月を知る! 吉川真・三品隆司

 月についてのわかりやすい子供向けの本。
 ただ、エイトケン盆地に月の最低地点と最高地点があると説明されていても、図の色分けでは他の場所に最高地点がありそうに見える。そこについては、もっと詳しく描いてくれても良かったのではないか。

 他の惑星の衛星なども紹介されていて、月に話題が集中しているとは言えなかった。フィクションの中の月なども紹介していて、専門性には限界がある。

 子供でも肉眼で観察できる対象だからこそ、肉眼や双眼鏡で分かるようなことを詳しく説明するのは理解できる。
 月面を石が転がった写真からまったくスケール感が感じられずに混乱した。クレーターはフラクタルだから、大きさの参考にならない。空気によるかすみ方で判断できるわけでもない。
 そういうところにも月らしさを感じた。

調べる学習百科 月を知る!
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月の地形観察ガイド 白尾元理 誠文堂新光社

 地球上から月の地形を楽しむためのガイドブック。自分の目で見て楽しむことへの強い意識が感じられて、バーチャルへの依存を見直したくなった。
 もっとも著者は月探査機の成果をみて楽しむことも否定はしていないどころか勧めている。さらには月の地形に類似している地球の地形を見に行くことまで勧めているので、ともかくアクティブである。
 東京からなら伊豆大島まで日帰りできることを知った。

 月の地形は月齢ごとと、部分に分けて、後者でやや詳しく解説されている。
 成因についての議論も押さえているので、観察しながら自分なりの仮説を立ててみるのも楽しそうだ。
 常に一方を向けているために、秤動への観察者のこだわりがかき立てられていることを感じる……でも、裏面が存分に観察できるなら観察したいよなぁ。

 まだ月に火山活動は残っているのか、微妙な着色は溶岩の違いによるもの、など時折「生きた月」を感じさせてくれることがあった。

関連書評
月のきほん 白尾元理
双眼鏡で星空ウォッチング 第3版 白尾元理
ビジュアル図鑑 写真で比べる地球の姿 ナショナルジオグラフィック
火山全景〜写真でめぐる世界の火山地形と噴出物 白尾元理

月の地形観察ガイド: クレーター、海、山脈 月の地形を裏側まで解説
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火星を知る! 吉川真・監修 三品隆司・構成 文

 2018年12月31日に発行された火星の本。子供向けの構成だが最新情報を取り込んでいるし、版が大きいことから画像の迫力や1ページの情報量がある。

 定番のローウェル関連は退屈だったが、対比でアントニアディのスケッチが注目されるようになってきたのは歓迎できる。
 まるでハッブル宇宙望遠鏡や画像処理した大口径望遠鏡のようなカラースケッチには感動した。

 火星の地形では「大陸」の名前に焦点をあわせているところが目新しかった。名前だけでも大陸と海が並べられると地球に適応した人類の想像力を強く刺激する。
 地殻の種類が分かれていなくても、かつては海が存在したと考えられてもいるし。

 今後の火星探査計画にも触れられていてアラブ首長国連邦がHAロケットで打ち上げる探査機が気になった。科学成果の期待においては、まだまだアメリカ・ヨーロッパ・日本だろうけど。

関連書評
MARS(マーズ)火星移住計画 レオナード・デイヴィッド
火星の科学-Guide to Mars- 藤井旭+荒舩良孝

調べる学習百科 火星を知る!
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微隕石探索図鑑〜あなたの身近の美しい宇宙のかけら

 ヨン・ラーセン著、野口高明 米田成一 監修、武井摩利 訳

 都市部でも微隕石をみつけることは可能!それを証明した著者による微隕石と類似物質の図鑑。同じ方法を使えば、誰でも身近なところから微隕石を見つけられるとのこと。
 ただし、顕微鏡の扱いには熟練しなければならないし、確定には化学分析もしておきたい。都市部でも見つかることを考えれば、日本は意外と条件がいいのかもしれない。

 微隕石の写真をみていたら「ナゲット(金属片)が一部に表れている奴は微隕石なんでしょ?」と簡単に考えてしまった。その甘さは花火由来微小球体に同様の構造をもつものがあると分かって否定されてしまう。
 花火なら場所を気をつければ、あまりないかもしれないが……。
 いちばん良いのは磁鉄鉱の「クリスマスツリー構造」を確認することみたいだ。

 微隕石も興味深いが、人間活動や火山活動に由来する微小球体も興味深く魅力的でさえあるので、細かい作業が好きな人には楽しめる新しい趣味になるかもしれない。
 鉱物のマイクロマウントを作っている人が大量参入すれば!?

