コケリウム〜コケでつくるはじめてのテラリウム 陶武利

 コケと呼ばれる植物は現在は三つの門に分かれている。もちろん、地衣類やシダ類は別である。そんな三つ(使われるのは二つ)の門のコケを利用してテラリウムを作る方法を紹介する本。

 密閉できる容器なら頻繁な水やりをしなくても、コケの健康状態を保てるらしい。
 大航海時代に世界各地からイギリスに植物を運ぶのに使われた箱と同じことだな。
 コルクの栓でも湿気は通過しないのか、多少は通過しても問題ないのか。容器の中で宇宙が完結しているわけじゃないからなぁ。

 図鑑のところで「外来種なので取り扱い注意」としっかり書かれていた。山でコケを取ってくるよりも栽培されたコケを買った方が育成の面でも都合がいいらしい。
 自然の趣味が自然破壊をしているなんて事がないように楽しみたいものだ。

コケリウム− コケでつくるはじめてのテラリウム − 栽培の教科書シリーズ (サクラBooks)
コケリウム− コケでつくるはじめてのテラリウム − 栽培の教科書シリーズ (サクラBooks)
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小さな鉄道の小さな旅 長屋良行・水崎薫

 経営の危機と戦い続けている東海三県各地(最後に滋賀県の近江鉄道)の小さな鉄道を取材した本。
 意外とボリュームたっぷりで読み応えがあった。
 その鉄道のだいたいの歴史と、沿線の観光地を一度に知ることができる。小さな鉄道を使った小さな旅を望んでいる人にはよい本だ。

 ナローゲージの軽便鉄道がこの地域に残っている点も興味深い。
 衰退しつつも何とかバランスを保っているのかなぁ。自動車産業による税収が地方自治体に流れているおかげで支えられているのだとしたら皮肉な話である。

 地域密着型で地元の足として巧く活かしてもらえる鉄道は生き残れるようだ。産業と結びついて生き残るのは難しいが、セメント原料を運んでいる三岐鉄道は特別な例外。最近になっても中部国際空港用の土砂を大量輸送した実績をもっている凄い鉄道だった。

小さな鉄道の小さな旅
小さな鉄道の小さな旅
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ミニ枯山水の世界 枡野俊明

 小さなサイズの枯山水をつくる方法のみならず、禅の世界への入門書になることを目指した本。
 枯山水の効能を精神面から、ゆっくり説いている。

 それなりに手軽にはじめられそうで、一度道具をそろえれば追加費用はほとんど掛からない(同じ資材で繰り返し作る場合は)。
 なかなかコストパフォーマンスのいい趣味――なんて欲にまみれた発想をしたら負けかな?

 ただ、白砂が塩化カルシウムなのにコケを植えるのは、なかなか酷いと思ってしまった。塩害直撃すぎる。
 まぁ、気になるならコケを使わなければ済むことではある。

関連書評
はじめて育てる おしゃれに飾る!小さな盆栽づくり

心が整う 禅の庭づくり ミニ枯山水の世界
心が整う 禅の庭づくり ミニ枯山水の世界
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動物撮影の教科書 ネイチャーズベストフォトグラフィーアジア

 ペットから野生動物まで。動物写真の撮り方とプロによる作品例が収録された写真集。
 ベストショットを得るための苦労話にあふれている。うまくタイミングがあってすぐに撮影できた作品でも、その撮影場所に巡り会うための苦労や、撮影技術を身につけるための修練があったものと想像できる。

 動物同士の交流を描いた作品は、人間の価値観に寄りすぎていることを多少疑ってしまった。霊長類はそんなに違いはないと思うけれど、離れるほど見ている側の感情を投影しているだけと疑ってしまう。
 頻繁に起こっている事例じゃなくて、偶然の産物の場合は特に。

 ペット写真の撮り方は個人的にはやや退屈に感じてしまったが、フォーカスの合わせ方など大事な基本はここで説明されていて、動物園や野生は応用編にも思われた。
 写真に撮ることで、ぼんやりと見ていたペットをよりよく観察して理解を深められる。そんなこともあるかもしれない。

動物撮影の教科書
動物撮影の教科書
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花粉症がラクになる 赤城智美・吉村史郎

 花粉症の基本的な知識と日常での対処方法がえられる本。花粉に対する暴露量だけが相関していて、大気汚染との関係は認められていない点で知識をアップデートできた。
 やはり花粉との接触を徹底的に避けることが一番の対処法になる。
 ここに書いてあることを実践すれば、生活習慣も改善されて、花粉症になる前より健康的に――なるのは難しいかもしれないが、わざわい転じて福となすを狙ってやりたい。悔しいので。
 それにしても杉林の拡大はとんでもない失政だよなぁ。当時の連中は誰も責任を取らない。子孫も花粉症に苦しめられているとは思うが。

 山に広葉樹を植える活動の人が寄稿していたけれど、しょうじき現地の種を使っているか、心配でしょうがなかった。
 活動で遺伝子多様性が損なわれていないことを祈る。杉・桧の植林でも損なわれてはいるか……。

関連書評
日本人はスギ花粉症を克服できるか 平英彰
日本の農林水産業 林業 宮林茂幸・監修
森林異変〜日本の林業に未来はあるか 田中淳夫

花粉症がラクになる
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図解 誰でもできる石積み入門 真田純子

 段々畑になくてはならない農家の人が作った石積み。その技術が失われようとしている中、著者が立ち上がり石積み教室を開いた。
 高齢の石積み技術者から著者が得たノウハウをわかりやすくまとめた一冊。
 コンクリートやモルタルを使わない空石積みはエコであり、資源の再利用が可能。人力「さえあれば」築くことができる。そんな実態がわかり、城跡巡りを趣味にしている人にも興味深いと思われる。
 よく農家の築いた石垣を、戦国時代の石垣と間違えてしまって問題になるので、城跡研究家も石積み教室に参加してみると面白いかもしれない。まぁ、石が斜めに入る落とし積みが近世以降の技術であることは有名だが。

 しかし、作業はやっぱり大変そうだ。最初のうちは30分ごとに休憩を入れておかないと疲れてしまうらしい。「ぐり石」が表面の石よりも重要な面があることも分かった。
 長年の石積みで培われてきた作業に関する細かいノウハウは、羽柴秀吉がいれば一つも逃さず記憶したに違いない。

 イタリアの事例も紹介されていて、独立壁を築いて中に土を運び上げて畑にしていたと知った。まるで山の輪中だな……。最初に写真が紹介された徳島県の「高開の石積み」は、まるでマチュピチュに見えた。これは名所にもなるわ。

関連書評
戦国の城の一生〜つくる・壊す・蘇る 竹井英文
石造物が語る中世職能集団〜日本史リブレット29 山川均

図解 誰でもできる石積み入門
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手作り実験工作室2〜手作り工作編 久保利加子

 キット販売!そういうのもあるのか!
 アニメがグッズ展開で経費を補填するみたいに、実験キットの宣伝にすることで本を安めにできていたりするのかな?どうかな。
 100円ショップで実験部品を集める方法も紹介しているので良心的である。

 視覚的にもわかりやすい光関連の実験が多くて、子供にも楽しそうだった。原理の説明はだんだん込み入ってくるが。
 本だけでは説明できない部分は動画へのリンクがQLコードで掲載されている。

 個人的には偏光シートを使った実験が見逃せない。偏光顕微鏡では岩石ばかり見ていたけれど、他の物も調べてみると面白かったんだな。
 プラスチックの検査に偏光が活用されていることは勉強になった。

関連書評
手作り実験工作室1手軽な実験編 久保利加子

手作り実験工作室〈2〉手作り工作編 (I・O BOOKS)
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世界の伝承あやとり〜オセアニアのあやとり2 野口とも

 オセアニアのあやとり1はオーストラリアやニュージーランド、パプアニューギニアなど大きな陸地のあやとりが収録されていた。2には小さな島々のあやとりが集められている。

