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修羅の波濤1〜真珠湾の陥穽 横山信義

 真珠湾奇襲作戦失敗!機動部隊壊滅!!
 その衝撃的でマゾヒスティックな逆境から始まるもうひとつの太平洋戦争。個人的になつかしの作品である。
 オアフ島で墜落した攻撃機の爆発に巻き込まれて現地の日系人が亡くなるシーンがいやに鮮明に記憶に残っていた。史実では戦後まで生き残る淵田飛行隊長が戦死するシーンなど、派手な残酷描写にしっかり力が入っている。
 たんなる娯楽であることを許さず、結果的に娯楽性を高める。そんな一面があった。

 今になって読めばわかることもいろいろ多くて、横山氏が得意とする比喩描写については、とくにその比率が高かった。
 戦国時代のたとえ話は最初読んだとき、絶対チンプンカンプンだったと思う。そんな表面的な部分だけではなく、ツッコミどころも見えてしまうことがあるのは悲しく思わないでもないけれど、なかなか新鮮な体験ではあった。

 けっきょくルーズベルト大統領は日本の奇襲作戦を知っていて、あえて卑怯な攻撃を受けることで国威の発揚を狙っていたオチになった。
 キンメル長官への扱いが悪いのはともかくとして、空母の戦力をそこまで正確に判断できていたとは信じがたい……ハワイ沖海戦の結果、攻撃力よりも脆弱性が印象付けられたこともあり。
 あんな心積もりでいたならば、キンメルが真珠湾の防備をかためても、それは自己防衛だと思ってしまう。大敗北の裏でアメリカのトップのあいだに大きな溝ができたのは、単純な「希望」にしたい性質のものではないけれど、よい導入である。


修羅の波濤〈1〉真珠湾の陥穽(ラット・トラップ) (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)

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