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ダンタリアンの書架1 三雲岳斗

 この世から失われた、あるいは失われるべき幻書をあつめたダンタリアンの書架。美少女の姿をした甘い物好きの「それ」と幻書が引き起こす事件にかかわっていく青年ヒューイの奇妙奇天烈な物語。

 幻書を与えられた人間がその力でどこか逸脱しているのに出くわすのが常なのだが、幻書にふさわしい人間でなければもっと大きな悲劇に見舞われているはずなので、元から逸脱していただけかもしれない。
 持ち主が力を失うまいと必死の抵抗をみせるかと思いきや、けっこう捻くれた結末になることが多くて、面白かった。封じられた特別な力を使うまでもなかったりする。
 最後の話にでてきたハルがそういう「正統派」を演じるのかと思いきや、意外と甘い結末になったし、彼らは本を憎んで人を憎まずといったところか。
 逆に主人公側は人を憎んで本を憎まないところがある。

 古書のうさんくさげな知識がうまく現代科学で肉付けされている様子もさることながら、ダリアンのかわいさに引き込まれてしまった。
 人見知りでお菓子に弱く、口調はやたらに居丈高。実に狙ったキャラクターをしているのだが、悲しいかな萌えてしまう。カラーイラスト2枚目の揚げパンを頬張っている写真が微笑ましすぎる。餌付けしたい。

 あと、最初は架空の世界を描いていると思っていたのだが、読んでいくと普通に20世紀のヨーロッパだった。飛行機はあるけど馬車が現役で動いているところからみて、第一次世界大戦後なのかな。なかなか確定できない時代背景が、独特のセピア色がかった雰囲気を醸し出しているところも良かった。

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)
ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)
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