人類誕生の謎―最後の旧人類ネアンデルタール― ジョン・F・ホッフェカー

 開かれた封印 古代世界の謎11

 ホモ・サピエンス誕生の謎に迫りそうな主題に対して、副題でネアンデルタール人の興亡を扱っていることが分かる。もちろん、それにはホモ・サピエンスの活動も関連しているはずだが、詳しいことはぶっちゃけ分かっていない。
 本書の執筆時からそれほど情報が増えたとは感じられなかった。

 厳しい氷河期に対応するためネアンデルタール人が近東への進出を試み、一時的にでも成功したらしいのは興味深い。
 ホモ・サピエンスと接触したことで最終的には本拠地に、ホモ・サピエンスを招き込む結果になったのかもしれないと想像した。
 ホモ・サピエンスも性格を考えれば、いずれは未知の土地に乗り込んでいるか。

 再現イラストがあまり考証されていない怪しげなものも含まれている印象だった。ホラアナグマ?とネアンデルタール人の成人男性が1対1でつかみ合っていたり。

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カテゴリ:歴史 | 17:53 | comments(0) | -

バイキング伝説―謎の征服者たち― ピーター・シュレダーマン

 開かれた封印 古代世界の謎13

 謎の征服者たちとはグリーンランドに北から進出したイヌイットのことだった!?圧倒的な耐寒能力により寒冷化する気候の助けを得て、バイキングたちをグリーンランドから撤退させたイヌイット側の視点が気になった。
 彼らが文字に目覚めてくれていれば……鉄にすらあまり関心を示さなかったのだから「負け組」の技術が生き残るのは難しいよな。

 漫画ヴィンランド・サガの主人公トルフィン・カールセニについて、けっこう情報があって興味深かった。
 グリーンランド西海岸のベステルビュグで4地区のうちの1地区サント地区を所有するほどの豪商だったらしい。

 ベステルビュグから人が忽然と消えた謎に関しては、ヴィーンランドに再度の植民を試みたのなら夢がある。それが書かれていて実際に、その可能性を考える人もいることに驚いた。

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カテゴリ:歴史 | 22:07 | comments(0) | -

トロイ―木馬伝説の古代都市― ドナルド・イーストン

 開かれた封印 古代世界の謎18

 ホメロスのイーリアスに歌われた古代の都市トロイ。その発掘調査の歴史がまとめられた本。
 シュリーマンの扱いが意外と小さくて、流れに乗った発掘者の一人のように感じられた。契約に反して財宝をすべて持って行かれたトルコにとっては詐欺師に思えてもしかたがないだろうな。
 第二次世界大戦において略奪をうけた歴史までついてきて、いわくの多い財宝である。その存在を巡ってドイツ・トルコ・ロシアが争うならシュリーマンのみつけたトロイの財宝こそが美女ヘレネだったというオチがつくのかもしれない。

 トロイのボスポラス海峡を通過するとき、風待ちをするために最適な入り江にあったという立地がわかりやすかった。
 あの入り江はいつ埋まってしまったのかなぁ。

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カテゴリ:歴史 | 23:20 | comments(0) | -

沈黙の巨人−解き明かされたイースター島の謎− ポール・G・バーン

 開かれた封印 古代世界の謎14

 イースター島のモアイにまつわる話。争乱のあと島を治める人物を選ぶ「鳥人」の儀式は、鳥人候補が選んだ若者に試練をくぐり抜けさせるもので、試練をくぐり抜けた本人が鳥人になれるのではなかったらしい。
 勘違いして覚えていた?
 試練に参加した人間が将来の鳥人候補になるパターンが多そうではある。

 謎の文字ロンゴロンゴについて、スペイン人にサインを求められたことが切っ掛けとなって誕生したと考えられていて、動機と成果が興味深い。 人口的に限界がある中で、よく文化的な成果をあげられたものだ。
 宣教師への警戒や奴隷狩りから文字の記憶が失われてしまったのは酷く残念だった。

 モアイ像に目を装着すると実は上の方をみていることが分かるのも面白かった。帽子をかぶるし、実は腹の辺りまで造られているし、モアイは一般のイメージと完成形のズレが割と大きい。

