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艨艟の堅陣〜艦隊防空に秘策あり 林譲治

 日華事変での空母加賀中破をうけて日本海軍――そして主人公である高橋雅臣の艦隊防空網構築への挑戦がはじまる!
 やはり最終的には組織的な問題に入り込んでいかなくてはならないわけで、一定の成果をあげながらも大きな抵抗に遭遇している状況は歯がゆい。しかし、空母加賀が一度ならず二度までも中破してくれたおかげで、上層部が深刻な問題を理解してくれているのが心強いところだった。

 バクチ打ちの帝大教授とカジノで立ち入り禁止になった経歴をもつ山本五十六のつながりという反則的なコネクションもあり、防空体制の構築は悪くないかたちで進んでいる。悪くはないが、関係者にとって必ずしも満足いく形でもないのが重要な点で、あくなき改善の姿勢が打ち出されているのが快くも身につまされる。

 無線電話の件などではひとつの問題を解決することで、複数の改善が連鎖的に前進してしまう現象も起こっているが、現場が変わってそれに組織を合わせるのはやはり邪道で不合理が生まれる余地も大きい。
 カッサンドラ扱いされかねない主人公には、ぜひ組織改革の戦いを貫いてほしいものである。レーダーの充実は加賀中破問題でつながりの生まれた柳本艦長がテコになってくれるのかなぁ。

 ひとつの艦隊にすべてを懸けていた初期だからこそ、一人の優秀な防空指揮官の働きが大きく結果に影響しうる点もおもしろい。しかも防空責任者は階級が低くなりがちで、若いというおまけがつくのだった。
 架空戦記内で個人を活かす道としてみても興味深かったりする。

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艨艟の堅陣―艦隊防空に秘策あり (RYU NOVELS)
艨艟の堅陣―艦隊防空に秘策あり (RYU NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0)

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