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超弩級空母大和1 奥田誠治・三木原慧一

 こうして読み返してみるとおそろしくビーキーな作品であるとの感慨を抱かざるをえない。言葉を変えれば「オタク」ということになる。はたしてドイツ第三帝国に対する近親憎悪は宗方だけのものであったか(私にもそういう想いがどこかにありそうだ)。

 いくら下駄をはかせてもマウザー機銃の国産化はねぇよ。アングルドデッキにカタパルトを装備したオーパーツ的超弩級空母を置いてもそんな感じである。
 むしろ兵器を単純に巨大化させるほうが簡単かもしれない。超弩級戦艦大和が生まれた背景にはそんな事情もあったはず……。カタパルトはともかく、アングルドデッキ辺りは発想の問題だからなぁ。

 1巻の内容は非常に長いオープニングともいえるもので、陸海の主人公と主な登場人物の顔見せ、そして世界が異なることを印象付ける退場で綴られていた。
 望外の戦いをできた南雲中将はいいとして――キンメルもまぁ本望ではあったかもしれない――ほとんど事故死みたいな扱いの栗田健男が憐れである。それでいて東条英機は首相の地位にあるのだから困ったものだ。
 彼が歴史的に評判の悪い人物の「二面性」を一身に請け負うことで、厄介者たちをあの世に送る道具となっていると見れないでもない。まぁ、いろいろ言われていても単純な意味でバカではないはずだからな……そんな人物を首相にまで押し上げてしまったら悲しいわ。

 巨艦作品にふさわしく慣性がつくまでにずいぶん時間が掛かっただけに最後の大砲撃戦はなかなか楽しめた。けっきょく36センチ砲戦艦たちの戦いがほとんど描かれていなかったのは不満だが、主導権を争っていた存在が何かを考えれば無理からぬ話だった。

超弩級空母大和〈1〉 (歴史群像新書)

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