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戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 No.106 ナポレオン戦役1812ロシア遠征

ナポレオン戦役1812ロシア遠征
 結論からいえば達成不可能な戦略目標に向けた進撃だったという趣旨の記事だ。消耗することを前提に大兵力を用意するなんて発想が凄まじすぎる。まぁ、消耗とはいっても拠点防衛のための配置が主なのだが、退却時に回収できていない以上、分散された守備隊の末路は推して知るべし……。
 ゆいいつのチャンスであったボロディノの会戦は敵味方がほぼ同数なのだから、精鋭を集中できていれば美しい機動を行って勝つ目もあったと思う。迂回を主張したダヴーは精鋭の温存ができていると考え、却下したナポレオンはダヴーの軍団以外の質に信頼がおけなかったのだろう。少なくとも自ら親衛隊を率いて鉄床になる覚悟はなかった様子。
 戦略目的自体が間違っていたなら、目標をモスクワではなくサンクトペテルブルグに定めてバルト海沿岸にポーランドのような緩衝国家を造ることを狙っていたらどうだったのか――フランスに制海権がない以上、イギリスが海からロシアが内陸からちょっかいを掛けてきて、第二のスペイン戦線を生むだけかな。

リシュリュー
 フランスで竣工中に脱出を余儀なくされ、イギリスに攻撃されて、アメリカで戦備を整えた戦艦。「国家の象徴」が辿った生に、祖国が失われることの切なさを感じずにはいられない。
 副砲が復活した理由が対水上艦戦闘能力ならダンケルク級でも同じ問題はあると思うのだが?

相模 石垣山城
 純然たる軍事施設として見られた石垣山“一夜”城。補給戦に勝って追撃を掛ける希望が、重厚な石垣山城の施設を目の当たりにすることで、潰えたなら通説と違っていてもやっぱり示威効果はあったのだろうけど……政治的ではない軍事施設など存在しないな。

海軍 一式陸上攻撃機一一型
 軍人が防御力を、技術者が高速性を求めた歴史が紹介されている。実際の使い勝手がどうであれ、要求仕様を満たさなければ仕事をしたことにはならない立場もあるわけで……悪いのは書類至上主義なのではないか。

レヒフェルトの会戦
 マジャール人対神聖ローマ帝国の暗黒時代における一戦。城塞を迂回して敵地奥深くに侵入してしまったマジャール人の戦略に問題がある。長篠の戦いにおける武田軍のような撤退の難しさをイメージした。
 絵画解説に魂入ってる。

ミッドウェー環礁
 いまは平和の島ミッドウェー。海鳥が大量に座りこんでいる写真に驚いた。このまま自然に埋もれていけばよいのだが、中国海軍の動向によっては風向きも変わってくるか。

中国弾道ミサイルの系譜
 あとで処分に困るぞ。A4のコピーであるR−1から発展したR−2のコピーとか複雑な系譜をしているなぁ。DF−4とDF−5の配備開始年が1981年で同じになってしまっている点も気になった。

ある日の米軍首脳陣の午餐
 チキン・フリカッセが、凄く…美味しそうです。でもキング海軍作戦部長と一緒に食べることを考えちゃうとなぁ――味が分かるんだろうか。
 米軍における鳥肉史も学べる内容になっている。

モンテ・カッシーノの戦い
 連合軍による修道院の爆撃事件が痛ましい。ドイツ軍はちゃんと布陣していないことを通告していたのかな。していても嘘だと思われてしまえば証明しようがない。廃墟にしたことでドイツ軍の利用を可能にしたとすれば因果応報そのものだ。
 順次陣地線を交代させていくケッセルリンク元帥の采配が見事だった。さっすが空軍元帥!陸戦の話がわっかるぅ!!……ヘルマン・ゲーリング師団も大活躍である。連合軍の航空優勢下で戦うにあたって空軍元帥の指揮を受けたことは大きかったのではないか。
 連合軍が多様な人種の集団になっているところも興味深かった。その中には日系人部隊もいたのである。

民間壮士の二・二六事件
 タイトルだと主導権を持っていた、少なくとも積極的に行動したように読めるが、記事の内容が伝えたいのは逆……天皇に期待せざるをえない革命家たちの立場が興味深かった。

