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幕末戦史 歴史群像アーカイブvol.12

 鳥羽・伏見の戦いから函館戦争までの近いのに意外と知られていない戦いの数々を描く。南北戦争に近い時代である点や、小隊から大隊規模の戦闘が連続している点も興味深い。それぞれの状況で一縷の可能性に賭けて瀬戸際の戦いを繰り広げていく――完全に捨て身の人々もいたが――人々の姿が熱かった。

 個人的に強く印象に残ったのは伝習隊を率いて戦った大鳥圭介だ。
 精鋭部隊を見事にまとめあげ、北関東から函館にいたるまで長大な後退戦をやり抜いた精神力と指揮能力には魅了されるものがある。敗北側だからこそ、これだけ多くの戦いに顔を出す機会があったとも言えるんだろうな……。

 新政府側では参謀の伊地知正治がおもしろい。
 白河口の戦いで700の兵を3つに分けて3倍以上の敵に挑みかかった判断を記者につっこまれているのは、何度読んでも笑ってしまう。あれも見方によっては散開の一種で、距離を取った火力戦に徹するなら成算ありと判断したのかもしれない。
 悪い意味で印象的な「ドン五里」仙台藩兵や意志統一ができていない奥羽列藩同盟の問題もあったんだろうけど、伊地知正治の鮮やかというよりも痛烈な勝利であった。


 榎本武揚が蝦夷で独立を図った一連の戦いでは、一国の命運を左右した開陽の存在感が興味深かった。船一隻の軍事力が国家を存在せしめるなんて、激動の時代をこれほど感じさせる一事もなかなかあるまい。


 あと、通して読んでいたらスペンセルやミニエーなど兵器名の響きにすっかり耳が馴染んでしまった。特にドイム砲の音がユーモラスだ。

南北戦争〜49の作戦図で読む詳細戦記感想
修羅の刻〜幕末編感想:榎本総裁の扱いが……史実では切腹しかけたと、この「幕末戦史」で知って微妙な気分になってしまった。

幕末戦史 (歴史群像シリーズ 歴史群像アーカイブ VOL. 12)
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