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趣味の鉱石トレジャーハンター-鉱石採集探険記- 板垣清司

 関東在住の著者による鉱物採集記を自慢の標本カラー写真つきで収録した本。ほぼ全ページがカラーで、後半には外国産の押し出しの効く標本も収録されておりパフォーマンスは結構よい。
 内容の関係で鉱物の学術的な話題についてはそれほど期待できないが、それでも視点が採集者からのものなので、学者が書いた本とは異なる新鮮さがあった。なにより関東一円で鉱物採集をはじめようと思う人間には参考になることが多いのではないか。

 秩父鉱山の川原があんなに鉱物に富んでいるとは思わなかった……車骨鉱まで採集されていることは正直度肝を抜かれてしまった。
 どうも著者は同じ産地を連続して何度も襲撃するタイプらしく、文章から漂ってくる不気味なまでの執念とあわせて、一航過の採集ではなかなか得られない類の標本までものにしているようだ。秩父鉱山が特に顕著な例だが――それにしても100キロの菱マンガン鉱を運び出してどうする気なのやら――足尾産地のマンガン鉱山にもかなりの情熱を燃やしており、マンガン鉱物好きとして興味深かった。

 ただ、文章が正直すぎるというか……採集できない悔しさはわかるのだが人間性を疑うような発言をされていることがある。普通は思っても本に載せようとは考えないものを、あえて本に載せているわけで、下手に内側に溜め込んでいるよりはまともなのかもしれない。本人が認めているように鉱物採集趣味の人間に、冷静さを求めても無駄だ。
 それでも後半はわりと文章が落ちついていたのは、地元の人との交流を通じて成長されたからなのかもしれない。

 単独行動で何度も同じ産地に突撃し、下心ありとはいえ積極的に交流されている著者の様子には、素直に感心してしまった。その情熱に「感染」することは幸せなのか、不幸なのか……。

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カテゴリ:地学 | 10:07 | comments(0) | trackbacks(0)

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