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修羅の戦野2〜攻防遼東半島 横山信義

 最後の艦隊決戦をもとめて宇垣提督がウラジオストック沖で陥穽に掛かる。
 戦力不足を自覚しているからこそソ連海軍の戦いぶりは粘り強く、最強クラスの日米連合艦隊に打撃を与えていた。
 逆に戦力に余裕のあるソ連陸軍は海辺まで深入りしすぎて思わぬ打撃を受けることに……凍らない海には磁力が働いているだけに、戦艦の艦砲射撃はロシア人にとって鬼門なのだった。

 アメリカとの戦争でどんどん打ち減らされていった戦艦の数少ない生き残り、扶桑と山城が遼東半島で大連と旅順を攻めるソ連軍25万の退路を我が身を挺して断ってみせる。
 日米連合は有利な状況を掴んで内陸に打ち入れるが、ソ連軍が海岸に進出するのは極めてリスクが高い。海軍国と陸軍国の差があらわになる戦略環境であった。その差を埋めれるのは空軍力だが、そこはレーダーから後方をふくめた情報工作で日米側が有利に戦っているのだった。

 そして、戦況を整理してから始まる日米連合軍の大反撃。
 新しく満州における総司令官に着任したパットン将軍をうまくコントロールして華と犠牲を持たせる代わりに実利を得ようとする山下将軍は大した役者だ。停戦工作で陸将として苦労を重ねてきた経験が生きているんだろうな。
 前作が伏線になっていることを言いだせばマッカーサーが日本軍の捕虜になってまったく面目を失ったのも大きかったと感じる。そうでなければパットンの着任はなかっただろう。

 戦争は1946年に突入しており、第二次世界大戦では見せ場のほとんどなかったパーシバルやジャクソンなどの戦車がまとまって現れはじめているのも、今後の機動戦を期待させる点だった。

横山信義作品感想記事一覧

修羅の戦野〈2〉攻防遼東半島 (C・NOVELS)
修羅の戦野〈2〉攻防遼東半島 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:33 | comments(1) | trackbacks(0)

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コメント
 史実では不遇の存在であった戦艦『扶桑』、『山城』に活躍の場が用意されており大好きな作品です。
 (自己PR)日本軍艦史への興味と、仮想戦記への御理解をお持ちの皆様へ。仮想戦記『連合艦隊サーガ』を連載しておりますので、御覧いただければ幸いです。
| 白島三十六 | 2014/02/25 8:17 AM |
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