海辺で調べる生き物の生態〜さまざまな生き物のくらし 小林安雅

 海辺はファンタジックな生き物の宝庫。海辺で観察できる様々な生き物の姿と生態が紹介されている。
 底が抜けた砂茶碗にたとえられるツメタガイの卵がおもしろかった。水中考古学者が騙されかねない形状をしている。昔の人がつくるには螺旋の形状が難しすぎるけれど。

 カイワリの幼魚とキタマクラの「カップル」は、大きなキタマクラ側にもメリットがあるのだろうか?
 多少なりとも姿が大きく見えればデメリットではない?勝てない相手に襲われたときはカイワリの幼魚が犠牲になるってことかもしれない……。

 待ち伏せ中の姿と捕食シーンを二枚の写真にまとめたものが非常にわかりやすい。メガネウオとマゴチにくらべてしまうと、ホシノエソの待ち伏せはあまり隠れていない気がしたが。

海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
海辺で調べる生き物の生態―さまざまな環境と生き物のくらし (子供の科学★サイエンスブックス)
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光るいきもの〜海のいきもの 大場裕一・宮武健仁

 なんとなく古い本でフィルムカメラで撮影したものと思いこんでいたら、2015年の本だった。デジタル機材に違いあるまい……冷静に考えて見返せばアナログ機材で、同じレベルの写真を撮るのは不可能に近い。
 ヤコウチュウの写真など、ヤコウチュウの光と背景の光を両方みえるようにするためには、画像処理が必要と思われる。

 光る理由がいちおう理解されているホタルイカやウミホタルと違って、ヤコウチュウなど光る理由がわからない生き物の方が多い感じだった。
 同じ種類に光るものがいるという情報も発光の進化を考える上で重要なのだろうな。
 とりあえず、体中に1000の光る点をもつというホタルイカの接近写真が綺麗だった。でも、腹部の滲んだ光点はたんなるピントの問題なのね……。

海のいきもの (光るいきもの)
海のいきもの (光るいきもの)
カテゴリ:生物 | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0)

鳴き声から調べる昆虫図鑑〜おぼえておきたい75種 高嶋清明

 日本に生息して日本人の耳を楽しませる鳴く昆虫75種をとりあげた本。バッタとセミが二大勢力をなしている。むかし懐かしいケラが鳴くことを意識していなかったな。
 移入種に対しても比較的フラットな書き方をしている。
 
 人間の耳には聞こえない周波数でなく虫もいて、彼らが日常空間を認識できない方法で利用していることが分かる。
 鳴き声を収録したCDまでついていて親切だが、CDはまだ聴いていない。高機能な音楽編集ソフトとして勧められていた「Audacity」もインストールしてみたい。
 耳に聴くことのできない虫の声も、デジタル機器を介することで目で楽しめるのだから、すごい時代になったものだ。

 鳴き声サンプリング方法に関するコラムも興味深く読めた。

鳴き声から調べる昆虫図鑑ーおぼえておきたい75種 パソコン用CD付き
鳴き声から調べる昆虫図鑑ーおぼえておきたい75種 パソコン用CD付き
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海の擬態生物〜海中の美しく不思議な変身術 伊藤勝敏

 監修 海野和男。
 子供向け出版物の体裁で作りたい本を作るおじさんたち!解説の専門性が普通に高いため、子供向けにあきたらない子供を喜ばせそうだ。
 写真も見応えのあるものばかり、文章は最後の解説にまとまっていて、擬態した海の生物の姿を最小限の説明で楽しめる。

 フラッシュを焚いた状態だから擬態していても見つけやすいが、フラッシュなしだと、さらに見つけにくいことを示している写真があって感心した。
 作者はよく擬態した動物を見つけるものだ。

 昆虫の擬態を主に研究している監修者の解説は、昆虫との比較に注意が向いていて興味深かった。
 視覚の優れた鳥のいない海中では、陸上ほど偽の目玉模様が流行していないらしい。それでも、目の部分に縞模様を掛からせている魚が何種類もいることは印象に残った。

関連書評
昆虫の擬態 海野和男

海の擬態生物―海中生物の美しく不思議な変身術 (子供の科学サイエンスブックス)
海の擬態生物―海中生物の美しく不思議な変身術 (子供の科学サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0)

水生昆虫大集合〜水辺に生きる昆虫たち 築地琢郎

 日本に生息する主な水生昆虫を一挙に紹介。種ごとに飼育方法も掲載している。
 水槽に落ち葉を入れておいただけの「生き餌の発生装置」が妙に印象的だった。「発生した餌」を水槽にうつすときはスポイトで吸い上げるのかなぁ。
 目の細かい網ですくって、まずはバケツに移す?

「完全変態上目」の分類名は重い十字架を背負わせすぎだと思った。人気のコウチュウ目が入っているから、大丈夫かなぁ。

 水生昆虫にふくまれないけれど紹介されているミズグモの生態がいちばん興味深く感じてしまった。空気室の運用にロマンを感じざるをえない。ここでも酸素と二酸化炭素が自然に交換されている?