中国国境紛争史
 毛沢東と林彪が自国民の命より自分たちの権勢を大事にしていることは分かった。西側諸国よりも東側諸国同士の方が小競り合いを起こしやすいのだろうか。そうでないと際限なく大事になりかねない事情は想像つくが、内政のための外征はやっぱりどこか薄汚れて見えてしまう。

くろしお回航記
 アメリカから貸与された自衛隊最初の潜水艦はやはりガトー級。それも太平洋戦争で日本の船を沈めている潜水艦というところが……大西洋で活動していたちょうどいい潜水艦はなかったのかなぁ。
 艦の来歴はどうあれ、そこから得られるものをしっかり吸収して、今日の自衛隊潜水艦部隊を築き上げたドン亀乗りたちに敬礼。
 アメリカで受けたカルチャーショックの逸話が興味深かった。

幻の機甲兵団
 どこまでも混沌としている日本の機甲兵団運用思想。たとえ選択が歩兵支援でも一貫していた方が成果があったのでは……ギリギリまで迷う贅沢が許されるのは金持ちだけだが、金がないからこそ最適な選択をしようと迷うともいえる。

信長の独断 フルスロット
 小西行長は水軍の働きが多少印象的かな。なんでもこなせる名脇役はどんな分野でも必要だと思う。埼玉も元気を出して!クレヨンしんちゃんだけじゃなくて、丸井三姉妹も居住しているよ。

占守島の戦い
 上陸部隊への戦車攻撃。準備不足の状態で攻撃を命じられたソ連軍の指揮官にも同情した。手持ちの戦車が0では、山猫も虎に化ける。それでもチハは対戦車砲や対戦車銃でかなりやられているわけだが。
 筆者の試算によって砲兵が戦場を支配する力の凄まじさを知った。

迷宮歴史倶楽部
 世界恐慌の雇用対策が人海戦術に関係していたという一文は見逃せない。特に平時は機械化をするなら、その労働力を転用する先を見つける必要があるわけだ。

負けじ魂、これぞ船乗り
 帝国海軍では3のつく潜水艦は不吉だったという話。こうもジンクスが固まってしまうと、迷信深い乗員などは平常心を保つのが難しかったのではないか……その心中を察すると胸が痛む。

戦場のミステリー
 夢のある話だ。ロシア人にしてみれば貨幣的価値だけではなく歴史的価値があるので、けっこう切実に見つけたいお宝だろうな。

インタビュー 細田圭一
 九六式陸上攻撃機に乗ってイギリス東洋艦隊の攻撃に参加された方のインタビュー。発言は要所要所で、経歴の紹介がメインになっている。自分の航法に絶対的な自信をもたれていたところが印象に残った。

ゲオルク・ハインリッヒ・フォン・ベレンホルスト
 勝利は敗北の母。フリードリッヒ大王が築いたプロイセン軍の硬直した体制に一石を投じた人物。また、一部の人間だけのものだった軍事を民衆に解放した人物でもある。
 勝った直後から次の戦いに負けないための戦いは始まるようだ。

各国陸軍の教範を読む
 フランス軍とドイツ軍の思想の違いがたびたび言及されている。結果が結果なのでフランス軍の教範は批判されがちだ。
 攻撃の深度の説明など図が分かりやすかった。

WW競疋ぅ超軍高射部隊
 本土防空で多大な戦果をあげたドイツ空軍高射部隊の全体的な紹介。少々無機質な文章になっているが網羅的な内容なので資料的な価値は高そうだ。
 効率の問題から最終的には時限信管をやめて着発信管にした件が印象に残った。もしもドイツ軍にTV信管があったら何が起こっていたのだろう。

ECLIPSE-太陽が欠ける日-
 ドラマ成分が多いので途中から読むと分からない。どうやら戦場はベトナムで、日本人の因縁が絡んでいるようだ。主人公のキレっぷりが凄かった。


戦略・戦術・戦史Magazine 歴史群像 感想記事一覧

歴史群像 2011年 04月号 [雑誌]
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