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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.63 ミッドウェー海戦

江田島海軍兵学校
 海軍兵学校の代名詞にすらなった江田島の様子と教育の実際を紹介している。辺鄙なところという理由で明治に選ばれた土地だが、昭和16年ごろの再現図では外に多くの家が密集していた。いろいろ利益があったのだろう。
 兵学校の成果と問題点から、教育が国の将来にとって極めて大事なことが確認できる。

近江 観音寺山城
 デカイだけで守備力はそれほどでもないと評価されていることを、この記事ではじめて知った。まぁ、武田や北条、織豊の城郭にくらべれば不満点は多いかもしれない。
 けっきょく問題は攻めてきた相手に対して有効かということで……歴史の推移をみるかぎり絶対的に有効だったとは言えない。相手が悪かったなぁ。先進性で知られた六角氏を滅ぼしたのが、文化の中心である西ではなく東からの新しい勢力というのも皮肉な話だ。

給油艦 速吸
 読んでて頭が痛くなってきた。どこまでもグダグダな海軍の建艦計画はグダグダなことである意味筋が通ってしまっている……。対潜哨戒用に水上機を搭載するところでまとめておけば、心の底からそう思った。

同調式機銃
 シンプルイズベストを地で行く発想の装置だ。はじめの方からシュナイダー氏の活躍が目立つ。

ナポレオンのエジプト遠征
 戦争そのものの雛型みたいな戦役だなぁ……これで懲りなかったナポレオンも凄い。戦術的勝利で騙したものの中には自分のプライドも含まれていたのかもしれない。
 それにしても収録されている戦争画が素晴らしい。エジプトやトルコの軍隊が相手だと余計に絵になっている。

米海軍の太平洋戦争
 これを見るだけでアメリカに勝てる気がしなくなってしまう……こんな時期でもけっこう良い発色をしているなぁ。日本軍の写真がほとんどない点がちょっと残念だった。

ミッドウェー海戦
 太平洋のミッドウェーは、太平洋戦争のミッドウェーでもあった。
 戦術的問題として語られることが、実は戦略的問題であったことを明らかにする記事。おかげで戦術の描写は最低限になっている。タイトルにもなっている割に地味な記事だ……それでこそ歴史群像か?
 ミッドウェー海戦に参加した司令官のなかで、フレッチャー提督だけが空母戦経験者であったとの記述にハッとした。日本も瑞鶴だけでも参加させておけば……と思ってしまう。まぁ、日本海軍の体制では搭乗員の損害が埋めきれないか。
 完全におかしな作戦よりも、そこそこ妥当性をもった中途半端な作戦の方が有害性は高いのかもしれないなぁ。

川中島合戦
 戦国時代に名高い上杉と武田の5次におよぶ大合戦を、臨場感あふれる小気味のよい文章でつづる。あまりに文章の調子がよいので、著者の歴史解釈と史実と確認されていることの境界が曖昧になっていて不安を覚えることがあった。しかし、描き出されている像はそうとう正しいものに思えた。
 両家に多大な被害をもたらした対立がもし回避されれば、謙信と信玄はもっと大事をなしとげて歴史に足跡を残せただろうか。それとも、川中島がもたらす名声がそれらを超えることはないのであろうか。
 戦術以外は――などと言われてしまいがちな謙信だけど、権威をえるための朝廷・幕府への働きかけは見事なものだと思った。山に囲まれた武田氏よりも、海に面している上杉氏の方がこの手のセンスに関しては優れていたのかも。

赤壁大戦
 三国鼎立を決定づけた赤壁の戦いをこちらも名文家が綺麗に紹介してくれる。劉備が民衆を大量に連れて逃げるのを強行軍で追撃したことが曹操の敗北を招いたわけで、結果的に民衆を餌にするトラップになっているところに運命の皮肉を感じた。もちろんトラップが発動したのは曹操が悪いわけだが……。
 あと、後漢書 群国記による二世紀半ばの登録人口が興味深かったので書いておく。
司州 311万
予州 618万
冀州 594万
エン州 406万
徐州 280万
青州 369万
荊州 627万
揚州 433万
益州 726万
涼州 39万
并州 70万
幽州 180万
交州 112万
総人口 4765万
 とのこと。戦乱によって著しく衰えるとはいえ各英雄の国力差や重要な土地がみえてくる。劉備が抑えた益州は確かに豊かだが、(戦乱で荒廃した)州をたくさん抑えている魏と比べてしまうと……。あと、三国志第四の国は180万かぁ。

機雷VS掃海
 制海権を考えるうえで非常に重要な機雷と掃海の歴史。ちょっとドイツの技術力は世界一ィしている。日本海軍が掃海に関しては結構技術開発をやっていたことに感心した。そこらへんは流石に日露戦争からの歴史があるんだろうなぁ。