カテゴリ:歴史 | 23:24 | comments(0) | -

戦国、まずい飯! 黒澤はゆま

 戦国時代に食べられていたものにできるだけ近い食べ物をいろいろと食べてみた本。
 タイトルはまずい飯!となっているが、おいしいと評価されている食べ物も多い。しかし、いつも食べられるわけでも、下層階級の人が食べられるとも限らず、戦国時代の悲惨なイメージが補強されたような、そんなに変わらないような微妙な気持ちだ。赤米をのぞくとまずさで一番印象的だったのは、著者が灰汁抜きに失敗して痛い目にあった芋茎と里芋の葉だったりするし。
 それを除くと糠味噌が強い。

 米から始まり、(豆)味噌に終わる。しかも、途中に出てくる食べ物が味噌に繋がるようになっている構成が見事だった。
 味噌で天下を取るは言い過ぎでも、発酵のいい菌を保有していることが戦乱の世において有利に働いたことは想像できる。
 米の品種改良を考えても、戦略的な意味の生物兵器戦はとっくの昔に始まっていたのかもしれない。

 味噌で取り上げられている力車マンとドイツ人の話は、別のところで玄米を白米に変えさせたら人夫が音を上げたと玄米だけのすごさを強調するエピソードとして語られているのをみた覚えがある。
 本書の方が正確っぽい。

カテゴリ:歴史 | 21:52 | comments(0) | -

ストーンサークル−不思議な巨石群− オーブリー・バール

 開かれた封印 古代世界の謎

 イギリス諸島各地に残されたストーンサークルの謎について、考古学的な成果を追った本。有名なストーンヘンジ以外にも多くのストーンサークルの写真が掲載されていて興味深い。
 文章で関心だけ引き立てて写真のないストーンサークルもあったが……現代ならウェブで見ることができても、本書の発行当時の読者はもどかしい思いを抱いたのではないか。

 スコットランドのストーンサークルとアイルランドのストーンサークルに共通性があって、スコットランドの方が古いことにおもしろさを感じた。スコット人がアイルランド出身であることを考えれば、昔には逆方向の流れがあって、またスコットランドに戻ってきたとも考えられる。
 距離があるように見えてもスコットランドとアイルランドの地政学的な繋がりは太いようだ。

 男根に見立てられる石があったりすることから、日本の縄文時代とストーンサークルの時代に共通点を感じる。後者は青銅器時代から鉄器時代なので、そこは違うのだが、島国という条件もあって偶然似通ったのかもしれない。

カテゴリ:歴史 | 23:30 | comments(0) | -

オスマン帝国〜繁栄と衰亡の600年史 小笠原弘幸

 ヨーロッパとアジア、黒海と地中海。二つの大陸と二つの海にまたがるオスマン帝国の通史。スルタンを中心に記述されており、彼らが強い権力を長期に渡って保ちえた理由が分かる。
 奴隷制度によってスルタンだけに人間を帰属させる方法論で巨大化した国家が、近代を超えて生き残るのは難しかったのでは?それを言ったら、かつては奴隷貿易をしていた国が制度を変えて生き残ったりしているが……イスラム法による柔軟性の限界も、オスマン帝国はイスラム法に許される限界をこえた解釈で乗り切ってきたようだし、最後は著者も言うように地政学的な難しさが滅亡の原因か。モロッコ王国と比較した論考が読みたくなった。

 トルコ系民族を出自としているオスマンが、途中まで遊牧民国家に劣等感を覚える立場だったのも興味深い。最後はアラブの遊牧民に反乱されて終わったわけで……中国と同じく遊牧民に因縁のある土地の国家を思わざるをえない。

 本書を読むまで自分も、スレイマン大帝の時代がオスマン帝国の絶頂期だと思っていたが、その後も繁栄が続いたことがわかって印象が改まった。
 やはりマフムト2世は成功した背教者ユリアヌスっぽいところがあるなぁ。

カテゴリ:歴史 | 20:00 | comments(0) | -

最強の帝国〜覇者たちの世界史 ナショナルジオグラフィック別冊

「真実を述べなさい。真実を行いなさい。それは偉大であり、それは力であり、それは永遠であるからだ。それはおまえに功徳をもたらし、おまえに尊敬を集めることになるだろう」

