ヒトは120歳まで生きられるのか〜生命科学の最前線 田原総一朗

 ゲノム編集やiPS細胞によって科学者が万能感を覚えた直後の新型コロナウイルス大流行だったのか。規制が必要とあれほど言うのは規制さえなければ何でもできてしまう感覚があったからと感じる。
 まぁ、実際もう少し新型感染症の流行を遅らせることができたなら、手立ては増えたのかもしれない。

 本書は生命科学の第一線にいる科学者たちに著者が取材して、人類の未来に思いを馳せたドキュメンタリー。
 その120歳時代の生き方について語る第6章に出てくる人物や組織の残念さが凄い……自分のスタンスからは非常に警戒してしまう顔ぶればっかりだ。
 主張に裏の目的があるように思えてならない。

 堀江氏も推しているベーシックインカムそのものは興味深い政策で、各国の動向への注視が必要と思う。著者の85歳という年齢も本書を書く強い動機になっているのだろうな。
 アクティブな人だ。

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美しい科学の世界〜ビジュアル科学図鑑 伊知地国夫

 表紙の写真をビタミンだろうと予想した。ちゃんとビタミンCだった。偏光顕微鏡で撮影されたことは予想外だった。
 どこかで同種の写真をみているのだが、しっかりした記憶に残ってはいない……それでも蓄積があったことは喜びたい。次は偏光顕微鏡であることと、出典である本書も当てるぞ!

 本書は科学的かつ美しい写真をたくさん収録した写真集。
 ちょっとした工夫で(と言ってもそれを発見するのが大変に違いないのだが)日常的な場面からも美しい科学写真をたくさん得られることを示している。
 裏表紙のプラスチックの干渉縞があらわれた写真からは、これを利用して応力の検査をすることを思い出した。

 自然物にも焦点が当たっていて、インクで染めた葉脈の写真はどこまでも目で追いかけたくなった。日食や月食の決定的な瞬間を写した写真もあって、ミクロからマクロまで広い視野で科学的な写真が撮られている。

美しい科学の世界 ビジュアル科学図鑑
伊知地 国夫
東京堂出版 (2017-09-25)
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気候変動〜瀬戸際の地球 ナショナルジオグラフィック別冊8

 もしドイツが褐炭発電をやめて原子力発電をやっていたら、と考えてみたが、原子力では出力調整がやりにくいので、再生可能エネルギー発電と組み合わせるのは難しそうだ。
 やはり天然ガスか、せめて無煙炭で発電しろとは思うが。もっとも、フランスとの電力貿易を通じて原子力とも事実上はミックスしていると見ることもできる。
 日本が参考にすべきはアメリカ領タウ島の太陽光発電の方かな。ディーゼル発電と違ってパンデミックが起こったら外部との連絡をシャットダウンしやすくなるのも強い利点だ。

 極地やガラパゴス島の環境が大きな変動に見舞われていることが美麗な写真やグラフで分かりやすく説明されている。最後には地球温暖化で利益をえそうな生物も一部紹介されているが、そこに人類が入ることはないだろう。
 タヒチの沈没する危機に直面している島々の様子には胸が締め付けられた。彼らにはマングローブの植林で土壌の浸食を減らすくらいしか自分たちにできる対抗手段がないのだ……。

 あと、ガラパゴス諸島にはダーウィン山とダーウィン島があるが、ダーウィン山はダーウィン島ではなくイサベラ島にあることを覚えた。

気候変動 瀬戸際の地球 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社 (2017-11-06)
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世界一空が美しい大陸 南極の図鑑 武田康男

 南極はいいな。
 太陽が沈むときにグリーンフラッシュどころか、ブルーフラッシュやバイオレットフラッシュまで見えるらしい。オーロラ下部の窒素が光っているピンク色も綺麗だ。
 氷山がブルーレースアゲートのように青色の縞模様になっていたり、美しい色の数々が印象的だった。

