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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.52 サイパン防衛戦

エバン=エマール要塞
 ベルギーは小国ゆえに空挺作戦に対応するためにも予算が付きにくかったとかないのかなぁ。軍事の常識がダイナミックに変化している時期は小国にとっては辛いものだ。小さいからこそ一気に変化できるという発想もないではないが…。

丹波 篠山城
 藤堂高虎による作品。軍事的な代物でありながら芸術的な側面を天守なしに感じさせてくれている。ひとめで堅固とわかる形態が織豊式城郭らしくて素敵だった。
 空撮写真では敷地の一部は学校に使われていたっぽい――そこも駿府城と似ているなぁ。

局地戦闘機「秋水」
 設計の突貫工事ぶりが段々と分かるようになってきた。まぁ、復元を見るとシンプルな機体ではあるが。寸法もろくにない図面から造ったところが興味深い。そういうの得意な人材がいたのかなぁ。

特設運送船 浅間丸
 客船は国力そのものに直結している。一個師団の輸送には15万トンの船舶が必要という記述を覚えておきたい。

装甲偵察車
 さすがにテクニカルには繋がらないか……見た目で威圧する効果も大事で、戦車ほど威圧しないことも同時に大事。難しい位置にある兵器だ。

リトルビッグホーン
 カスター将軍の猪突猛進が生んだ各個撃破。戦術的にはそれ以上のものではないはずなのだけど、政治的に利用されまくったと。最初からそれが狙いだったりしないよなぁ。
 アメリカ世論の話には嫌な気分にさせられた……。再現イベントを観てみたい。

サイパン防衛戦
 輸送計画から躓いていた絶対国防圏を守るための戦い。サイパンを衝いたキングの狙いは日本の輸送路途絶にあって、B29による本土空襲は副次的な目的であったらしい。
 まず兵力輸送の段階で、護衛作戦の不備によってかなりの兵力を失ってしまっているのが悲しかった。そんな有様で有利な場所に誘い込んで迎撃していると言えるのか?海軍の大好きな漸減攻撃を受けていたようにさえ思われる……。
 対する米軍は徹底的な支援を与える布陣で攻めかかってくる。それでも戦線を再構築しながら勇戦敢闘する前線兵士の働きには喉が枯れてくるほどだった。淡々とした描写がかえってイメージを煽るので読んでいて非常に辛い。
 まとめに日米における戦訓調査の差が勝敗を分けたという話があった。島を守る側は撃退に成功しなければ通信以外で情報を後方に伝えられないのに対して、攻め取る側は実地で検証を加えることができる。
 戦訓にはその点も大きく影響しているのではないだろうか――ミッドウェイの情報管制ぶりを考えると、差を生んだのはそれだけではないが。

逆転 厳島合戦
 修学旅行でいったことを良く覚えていて、こういう記事を読むたびに島の地形を思い出す。陶晴賢が島を逃げ回っただけでも凄いと思える。それくらい狭く険しい地形だった。そんな島に勝山城と宮尾城、ふたつの勢力の城ができてしまっていた政治状況がけっこう気になる。
 すべてはあからさまな罠である前提のうえで進行していたのだろう。ある意味、それまでに毛利元就が周囲に売っていた「キャラクター」が最大の武器になっていた気がする。
 作戦が肝心なところで怪しくなって周章狼狽するのもキャラクターの内!
 最初の方に出てきた大内義隆に最後まで忠実だった杉興運が何気に美味しい人物だ。

ブライテンフェルトの会戦
 三十年戦争におけるグスタフ・アドルフ王のティリー将軍に対する初勝利をえがきつつ、軍事革命の展開を追っていく記事。グスタフ・アドルフの業績はもちろん大きいが、オランダのマウリッツ公の存在も無視しがたい内容だった。
 戦闘そのものは展開のさせかたが同じなら、兵の質が勝負を決める感じかな。砲を奪われて自分たちの方にぶっ放されるのは傭兵レベルの士気では過酷だろう。
 あと、ひたすら荒廃を招くしか能のない三十年戦争そのものへの著者の醒めた視線がなかなかイカす。

