恐竜消滅―何がかれらを襲ったか― ダグラス・パーマー

 開かれた封印 古代世界の謎17

 おそらく原著が1997年の本。
 恐竜絶滅の原因に関して、隕石説を取り上げながらも海洋生物の衰退はすでに始まっていたとして否定的な情報が集まっていると述べている。さらに精査すると、そうでもなかったことが判明するのだが……。

 恐竜が鳥の祖先である可能性にも触れているが、まだ定説にはなっていない。恐竜発見直後の古い復元図を取り上げて、新しい復元図も載せているが、その新しい復元図もすでに古くなっている。羽毛がない。
 イグアノドンも肉食扱いして、メガロサウルスと噛み合っている復元図ともいえないレベルの復元図が、かつてあったことに驚いた。
 リチャード・オーエンが「恐竜目」を創ったときにイグアノドンとメガロサウルスに加えてヒラエオサウルスも含めているのだが、ヒラエオサウルスについての知識がなかった。ちょっと調べてみたい。

開かれた封印 古代世界の謎シリーズ感想記事一覧

カテゴリ:古生物学 | 21:53 | comments(0) | -

カラーイラストで見る 恐竜・先史時代の動物百科 ダグラス・パーマー

 上原ゆうこ 訳

 副題は「魚類、爬虫類から人類まで」
 CGではない手描きのイラストで過去の動物が総覧できる本。やはり手描きならではの魅力があり、見ていて心地よかった。ヒト類の構図が全部同じになっているのは不気味だったが……それぞれの違いを分かりやすくすることを優先させたようだ。
 タイトルでわざわざ恐竜の名前をあげているのは商業的な理由だろう。特に恐竜の扱いが多いとは感じなかった。時代にあわせている関係で最後は哺乳類になるので途中に載っている恐竜の印象は薄れていた。
 いちばん印象に残ったのは首の長すぎるタニストロフェウスだ。10個の頸椎しかないのに他の部分より首が長いとは……。

 日本で2015年発行になっているが「哺乳類型爬虫類」の用語が出てきて、やや古さを感じた。
 いちばんのそして致命的な問題は紹介される動物の生きている時代を記載していないことだった。なんで、こんな構成にしてしまったんだろう。

カテゴリ:古生物学 | 23:09 | comments(0) | -

恐竜超世界 NHKスペシャル「恐竜超世界」制作班

 小林快次・小西拓哉 監修

 定説になっていないことを再現CGにしたことを告白している本。専門家の「こういう可能性もあります」を錦の御旗にして、創りたいシーンを創っていないか?
 そんな抵抗感を自分が強く覚えるのは、著者が正直に事情を説明しているせいや番組自身は見ていないせいかもしれない。番組の中でも仮説であることが強調されているなら、あまり問題ないんじゃないかな……。
 本質的にはリアル調の3DCGが持つ説得力への危惧かなぁ。ゲームで3DCGに慣れた世代にとってはイラストレーションと同じ「作り物」であることが分かっているのかもしれない。
 実写写真が使われている「むかわ竜」関連の情報は喉に引っかからずに落ちた。

 羽毛恐竜の脇役に出てきたアラスカのナヌークサウルスが、頭のやたらと大きな二頭身的な姿をしていて恐ろしいはずなのにコミカルだった。神の失敗作っぽさがある。

 モササウルス関連の情報は個人的に目新しくて興味深かった。そもそも卵胎生の胎児が溺れないのは羊水に高濃度の酸素が含まれているため?へその緒が母胎と繋がっていないから血液で酸素を送っているわけではないはずで、基礎的な知識が足りないことを痛感した。
 癌により17歳で亡くなった宮内和也さんが残された時間をかけてモササウルスを研究したエピソードには胸を打たれた。

カテゴリ:古生物学 | 23:11 | comments(0) | -

ならべてくらべる絶滅と進化の動物史 川崎悟司・木村由莉

 古生物と現生生物をならべて同じようにイラストと文章で紹介する本。
 とくに哺乳類の種について進化の歴史を詳しくおいかけていて、わかりやすい。綱や目などの系統名は従来通り使っていて、全部類にするようなことはなかった。
 鳥類と恐竜の関係を気にしなければ、やっぱり便利な分類だ。

 猫科は昔から肉食に専門化していて今でも繁栄しているのだから凄い動物だ。インド北西部に残ったライオンが今後も存続できることを願う。

 キリンとオカピは仲間で、オカピが森林に残った化石のような種であることから、研究がしやすくなっている。
 イラストのキリンは舌の出し方が気持ち悪い……高血圧に耐えられるワンダーネットは自分もほしいぞ。あらゆる動物の特長を全部集めた生物の妄想をしてしまった。

