[超微細]美しい昆虫写真 レヴォン=ビス 丸山宗利・訳

 オックスフォード大学博物館におさめられた昆虫の見事な光学顕微鏡写真を多数おさめた写真集。
 昆虫の表面が肉眼ではとらえきれないほど細かい構造によって作られていることが分かる。構造色が美しく彼らの体を彩っている。
 白い昆虫は珍しいとのことでナミビアのシロクロキリアツメとブラジルのオシロイトゲバネコブゾウムシがあえて取り上げられていた。

 ペルーのオオムラサキニジダイコクの美しさが妖しい。最高級のタンザナイトにも負けていない。これで腐肉食性というところも興味深い。

 アフリカコンボウビワハゴロモは写真と名前をみたときは言い得て妙と思ったのだが、棍棒で琵琶で羽衣なんて要素を集めすぎにも思える。

 美麗な写真はピントを少しずつずらして撮影していき、場所によって証明も調整するので、1枚の完成までに約三週間かかるとのこと。フォトショップすごい。

関連書評
昆虫のすごい瞬間図鑑 石井誠
昆虫の擬態 海野和男

[超微細]美しい昆虫図鑑
[超微細]美しい昆虫図鑑
カテゴリ:生物 | 19:06 | comments(0) | trackbacks(0)

世界で一番美しいクジラ&イルカ図鑑 水口博也

 写真家たちのとらえた決定的な瞬間。クジラやイルカたちの驚異的な姿を写した写真集。
 さすがにクジラは大きくて全容をつかみやすい水中写真は珍しい。そのおかげでクジラのもつ圧倒的なスケールが伝わってくる。シロナガスクジラは生まれたてでも全長7m、体重4トンもあるらしい。まぁ、生まれた直後に泳いで呼吸ができないと命に関わるから、しっかり準備して生まれてくるのもあるだろう。

 クジラとイルカの関わりも興味深い情報で、クジラがお産した瞬間にイルカたちも騒いだ事例が報告されているらしい。
 同じ海生ほ乳類として通じ合うものがあるにしろ、不思議なできごとに感じられる。霊長類では同じような現象が……起こるかも。ただ、日頃から親しんでいる個体に限るかな。
 イルカの方が息が続かないので、クジラにまとわりついているイルカが、息継ぎ時にクジラの位置を教えてくれることも面白かった。

 白いクジラ&イルカに限定したコーナーがあったのも、彼らならではと思われる。食物連鎖の上位だから目立っても長生きできるのだ。

関連書評
サボり上手な動物たち〜海の中から新発見! 佐藤克文・森阪匡通

世界で一番美しい クジラ&イルカ図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
世界で一番美しい クジラ&イルカ図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
カテゴリ:生物 | 21:44 | comments(0) | trackbacks(0)

世界で一番美しいペンギン図鑑 水口博也・長野敦

 南半球に特有の飛ぶことをやめ、泳ぐことに特化した鳥たちペンギン。
 その姿を南極をはじめとする秘境でおいかけた写真集。どうやって接近したのやら行っただけでも驚異に思える絶海の孤島の貴重な写真がたくさん撮られていた。南極半島はむしろ行きやすい方なのではないか。

 最初から多数のペンギンが特殊な島で紹介されていて、ペース配分を疑問に感じた。しかし、最後はきっちりコウテイペンギンが決めてくれた。まさに最後に現れる主人公。
 でも、育雛期間はオウサマペンギンの方が長くて、そのせいで3年に2回の子育てという特殊なリズムになっている。

 ペンギンは2個の卵を生む種類が多いけれど、けっきょく片方しか育てないもの、運が良ければ両方育つもの、片方だけの場合も先に生まれた方と後に生まれた方のどちらを育てるかなどの違いがあって興味深かった。
 地球温暖化の影響を受けたアデリーペンギンとジェンツーペンギンの勢力変化も非常に面白い。水蒸気がふえる温暖化のせいで雪が増えて、産卵時期の早いアデリーペンギンが劣勢になるとは意外だった。
 ちゃんと保護できれば、これからも環境の変化を反映した変遷をみせてくれることだろう。

関連書評
ペンギンのしらべかた 上田一生 岩波科学ライブラリー182
コウテイペンギン〜氷の世界のスーパーアイドル

世界で一番美しい ペンギン図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
世界で一番美しい ペンギン図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
カテゴリ:生物 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0)

子どもと一緒に覚えたい 野鳥の本 山崎宏・加古川利彦

 かなり身近な野鳥を中心に特徴と覚え方をレクチャーしてくれる本。子どもを持っている親が読んで一緒に野鳥を学ぶ想定らしい。
 もちろん初心者の身近な野鳥図鑑としても使える。見間違えやすい鳥を写真付きで紹介し、鳴き声の「聞きなし」も載せている。表記された鳴き声と聞きなしが離れていることもあるが……変化していたりするのかなぁ?

