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石の思い出 A・E・フェルスマン 堀秀道

 100年前のロシア鉱物学者の泰斗、A・E・フェルスマン氏がつづった石に関する思い出話の翻訳本。訳者の堀秀道氏は楽しい鉱物図鑑などの著作で知られている。

 必ずしも派手さはないが、坑道の奥にどっしりと腰を落ち着けた石のように歴史の深みをもって語られる石の話はひとつひとつが興味深い。いつしか書かれた年代も忘れ、目の前にフェルスマン氏がいるかのような気持ちで読むことができた。
 著者が目の当たりにした風景を自分まで含めて語る力には並々ならないものがある。
 また、石に対する著者の敬虔なまでの研究心がそこかしこから滲み出ていて、一周して自然崇拝的な思いさえ呼び起こされるところがある。景気のいい話ばかりではなく、石によって人生を狂わされた人間の話なんかもあって、我が身を省みてしまった。
 破産よりも採集地での転落の方がありえるだろうなぁ……。

 ダイヤモンド「シャー」の話は圧巻で、歴史を刻んでいるというよりも歴史そのものになってしまった偉大な石の存在感に酔ってしまった。これを所有しながら自分の名前を刻まなかった王たちは大した忍耐心の持ち主なのかもしれない。
 おそろしく素朴な方法でシャーに名前を彫る作業をした人間が物凄い忍耐力をもっていたいのは確定的。

 話題がロシア、そして欧州を所狭しとかけまわる――ウラルとコラ半島が多いとはいえおかげで、彼の地の雄大な自然を脳裏に描き、そこに住む人々に親しみを感じられるようになっているところも素敵だった。

 著者がところどころに注釈を入れてくれているおかげで、話題になっている産地の現状を知ることができたのも嬉しい。産地への関心をさらに掻き立てることで記憶を補強してくれた。

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カテゴリ:地学 | 00:53 | comments(0) | trackbacks(0)

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