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古代ローマの言葉 ブノワ・デゾンブル/中井久夫・松田浩則

 古代ローマにおいて深い考察を残した人、とりわけキケロ、セネカ、エピクテトス、小プリニウス、そしてマルクス・アウレリウスの言葉を編纂した文集。
 同系統の本における古代ギリシア人の言葉に比べると、非常に論理的で筋の通った言葉が多くて気持ちが良い。と同時にカクカクした部分で丸いスプーンでなければ拾えないものを零してしまっている感覚もあった。

 割と感性に素直なのはマルクス・アウレリウスで、こんな人が最高権力者をやっていた歴史的事実そのものに凄い魅力を覚えてしまう。ちょっと欲がなさすぎて自然を信頼しすぎていた気がしないでもない……ローマ帝国の運営も同じように「自然」に調和して回転を続けるものになってほしかった事だろうなぁ。

 セネカの「怒りについて」で見られる奴隷と主人の等価値化が興味深い。穏やかに心を鎮める基本は「死を思う」ことにあるようだ。同時にキケロは「死を思い込む」ことが本質的な恐ろしさを持つことを語る。
 どちらも間違っていないだけに議論をみてみたくなってしまった――時代が違う人だけど。


 文章に合わせて主にポンペイで出土したと思われる壁画が乗せられている。これはこれでローマ人の生活を伝えてくれていて見応えがあった。
 自然に対するローマの立場については訳者に賛同。古代ローマの歴史の非常にはしょった解説がなんか凄かった。まとめると著者がもっとも重要と考える部分が浮き立つなぁ。私から見ればキリスト教の比重が明らかに高い。


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古代ローマの言葉 (コレクション 知慧の手帖)
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