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織田戦国志1〜信長の遺言 尾山晴紀

 本能寺の変で信長、信忠親子に続いて混乱の中、岐阜城を離れられずにいた三法師までもが横死!織田家嫡流三代が一挙に失われたことを受けて、織田信孝の織田家を秀吉から守るための戦いが始まる。
 史実では光秀との関係を疑われて粛清された津田信澄を片腕に若々しい「王子」が、海千山千の英雄と戦う構図はなかなか派手だった――大河ドラマになった直江兼継のイメージが微妙に影響している?
 しかし、イラストにおいて信澄の前髪がちょろっと出ているのが、どうしても気にくわねぇ!!

 それにしても、信孝とは微妙なチョイスだなぁ……信忠では作中でも言われていた通り鉄板すぎるので仕方ないのだが、ついつい低めの評価をしてしまうところがある。信長や家康だって若いころは欠点が見えていたのだから――欠点を見せられなかった秀吉は老年に達してからが凄かったが――成長の余地があると言われればその通りか。
 年代が近いこともあって信澄とのコンビで事を進めていく様子には応援したくなる成分も結構ある。相手が全盛期とはいえ秀吉なのも大きいが、秀吉だからこそ勝ち目が非常に薄いものにみえてしまってハラハラする。

 そこは三法師を立てようがなかったことや、柴田勝家が作中でよい扱いを受けている事に望みを託すよりほかない。基本的には信長の死によって「終わった武将」と見られがちな滝川一益が元気にはしゃいでいることも頼もしい材料ではある。
 あとは家康の「不干渉」によって信孝の背後が安定していることが何気に大きいかな。徳川家にしてみれば、自分たちが勢力を拡大するまでは中央には割れていてほしいのだろうと納得する対応だった。

 またそれぞれの戦略をみていると戦国時代における日本の重心が間違いなく尾張から河内にまたがる地域にあったことが感じられて、近江に本拠をおいた信長の炯眼を再確認させられた。今後の展開においても安土城は大きな役割を果たすことだろう。

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織田戦国志〈1〉信長の遺言 (歴史群像新書)
織田戦国志〈1〉信長の遺言 (歴史群像新書)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 18:03 | comments(0) | trackbacks(0)

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