関連書評
星くずたちの記憶〜銀河から太陽系への物語 橘省吾

微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら
微隕石探索図鑑: あなたの身近の美しい宇宙のかけら
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火星の科学-Guide to Mars- 藤井旭+荒舩良孝

「水、生命、そして人類移住計画 赤い惑星を最新研究で読み解く」という長いサブタイトルがついている。2018年の火星大接近にあわせて出版されたことが、あからさまな本。
 入門的な内容なのでローウェルの運河探しなど、アイスバーンな部分も多かった。

 それでも新鮮に感じたのは運河説を否定したアントニアジのスケッチが高く評価され、いくつか掲載されていたことと、日本のアマチュア天文家の活動が取り上げられていたことだ。
 また、キュリオシティ以降の火星探査機の活動は、あまり把握できていなかったので、興味深く読むことができた。アメリカはともかく、ヨーロッパとロシアによるエクソマーズミッションはノーマークだった。
 さすがに日本のフォボスからのサンプルリターンミッションは把握していた(フォボスへの着陸は世界初の挑戦と説明されているが、ソ連の探査機が挑戦自体はしたことがあったはず)。

 本書を通して、あいかわらず火星は人々の興味を引き続けていることがわかった。

関連書評
宇宙探査機 フィリップ・セゲラ著 川口淳一郎・監修 吉田恒雄・訳
MARS(マーズ)火星移住計画 レオナード・デイヴィッド
人類が火星に移住する日 矢沢サイエンスオフィス・竹内薫

火星の科学 ‐Guide to Mars-: 水、生命、そして人類移住計画 赤い惑星を最新研究で読み解く
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月と太陽ってどんな星? 縣秀彦

 サブタイトルは「もっとも身近で不思議な星を科学しよう」。もっともは身近だけに掛かっていて不思議には掛かっていない?二つ併せておきる月食と日食の現象は宇宙的にみても、不思議な部類かもしれない。

 太陽については、赤色巨星になったときでも金星軌道までしか膨らまないと書かれていて、「地球軌道まで来るか来ないか」と言われていた時代から知識がアップデートされた。

 月の出は中心が地平線上にみえたときで、日の出は端っこがみえたときと、微妙に定義が異なることも新知見だった。
 肉眼観察時代からの伝統的にそうなる理由は理解できるが、ややこしい……。

関連書評
系外惑星の事典 井田茂・田村元秀・生駒大洋・関根康人
大宇宙MAP〜天体の距離から見えてくる宇宙の構造〜 沼沢茂美・脇谷奈々代

月と太陽ってどんな星?―もっとも身近で不思議な星を科学しよう (子供の科学★サイエンスブックス)
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デジタルカメラによる天体写真の写し方 中西昭雄

 ほぼ一眼レフデジタルカメラに集中。デジタルカメラを使った天体写真の撮影方法を固定撮影から、天体望遠鏡をもちいた拡大追尾撮影まで紹介している入門書。
 とりあえず一眼レフデジタルカメラと丈夫な三脚がほしくなってしまうのは否めない。赤道儀に手を出したら天体写真沼へ足を踏み入れたとの自覚が必要か。
 一部説明が重複している感じなのは、雑誌の連載特集を一冊の本にしたて直した関係と思われる。

 できるだけ条件をそろえて、ひとつの設定だけを変更した写真をたくさんとって比較してくれており、設定の効果がとてもわかりやすかった。
 光害のために毎晩移動を繰り返したと思うと……おつかれさまである。

 サンプル写真のために三脚を用意する人と、撮影をする人が、別の女性である点がなんとなく気になった。

関連書評
双眼鏡で星空ウォッチング 第3版 白尾元理
星降る絶景〜一度は見てみたい至極の星景色 沼澤茂美
よくわかる天体望遠鏡ガイド えびなみつる

デジタルカメラによる天体写真の写し方―基礎からわかるきれいに撮れる
デジタルカメラによる天体写真の写し方―基礎からわかるきれいに撮れる
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超・絶景宇宙写真〜NASAベストフォトセレクション 寺門和夫

 NASAの写真ばっかりなのは、副題がNASAベストフォトセレクションだからしかたないと思っていたけれど、微妙に欧州宇宙機関の写真は採用されている宇宙写真集。それならば太陽写真や月写真で日本にも出番がほしかった〜。
 枚数が限られているのでしかたないね。

