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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.68 パットン戦車軍団

上陸作戦
 圧倒的な戦力を背景に、システィマティックに物事を進めていくアメリカらしい戦闘様式の発展が紹介される。日本側の内陸防御への転換もむべなるかな。

上杉軍道を行く
 三国峠と聞いて雪の峠/剣の舞を思い出した。高低差よりも距離と積雪への対応を優先した軍事用らしい道だった。宿営地の防御についてもしっかり考えられていて興味深い。

第五青函丸型
 アメリカ側も国内連絡船については攻撃が甘かったのはありがたい……戦後の復興を考えて攻撃を控えていたわけじゃないよね。鉄道と船舶、二つの効率的な大規模輸送は切っても切り離せない関係にあることが分かる。

航空機用掩体
 日常的な風景に溶け込んでいる様子が印象的な現在に残る戦争遺跡、航空機用掩体の記事。子供が上に登って遊びたがりそうだ――大型機用の掩体になると高さが5mを超えるので結構怖い。
 盛り土の名残なのか、上に草が生えているものが見受けられるのも趣深し。

鳥羽伏見
 アメリカ南北戦争にも通じる防御側の火力集中が優越する展開が明らかに。欧米列強の技術を習得しようとやっきになっている幕府や各藩にとっては必死で習得した軍事技術も完璧からは程遠く、時代の大きな試練をうける時期に来ていたとは思いもよらない事だっただろう。
 命中率の記述や、突破口を開くために大砲が大きな役割を果たすようになっている点も覚えておきたい。

パットン戦車軍団
 アメリカ版電撃戦を行ったパットン将軍のフランスでの戦いが紹介される。あえて自分のやることを絞って、そこに全力を傾注することで大きな成果をあげている。噂される派手なキャラクターとは相反する繊細な気遣いをもっていたことに驚いた。
 放任主義というと独断専行の足音が聞こえてくるが、彼が志向していたのは要するに「訓令戦法」だったのだろう。しっかりとしたコミュニケーションで意図を一致させることができるのと、勘違いの希望的観測で暴走するのではあまりにも差が大きい。
 豊富な戦力をもっていた米軍だからこそ、自由裁量に任せてもフォローできるという余裕も大きかったのかもしれない。

遼陽会戦
 いまいちパッとしない会戦だ。長蛇を逸したという奴か……それでも勝利であることには違いがなく、海外からの資金援助によってギリギリで戦っている日本にとっては最悪の事態は避けられた。
 第三軍を拘束するなど、この記事の視点では海軍が陸軍の足を引っ張っているようにも見える。まぁ、お互い様でうまく協調して戦う必要があったのがただ一つの事実であろう。

アレクサンドロスを継ぐ者は誰か
 自分に持ってのメイン記事。同等の技術をもち、互いに手の内を良く知った相手同士の角逐はおもしろい!特にエウメネスとアンティゴノスの凌ぎ合いには激しく燃えるものがある――ヒストリエのネタバレも甚だしいが。
 失策の印象が強烈なデメトリオスだが、後半での活躍ぶりには目覚ましいものがある。他の血縁者もなかなかの人材だったようだし、アンティゴノスが覇権を得た背景には優秀な手駒を確保できたこともあったのかもしれない。逆にプトレマイオスは人望の限界を悟って、戦線をエジプト周辺に限定した感がある。

空母戦術大研究
 新鮮味はそれほどないが、体系的に知識をえられることに価値のある記事。マリアナ沖海戦以降の米海軍機動部隊の鉄壁の防御力を打ち破るには対艦ミサイル攻撃くらいしかないという意見が興味深かった。覇者の戦塵1943〜空中雷撃の背景にあるものが分かった気分になる。
 一時的とはいえアメリカ海軍機動部隊の優位性を脅かしたソ連海軍も大したものだったんだなぁ。アメリカの機動部隊はワシらの先祖が育てた。

火縄銃のつくり方
 これも興味深い記事。将国のアルタイルで鉄砲が伝来していることに絡めて読んでみた。高純度の軟鉄を確保することと、ネジ切りの技術を習得することが大事なようだ。

ハインツ・グデーリアンもうひとつの素顔
 汚い金策だなぁ……なによりもネズミをとる猫が良い猫なのだけど、後になって柄を偽っていたのならいただけない。変なつながりが戦闘指導に狂いの生じた権力者を支え続けることになったのなら尚更だった。
 で、記事の言いたかったことはグデーリアンやロンメルよりマンシュタインを!ということですね、わかりました。

