出していたら先がない。
 攻撃の失敗をごまかすために司令官が嘘の報告を受けていたことも印象的だった。これが部族社会的な戦いなんだな。

 アメリカよりソ連の方が用意周到で手強かったとの発言も印象に残った。

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地図で見るアラブ世界ハンドブック マテュー=ギデール
シリア情勢――終わらない人道危機 青山弘之

密着 ムジャヒディン 〜素顔のイスラム戦士〜 [DVD]
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