 それぞれの鳥を紹介するときには最初に英名入りのイラストが置かれていて、かなりかっちょいい感じがした。手書きでクローズアップして描かれれば小鳥にも威厳が生じる。

 カワセミはなぜか近くの川にいるのだが――意外と汚い川にもいることは本書にも書かれている――ヒレンジャクやルリビタキなど憧れの野鳥が増えた。
 スズメやツバメなど知っている鳥への愛着も増した。

関連書評
野鳥フィールドノート 水谷高英

子どもと一緒に覚えたい 野鳥の名前 (momobook)
子どもと一緒に覚えたい 野鳥の名前 (momobook)
カテゴリ:生物 | 19:46 | comments(0) | trackbacks(0)

美しいプランクトンの世界 クリスティアン・サルデ

 調査船タラ号の世界一周航海をプランクトンたちの美麗な写真で追体験。世界各地に棲息するさまざまな種類のプランクトンが目で楽しめる。ウェブサイト「プランクトンクロニクル」へのQRコードもついていて、リンクを踏めば動画と英語の説明音声を聞くこともできるらしい。

 プランクトンと言ってもいろいろな種類の生き物がいて、それぞれが無視できない役割をはたしながら、複雑に関係しあっている。
 それなりに進化したホヤたちの作り出すゼラチン状物質の働きが興味深い。彼らのおかげでマリンスノーが生まれ、深海への栄養循環が起こっているのだとすれば、いなかった時代の栄養循環はどんなものであったのか。
 まぁ、比較的進化した形態と言っても十分昔からいただろうし、いなければいないで近い生態的な役割を果たす動物は出てきそうだ。

 タルマワシの賢い生き方も印象的だった。まさか子育てまでしてのけるとは、生き方に愛嬌があるなぁ。タルにされる生き物にとっては恐怖でしかないけどな!しかも、ずいぶん頻繁にタルを代えるそうで、それだけ豊かな海に生きているとも思われる。
 まったく(普通は)隠れる場所のない水中は生存競争の地獄だぜ!

関連書評
美しい海の浮遊生物図鑑 若林香織・田中祐志 著 阿部秀樹 写真


美しいプランクトンの世界: 生命の起源と進化をめぐる
美しいプランクトンの世界: 生命の起源と進化をめぐる
カテゴリ:生物 | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)

フィールドの生物学19〜雪と氷の世界を旅して 植竹淳

 究極の環境である氷河の上にも実は生息する生物がいた。著者は世界をまたにかけて、それを追いかける奇特な研究者。
 進路に迷っていた大学4年生時代から、研究者として独立した現在までにいたる著者の足跡が記されている。南極のコケに住み着いている菌がいて、それを追いかけている人の本は読んだことがあったが、氷の上に直接生きている連中までいるとは驚きだった。
 氷河や氷床はよくみる衛星画像の白や青ばかりじゃなくて、微生物により赤(緑や黄色もあるらしい)に染まる場合があるのだ。
 生き物の大半は微生物だが、コオリミミズなる動物も北米大陸にはいるらしいし、コケが特殊な形態で生きている場合もあった。

 氷河の後退を防ぐためにコオリミミズを旧大陸に導入したら、微生物を食べることで氷河のアルベドを改善してくれないか?昼は氷雪の下に潜んでいるのでコオリミミズがアルベドを下げることはない。
 まぁ、ただでさえ繊細な生態系を激変させるような外来生物の導入が今時できるとも考えがたいけど、アフリカの熱帯氷河はどちらにしろ消えてしまいそうだ。

 著者たちの圧倒的な行動力は我が身と比べて溜息が出るほどだった。人によっては、これだけ世界を動き回れるのだと、子供たちにはできるだけ若いうちに知ってもらいたくなる。

関連書評
菌世界紀行〜誰も知らないきのこを追って 星野保:行動範囲が重なっていそう
雪と氷の図鑑 武田康男

雪と氷の世界を旅して: 氷河の微生物から環境変動を探る (フィールドの生物学)
雪と氷の世界を旅して: 氷河の微生物から環境変動を探る (フィールドの生物学)
カテゴリ:生物 | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0)

その道のプロに聞く〜ふつうじゃない生きものの飼い方 松橋利光

 身近すぎて普通は飼うことまで考えない生き物(トノサマバッタ、ダンゴムシ、ニホントカゲなど)から、飼えることなど思いもよらないような有名な生き物(タランチュラやカメレオン、クリオネなど)まで。
 いろんな生き物の飼い方を紹介している本。
 説明が少なければ1ページ、多くても4ページくらいなので、難しい生き物を本格的に飼うためには向いていない。しかし、生命力旺盛な生き物なら何とかなりそうだし、急にもらったり捕まえた場合の当座の手本としては役に立つ。
 けっきょくペットショップや水族館の人に相談した方が間違いがないとも説明されていた。

