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異説桃山戦記 三成死すべし3〜新しい天下 尾山晴紀

 終わってみれば大阪の陣における野戦を拡大したような戦いであった。もちろん、制海権が戦局に大きな影響を与えたことなど、違いはあるのだが。
 決戦のクライマックスを飾る赤備えと赤備えの激突はロマンに溢れていた。でも、兵士がすべてひこにゃんで再現される……にゃーにゃー。


 めでたく天下人となった豊臣秀頼の性質は、いまいち平和な時代には向かないものに見えてしまった。命を張ることで人を評価するには、いくさがなくては話になるまい。当分の間は殉死が流行りそうな世界だ。さもなければ、また海外遠征か?秀頼が若いだけに将来の可能性が、いい方向にも悪い方向にも広がりすぎて予想がつかない。

 まぁ、秀頼の器ではあの藤堂高虎を殉死させた石田三成には敵うまい。藤堂高虎と福原長堯のコンビが紀伊で粘って、戦いがぐだぐだに長引くのも見たかったなぁ。宇喜多秀家も活躍できるし。
 大人の事情もあるのだろうが、合戦をさっぱりすっぱり終わらせて論功行賞に導くには、どうしても戦場での寝返りが使われてしまいがちだ。もはや戦国も終わろうとしている時代に、長期戦を「世間の空気」が許さない面もあるのかもしれない。

 論功行賞の内容に注目してみると、松平忠吉が松平家の本籍地――奥三河がそうでなければ――に移されていたりして、命を懸けさえすれば敵であっても温情の対象にしていることが伺える。ちょくせつ接すると命の奉仕を求められる厄介なところはあるが、離れた身分の人間にとって秀頼は良い天下人になれるのではないか。
 作品全体を振り返ってみると秀頼の価値観にもっとも「命懸け」で応えたのが、石田三成その人だったという皮肉がとても面白い。

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異説桃山戦記 三成死すべし〈3〉新しい天下 (歴史群像新書)
異説桃山戦記 三成死すべし〈3〉新しい天下 (歴史群像新書)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:25 | comments(0) | trackbacks(0)

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