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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.65 沖縄航空決戦

海軍鹿屋航空基地
 特攻作戦の一大基地になるのはありがたくない話かもしれないけど、それも時代だったのだろう。鉄道との連携が興味深かった。

下総 本佐倉城
 大雑把な城だが、そこがいい。大雑把に感じる部分こそが北条氏が手を入れた場所であり、実は巧緻な縄張りが施されていたりするのだった。ただ複雑なだけじゃ連携をとった防御戦は行いえない。その点で城は支配や軍事のシステムがどれだけ発展しているかを示すバロメーターともなるようで、なかなかおもしろい視点の考察だった。
 霞ヶ浦を背後にしているおかげで水上交通さえあれば補給線を寸断される危険も少ないんだよなぁ。しかし南北から攻撃を受ける状態になった後北条氏に大規模な水上交通の維持は難しそう。それが縄張りの南への拡大に繋がったのではないかと妄想してみた。

特設水上機母艦 神川丸
 水上機母艦として使えなくなったあとも高速輸送船として活躍している点がすばらしい。こういう潰しの効く船は貴重な戦力だ。戦艦を輸送船として使うわけにはいかないからね――戦術的には油槽船として使われたりしているけど。
 改造の時に武装が揃わなかったという話が涙を誘った。

自動装填装置
 この記事が書かれた当時、イギリスやドイツの戦車は自動装填装置をもたなかったのか。フランスに先を越されているのは二国にとって恐ろしくおもしろくないだろうなぁ。
 日本が自動装填装置の技術開発で遅れを取る展開は想像しにくい。けっこう信頼している自分の気付く。

ガウガメラの戦い
 あまりにも有名すぎて考察もいくつも読んでいるために味気なく感じてしまった。ページ数の問題があるのはわかるが、アレクサンドロスが反転してパルメニオンの救援にむかったことを史実扱いして大丈夫なのかなぁ。
 簡潔にまとめつつも何か一つ光る考察があるとよかったと思う。それこそ難しいけど。
 関連記事:アレクサンドロス大王「世界征服者」の虚像と実像

陸軍船舶部隊
 行くところまで行っちまった感のある陸軍の海上部隊。まぁ、ドイツにも空軍の陸戦部隊とかあったけれど……合理性とは別の論理で動いているからなぁ。
 ノウハウもないのに技術力のかたまりである空母や潜水艦まで行ってしまった点には感心する。大日本帝国陸軍より小さな海軍力しかもたない国など無数にあったことだろう…。

沖縄航空決戦
「統率の外道」特攻作戦が基本戦術として行われた恐るべき戦い。空母航空隊につづいて日本軍を支えてきた基地航空隊もついに限界に達して、非常の戦術を採らなければならなくなった。さすがの日本軍も空母部隊には体当たり攻撃をやらせようとはしないだろう。機数の低下がモロに響くことになるから。
 特攻作戦が対象でも感情をつとめて排除して、正面から向き合って分析している姿勢がよかった。精神面を含めた考察にはなるほどと思わされることが多かった。航空機が爆弾を抱いた形の特攻の問題点である攻撃力の低さは重々意識されるところで、だからこそ桜花などが開発されていたのだろう――せめて威力を持たせられる兵器が整うまでは発動を我慢して通常攻撃をできなかったのか。練度が低いにも関わらず帰還できない任務に投入されることで機位を失っての損害を招きやすい点も問題だろうなぁ。

王都百年戦争
 京都をめぐる応仁の乱以降の複雑な抗争をまとめた力作。おぼろげながらに構造を理解したが、どんどん空しくなってきてしまった。憎い相手を追い払えるなら敵と一時的に結んでもいいなんて態度が感染性をもっているかのように連鎖している。六角定頼は数少ない良心だけど良心だけに混乱を収拾しきる意欲はもっていなかった……ちょっと勿体ない人物だ。
 細川氏や三好氏、松永久秀をさして近畿の枠内でしか世の中がみえていなかったと、まとめられていた。かえって力のない将軍や朝廷の方がさらに外側の実力者たちの気配を感じとれていたようで――でも憎いあんちくしょう撃退のために呼びこんでしまう轍を踏むのは似ている。

大北方戦争
 敗北を知り再起したピョートル大帝と一度の敗北でほとんどを失った戦争の天才児カール12世の対比が鮮やかな戦争。当人の性質以上にロシアが保有していた潜在力と、ギリギリの人口を最大効率で回転させて大国の地位を保っていたスウェーデンの違いを感じた。
 しかし、ナルヴァの戦いの直後にカールがモスクワに進撃していれば現地調達も可能で、ピョートルが気持ちを改める余裕もなかったかもしれない。ロシアの潜在力を軽視して攻め込んだナチスドイツのずいぶん前には、ロシアの戦意を舐めて敗北することになったスウェーデンもあり……始末におえない大地だ。
 ポーランドのアウグスト公が非常にしぶとい抵抗を続けたことも見逃せないだろう。ピョートルの勝利は彼の犠牲の上に成り立っており、信頼関係を成り立たせた人格にも興味を覚えた。少年期に連隊をつくった逸話も愉快だ。