 古代メソポタミアからユーラシア最後の覇者となった清帝国やロシア帝国まで、最強の帝国を集めたムック。地図によって帝国の版図が表示されているのだが、惜しむらくは地名がすべて日本語にされておらずアルファベットが混じっていること。重要な戦地の名前でもアルファベット表記のものがあった。
 有名なヨーロッパやアジアの帝国にこだわらず、東南アジアのクメール王朝やアフリカのマリ帝国とソンガイ帝国、北米大陸のコマンチェ族まで取り上げている。

 カンボジアのクメール王朝はタイやベトナムとも争っていて三つどもえの勢力争いが興味深かった。初代ジャヤヴァルマン2世はジャワ(シュリーヴィジャヤ?)に捕まっていたこともあるらしい。
 コマンチェ族のありかたが中国から上納金をせしめる北方遊牧民じみていて帝国の収斂進化じみたものを感じた。曲乗りで馬に身を隠しながら弓を敵に向けているイラストが凄い。実際にできたのなら−−できたと信じる−−神業だな。
 地図をみているとインドにもデンマークが支配する港町が一時期あったんだな。西インド諸島には未だに領土があるので植民地主義に乗り出していたことは認識していたが。なお、帝国としてデンマークは扱われていない。

 イヴァン3世は大帝と評価が高く、イヴァン4世は雷帝で悪名が高いらしい。そういえばピョートルも2世の方は散々だったなぁ。

カテゴリ:歴史 | 22:47 | comments(0) | -

歴史のなかの子どもたち フィリップ・ウィルキンソン

 スティーブ・ヌーン絵 太田てるみ翻訳

 タケシィィィィィ!!日本からは侍の子供タケシが登場した。記述がいろいろ怪しいのだが、何よりもまず中世の武士の子供で名前が漢字1文字は珍しい。
 君主から1字拝領したり、させられてりするから、2字になりがち。たしか松浦党の当主なんかは珍しく伝統的に1字で3音の名前だったけれど。
 2字で武史の可能性はあるかな−−と変換していて「武士」が出てきたので、そういうことかもしれない。安直だ。

 ほかの子どももタケシ並の精度を疑ってしまうが、欧米の子どもは比較的信用できるか?著者から時代と物理的な距離が離れるほど微妙になる。
 明るい生活をしている子供ばかりでバイアスが掛かっていることを疑ったが、エジプト農民の子供あたりから厳しい生活を送っている子供が出てくる。
 ペストに襲われた時代に生きた子供や奴隷に売られたアフリカの子供など対象年齢の読者は自分の身に照らして想像しているかもしれない。
 マリー・アントワネットやアナスタシア、アンネ・フランクなど実在の子供も紹介されている。高貴な生まれの有名人でも不幸な死に方している人物が多い。
 ブラジル皇帝ペドロ2世は貴重な例外である。親からはブラジルに置き去りにされてしまって愛には恵まれていないが……。

歴史のなかの子どもたち
フィリップ・ウィルキンソン, スティーブン・ヌーン, 太田 てるみ
岩崎書店 (2019-12-16)
カテゴリ:歴史 | 13:05 | comments(0) | -

古代史マップ〜世界を変えた帝国と文明の興亡 ナショナルジオグラフィック

「他国に攻め入れば殺戮と死が生まれ、その土地に住む民を追放しなければならない。これほど我が身を苛むものはない」アショーカ王

 いいこと言っているのに大文字での表示はされていなかった。アショーカ王の後を継いだ王にとっては大変なことをしてくれたからかな?変心のいいところしか描かれていなかったが。

 本書では古代の帝国や文明の勢力が地図で魅力的に表現されている。クレタとギリシアの地図にグルニアとレフカンディの地名をみつけた。ファイアーエムブレムが元ネタをとったのは、この辺りか……。
 それぞれは薄味ながら北アメリカのカホキアを中心とするミシシッピ文化やアフリカのマリ帝国とソンガイ帝国まで扱っている。ソンガイ帝国を滅ぼしたモロッコも強いのでは?古代史の範囲じゃなくなるから出番がないのかな。インカ帝国も。
 エキゾチックな勢力のなかに北ヨーロッパの巨石文明も含まれているところがユニークだった。

 アショーカ王の考えは尊いものだが、歴史上は「支配をやめれば、たちまち支配されることになるだろう」というアルキビアデスの言葉が優勢だったと感じざるを得ない。

古代史マップ 世界を変えた帝国と文明の興亡 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社 (2019-01-31)
カテゴリ:歴史 | 20:37 | comments(0) | -
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