戦術入門―実戦編
 追撃と後退をそれぞれの視点から紹介している。どちらも方法は事もなげに描かれているけれど、こうやって並べると思い通りに行くわけがないことに気付くことができるのだった。戦術には相手があることがもっとも大事と言ってみる。

海軍特殊部隊
 局所的にでも主導権を取り戻すために編成された部隊が、けっきょく投入の時期をつかめず戦うことなく終戦まで行ってしまったのは、どうなんだ。
 最初から編成されていれば違ったんだろうなぁ。

AZON誘導爆弾
 アメリカ軍が第二次世界大戦で運用していたいまだ謎のある誘導爆弾。やはり既存の爆弾に必要な部品を組み付けることで利用可能となるところが優れている。いろいろと余裕があるからできることだが。

戦場医療の歴史6
 衛生兵の背景について説明されている。軍医と衛生兵は戦争神経症に罹りにくいというのも興味深い。
 アメリカの戦争神経症を戦傷あつかいにする考え方は立派だと思う。

戦史の片隅で11
 モンテネグロと日本が日露戦争のころから戦争状態を解いていないというドキリとする話。まぁ、実際は大丈夫とのオチがつく。日露両国の戦争であるうちは良いけれど、イギリスが参戦する可能性を意識すればモンテネグロも思いきったことをしたものだ。小国なりに国際政治の舞台で下した判断が興味深い。戦後処理を忘れているところを見ると、賢明だったかどうかは怪しいけれど……。

零戦復元
 外板の厚さが最低0.4ミリで、場所によって異なるとか……リアクションに困る発見が多かった。なにか競技用の機体だったら凄く納得できるのになぁ。
 展示されている博物館が8月しか開かないのにたまげる。

黒船来航
 補給の意味をわかっているなら、もう少しこう、海軍力とか――ここであからさまに酷い目にあっていればシーレーンに関してもっと真面目になれたかもしれない。そう思ってしまう。サスケハナ号の断面図がよかった。

機械伝説31
 いっけん園芸道具のように見えてしまうが、極めて危険な敵前での鉄条網切断をするための鋏が描かれている。付け替え刃関係の工夫が良く考えられた昔の道具らしくておもしろかった。

日本史の非常識 黄門は光圀一人にあらず
 綱吉と仲悪かった水戸藩主。まぁ、仲が悪い方が後世の評価はあがる。いまのは流石にあがりすぎとも思うけれども……。

インタビュー 瀧山和
 ノモンハンで初陣を飾られた陸軍のエースパイロット。機体が非常に危うい状態にあったことを説明するときでも、とても冷静な語り口のままで、戦闘機パイロットの精神力を感じさせた。
「野武士部隊」の戦闘力維持方法が興味深かった。裏技的なことでも命が懸っている以上はやらざるをえない。

よくわかる築城学入門27 攻城術
 城攻めの方法「仕寄り」についての解説。こういうものは、ひとつの巨大な土木工事として心の琴線に触れるものがある。城よりも、手軽に配置できるからこそ、プランを刺激されるのだった。攻めかかる人間にとっては命を任す大事なもので、浪漫を感じる余裕もないかもしれない。

大塩平八郎の乱
 軍事的には悲しいほど見るべきものがない乱だなぁ。大阪の延焼が酷いのには微妙な気分になってしまった。それでも支持してくれる民衆は……。
 記事中に出てきた天譴思想は現代にも受け継がれていることをひしひしと感じる。

ホセ・リサール 祖国に殉じたフィリピン独立の父
 才能ありすぎて怖い人だ。こういう天才が現れないと独立が難しいのだとしたら、人口が少ない民族はそれだけで不利だなぁ。
 自らは武器を取ることなく理想に殉じた生き様がとても美しかった。

後北条VS.里見 東京湾戦争
 なぜか好きな里見氏とこちらも嫌いではない後北条氏の海洋覇権争い。海上攻撃では地歩を築くことは難しい点も里見氏には不利に働いたか。戦線の後方ばかりを狙って上陸するのは意図を読まれやすく、せっかくの攻撃箇所を選択できる優位を失ってしまう。
 VSに省略のピリオドをつけているところが細かくて良い。欧米史の記事でもやっていないことがあるのというのに……。

ベルリン封鎖
 マーシャル・プランを巡る展開に北風と太陽を思い出す。
 ドイツとの死闘を制した直後のソ連には大量の物資援助なんて手段は採りようがなかった点は同情できる。それにしたって西ベルリンの封鎖で――東ベルリンの住民を含めて――民衆を苦しめた点は弁護できないが。

ツィタデル作戦 Act.2ハリコフへの道程
 撤退に苦しむ兵士の皮肉なセリフが、冷たく痛い。ソ連の圧倒的な攻勢を受けながら、なんだかんだで戦闘能力を維持しながら戦線を縮小していっている枢軸軍の動きには目をみはるものがあった。実にタフだなぁ。


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