 気象関係の記述が多いものの、陸地や生物についても取り上げている。ブリザードが来たときの昭和基地の厳しい生活には冒険の味わいもあった。カタバ風こわい。

世界一空が美しい大陸 南極の図鑑
武田康男
草思社 (2010-07-22)
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時間はどこで生まれるのか 橋元淳一郎 集英社新書

 時間の本質は人間存在にも密接に関係している!?
 時間の謎に迫ることで、この世の感じ方(あり方でもない)を明らかにしていく知的好奇心を刺激する本。

 ともかく著者の説明がわかりやすくて感心する。数式もほとんど使わず、ここまで分かった感覚を与えてくれるのは凄い。
 サクサク読めるのに深い部分に理解が届いた手応えがある。この著者の本を他にも読んでみたい。

 反粒子が時間を逆行していて、エントロピーが秩序に向かう方向への世界もありえる(が人間には認知できない)という説明を聞いて、なんとなくスレイヤーズの魔族を連想してしまったりした。やつらは反物質でできた秩序へ向かう世界を生き物だったんだよーなんて。でも、混沌を目指しているのはエントロピー極大志向かな。
 しょうもない連想、くだらないこじつけではあるが、そんな記憶の結びつき方もあった。

 充実の付録にはかえって混乱するところがあるけど、それは自分が本当には理解していないことを示すのであろう……。

時間はどこで生まれるのか (集英社新書)
橋元 淳一郎
集英社 (2006-12-14)
カテゴリ:科学全般 | 23:08 | comments(0) | -

電子顕微鏡でみる超ミクロの世界 矢口行雄

「ものの形・生き物のしくみがよくわかる」

 電子顕微鏡で撮影した昆虫・植物・菌類・細菌・身近なものの画像を収録した本。

 とろろに含まれるシュウ酸のトゲが怖い。子供のとろろ苦手を加速させるのでは?いっそ、他の食べ物にも同じように抵抗する仕組みが備わっていることも載せて、とろろの例が珍しくないことまで説明してほしかったかも……珍しくない、よね?少なくとも、こんにゃくいもは、もっと激しいはず。
 知らなかったとはいえ、人間はよくこんなものが含まれるものを食べているものだ。

 ハエトリグモは不気味でカワイイ。カラーの方が目が綺麗なので、電子顕微鏡だとやや不気味さが増すなぁ。

 麹カビの説明で、もやしもんが話題に出ていた。2010年発行の本だが、ちょうどそのころ流行っていたのかな。なつかしい。

電子顕微鏡でみる超ミクロの世界―ものの形・生き物のしくみがよくわかる (子供の科学サイエンスブックス)
電子顕微鏡でみる超ミクロの世界―ものの形・生き物のしくみがよくわかる (子供の科学サイエンスブックス)
カテゴリ:科学全般 | 20:34 | comments(0) | -

地形探検図鑑〜大地のようすを調べよう 目代邦康

 子供向けにわかりやすい地形の本。
 角礫を石、円礫を石ころと言い換える微妙さよ……後で言われればわかるニュアンスだが、前者は厳しいところがある。でも、角礫って言葉は難しいよなぁ。

 かなり多彩な内容をうまく収録していて、情報の圧縮力に感心した。
 地形学のいろはが分かるだけではなく、日本の地形的な特徴も何となく掴めてくるのではないか。

 海岸の地形変化に関する問題は、21世紀になっても引きずったままで、未来が心配になるのだった。
 それゆえに、こういう本で若い世代に啓蒙していく意味は大きい。

地形探検図鑑:大地のようすを調べよう (子供の科学★サイエンスブックス)
地形探検図鑑:大地のようすを調べよう (子供の科学★サイエンスブックス)
カテゴリ:科学全般 | 21:11 | comments(0) | -

