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修羅の波濤7〜トラック奪回 横山信義

 そう、トラック奪回――対ソ援助物資的な意味でアメリカが。

 刀折れ矢尽きながらも日本海軍は自ら放棄した地、トラック環礁への再進出を果たす。
 アメリカ海軍の太平洋艦隊司令長官が殿軍をつとめる劇的な海戦のすえに――徳田少将の賢い活躍がよかった――ルーズベルト大統領を縛っていた勝利の幻覚が晴れることになるのであった。

 虚偽の報道をさせていた彼の退陣がトルーマンの大統領就任を招き、反共主義者として知られたトルーマンへの不信感がスターリンをドイツとの停戦に走らせる玉突きのごとき変化がおもしろかった。
 現場の人間には、そりゃないよと言いたくなる展開だが、日本海軍が余裕を失ったことでインド洋での英海軍牽制を果たし得なかったことも伏線として効いている。また、日本人にとっては終戦直前に不可侵条約をブチ破られた恨みもあるので、ソ連が無茶苦茶をやっても納得しやすい土壌がちょっとはあるのかもしれない。

 ともかく、この土壇場でのソ連による背信は、下手な大海戦よりも劇的だ。
 大きな状況の変化をうけて、日本とアメリカの停戦交渉も成立の現実味を帯びてくる。だが、停戦が近いと感じるからこそ少しでも大きな成果をあげようと戦闘が激しくなることは、朝鮮戦争などをみても明らか。
 真珠湾奇襲作戦の失敗に目を覚まし、日本のために自らをすり潰してきた連合艦隊最後の戦いが幕を開けようとしている。

修羅の波濤〈7〉トラック奪回 (C・NOVELS)
修羅の波濤〈7〉トラック奪回 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 18:18 | comments(0) | trackbacks(0)

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