 紹介した動物の展示されている博物館にも詳しく触れられていて豊橋市自然史博物館に行きたくなった。
 瑞浪市化石博物館には何度も行ったことがあるが、建物の規模的に限界があるので御理解いただきたい。常設展示していないけれどヘリコプリオンの化石を所蔵していたのだな。

カテゴリ:古生物学 | 18:51 | comments(0) | -

メタセコイア〜昭和天皇の愛した木 斎藤清明

 昭和天皇の愛した和名はアケボノスギ。メタセコイアを定義した三木茂にはイチイヒノキとも呼ばれた植物にまつわる物語。
 生きている化石っぷりに気合いが入っており、化石として見つかるメタセコイアにも1〜2種しか存在しないことに驚いた。更新世に入って多くの土地で絶滅してしまったものの、最初に種が生まれたときの「出来」は良かったに違いない。

 メタセコイアをセコイアなどから分離した三木茂の伝記にもなっていて、戦争に翻弄されながらもコツコツと植物遺体の研究を続けた人柄が伝わってくる。
 農業学校に通う途中で道ばたの植物をすべて調べてのけた経験が、その後の人生にも大きく影響していそうだ。知識は一生の宝だなぁ。

 北極圏にメタセコイアの化石林がみつかっていることの関連で、フランクリンやノルデンシェルトの冒険航海にも触れられている。名前も知らなかったノルデンシェルトが開国直後の日本で大いに歓待されたエピソードを知って、自分の無知を思い知らされた。
 横浜から電報を打つのにロシアの領事がお金を立て替えてくれたエピソードが良い。

カテゴリ:古生物学 | 22:19 | comments(0) | -

ぞわぞわした生きものたち〜古生代の巨大節足動物 金子隆一

 ぞわぞわするなぁ。分類がなかなか定まらなくて。
 化石しか残っていない古生物の悲しさ。議論の尽きない節足動物の古生物に関するアカデミックな本。
 アースロプレウラがメガネウラよりメジャーになっているって本当!?自分のイメージではメガネウラは古生物を知っていれば誰でも知っているけど、アースロプレウラは少し前まで知る人ぞ知る存在だと思っていた(バーチャルユーチューバーがアークをプレイしまくっている最近は除く)。
 頭部の化石がなかなか見つからず復元に苦労していることは知らなかった。ドイツ語の論文が難解極まるものなんて知るよしもなかった。植物食が動かなくて良かった。
 まぁ、メガネウラの知名度については語られもしなかったので、著者の中での評価はハッキリしない。個人的には巨大トンボ(本当は原トンボ)として、姿のイメージしやすいメガネウラに軍配があがると思っている。アースロプレウラを巨大ヤスデと一言でまとめるには太ましいフォルムが……。

 ゴキブリだけは「G」と見出しに書かれていて扱いが特別だった。我々の先祖は確実にゴキブリを食べて命を繋いでいる!
 ついでに巨大ゴキブリの空騒ぎがあったことも知った。いまでもネット上に生き残りの情報がいるかもしれないので気をつけよう。古い復元図にも注意。
 ロマンがありつつ学術的な正確さに関心のある層が薄いので困ったことになりがちな分野なのかなぁ。

 あと、ドイツのウミサソリやサソリの研究者である「キーレスヴィッヒ-ヴェーリング」氏の長い名前が記憶に残った。昆虫の祖先としてウミサソリに疑いが掛かっていることも印象的だったが、まだまだ疑いの段階みたいで単純に暗記することは怖い。

カテゴリ:古生物学 | 18:02 | comments(0) | -

恐竜がいた地球 2億5000万年の旅にGO! ナショジオ

 2億5000万年前の三畳紀から白亜紀までの古生物を主に再現イラストで紹介する2017年のムック。サブタイトルの「2億5000万年の旅」は白亜紀以後を描いていないため正確性に欠ける。「2億5000万年間の旅」じゃなくて、「2億5000万年前から(6600万年前までの)旅」である。

 本が薄い割にあつかう時代が長く地域も地球全体に及んでいるので、内容が広く薄くなるのは仕方がない。発行された当時の恐竜研究の概要を把握するのには、たぶん役立つ。学説について、研究者による差の方が小さくなるのに、何年かかるのかは気になる。
 とりあえずティラノサウルスは毛のない復元だった。

 ちょっとだけ言及のあった南米や南極大陸のティラノサウルス類について詳しく知りたくなった。角竜類は南米に進出できなくてもティラノサウルス類は進出できたのかな。
 バリオニクスがスピノサウルスの仲間でありながら恐竜を食べていたことも印象的だ。