 思わぬところでナウルの近況を知った。戦前のナウルはあやとりが盛んで大会まであり、老若男女があやとりに親しんでいたのに、日本軍がやってきて滅茶苦茶にしてしまったらしい。
 それでも近年復興してきているとのことで、リンの資源が途絶えたナウルには珍しく明るいニュースだった。
 ナウルには人物のあやとりが多くても日本人のあやとりは収録されていないな(作られていても良い意味ではなさそう)。ドイツ人医師は作られているのに(第一次世界大戦前のつながりか)。

 ハワイのあやとりは日本でも人気の物があるらしい。けっこう名前を変えて紹介されているあやとりがあることも知った。できるだけそのまま教えて、ついでに文化も伝える形にしてほしいと思った。

 ところで表紙は日本人が現地の人たちの格好をしてあやとりをしているみたい。これはアメリカで白人がやっていたら炎上する奴では……気をつけてほしい。著者にはアメリカ在住経験もあるので大丈夫なんだろうけど。

関連書評
世界の伝承あやとり〜オセアニアのあやとり1 野口とも
世界の伝承あやとり〜南北アメリカのあやとり 野口とも

オセアニアのあやとり 2: あやとりの宝庫で見つけた傑作選[太平洋の小さな島々編] (世界の伝承あやとり)
オセアニアのあやとり 2: あやとりの宝庫で見つけた傑作選[太平洋の小さな島々編] (世界の伝承あやとり)
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世界の伝承あやとり〜オセアニアのあやとり1 野口とも

 国際あやとり協会が採集した3000以上のあやとり中、オセアニアのあやとりは3分の2を占める。
 非常にあやとり文化が豊かなオセアニアのあやとりを紹介する本の1冊目。
 オーストラリア・パプアニューギニア・ニュージーランドのあやとりが掲載されている。天の川とワニのあやとりを使って、子供達に天の川が昇る時期には川のワニに注意するよう教えていたという説が興味深かった。
 あやとりは単体では不完全で、一緒に語られる物語をふくめて文化として完成するのかもしれない。

 国際あやとり協会が日本発祥の組織で、現在はアメリカに本部を移して活動していることが興味深い。
 あやとりに言葉の壁をこえる力があった証拠でもありそうだ。

 野口廣氏が勧められてパプアニューギニアで行った採集方法――市場で黙々とあやとりをしていると人が集まって珍しいあやとりを見せてくれる――が面白かった。

オセアニアのあやとり 1: あやとりの宝庫で見つけた傑作選[オーストラリア・パプアニューギニア・ニュージーランド編] (世界の伝承あやとり)
オセアニアのあやとり 1: あやとりの宝庫で見つけた傑作選[オーストラリア・パプアニューギニア・ニュージーランド編] (世界の伝承あやとり)
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世界の伝承あやとり〜南北アメリカのあやとり 野口とも

 文字をもたない文化でもあやとりによって情報を子孫に伝えることができる!手の操作と完成品に口伝を結びつければ、かなり強力な記憶術になる。アメリカ先住民達の誇りでもあるあやとりの数々が紹介されている。
 相対的に文献まで残せている日本が恵まれていることを意識してしまった。当然のように思っていて大切さに気づけないことに気づかせてくれたとも言える。

 ナバホ族のあやとりは星に竜巻、稲妻と住んでいた土地柄をよく伝えている。稲妻は一気に完成する驚きも楽しいのだろう。自分で作っているのに、できあがる形が正確にはわからない――ような気がする――ところも、あやとりの魅力なんだろうな。

 「開拓者の家」みたいな立体的な造形あり、蝶々には羽ばたくギミックあり、遊び道具が限られている中で工夫してきた人々の想いも垣間見えた。

関連書評
大陸別世界歴史地図3〜北アメリカ大陸歴史地図
大陸別世界歴史地図4〜南アメリカ大陸歴史地図

南北アメリカのあやとり: 先住民の文化と生活から生まれたかたち (世界の伝承あやとり)
南北アメリカのあやとり: 先住民の文化と生活から生まれたかたち (世界の伝承あやとり)
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