1等星図鑑〜全21個の特徴がすべてわかる 藤井旭

 太陽系のご近所さん。夜空でひときわ輝く1等星たちに焦点を合わせた図鑑。北半球の1等星は季節ごと、南半球の1等星6個は最後にまとめて紹介されている。
 沖縄までいけば日本からでもすべての1等星がみえるらしい。新型コロナウイルスで沖縄旅行にいける状態ではないが、夢の広がる話だった。やっぱりオーストラリアやニュージーランドからみる天の川の濃い部分をじっくり眺める経験もしてみたいな。
 アフリカや南アメリカの名前があがらなかったのは、時差の関係で日本から行くならオーストラリアやニュージーランドが便利だからかな?そういえばグアムも名前が挙がっていた。

 1等星は近くの星か、巨大な星が多いため、かなり多くのことが分かっている。自転速度が速くて扁平な一等星がいくつもあることに慄いた。アルタイルは分解寸前。
 超接近した二重星のスピカもすさまじい星だ。

 相手側からみた太陽の明るさは非常に暗いことから地動説直後の太陽中心視点からの脱却をさせてくれる。また、星空の数万年単位の変化も扱っているし、ベテルギウスの不安定な状態を紹介しているので宇宙にも不変の物はないのだと読者に教えてくれる。

カテゴリ:天文 | 15:12 | comments(0) | -

MARS|火星 未知なる地表 惑星探査機MROが明かす、生命の起源

 アルフレッド・S・マキュイーン、フランシス・ロガール、グザヴィエ・バラル、宮本英昭

 火星の地表を偵察するマーズ・リコネサンス・オービターによる火星地表画像集。大判に引き延ばされた詳細画像は見応え十分。解説を巻末に完全分離して画像だけに集中できる構成になっている。
 多数の層がなす地表、砂丘に覆われた地表、ダストデビルが縦横無尽に暴れ回った地表、間欠泉が吹き出した地表など、火星表面が多様性に富んでいることが分かる。
 非常に高い解像度で撮影が可能なため、現在の火星でも砂丘の移動があることを明らかにしている。水の影響が疑われるガリーについても、もちろん狙い撮りしている。しかし、太陽光の当たらない北斜面に生じるガリーが性質は不思議だ。
 噴出物が白と黒の二色ある画像から間欠泉の深さが二種類あることを読みとったのだが、解説には特に指摘されておらず自信がなくなった。

 MROは解像度が高い代わりにデータ量も多く、火星の極一部しか撮影できていない。特定の地域は定期的に撮影した方がいいだろうし、火星全体を撮影し尽くすことは無理らしい。
 いささか残念だが、他の探査衛星の画像とあわせて火星理解のデティールを高めたいものだ。

 ところでコントラストの非常に激しいモノクロ画像をみると、解析者がトーンカーブの処理に苦労したことを想像する。白トビを避けつつ、黒い部分までちゃんと見えるように調整するのは大変だったに違いない。

カテゴリ:天文 | 23:15 | comments(0) | -

星を楽しむ 天体観測のきほん 大野裕明・榎本司

 きれいな写真とわかりやすい解説で、最新の情報を盛り込んだ天体観測の入門書。
 ただし、著者はスケッチをお勧めする人でもある。太陽の黒点観測でちょっとだけスケッチしたことあったなぁ……星雲はやっぱり写真に撮りたかった。

 太陽、月、惑星、主なメシエ天体などのサンプル的な写真が載っている。二重星の写真はやや珍しいかもしれない。オーロラはなかった。まぁ、国内ではほとんど観測できないし……。

 流星群は三つがオススメされていて、4ヶ月に1回のチャンスになる。そう思うと意外と少ない。
 ほとんどの流星群を全夜観測し続けるような怪物もいると書かれていて、天文ファンの恐ろしさを再実感した。健康な人が天文ファンになるとは限らないが、健康でなければ重度の天文ファンを長く続けることはできない。