 ここに書いた白亜紀の恐竜だけじゃなくて、三畳紀からの魚竜・首長竜・モササウルス・翼竜・哺乳類についてもイラストにされているので念のため。

恐竜がいた地球 2億5000万年の旅にGO! (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社 (2017-07-11)
カテゴリ:古生物学 | 23:42 | comments(0) | -

リアルサイズ古生物図鑑 中生代編 土屋健・群馬県立自然史博物館

 著者の飼い犬とお宅が写真に写っている!
 サイズ感の話題でたびたび言及されているので、エオラプトル&エオドロマエウスの写真で、モデルになっている二頭の犬(ラブラドール・レトリバーとシェットランド・シープドッグ)が著者の飼い犬であることにピンときた。
 二頭がいる家は写真を撮るための家という可能性もあるな。モデルハウス、いやハウスモデルか?

 中世代編は有名な恐竜がたくさん出てくるので、それなりに知っているつもりの恐竜について、さらにスケール感がつかめた気分になる。
 魚竜の中には沈没船やダイバーと並べられても遠近でサイズがわかりにくい奴もいた。そもそも水中の距離感はイメージしにくい。その点、市場に並べられた奴はわかりやすかった。

 三畳紀の恐竜がサッカーに出場できるシュールSFにはニヤリと笑った。植物からの貴重な出演であるキカデオイデアはカーリング選手に囲まれて何を思う……。

 表紙にもなっているプロトケラトプスのくつろいだ様子がカワイイ。けっこう重量はありそうだが。窓の外にオビラプトルもいることに感想を書いていて気づいた。
 紹介文の最後にやたらと「実際にはいませんので、ご注意を」と繰り返されるのは電子書籍版ではミュートをつけてやってほしいところだ。わかってる。もうわかってるから……。

土屋健(オフィスジオパレント)著作感想記事一覧

古生物のサイズが実感できる!  リアルサイズ古生物図鑑 中生代編
土屋 健, 群馬県立自然史博物館
技術評論社 (2019-07-22)
カテゴリ:古生物学 | 08:02 | comments(0) | -

消えた巨大生物 エマニュエル・グルンドマン ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ

 主に新生代の巨大生物をあつかったナショナルジオグラフィックのビジュアルブック。
 著者がフランス人でインタビューを受けている研究者もフランス人が多めという特徴があった。

 恐竜の時代が終わってからも生物の巨大化への志向は止まることがなく、いくつものほ乳類やは虫類、鳥類が巨大化に挑戦している。
 しかし、巨大化には生存に適した地域がやしなえる個体数の減少による遺伝的多様性の低下という副作用があって、結局は環境変動の前に滅び行く憂き目にあいやすい。
 そんな流れが理解できた。

 ただ生物が進化とともに巨大化していく「コープの法則」は、統計上の錯覚として否定されているのではなかったか?本書では確かなこととして扱われているが、日本の恐竜研究者の本でそう読んだ記憶があった。
 注意する必要がありそうだ。

 「インドコテリウム」は、古生物にありがちなことに、名前が変わっているんだな。「バルキテリウム」で覚えておこう。

スーパービジュアル再現 消えた巨大生物
スーパービジュアル再現 消えた巨大生物
カテゴリ:古生物学 | 22:12 | comments(0) | -

恐竜研究室3〜恐竜絶滅のなぞ ヒサ クニヒコ

 2013年発行。隕石衝突説が最有力ながら他の説もイラスト入りで紹介されている。とくに火山噴火説は隕石(小惑星)衝突の衝撃が誘発したものという説にも触れている。
 けっきょくデカン高原の噴火は年代があわないって話もあったはずだが、どうなんだっけ?うまく整理できていない……。
 ウイルス説は今にして思えばツッコミどころが多く、鳥類が恐竜の仲間であることが分かったからには鳥類もやられるはずだし(実際に多様性を失っているが)ほ乳類も鳥類と同じようにダメージを受けたことを説明できない。
 本当に多くの種に感染するウイルスの場合は鳥盤類のほうが鳥類よりダメージを受けない展開まであるな。

 首長竜のイラストが首を高くあげて180度曲げていた。その復元は古いと知ったばかりなので取り上げたくなる。
 多くの恐竜が羽毛のついた姿で復元されているが、羽毛とデフォルメのかかったイラストの相性はあまり良くないと感じた。鳥ならデフォルメされても羽毛を持つことを前提に理解しているわけで、恐竜を見慣れていないことも原因のひとつか。

恐竜研究室〈3〉恐竜絶滅のなぞにせまる
恐竜研究室〈3〉恐竜絶滅のなぞにせまる
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