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信長東征伝2〜明智光秀の暗躍 尾山晴紀

 三国同盟を結んでいた武田・北条が突如背後から襲い掛かったことにより今川領は消滅。その所領を巡る信長と信玄の争いが展開されることになる――何度も戦場にされてしまうことになる駿河や遠江の民が憐れだ。
 まぁ、一向一揆を起こして信長の怒りを買った三河や長島の民衆の方は、自業自得といえる部分もあるのだが、それにしたって認識すべくもない大きな戦略の中で動かされて使い捨てられたところに悲哀を感じた。

 関東を巡る上杉と北条・武田連合の戦いも白熱しており、後北条氏らしい城郭システムが影響している展開が興味深い。多くの勢力が存在していて、史実通り上杉の武威になびいたり北条の調略を受けたりと足元の定まらない行動をとっているのも面白かった。
 しかし、なんといっても派手なのは武田氏の動き。
 東に押し出しては上野を漁夫の利的に侵していき、西に目掛けては国内がまとまりきらない織田を圧倒し、一度は苦杯を舐めても失点を取り戻してみせる。
 優れた兵と軍略のおかげで、かなり輝いていた。この作品は主人公の信長が容赦呵責のない敗北を経験するから面白い。長島一向一揆との戦いで失敗したくだりなど、笑いとして成立していた。さすが、信長ひょうげているよ、信長。

 武張った展開だけではなく、副題にされている明智光秀の暗躍が美濃一円に大騒動を起こしそうになっているところからも目が離せない。口先三寸で信長と信玄を手玉に取り、自身の勢力確立をめざす光秀の策略は素晴らしかった。
 誰よりも足利義輝を師にしているような立ち回り。なかなか経歴にふさわしいものを感じた。

信長東征伝〈2〉明智光秀の暗躍 (歴史群像新書)
信長東征伝〈2〉明智光秀の暗躍 (歴史群像新書)
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