カテゴリ:天文 | 12:43 | comments(0) | -

ブックガイド<宇宙>を読む 岩波書店編集部

 岩波科学ライブラリー152

 宇宙に関わる人々による推薦図書集。
 紹介されているほとんどの本がおもしろそうで、紹介されるたびに読んでみたくなる。紹介者の年代の関係もあるのか、カール・セーガンの人気はすさまじい。

 翻訳者の野本陽代氏が紹介したあとの記事で、野本氏が翻訳した本が紹介されていたことに笑った。
 宇宙関連の業界はちょっと狭い?
 的川氏の勧める本が日本の職人の本だったりして意外と異色だった。

 宇宙にかんする研究は日進月歩で、少し前の通説がひっくり返されていることもある。
 そんな最前線に立ってきた人々が勧めるからこそ、不朽の価値をもった本であることを信じられる。

ブックガイド“宇宙”を読む (岩波科学ライブラリー)
ブックガイド“宇宙”を読む (岩波科学ライブラリー)
カテゴリ:天文 | 20:23 | comments(0) | -

太陽系探査の歴史&宇宙に近づく22のアクティビティ

 いちおう子供向けの体裁になっているが、中身はかなり硬派な太陽系探査の歴史についてまとめた本。
 歴史的な経緯から極最近の太陽系探査まで、日本のはやぶさも含めて紹介している。系外惑星についての言及はあまりなくて、あくまでも太陽系に限っている部分はある。

 ボイジャーの性能が今が一番高いと言われていたり、ガリレオのアンテナ問題が乗り越えられていたり(けっきょく低利得アンテナで完全に送信できたことは説明しきれていなかったが)スピリットの問題が突き止められたり、NASAの対応力の高さを知らしめるエピソードが多かった。
 一方で単位間違いの大失敗も出てくるが。

 科学者のコメントやガリレオの探査結果からイメージされた木星の立体構造の画像をみることで、未知なる新世界への憧憬が久し振りに湧き上がってきた。
 現実に到達できないまでも魂は新世界を訪れてみたいものである。

太陽系探査の歴史 (ジュニアサイエンス)
太陽系探査の歴史 (ジュニアサイエンス)
カテゴリ:天文 | 19:30 | comments(0) | -

星を楽しむ 星空写真の写しかた 大野裕明・榎本司

 ミラーレスデジカメからスマートフォンまで様々な機材を使った星空写真の撮影方法を美しい実例写真と一緒に教えてくれるハウツー本。
 天体望遠鏡を利用した拡大撮影についてはほとんど触れていないので、少し注意。必要な機材が比較的すくなく、取っつきやすいところから攻めている。

 本書で天体ファンの間でタイムラプス撮影が流行していることを知った。
 動画投稿サイトが流行していること、カメラの性能がどんどん向上していることが背景にありそうだ。前景とあわせてこそ、ひとつしかない天体写真をつくれる時代でもある。

 それにしても表紙の犬のシルエットはできすぎ。何枚合成したのかな?

星を楽しむ 星空写真の写しかた: 星、月、星座、流れ星、うつくしい星空を素敵に撮る
星を楽しむ 星空写真の写しかた: 星、月、星座、流れ星、うつくしい星空を素敵に撮る
カテゴリ:天文 | 20:27 | comments(0) | trackbacks(0)

月を知る! 吉川真・三品隆司

 月についてのわかりやすい子供向けの本。
 ただ、エイトケン盆地に月の最低地点と最高地点があると説明されていても、図の色分けでは他の場所に最高地点がありそうに見える。そこについては、もっと詳しく描いてくれても良かったのではないか。

 他の惑星の衛星なども紹介されていて、月に話題が集中しているとは言えなかった。フィクションの中の月なども紹介していて、専門性には限界がある。

 子供でも肉眼で観察できる対象だからこそ、肉眼や双眼鏡で分かるようなことを詳しく説明するのは理解できる。
 月面を石が転がった写真からまったくスケール感が感じられずに混乱した。クレーターはフラクタルだから、大きさの参考にならない。空気によるかすみ方で判断できるわけでもない。
 そういうところにも月らしさを感じた。

