<< 修羅の波濤3〜内南洋攻防戦 横山信義 | main | 修羅の波濤5〜愚行の島 横山信義 >>

修羅の波濤4〜反撃の一航艦 横山信義

 伊号潜水艦から発進した零式小型水上偵察機がオレゴンの森に投じた炎から、残存空母を叩き合う激しい海空戦の狼煙があがる。
 焼夷弾投下が史実であることを知っているとニヤリとできる展開だった。それが引き起こした結果については流石にニヤリとはできない――アメリカの議会制民主主義への皮肉が効いているところは悪くなかったが。

 本国からのつきあげで英雄キンメル太平洋艦隊司令長官がはじめさせたグアム攻略作戦では、いつにもまして酷いハルゼーの猛牛っぷりがみられる。史実でも台風に突っ込んだり、レイテ沖海戦で所在を聞かれたりしているからなぁ。
 弁護したいのに弁護しにくい……追い詰められたあげくに劇的な展開にもっていった点は「役者」として評価できる。空母を傷つけ損なえば翌日からの空襲で全滅するぞ。別動隊がいることも知っていたはずなのに、恐ろしい無茶をしたものだ。

 対象的に冷静にみえてしまうのがフレッチャー提督。地味なフレッチャー提督。毛利三兄弟にたとえれば、吉川元春がハルゼーで、小早川隆景がスプルーアンス、毛利隆元がフレッチャーというくらい地味なフレッチャー提督(横山先生の喩えに触発されてみた。そのため正確性はあまり気にしない)。
 無傷の零戦を手土産にして自分の地位を保とうとするところに、アメリカ海軍がそれぞれの提督個人の戦いをはじめてしまっていることが象徴されていた。恩を売る買うのレベルでも海軍との協調を考えているカーチス・ルメイ中佐の方がまだしも正常。

 こんな軍隊が史実にも存在することが悪夢だ。

修羅の波濤〈4〉―反撃の一航艦 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 23:01 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/1202
トラックバック