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覇者の戦陣1944〜マリアナ機動戦3 谷甲州

 紫電改の誕生秘話に長い尺が与えられていて、3巻の最後にやっと戦場がマリアナに固定されてきた形――サブタイトルは、マリアナで機動戦をするのではなく、マリアナに機動する戦いを言っているのかもしれない。

 日本軍の期待を一身に背負う形になっている紫電改のコンセプトは記述を追うかぎりでは、できるだけ地味で無難に仕上げましたと言ったところ。架空戦記にありがちな新型機のとことん逆をいっている。
 それでも自動空戦フラップを装備していたり高高度性能に気を使っていたりするのだが、史実といちばん違うのは量産されて次期主力戦闘機になりそうなところにみえた。

 あとは電子戦といつもの大津予備中尉による暗号解読話で、あいかわらず派手さには欠ける……それでも蓮美大佐が出るなら、蓮美大佐が出るなら一人で第三艦隊が暴れるくらいの存在感は発揮してくれるはずと思ったのだけど、流石に無茶な期待だった。
 まぁ、一人で日本軍の主力艦隊と比較対象になれてしまうだけでも、どうかしている。

 個人的に最も盛り上がったのは敵の司令官がスプルーアンス大将だと判明した件だった。やはりビッグネームなのは間違いない。作風からして、敵側の視点で描かれることはないと理解しつつも、司令官の名前だけで敵の具体性が上がった気分になった。

 最後の最後ではついにB29がサイパンに飛来して、激しい電子戦を交えながら空母機動部隊戦に突入しようとしている。ここで超空の要塞を撃墜することができれば、戦いの勢いもかなり変わってくることだろう。
 高高度から地上や水面下まで多層的に展開されるに違いない激戦の気配になんだかんだで血沸き肉踊ってしまっている自分がいた。

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マリアナ機動戦 3―覇者の戦塵1944 (C・Novels 41-40)
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:34 | comments(0) | trackbacks(0)

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