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帝国大海戦4〜バトル・オブ・マーシャル 伊吹秀明

 中部太平洋をめぐる日米の激突はそのボルテージをひたすら上げるばかり。互いに甚大な被害を生じながら一歩も退かず、さらなる犠牲を赤道直下の海にささげんとたくらんでいる……。
 とくにアメリカが大きな被害を強いられているのは、イギリス連邦を構成するオーストラリアとニュージーランドが日本の支援に回ってくれているおかげだ。彼等によってアメリカの侵攻正面が限定されてしまっている上に基地の配置でも日英連合側が有利になっている。
 それでも圧倒的な国力を前にした防戦には限界があるだろうが――停戦工作に関してはイギリスに期待を持てる点がなぐさめだ。下手すると日本やイタリアを切り捨てて単独講和に走りかねない怖さはあるが。

 中部太平洋の戦いは熱いだけだが、イタリア海軍の活躍は愉快な背景を準備されていて非常に楽しかった。マリアジュリアはイギリスの回し者なのではないかと本気で疑ってしまったよ。イタリアにおける一流の人身掌握術の真髄をみせられた思いである……。
 ソ連における政治将校のようにマリアジュリア的な女性を配置しまくればイタリア軍は世界最強になるかもしれんね。

 あんな連中を敵に回してしまったおなじみジャンヌール提督こそいい面の皮で、深い同情を禁じえなかった。フランスの艦艇はイギリスへの対抗意識もあってイタリア海軍ほど地中海の制圧に徹底してデザインされていない気がする。
 さしものリシュリュー級も底をついてきたなか、彼らに反撃の手段は残されているのやら――思い切ってドイツにならった潜水艦戦術に注力すべきかもしれないな。なんにせよアメリカ海軍が来援してくれなければフランスの限界は近いとみてよさそうだ。

 あいかわらず伊吹氏独特のこじゃれた表現が光っていた。まずは何も突っ込まずに「軽巡ルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブリッチ」のフルネームを挙げるのも皮肉が効いている。

帝国大海戦〈4〉バトル・オブ・マーシャル (歴史群像新書)
カテゴリ:架空戦記小説 | 19:08 | comments(0) | trackbacks(0)

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