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帝国大海戦7〜決戦ハワイ沖海戦 伊吹秀明

 新鋭艦を戦列に加え開戦以来最大規模の兵力を整えた連合艦隊が東へと押し出す。目標は――ハワイ。帝国の命運をかけた一大決戦がはじまる。
 盛り上がってまいりました!

 さすがに入念なお膳立てを整えて、ほぼオールスターでの決戦開始には熱くなってしまう。部分部分をみれば日本のそろえた兵力にはガッカリする側面もあるのは愛嬌というかリアリティか。新型機への更新が徹底せず、零戦と烈風など新旧の艦載機が混在している状況は涙を誘った。
 改造空母がずいぶん含まれているのも同様。まぁ、元の設計思想からアメリカの改造空母とは異なるのも確かだが――むしろインディペンデンズ級軽空母に近いところがあるよね。

 対する「名将」レイモンド・スプルーアンス率いる第五艦隊はアメリカの総力を結した新鋭揃いの大艦隊だ。名前を挙げられるだけで半泣きになってしまう。それを裏返せば慣熟度では日本側に劣ることになるかもしれないが、母艦を沈められても生き残っているある一人の搭乗員目立つアメリカと、船の沈没は最小限にできていても空戦での損害がバカにならない日本の戦いは、大量育成システムの差もあり予断を許さない。


 それでもやっぱり烈風の存在感は大きくて新人搭乗員でも慣れやすい操作性をもっている設定は心強かった。新人に行き渡らせるほどの数があるかは怪しいが、そこら辺は編成の関係もあり腕利きだけに集中する真似はなかなかできるものではない。小説どころか史実でもやっている連中がいるから非実現的なわけでもないが。
 一番の頼りが戦艦の数で圧倒していることになってしまうとは皮肉なものだ。これこそ大量の戦艦を擁するイギリスを仲間に加えた利点といえよう。そして、これまでの海戦で数多の戦艦を屠ってきたことを考えると、この世界の日本がやったことは「戦略的な漸減邀撃戦法」に近いところがあるわけで、やっぱり皮肉が利いていた。
 何よりも皮肉でなのは佐野大尉の息子が描いた妄想戦艦の存在だったが――聴衆の合いの手が絶妙で大いに笑えた。

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帝国大海戦〈7〉 (歴史群像新書)
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:38 | comments(0) | trackbacks(0)

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