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修羅の波濤2〜機動部隊遊撃戦 横山信義

 機動部隊の3分の2をうしなった日本軍だが、手をこまねいてばかりもいられない。
 負けない戦いをするための時間を稼ぐため、残った二隻の空母を基幹とする機動部隊がヒッドエンドラン作戦に出撃する。
 それはあたかも史実のアメリカ軍が戦力が整うまでに行った作戦のようでいて、さらに重要な部分を痛撃する軍事行動だった。

 ちょっと上手くいきすぎで「抜擢人事ですえられた指揮官ならどんな判断をしても正解になってしまうのか?」と皮肉な見方をしてしまわないでもなかったけれど、お互いにくりだす戦力が小さくまとまっているおかげで、連続するシンプルな戦いが楽しめる。
 大戦力の激突にはないカタルシスが、そこにはあった。

 日本が敗北によって目を覚ましたのはいいのだが――山本長官は勝っても負けても手を打てる謀計を用意していたかのようだ――アメリカ軍がとことん目を曇らせてしまっているのが寂しい。
 空母の戦闘力比を3対1で計算するのも相当馬鹿げた話だが、それはまだ搭載機数の点からちょっとは妥当性があるといえなくもない。しかし、大本営発表をアメリカ側がやってしまうのは国民性無視にすぎると思う。

 それでもあえてこんな描き方をしている裏には、アメリカほどの国力があっても史実日本並みのまずい戦争指導をしていれば勝てる戦いも勝てないことを描き、敗戦の原因を敵のチートぶりにまとめようとする愚かな発想に否を唱えることにあるのかもしれない。

修羅の波濤〈2〉機動部隊遊撃戦 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0)

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