B−29開発物語
 軍事的なプロジェクトXもの――実際実験機はXのコードナンバーがふられるわけだが。
 しかし、感動的と割り切れないのは使い方の印象があまりにも悪いからだろうな。生産にあたっていた人々の多くは、B−29があんな風に使われるとは思ってもみなかったに違いない。もっと抽象的に残酷なことを考えていた可能性もあるが……敵意を煽るプロパガンダはお互いさま。

ゲリラ戦
 テーマが巨大なので、これだけでは物足りないと感じてしまう記事。しかし、歴史的に重要な戦いをあげて良くまとまっている。ゲリラだけでは勝利はえられず、どこかの段階で正規軍が必要となる点は非常に重要だ。
 時代が変わって正規軍やゲリラの形が変わっても正規軍の占領機能だけは変わらないというより変われないのではないか。

陸軍中野学校
 記事の中でもいわれていたが、もっと早くに設立されていればと悔やまれる。理想的には日露戦争のときにできていれば良かった……陸軍だけの組織でいいのかという問題もあるが。
 参謀本部などから出向した教官でも、かなり柔軟な発想を生徒に伝えていたらしきことが興味深かった。特にそう言う人が教官を買って出たんだろうな。

ダ・ヴィンチの秘密兵器
 アルキメデスとダ・ヴィンチなぜ差が付いたか 慢心、環境の違い。
 イタリアの戦国時代を生きた芸術家の生涯を軍事的に描いている。その時代に生きているのだから当然だが、やはり戦争に大きな影響を受けて人生を送っている。

機械伝説 陸軍小型警報機
 信頼性が命のメカでもあるわけで、今でもきちんと警報を奏でることに納得した。

信長の独断 武田二十四将とモーニング娘
 「括り」の力はおそろしいもの。語る上でもそのまま目次に使えるから便利なんだろうなぁ。関連:漫画 武田二十四将感想

インタビュー 市来俊男
 戦後も自衛官をやられていた関係なのか、とても理路整然としたお話だった。戦時よりも訓練のことが詳しく紹介されていて、新鮮だ。

よくわかる築城術入門 水上交通を支配する「水城」
 湖の水城は海のそれよりも水面側への防御が甘め。そこもなかなか興味深い話だった。山城なんかに比べると防御力があるわりに高低差が小さく、涼しそうな城である。

カ号観測機
 先見性はあるのかもしれないが、組織内でのすり合わせができていないばかりに平行して似たような機体が開発されすぎ。その点で評価してもらえなくなるのは、機体と技術者が可哀想だ。

TEH WAR MOVIE ローマ帝国の滅亡
 これ、いちど観てみたい。雰囲気が暗いという話が無性に気になるが……最後のツッコミにはとってもとっても同意できた。

宮古湾海戦
 幕末戦史 歴史群像アーカイブvol.12に収録されていたので再読せず。

軽巡「エムデン」の戦い
 インド洋で英雄的な通商破壊戦をみせたエムデンの雄姿を描く記事。艦名がタミル語になってしまっているのには驚いた。凄い話だ。
 第一次世界大戦時の辺境だからこそ、ああいう戦いがなんとか成り立った面はあるのだろうが、常に主導権を確保して戦うミュラー艦長の指揮ぶりに感じるところが多かった。ドイツ本国への帰還をはたした陸戦隊も凄い。

ユーゴ紛争史 後編
 チトーを失ってからのユーゴスラビア。スロベニアは巧いことやったなぁ。その成功が他の国を幻惑して余計に酷い事態を招いた?なんだかんだで独立していないモンテネグロがいちばん落ち着いているように見えてしまった。
 ドイツが余計なことをしているのに呆れる。

総統司令第41号 ブラウ作戦
 総統を粗忽と打ち間違えてしまいそうになった。この場合は明らかに参謀本部のプランの方がいい気がするのだけど、大きめの目標を達成してきた総統には物足りなかったのだろうなぁ。


戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 感想記事一覧
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