調べる学習百科 月を知る!
調べる学習百科 月を知る!
カテゴリ:天文 | 20:41 | comments(0) | trackbacks(0)

月の地形観察ガイド 白尾元理 誠文堂新光社

 地球上から月の地形を楽しむためのガイドブック。自分の目で見て楽しむことへの強い意識が感じられて、バーチャルへの依存を見直したくなった。
 もっとも著者は月探査機の成果をみて楽しむことも否定はしていないどころか勧めている。さらには月の地形に類似している地球の地形を見に行くことまで勧めているので、ともかくアクティブである。
 東京からなら伊豆大島まで日帰りできることを知った。

 月の地形は月齢ごとと、部分に分けて、後者でやや詳しく解説されている。
 成因についての議論も押さえているので、観察しながら自分なりの仮説を立ててみるのも楽しそうだ。
 常に一方を向けているために、秤動への観察者のこだわりがかき立てられていることを感じる……でも、裏面が存分に観察できるなら観察したいよなぁ。

 まだ月に火山活動は残っているのか、微妙な着色は溶岩の違いによるもの、など時折「生きた月」を感じさせてくれることがあった。

関連書評
月のきほん 白尾元理
双眼鏡で星空ウォッチング 第3版 白尾元理
ビジュアル図鑑 写真で比べる地球の姿 ナショナルジオグラフィック
火山全景〜写真でめぐる世界の火山地形と噴出物 白尾元理

月の地形観察ガイド: クレーター、海、山脈 月の地形を裏側まで解説
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カテゴリ:天文 | 21:57 | comments(0) | trackbacks(0)

火星を知る! 吉川真・監修 三品隆司・構成 文

 2018年12月31日に発行された火星の本。子供向けの構成だが最新情報を取り込んでいるし、版が大きいことから画像の迫力や1ページの情報量がある。

 定番のローウェル関連は退屈だったが、対比でアントニアディのスケッチが注目されるようになってきたのは歓迎できる。
 まるでハッブル宇宙望遠鏡や画像処理した大口径望遠鏡のようなカラースケッチには感動した。

 火星の地形では「大陸」の名前に焦点をあわせているところが目新しかった。名前だけでも大陸と海が並べられると地球に適応した人類の想像力を強く刺激する。
 地殻の種類が分かれていなくても、かつては海が存在したと考えられてもいるし。

 今後の火星探査計画にも触れられていてアラブ首長国連邦がHAロケットで打ち上げる探査機が気になった。科学成果の期待においては、まだまだアメリカ・ヨーロッパ・日本だろうけど。

関連書評
MARS(マーズ)火星移住計画 レオナード・デイヴィッド
火星の科学-Guide to Mars- 藤井旭+荒舩良孝

調べる学習百科 火星を知る!
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カテゴリ:天文 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0)

微隕石探索図鑑〜あなたの身近の美しい宇宙のかけら

 ヨン・ラーセン著、野口高明 米田成一 監修、武井摩利 訳

 都市部でも微隕石をみつけることは可能!それを証明した著者による微隕石と類似物質の図鑑。同じ方法を使えば、誰でも身近なところから微隕石を見つけられるとのこと。
 ただし、顕微鏡の扱いには熟練しなければならないし、確定には化学分析もしておきたい。都市部でも見つかることを考えれば、日本は意外と条件がいいのかもしれない。

 微隕石の写真をみていたら「ナゲット(金属片)が一部に表れている奴は微隕石なんでしょ?」と簡単に考えてしまった。その甘さは花火由来微小球体に同様の構造をもつものがあると分かって否定されてしまう。
 花火なら場所を気をつければ、あまりないかもしれないが……。
 いちばん良いのは磁鉄鉱の「クリスマスツリー構造」を確認することみたいだ。

 微隕石も興味深いが、人間活動や火山活動に由来する微小球体も興味深く魅力的でさえあるので、細かい作業が好きな人には楽しめる新しい趣味になるかもしれない。
 鉱物のマイクロマウントを作っている人が大量参入すれば!?

関連書評
星くずたちの記憶〜銀河から太陽系への物語 橘省吾

微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら
微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら
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