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氷山空母を撃沈せよ!1〜ミッドウェー逆襲海戦 伊吹秀明

 基準排水量850万9500トン!長さ1700メートル、幅530メートル、搭載機数1000機!!パルプに氷を混ぜたパイクリートなる素材を元に建造された氷山空母ハボクックがほぼ単独で、連合艦隊に立ち向かう――雰囲気的には逆――驚天動「氷」の架空戦記小説。

 ともかく氷山空母の発想が物凄く、史実にまったく負けない存在感を、周囲に放射しつづけている。
 それを陳腐にしていないのは、氷山空母以外はかなり正確に描かれた「まともな」兵器や戦術の数々であろう。けっこう自然な形でミッドウェー海戦を逆転させた手腕には感心した。それすらも氷山空母の前座に過ぎなかったわけだが……。

 登場人物にも似たことがいえて、氷山空母を指揮するアイスマンことウォルター・ウォード大将が、ウィリアム・“ブル”・ハルゼー中将と噛み合って、うまいことキャラクターを立てていた。
 大量に挿入されている、史実・架空入り混じったポートレートがかなり独特の空気を醸成している点も見逃せない。

 なんといっても、投入した戦力を考えれば尻切れトンボに終わった印象さえ抱いてしまいそうなミッドウェー海戦を発展させて、戦艦大和までもが実戦投入される劇的な展開にもっていったエンターテイメント性の高さを評価したい。


 ちょっとしたやりとりも気が効いていて、歴史改変で参戦している十六試艦戦を指して「その零戦、何を食ったらそんなにでかくなるんだ?」と言わせていたのには笑ってしまった。
 1993年発行の古い作品だが、決して朽ちない何かを持っていると思う。SF系架空戦記小説にひとつの金字塔を打ち立てた作品なのかもしれない。

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氷山空母を撃沈せよ!〈1〉ミッドウェー逆襲海戦 (トクマ・ノベルズ)
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0)

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