難病に挑む遺伝子治療 小長谷正明 岩波科学ライブラリー255
2024.02.27 Tuesday | by sanasen
筋ジストロフィー、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、そして球脊髄性筋萎縮症。
名前は聞いたことのある難病の症状や原因、治療に向けての研究状況を知ることができる。
遺伝子治療はとても大きな武器であり、1949年生まれの著者にとって原因を探るだけで患者を見守るしかなかった時代からの変化がとても感慨深いことも説明されている。特にiPS細胞への期待は大きなものがあるようだ。
ハンチントン病に関連するタンパク質の名前がハンチンチンとあって、かなりのインパクトを感じてしまった。人名からついている名前は思わぬ形で派生する。
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症の名前を知ってしまうと人名からシンプルな名前をつけることのメリットを感じざるを得ない。球脊髄性筋萎縮症を「川原・向井病」と呼ぼうとする運動にもそんな方向から共感してしまう。
検索すると「川原・滝川・向井病」と書いている論文もあるようだ。
一番詳しく書かれていた筋ジストロフィーに対して、最も深刻なデュシェンヌ型をそれよりは軽度なベッカー型の状態にすることで治療を行う発想に唸ってしまった。これもデュシェンヌ型・ベッカー型の研究がそれぞれ蓄積されているからこそ導き出せた治療方法なのだろう。
重要な巨大タンパク質ジストロフィンの細胞内での物理的な機能も興味深かった。人体は神秘がいっぱいだ。
関連書評
Y染色体からみた日本人 中堀豊 岩波科学ライブラリー110
名前は聞いたことのある難病の症状や原因、治療に向けての研究状況を知ることができる。
遺伝子治療はとても大きな武器であり、1949年生まれの著者にとって原因を探るだけで患者を見守るしかなかった時代からの変化がとても感慨深いことも説明されている。特にiPS細胞への期待は大きなものがあるようだ。
ハンチントン病に関連するタンパク質の名前がハンチンチンとあって、かなりのインパクトを感じてしまった。人名からついている名前は思わぬ形で派生する。
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症の名前を知ってしまうと人名からシンプルな名前をつけることのメリットを感じざるを得ない。球脊髄性筋萎縮症を「川原・向井病」と呼ぼうとする運動にもそんな方向から共感してしまう。
検索すると「川原・滝川・向井病」と書いている論文もあるようだ。
一番詳しく書かれていた筋ジストロフィーに対して、最も深刻なデュシェンヌ型をそれよりは軽度なベッカー型の状態にすることで治療を行う発想に唸ってしまった。これもデュシェンヌ型・ベッカー型の研究がそれぞれ蓄積されているからこそ導き出せた治療方法なのだろう。
重要な巨大タンパク質ジストロフィンの細胞内での物理的な機能も興味深かった。人体は神秘がいっぱいだ。
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