 草食の生き物と肉食の生き物では餌確保の難易度が大きく違う傾向がみられる。稲科の草をビンにさしておけばいいトノサマバッタと毎日新鮮な虫がほしくてミルワームでも代用できるが長期的には避けた方がいいと言われてしまう肉食昆虫ではサイズが近くても必要な労力は大きく違っていた。
 あと、一日五回の挿し餌が必要なセキセイインコの子供は次元が違っている。でも、やってみたら親鳥の大変さが分かるかもしれない。

 餌をやらなくても体が小さくなるだけのクリオネ(しかも、餌の方がクリオネより高い)は意外にも楽そうだった。

関連書評
その道のプロに聞く 生きものの見つけかた 松橋利光

その道のプロに聞く 生きものの飼いかた
その道のプロに聞く 生きものの飼いかた
カテゴリ:生物 | 21:16 | comments(0) | trackbacks(0)

昆虫のすごい瞬間図鑑 石井誠

 身近な昆虫にも感動の瞬間がある。そもそも身近なのに名前を知らない昆虫がたくさんある。
 人に知られていなくても彼らは熾烈な生存競争を戦っている。

 寄生バチは昆虫の仲間であると同時に昆虫にとっても恐ろしい相手で、20種以上の寄生バチに狙われているツツゾウムシには思わず同情してしまった。
 そんな寄生バチも寄生ハエによって獲物にされることもあると、決定的な瞬間が撮影されている。ああいう場合は卵を産みつけずに餌だけおとりに埋めてしまう生存戦略はできていないのかなぁ。

 あのスズメバチさえ毒針の集中攻撃で倒してしまうヨコヅナサシガメの存在にも驚いた。桜の木専門じゃなければ昆虫の天下を取れそうだ。
 カマキリの共食いに関する情報も興味深く、メモさせてもらった。

 著者は70年以上も昆虫の撮影を続けている1929年うまれの方とのこと(2017年2月の発行である)。本を読んでいると日本には無数に凄い人がいることも実感できる。

関連書評
ムシの考古学[増補改訂版] 森勇一
百姓仕事がつくるフィールドガイド〜田んぼの生き物

昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン
昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン
カテゴリ:生物 | 21:20 | comments(0) | trackbacks(0)

世界の美しい透明な生き物 武田正倫・西田賢司

 海の生物をイメージするタイトルながら陸上の透明生物にも焦点をあてている透明な生き物図鑑。最初は植物からはじまっていて、なかなか網羅している感じがある。

 それでもやっぱり主力は海の生き物になってしまうのだった。見栄えもいいからなぁ。単純に透明なだけではいまいちで、配色の妙や発光の特技が求められているのは否めない。

 サンゴイソギンチャクはある種、直球の見た目が印象的である。複乳趣味の人にはたまらないかもしれない。そして、刺胞に刺されまくる。

 これが陸上にいきるアクラガコアの幼虫みたいになってくると、楽しい連想よりも生理的な抵抗感の方が強くなってしまう。無心にみれば砂糖菓子みたいで綺麗な気もするのだが……うーん。

 透明な生き物に幼生が多いことは孫子の「逃げることも出来ないなら隠れろ」に適っている。もしかしたら、透明生物好きはロリコンと紙一重と言えなくなくもないかもしれない。交尾前ガードはロリコンだし。

関連書評
けったいな生きもの ぴかぴか 深海生物 エリック・ホイト
深海散歩〜極限世界のへんてこ生きもの 藤倉克則

世界の美しい透明な生き物
世界の美しい透明な生き物
カテゴリ:生物 | 07:06 | comments(0) | trackbacks(0)

貝の図鑑&採集ガイド 池田等


 日本の海で見つかる271種の貝を紹介している写真図鑑。中には外来種の貝も含まれている。
 図鑑の解説には「近年激減している」が頻出している。昔より環境汚染が減ったはずなのに、生態系への悪影響にはブレーキが掛かっていない。そんな理由を調べるためにもアマチュアによる稠密な生態調査がおこなわれることに期待したい――決して貝を採りすぎて絶滅に拍車をかけることがないように。
 ある程度、水深が深くなると底曳網や底刺網をあつかう漁師の領分になるらしい。レアな貝に詳しい人は副収入にしているのかなぁ。

 図鑑の前にあった貝のトリビアも興味深かった。
 非常に高価な貝が再発見される約束の場所はフィリピン。日本とは黒潮でつながっている?しかし、マニアはいつかどこかで大量に発見される可能性よりも、今後二度と発見されない可能性を考えて、大枚をはたく。
 鉱物コレクターに通じるところがある。

関連書評
ニッポン貝人列伝〜時代をつくった貝コレクション 石本君代・奥谷喬司
日本の動物はいつどこからきたのか〜動物地理学の挑戦

見て、さわって、不思議を学ぶ! 貝の図鑑&採集ガイド
見て、さわって、不思議を学ぶ! 貝の図鑑&採集ガイド
カテゴリ:生物 | 12:02 | comments(0) | trackbacks(0)
| 1/3PAGES | >>