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帝国大海戦1〜プリンス・オブ・ウェールズ太平洋へ 伊吹秀明

 ファシズムも共産主義も不発に終わった世界で、イギリスとフランスを対立軸とする戦争が巻き起こる。欧州的なそれにアメリカが首を突っ込んできたことにより自体は拡大、チャーチルの鶴の一声で急造の日英同盟が復活する。二国は世界最大の戦力を誇るアメリカ海軍に果敢に挑んでいく――という内容の架空戦記小説。
 極力史実の兵器が用いられる構造になっているため、かなり世界に親しみやすく、ストーリーも異常なテンポのよさで進んでいた。まず日英同盟軍が翻弄されるところから話をはじめるのがニクい。アメリカのバカバカしい国力を考えると、どうしても出血に神経質になってしまっていけないが、戦場をタイトル通りに海洋に限定すれば開始時の保有船腹が効いてくることをかなり期待してもよいはず。
 なによりも海軍のスピリットである積極果敢な姿勢を応援したいものである。

 1巻は「もしプリンス・オブ・ウェールズが日本の味方だったら」という一つのイメージ映像をひたすら肉付けしていった感がある。おかげでプリンス・オブ・ウェールズが主人公状態で描かれる珍しい事態が発生していたが、日本の投入戦力は重巡洋艦以下がメインであり少しおとなしい感じがした。
 しかし、次からはそうも言っていられないはずで、プリンス・オブ・ウェールズが味方という「法螺」から出発した物語がどれだけ膨らんでいくか、そんな視点で追ってみるのも一興であろう。

 駆逐艦乗りを中心とした海の男達のやりとりが生き生きとしていて存在感とカッコよさがあるのも良かった。戦艦が偏重されるどころか、小艦艇にこそ海軍魂の結実があるかのようだ。

帝国大海戦〈1〉プリンス・オブ・ウェールズ太平洋へ (歴史群像新書)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0)

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