水中作戦の先駆者――イタリアとイギリス
 日本陸軍も大発を開発したりしているが、イタリアの先進性もかなり凄い。ただ発想から定期的な成果をあげることに関してはいろいろな条件から難しくなっていた様子。徹底して敵から学べるイギリス軍も流石だった。

THE WAR MOVIE 第18回 遥かなる戦場
 クリミア戦争における有名な突撃を描いた映画――遠すぎた橋(A BRIDGE TOO FAR)と良い自分たちが負ける話を映画化してみせるイギリスは大した国だ…。高地からの俯瞰映像がとても見てみたくなった。

海軍カレー物語
 楽しみといえば食事ばかりという人間も多かったであろう海軍内で特に人気だったカレーについて。調理法は簡潔だが、とても美味しそうだ。ついでに肉じゃがの件にも触れてほしかったなぁ。
 こういう記事が載るあたり歴史群像が独自の道を行っているのを感じる。もっとやれ。

真珠湾攻撃 甲標的の謎
 成功があったなら他の甲標的の乗組員も浮かばれるというもの。長躯敵の一大軍港に進出して魚雷二本しか武装のない小型潜水艇で戦いに挑んだ彼らの勇気を讃えたい。

彼女たちの戦い 航空母艦イラストリアス
 重厚な甲冑をまとった女騎士。そんなイメージで語られている。タラント空襲のソードフィッシュ21機で戦艦3隻を仕留めた戦果は驚くほど効率がいい。イタリア海軍のダメージコントロールはどうなっていたんだろう。イラストリアスの異常な耐久性が印象的なだけに考え込んでしまう。

戦場のミステリー 将兵を鼓舞した幻の騎馬隊
 案外、敵側にも見えていて士気を鼓舞する効果は同じだったりして――そうして被害を拡大させる死神だったという妄想もできる。白鳩の話題も興味深かった。雰囲気の国日本だけに鳥さえも雰囲気に動かされてしまうのかも。
 どことなくトロイア戦争のことを連想させられる話だなぁ。

インタビュー 深津信義
 最後まで本当にいい話だった。こういう経験は貴重だと思う。具体的な成果はあまりあがらなかったと思うが、巨大な戦争のなかに組み込まれて活動することの意味を考えされられる話だった。サゴ椰子の話もまた興味深い。

筑紫君磐井の乱
 日本が高句麗と百済の戦争で、兵力的には主力になっていた時期があったらしきことに驚いた。あまり語られない――資料もないようで――日本と半島の関係の意外な面をみる思いがする。北九州が最前線として大きな役割を課せられるのは豊臣秀吉による唐入りと変わらない。あれが西国大名におよぼした負担を考えれば筑紫君磐井の行動にも頷けるものがある。
 天皇が直接的に政治決定を行っているだけで新鮮だったりした。

サマール島沖海戦
 二隻の駆逐艦、ジョンストンと雪風、奇跡の邂逅?
 スプレイグ少将、苦労人だよスプレイグ少将。マニュアルにないことに関してはアメリカ人の方が適応しやすかったのかもしれない。あらゆる事態にそなえて水上部隊で機動部隊を襲う場合の研究もしなくちゃだね…。

ツェッペリンロンドン襲撃
 飛行船爆撃の栄光と挫折。いいところで切り上げておけば良かったものを――という考えは兵種転換が簡単ではなく、国費で造ったものである以上なりたたないか。どんどん困難になっていき最終的には出撃が死と同義になるところは潜水艦作戦にも似ていた。

奇襲エンテベ空港
 テロリストとまとめて吹っ飛ばされたウガンダ軍……ミグ戦闘機まで爆破されるのはもはや戦争をフッ掛けられているに等しいな。地理的に離れていることがイスラエルにとって不利なばかりではなかったとしたら興味深い。

ツィタデル作戦 Act.6ルジェフ撤退戦
 突撃砲エースの戦いを描いている。敵の進行ルートを限定するか、卓越した戦術眼で読み切るかできないと勝ち続けるのは難しいだろうなぁ。成形炸薬弾タイプの砲弾の話題もあり……日本陸軍にも欲しかった。


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