<< 石川の山の岩石(しま模様の石)〜石川県鉱物保護収集委員会調査記録をもとにして 三森たか子 | main | ニュートン2010年6月号 >>

戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.46 珊瑚海海戦

舞鶴要塞
 舞鶴の地形について少し詳しくなることができた。
 いかにも過剰設備な印象を与えると思ったらやっぱり……防御計画を策定する段階ごとの事情があるからなぁ。施設があれば外交に影響を与えることを踏まえると役に立つ軍事施設を必要なときに必要な場所に作るのはとても難しいことだと思う。

敷設艦/急設網艦 初鷹
 マニアックな船を三隻も造ったあたり、少なくとも表面的には機雷をあいかわらず重視していたことがわかる。最大速力20ノットの船でも護衛戦に活躍したことを考えると、ガラパゴス化した艦隊型駆逐艦の存在が余計に浮いて見えるのだった。

順天城
 二重の縄張りをもった大陸侵攻の拠点。日本の城郭は堅固さのために大きさを犠牲にしているところがあるから、機能だけではなく感覚的にもあちらにはそぐわないところがあったのかもしれない。

夢の超重戦車
 けっきょく現代の戦車が半分以下の重量で高い機動力を維持しながら、負けないか上回る火力と守備力を達成している点が泣ける。命中率を論じはじめればさらに侘しいことになる。計画された時期はもちろん、そもそも用途が「攻城兵器」であったことを忘れてはいけないのだろう。
 佐藤大輔氏の「鏖殺の凶鳥」でマウスやE100が大暴れしていたのを思い出した。

ヘイドリアン・ウォール
 タイン川の北に壁を築いていて川を防御施設として利用していない点が興味深い。各要塞に船運で物資を安定して供給するためなのだろうか。ゲルマニア人との国境に使っている河とくらべると水量が少ないことも効いているのだと推測した。

珊瑚海海戦
 玉虫色の作戦案にひきずられた初の空母機動部隊戦。著者(林譲治氏)は基地航空隊こそが主力として当時の日本海軍に考えられ、空母機動部隊は補完的な扱いを受けていた――あるいは扱いかたが確立していなかった――としている。
 南太平洋海戦以降も空母不足から基地航空隊がの役割が重かったわけで、空母の価値が理論的にも戦力的にも認められたのはミッドウェーなんじゃ……そのタイミングで送り込んだ空母が全滅とか凄まじい悪夢だな。
 周辺の事情はくわしいが、戦いの描写そのものは淡泊だった。さすがというか著名パイロットの誰が何したみたいな話題が一切ない。

有岡城攻防戦
 荒木村重の反乱を描く――いったん行き詰ってからはひたすらグダグダだなぁ。打開策もみつからずひたすら立て篭もっているのは、みていて憐れになってくる。それだけの柔軟性を得られないほど戦力的に劣っていた問題もあるのだろう。
 失敗者を描くことで光秀の「成功」が強調された――でも世間的なイメージは彼も失敗者。

ソンム大会戦
 もう攻撃は諦めろ。そう言いたくなってしまうが、国民の手前もあって何とか成果をあげなければならない。そんな軍上層部の焦燥も感じられる戦いであった。でも、攻撃用の兵員を引きあげて砲弾工場に送って雨あられと……戦果が確認しにくいから駄目かな。
 アメリカ南北戦争で出てきた攻撃不利の原則がいくところまでいってしまった印象もあった。少なくとも青天の霹靂ではないはずのものが、青天の霹靂になってしまう。そんな軍人の勉強不足を糾弾したくなる私も勉強不足のかたまりだ。

サイバー歩兵
 歩兵が歩兵でいられるコストの限界はどこにあるのか。そんなことまで考えさせられるシステムだ。ともかくアメリカ軍がとことん強力なシステムになっていく方向性を持っているのは間違いない。同時に消耗戦に弱くなってしまう可能性もあるのだが。
 防御と指揮通信の進歩にくらべると、グレネードランチャーと小銃の合体兵器はいまいち上手くいっていない印象を受けた。小銃を大口径化して炸裂弾を使えるようにした方がよかったりしないか?素人考えだろうな。

艦隊フォーメーション
 横陣、縦陣、船団護衛陣形、輪形陣のついて整理と考察。いちばん最初の輪形陣が一斉回頭している写真がカッコいい。米海軍の練度の高さを感じさせる写真だった。
 紹介されているなかで、目新しく感じておもしろかったのは、やはり船団護衛陣形だ。護衛船の隻数によって、どのポジションに配置すべきなのかまで解説してくれている。