水生昆虫大集合―水辺に生きる昆虫たち (子供の科学サイエンスブックス)
水生昆虫大集合―水辺に生きる昆虫たち (子供の科学サイエンスブックス)
カテゴリ:生物 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0)

うまれたよ!イモリ 写真・文 関慎太郎

 イモリの誕生から成長をおいかけた自称「写真絵本」
 大人になって陸上行動をしているときの生態は意外とよく分かっていないらしい。雌が100〜400個の卵を産むというのだから生存率は推して知るべし。
 かなり厳しい生活を送っていそうだ。

 卵から出たときは前足しかなくて、前足ががっしりしてきてから後ろ足が生えることを知った。
 同じく幼生時代は水中生活のオタマジャクシから考えれば不思議な事じゃないのに、知らないから不思議に感じてしまう。
 たしかカエルは後ろ足から生えるから、それぞれ優先する足が違う点も興味深い。

 表紙にもなっているエラのある顔は特徴的でかわいい。

よみきかせ いきものしゃしんえほん (34) うまれたよ!  イモリ (よみきかせいきものしゃしんえほん)
よみきかせ いきものしゃしんえほん (34) うまれたよ! イモリ (よみきかせいきものしゃしんえほん)
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動物たちの地球大移動 ベン・ホアー著 別宮貞徳 監訳

 移動という戦略をとる大小の動物たち。
 彼らの壮大な旅をそれぞれ追いかけていく。

 北極から南極へ、南極から北極へ旅を繰り返すキョクアジサシは頭がおかしい。本当に白夜依存症でおかしくなっているのかもしれない。さすがに空を飛べる鳥類の機動力はすさまじく、体重数十グラムの小さな鳥ですら驚くような渡りをするものがいた。

 海中にあってはクジラたちが遠距離を旅しているが、主な目的は安全な場所での出産にあるらしい。数ヶ月食事をしないなどの驚くほどの不便を堪え忍んでいる動物が多かった。
 オキアミの上下移動は規模が大きすぎて海水循環に影響を与えるし、アメリカイセエビが隊列を作って深海へ歩いていく様子はユーモラスである。

 陸上の歩く動物たちは人類によって移動を制限されてしまっている場合が多くて、アフリカは本当に貴重な場所になっていた。あとは北極圏や中央アジアくらいかなぁ。
 動物の移動をウォッチングする適地が紹介されているものの、欧米視点の本なのでアジアの適地はほとんど見あたらない。そこがちょっと残念だった。

関連書評
野鳥フィールドノート 水谷高英
子どもと一緒に覚えたい 野鳥の本 山崎宏・加古川利彦

ビジュアル版 動物たちの地球大移動―空と海と大地をめぐる神秘のライフ・サイクル
ビジュアル版 動物たちの地球大移動―空と海と大地をめぐる神秘のライフ・サイクル
カテゴリ:生物 | 15:44 | comments(0) | trackbacks(0)

ユーラシア動物紀行 増田隆一

 動物地理学研究のため、ユーラシア大陸を西から東へ股をかけた著者の紀行的な文庫。
 フィンランドにはじまってロシア、日本とつながる。ロシアがでかい!ロシアさえ何とかすればヨーロッパから極東まで多くの情報が得られることが分かる。
 ロシア国内の研究者は、この利点をどれくらい活かしているのだろう。

 ヴォルガ川を境界とするヨーロッパアナグマとアジアアナグマの分布に交雑がみられる箇所がある点が興味深かった。十分に隔離されて長い年月がたてば新種になるのかな。
 その場合、一方に近縁とは言えない評価になりそう。

 ロシアの大地で活動した探検家の逸話もよかった。ベーリング海峡のベーリングは探検中に亡くなっていたんだな。ステラーも西へ向かう途中で亡くなっているし探検家はやっぱり命がけの仕事だった。

関連書評
日本の動物はいつどこからきたのか〜動物地理学の挑戦
絵でわかる進化のしくみ〜種の誕生と消滅 山田俊弘
マンモスを科学する 鈴木直樹

ユーラシア動物紀行 (岩波新書)
ユーラシア動物紀行 (岩波新書)
カテゴリ:生物 | 23:26 | comments(0) | trackbacks(0)

科学のアルバム イネの一生 守矢登

 やっぱりイネとムギは似た植物なんだな。
 ムギの一生でも撮影されていた苗の先端から水滴が生じている現象がイネでも生じている。もちろん違いはあって茎には空気を根に送るための空洞があったりする。
 植物は栄養を送る管を切っても枯れないというけれど、空気を送る管に穴があいたら――そこから空気が入り込んで助かる?

 さすがにイネは害虫や病気も充実している。「普通の雑草」にとって、病気や害虫が研究・意識されていないだけかもしれない。
 害虫といっても草の方が害だと思われていれば、食害する虫の方が益虫になるし。

 ムギの祖先は「雑草」と表現されていたが、著者の違いかイネはそういう表現はなかった。本書では「野生のイネ」という表現がされている。

イネの一生 (科学のアルバム)
イネの一生 (科学のアルバム)
カテゴリ:生物 | 13:05 | comments(0) | trackbacks(0)

科学のアルバム ムギの一生 鈴木公治

 子供向けに書かれたムギの本。写真がたくさんある。花粉が飛び散るところのストロボ写真は表紙になるほど印象的。でも、自家受粉しちゃうから基本的には無駄弾……花粉が減る方向に品種改良されなかったのは、昔の人にはそんなに見る機会がないからか。減らしても収穫が目立って増えるほど大きな影響はない?スギ花粉すら迷惑がわかって花粉の少ない品種が作り出されているくらいだからなぁ。

 胚乳に注目して成長段階ごとの断面写真が撮られている。もしも、事前に胚乳を切り取って減らしておいたら成長できるのか?そんな実験を見てみたくなった。
 昔の方が粒は小さそうだし大丈夫かなぁ。

 シャーレにイネの種とムギの種を並べて、イネの種だけ水中でも発芽するところを撮った写真が両者の違いをはっきり示していて良かった。陸稲でも水中でやっていけるポテンシャルは残っているのかな。

関連書評
そだててあそぼう7〜ムギの絵本 よしだひさし・へん/めぐろみよ・え

ムギの一生 (科学のアルバム)
ムギの一生 (科学のアルバム)
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