米ソ宇宙開発競争
 お約束的に顔を出すフォン・ブラウン。ソ連とアメリカでもロケット開発の歴史はあって、そこにドイツの先進的技術が上乗せされたことで発展した経緯が興味深かった。
 イギリスが乗り遅れてしまったのは何故だろうなぁ。

軍用自転車発達史
 活用すれば意外な戦果をあげられる兵器として関心をかきたてられた。軍隊のすることは「行軍」これがほとんどだからなぁ。さすがに折りたたみ型を除いて正規軍に戦場で使用される時代は終わりを告げようとしているが、自転車が縁の下の力持ちとして活躍する一時代があったことを覚えておきたい。

ヒトラー専用車の謎
 高級車に関わるちょっとしたミステリー。経歴を追っていくことで歴史のおもしろさを認識できる。Q.E.D 証明終了2巻を思い出した。

戦場医療の歴史8 現代〜将来その2
 宇宙の基地を連想させるモジュール型の急速展開病院施設群(可能な治療レベルからいえば「簡易」ではない)。兵士の身になってみれば非常にありがたいものといえる。
 持つものと持たざるものの差は大きくなるばかりで、持たざるものは余計に宗教などを利用した精神面への依存を強めるしかない感じがしてくる。

戦史の片隅で Final
 スパルタ(ラケダイモン)軍を破ったときの神聖隊はホモ軍団じゃなかったと思う。まぁ、いいか。むしろスパルタ軍が女たちに戦意を煽られて敢闘していたりもするね。家の維持を重視する日本においては兄弟家族で戦争という話は少なめな気がする。でも、日露戦争で陸海で活躍した兄弟とかいたな。

新発見!!近代を先取りした大阪城の防御施設
 見事なまでの殺戮ゾーンが形成されていた話。敵側からは撃ちおろされる危険もあるわけで死地もいいところである。そんな場所で活動できる兵を初期の戦いで失ってもいいものか……後がない側の必死さをみた気がする。

THE WAR MOVIE 第15回「グローリー」
 南北戦争の黒人連隊をえがいた映画だそうで、その題材やマニアの撮影協力におおいに魅了を覚えた。日本で同じことをしようとしたら――収拾がつかなくなるのが目に見えている。楽しくワイワイ撮影できればいいのになぁ。

日本史の常識非常識 武士に左利きはいなかった
 大河ドラマの時代考証は突っ込む気力を奪うブラックホールだとさえ思っていた。まぁ、しっかり見たことはほとんどないのだが。
 私の感覚では、左利きがいないと見せかけて左でも抜き打ちができるようにしている武士がいても不思議はない。それを周囲に知られた場合のリスクは私が想像するよりも、さらに大きいのかもしれないが。

インタビュー 柳谷謙治
 山本長官の一式陸攻を護衛していた人のインタビュー。長官機が撃墜された後に異常な頻度で任務に投入され続けた逸話が日本の組織がもつ奇怪さ、えげつなさを伝えていた。柳谷氏は若かったこともあって割とあっけらかんとしたものだが、他の5人の中には悲憤にさいなまれていた人もいたかもしれない。

シベリア出兵
 多額の予算を費やして何もかも破壊するだけの結果になった――近代化に使えればいちばんだが、せめて同じ資金で欧州に兵力を派遣できなかったものかと。その方が直接的にフランスも助かるのに、どうして彼らは東部戦線への夢を捨てきれなかったのかなぁ。

作戦名「雪」
 ソ連の組織がアメリカに食い込んでいた話。さすがはルーズベルト政権だ……世界中から嫌われているようで部分的には受け容れられる素地があったんだなぁ。まぁ、ファシズムも嫌われまくっているからね。日本の姿勢にも「雪」に敵意をもたれる理由が多分にあった。

北条得宗家の野望
 権力の入れ子構造をいくつ作れば気がすむのかという話。後北条氏が北条を名乗ったのは鎌倉幕府を支配した彼らの権威を借りるためという話を聞いたことがあったが、家柄だけでいえば借りがいは薄いところがあるな。
 厄介な敵をまとめて一撃で滅ぼす行為を繰り返している。その巧みさに感心した。関連:漫画、北条時宗感想。1巻では北条時頼の活躍が描かれている。

spitfire(スピットファイア)一人の天才が生み出した傑作戦闘機
 スピットファイア誕生までの秘話。高速水上機での蓄積が誕生に繋がったというのが面白い。紫電改は…違うか。水上機による世界最速記録、時速682キロを叩きだしたマッキMC72も凄いなぁ。

街道上の怪物
 兵士のひとりひとりが雄図に胸を燃やしていることもあれば、自覚なくとんでもなく大きな影響を戦局に与えてしまっていることもある。それが戦争の姿。

放蕩息子の帰還
 さすがフィンランド人は超人ぞろいだぜ!フゥハハハーハァー。親子がハッピーエンドに終わったことに恐怖すら覚えた。だってこれ、枢軸国側の物語なんだよ?片方ならともかく両方が無事というのは物凄い。
 武装SSヴィーキング師団のセンスに「ああ、ファシズムだなぁ」と。戦史の片隅で、と地味にシンクロしている。


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