近代日本の戦争と軍馬
 かなりトホホな内容であった。それでも開国数十年で水準に追いついたのは凄い。その頃には自動車輸送で取り残されているわけがだ……やっぱり輸送に関してはがっかりなことになりやすいサガなのかも。現代も法的問題とかね。

二式多連20粍高射機関砲
 だから、海軍と協力してくれ……!プリンス・オブ・ウェールズ逆襲大作戦に出てきた射撃式装置を思い出した。

夜間戦闘機大研究
 空戦可能な機上電探を開発できなかった日本が浮きかけてしまっている夜間戦闘機史。斜め銃でネタを重ねてくれたドイツ軍に感謝感謝である。
 ヨーロッパにおける航空戦が非常に高いレベルにあったことが改めて理解できた。やはりイギリスの果たした役割が非常に大きい。

切手で綴る二十世紀の戦争
 カラフルで見ていて目に楽しく思わず欲しくなるものも多い。印刷技術的には劣っていても躍動感を感じさせるものもあった。
 切手を発行したゲリラは成功するジンクスが興味深かった。

パナマ運河
 アメリカにとって極めて重要な航路のくびれ。第二パナマ運河の計画が動いているとか、昔からの制御機器が使われているとか、いろいろ思い出した。

機械伝説 WW怯儼核ぢ盒
 非常にごつい射撃照準器。絵からずっしりとした質量感が伝わってくる。何キロあるのやら…。

信長の独断 豊臣秀長と藤澤武夫
 秀長好きだ。病状が高二相当の進行段階にあるので真田信之なんかも好き。
 秀吉よりも先に死んでしまった点があまりにも痛かった。記事中でも言われているとおり正嫡に恵まれていないのも大きいのだろうな……だからこそ豊臣家らしい!

インタビュー 浅井達三
 従軍カメラマンとして中国から東京裁判まで撮影を続けられた凄い経歴をもった方。当時の写真がとてもカッコ良かった。そんなところも、さすがにプロだ(撮ったのは同僚の方だろうけど)。
 撮影のために飛行機によく乗ったため、戦争中の飛行時間が1000時間を超えていたという話に驚いた。しかも、一式陸攻の爆撃行にたびたび参加するなど浅井氏の強運を感じずにはいられないエピソードが数多い。

よくわかる築城学入門10 「水の手」防御で籠城戦に勝つ!
 山頂付近の湧水・井戸は、そこより上の地面の面積が保障する以上の水量は供給してくれまい。防御線が後退すると同時に兵力も減少していることが前提の籠城戦には不気味なほどちょうどよいのかもしれないが……。

キスカの「奇蹟」
 前線将兵の仕事はたたえるべきだが、撤退するチャンスは何度もあったのに「奇蹟になってしまった」のが人災といいたくなる側面がある。大本営の主張にお前は何と戦っているんだ…と呟いた。
 軽巡阿武隈が海防艦と衝突したり島を敵艦と間違えて魚雷を発射したり、ドタバタしている。

壬申の乱
 近江と伊勢を焦点とした畿内と東海の争いとして興味深かった。地形が大きく変化するわけでもなく、戦国時代とも比較に値するものがあるはず。
 当時の兵站能力の限界もあって複数の戦線をうまく――あるいは運よく――処理した方が勝利している。大伴氏の反乱が的確に下腹を突く形になったのは大きかった。
 地方の力を利用して勝利したあげくに、さらに中央集権を進めたオチは歴史の皮肉を物語るなぁ。

大西洋通商破壊戦 前編
 開戦時に大量のUボートが準備されていれば……それに尽きる戦いだ。やられる方はやられないと対策が進まない面がどうしてもあるわけで、体勢を整える前に徹底的につぶして負のスパイラルに落としてしまわなければ通商破壊する側がだんだんと不利になっていく。まぁ、ドイツが勝たなくてよかったと思うけどね。
 三人のエースが瞬く間にやられてしまってエピソードが興味深かった。あれだけの撃沈トン数になると、個人が国家の命運を左右することになるわけで。

アフガニスタン紛争
 そして911へ……あの有名なマスード将軍の活躍がわかった。戦術はよくても政治は難しい。というかアフガニスタンをまとめる政治力など人類に望んではいけないのかもしれない……統治者の人種にやたらとうるさいし。
 昔のアフガニスタン王国がイギリスに3度にわたる敗北を経験させ、しっかりトラウマを植え付けている点が愉快だった。

バルバロッサ作戦
 モスクワ攻略を無理押ししたのは国防軍のほうと――発想は正解でも結局力が足りなかった場合もあるからヒトラーの方がいい判断をしていたと即断することもできない。
 モンゴル騎兵の突撃シーンが迫力だった。迫力の集団自殺行為だった…。


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