 写真は四種類にわけられている。宇宙探査の歴史がわかる「フロンティアへの挑戦」太陽系内の惑星をみていく「太陽系グランドツアー」さらに遠く星雲や銀河をみる「宇宙の神秘」最後に宇宙からみた地球の美しさを訴える「母なる惑星、地球」である。
 どれも見応えのある写真が多く、太陽系グランドツアーについてはもっと多くの写真を見たいと思った。メッセンジャーが水星に到達した現状では天王星と海王星の写真が手薄といえる。冥王星探査ができたのだから、いまのNASAにとっても観測の射程圏内なのは間違いなく、新しい観測成果を期待したい。

 宇宙の神秘では表紙にもなっている「こと座のリング星雲」のすばらしい写真がみられる。LBT(大双眼鏡)による赤外線の観測データによってとらえられた初期に放出されたガスがなんとも綺麗だった。
 本体だけでも美しいのに、こんな隠し球をもっていたとは!

関連書評
FAR OUT(ファー・アウト)銀河系から130億光年のかなたへ マイケル・ベンソン/檜垣嗣子
宇宙の「一番星」を探して 谷口義明

超・絶景宇宙写真─NASAベストフォトセレクション
超・絶景宇宙写真─NASAベストフォトセレクション
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宇宙の「一番星」を探して 谷口義明

〜宇宙最初の星はどのように誕生したか〜
 天文学の大きなテーマ。宇宙最初の星探しに関してわかりやすく、多くの説明画像を使って、教えてくれる本。
 著者の一番星探しの原風景がうつくしい。自分は経験した記憶がないけどな――けっこう進路に大きな影響をあたえたのかなぁ。世界各地の天体望遠鏡が活躍していて、今後(2011年執筆当時からみて)の望遠鏡計画も紹介されていた。
 やはりハッブル宇宙望遠鏡は偉大なり。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の能力にも期待だけれど、途中で修理はできない計画なのでハッブル宇宙望遠鏡ほどの長寿にはなれそうもない。絶対量でハッブルの積み重ねた功績を打ち破ることは難しそうだ。
 日本のすばる望遠鏡も大活躍していて感心した。ケック望遠鏡の前に最大記録をもっていたけれど、性能がいまいちだったというロシアの望遠鏡も気になった。

 手法においては遠くの天体探しに威力を発揮するライマン・ブレーク法がおもしろかった。スーパーウインドウまでの説明が綺麗につながっていて印象に残る。
 情報のかぎられた遙か過去のことでも論理的に当たりをつけていく天文学の魅力も伝わってきた。

関連書評
HST ハッブル宇宙望遠鏡のすべて 沼澤茂美・脇屋奈々代
ハッブル望遠鏡の宇宙遺産 野本陽代
「静かなる誕生」から「激動の死」へ 太陽と恒星 ニュートンムック

宇宙の一番星を探して 宇宙最初の星はいつどのように誕生したのか
宇宙の一番星を探して 宇宙最初の星はいつどのように誕生したのか
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ブラックホールを見る! 嶺重慎 岩波科学ライブラリー144

 多くの人をひきつけずにはいられない不思議な天体ブラックホール。その実際を天文学者の著者が説明してくれる――が、頭が良すぎてついていけない場合があった。いや、自分の頭が悪すぎるのか。
 ブラックホールの名付け親が元々はブラックホールの存在反対派だったと聞いて「ビッグバン」のエピソードを思い出してしまったが、ブラックホールの場合は研究の結果ブラックホール存在派に転向した人らしいので、微妙に違っていた。

 恒星質量ブラックホールと銀河の中心にある大質量ブラックホールの間を埋めるブラックホールが存在しないのか、興味をかき立てられた。二つはできかたから違う感じがするけれど……?

 チャンドラX線望遠鏡がブラックホール研究に活躍していたり、日本国内に設置される1メートル〜3.8メートル口径の天体望遠鏡がブラックホール研究に有効だったり、ちょっと目立たない機材の必要性が説明されているところも良かった。
 あと、天文学における研究進展の流れの説明は何かのコピペみたいで微笑ましい。やはり理論と観測・実験の三人四脚が天文学の発展には欠かせない。

ブラックホールを見る! (岩波科学ライブラリー)
ブラックホールを見る! (岩波科学ライブラリー)
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