アクセントの法則 窪薗晴夫 岩波科学ライブラリー118

 日本語や薩摩弁に隠されたアクセントの法則をわかりやすく紐解く一冊。
 軽く読み始めたのに冒頭からのフックで見事に引き込まれた。アクセントが意識していなくても身近な存在だからに違いない。
 ちょうど愛知県安城市の発音を、「あ」んじょうと地域外の人がいって、地域の人が「あんじょう」と平板式に発音することが気になっていたところだった。
 そして、地域の人も三河安城駅だと、みかわ「あ」んじょうと発音する理由も気になっていた。
 本書を読んだことで、そのあたりもおおよそ納得できた。そもそも日本語としては発音しにくい性質の地名なんだな。

 アクセントに注目することで普段は意識しにくい漢語が和語との違いから炙り出されてくるのも興味深かった。外来語もアクセントの法則を表記方法を工夫すれば本来の発音にもっと近づけることができるはず。
 そのような改革をおこなう気概のある政治家が生まれるかは疑問だが……薩摩弁が標準語によって発音法則を乱されているように、標準語の発音が英語に近づいていってしまう可能性の方が高そうだ。というか、一部ではすでにその傾向があるらしい。
 言語の今後も意識させられる話だった。

岩波科学ライブラリー 118 アクセントの法則 (岩波オンデマンドブックス)
岩波科学ライブラリー 118 アクセントの法則 (岩波オンデマンドブックス)
カテゴリ:科学全般 | 00:06 | comments(0) | trackbacks(0)

ゲーム理論入門の入門 鎌田雄一郎

 ナッシュ均衡を表面的に理解した。囚人ゲーム、共有地の悲劇もだいたい分かった。
 ある種のゲームで最善手を指し続けると先手か後手のどちらかが必ず勝つか引き分けにことが分析できることに何となく似通った要素がある気がした。
 著者はカリフォルニア大学バークレー校でゲーム理論を研究している気鋭の研究者。日本語よりも英語で発表したことの方が多そうだ。

 (特に日本の企業では)現実には最善手が選ばれることは少なく、その場合の対策も必要になってくるのだろうが、議論の叩き台としてゲーム理論が有効になることは理解できた。
 相手が最善手じゃないならば、こちらが最善手を選ぶことで必ず勝てるかと言えば、なんかいろいろ難しい。著者の「ラーメンバーサンゲーム」で、その雰囲気は伝わってきた。

 なお、実在の人物や企業名を例にするのは、どうかと思ってしまった。対象に対する知識がないほど変なイメージがつく。

ゲーム理論入門の入門 (岩波新書)
ゲーム理論入門の入門 (岩波新書)
カテゴリ:科学全般 | 12:34 | comments(0) | trackbacks(0)

メタボも老化も腸内細菌に訊け! 小澤祥司 岩波科学ライブラリー281

 人間誰しも老いる。その時の老い方に腸内細菌が関わっていることが判明してきた。腸内細菌とメタボリックシンドロームや老いに関するいろいろな論文を著者がまとめた一冊。

 なかなか直視するのが怖い話であるのだが、読み始めたからにはやっぱりちゃんと読んで知っておいた方が精神衛生によい。とりあえず生活の一部だけでも気をつけようと思った。少しでも運動はしないと……。
 個人的には歯周病菌の悪行が怖くてしかたがない。これ以上の進行は少しでも食い止めたい。

 腸内細菌と老いの関係については不透明なところがたくさん残っていて、そんなに綺麗な結論が出ているわけじゃない。現時点で出ていたら怪しいと疑って掛かるべきかもしれない。
 アッケルマンシア菌については、最近の注目株らしいので名前を覚えておけば、どこかでまた見ることがありそうだ。

 はたらく細胞で漫画化してほしくなる内容だった。

メタボも老化も腸内細菌に訊け! (岩波科学ライブラリー)
メタボも老化も腸内細菌に訊け! (岩波科学ライブラリー)
カテゴリ:科学全般 | 22:11 | comments(0) | trackbacks(0)
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