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燎原の覇者2〜葵と桐の子 尾山晴紀

 大阪における家康と秀吉の長期間にわたる対陣は日本全国に波乱の輪を広げていく。東国でも西国でも数千規模での激突が次々と繰り広げられる。

 そんな中で榊原康政が本多忠勝に続いての「三河武士モード」に突入する。兵庫の六甲山と瀬戸内海に挟まれた地域を舞台に見事な戦ぶりを示してくれた。何本も横に走る河川を利用して時間稼ぎをする戦いかたは皇国の守護者の新城を思い出させる。
 一方に有力な水軍さえあれば話はだいぶ変わって来たのだけど――大阪方に「正成」が存在することが面白かった――戦いを陸に限ってしまえば見事な袋のネズミ。勝利の余力が向く方面が気になった。
 順当にいけば大阪なんだけど、秀吉側も黒田如水がいろいろと動きはじめたおかげで、主導権をつかみそうになってきている。

 名護屋城での戦いが終結したことを考えれば油断はできなかった――われながらずいぶんと家康贔屓になってしまったものだ。
 というよりもラスボスと化した秀吉の行状の酷さを知ってしまったせいか。この作品は自分の嗜好の変化にちょうど沿っていた。

 名護屋で福島正則がみせた平押しの力攻めは――ある意味さすがだ。あれで最後まで家臣がついてきてくれるなら、それはそれで評価せざるをえないなぁ。被害を考えると小早川隆景においしいところをすべて持っていかれてしまった気がしてならない。この不器用さがいいのかもしれないが。

 あと、足羽川合戦で長谷川秀一が見せた戦術がとても鮮やかで深く感心した。文体も固いままに洗練されてきて全体的に盛り上がっている。

燎原の覇者〈2〉葵と桐の子 (歴史群像新書)
燎原の覇者〈2〉葵と桐の子 (歴史群像新書)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 17:44 | comments(0) | trackbacks(0)

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