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天空魔弾1巻〜60年目の本土防空戦 伊吹秀明

 奇想天外な設定の架空戦記小説を書かせれば他の追随を許さないところのある伊吹秀明先生の巨大タイムスリップもの。ご自身も変な形で作中に登場する。あれが佐藤大輔氏や霧島那智氏らだったら……と妄想するのも愉快。
 日本列島全体が第二次世界大戦末期――つまり日本以外VS全世界の時代――に移動してしまうのだからパワフルだ。

 いくら技術力で圧倒的に優越しているといっても、内外にいろいろな問題があって、なかなかあっさり勝利とはいかない。というか、1巻は日本内部の動きを追うだけで終わる。
 この辺は日本が核をもっていないことも影響しているような、持っていてアメリカに叩きこむ架空戦記小説があったら流石にドン引きするような――でも、探せばありそうなのが架空戦記小説界なのだった。

 ともかくまともな視点から描いてくれていて時代の外乱を受けた現代日本の様相を丁寧に描写してくれているところが非常におもしろかった。
 爆撃の被害を受けた市街をケータイで撮影している若者がいる、なんてシーンには暗澹とした気分になるがイヤな方向にリアルではある。彼らも国民。もはや何の意味もない反戦運動家たちも含めて、自衛隊は国民を守るために戦い続けなければならない。

 しかし、特に貿易途絶からくる資源問題は深刻だ。短期的にみえても迎撃のための兵器備蓄が急速に失われつつある。未曾有の物量攻撃を連日跳ね返し続けているわけでも無理もないか。いずれは効率的に対処するために、日本側から出撃基地に爆撃をする必要性が訴えられることになるんだろうなぁ。
 未来からやってきたことで、妙な優越感を日本国民が抱きかねないことなど、興味深い問題点が山積していて「鯉隅(と書いてこいずみと読ませる。凄いセンスだ!)首相」の判断が問われるところである。

天空魔弾〈1〉60年目の本土防空戦 (歴史群像新書)
天空魔弾〈1〉60年目の本土防空戦 (歴史群像新書)
カテゴリ:架空戦記小説 | 19:27 | comments(0) | trackbacks(0)

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