報道は何を学んだのか 河野義行・磯貝陽悟・下村健一・森達也・林直哉
2010.10.23 Saturday | by sanasen
副題は「松本サリン事件以後のメディアと世論」。
著者の一人でもある河野義行氏が間違った報道によって犯人として扱われてしまった松本サリン事件の教訓からメディアは何を学び、現在どう変化していっているのかを紹介するブックレット。
結論は、暗澹としたものである。
はいはい批判の鉾先さえ逸らせればいいんでしょ――と、小手先その場凌ぎの対応をされてしまっている気がしてならない。
両論併記のやりかたが視聴率を取れないという主張も正直なところ、新しいやりかたが面倒だから言い訳しているとしか思えなかった。
どんなに視聴率の取れる番組でも100%はありえないのに、常に一部の「多数」に向けた報道を続け「純化」を繰り返して行けば、はてしなく「少数」が脱落していって最終的には多数こそが少数になってしまうのは必然ではないか。
全体で視聴者をプールできるような多角的な報道を用意できなければ、業界全体が沈没してしまうのは当然だと思う。
最後のまとめで下村氏が主張されていた、取材チームの中に一人は主流とは別の視点から事件を見る人間を置くことが実現されることを願ってやまない。
報道は何を学んだのか―松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット)
著者の一人でもある河野義行氏が間違った報道によって犯人として扱われてしまった松本サリン事件の教訓からメディアは何を学び、現在どう変化していっているのかを紹介するブックレット。
結論は、暗澹としたものである。
はいはい批判の鉾先さえ逸らせればいいんでしょ――と、小手先その場凌ぎの対応をされてしまっている気がしてならない。
両論併記のやりかたが視聴率を取れないという主張も正直なところ、新しいやりかたが面倒だから言い訳しているとしか思えなかった。
どんなに視聴率の取れる番組でも100%はありえないのに、常に一部の「多数」に向けた報道を続け「純化」を繰り返して行けば、はてしなく「少数」が脱落していって最終的には多数こそが少数になってしまうのは必然ではないか。
全体で視聴者をプールできるような多角的な報道を用意できなければ、業界全体が沈没してしまうのは当然だと思う。
最後のまとめで下村氏が主張されていた、取材チームの中に一人は主流とは別の視点から事件を見る人間を置くことが実現されることを願ってやまない。
報道は何を学んだのか―松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット)