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氷山空母を撃沈せよ!2〜ソロモン逆襲海戦 伊吹秀明

 氷山空母ハボクックを進水させた恐るべきアメリカ合衆国と大日本帝国の戦いが、ソロモン海を焦点に激しさを増していく。
 前巻がひとつの海戦を双方の戦力を出し切らせる形で発展させたものだとすれば、こちらは一連のキャンペーンを描いているわけで、戦争の描き方としても実に巧みだ。ただ、主人公となるハードがハードなので、陸上での戦いはほとんど描写されていない。
 その代わりに銃後の生活にちょっと触れていて「辛み入り汁かけ飯」のエピソードには興味をそそられた。鴨葱コンビは、どうにも好きになれないが――そういう風につくられたキャラクターだからなぁ。

 この巻では氷山空母の衝撃を味方にする形で山本五十六と「阿合捷一郎」がおしすすめた海軍の改革が興味深かった。作品オリジナルで、なかなか有能な司令官の抜擢に、効果的な戦力の集中。
 その前から兵器開発を中心にして、史実よりも優れたところの多い海軍である。そうやって史実を一枚うわまわることで、それを更に押しのける氷山空母の巨大さを感じさせている。

 新型機が米軍に先んじるペースで配備されているのも嬉しいところで、特に正統派主人公的な紫堂礼二が駆る烈風の活躍には素直にもりあがってしまった。
 性能的には同時代の機体から異常に飛びぬけているってわけでもないのだが、最後までこれを量産化できなかった開発の迷走を嘆かずにはいられない。アメリカ海軍の方は、氷山空母のもたらす巨体に変な余裕を与えられてしまったせいで、F5Fスカイロケットという双発機を繰り出してきた。さらにフライング・パンケーキも投じてくるのは遊びすぎではないか。
 とはいえ本当に余裕綽々でもなく、ハボクックの実戦投入がかなりの泥縄であったことも描かれていた。そこにもう一本泥縄を結う形で投入されたプロトタイプの氷山空母「ユナイテッド・ステーツ」は舵に集中攻撃を受けてめでたく「氷山」に戻ってしまった。他には1巻でやられた艦砲射撃に、艦橋への集中攻撃が有効かな。後者は的が小さいうえに凶悪な対空陣地に突っ込んでいく破目になるが。
 黒鉛を散布して溶かす作戦はダメージコントロール要員に邪魔されそうだ。そんなダメコンが必要な軍艦は氷山空母だけだろうな。

氷山空母を撃沈せよ!〈2〉ソロモン逆襲海戦 (トクマ・ノベルズ)
カテゴリ:架空戦記小説 | 20:04 | comments(0) | trackbacks(0)

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