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皇国の機動要塞〜マリアナ海域、浪高し! 林譲治

 どこかで聞いた覚えのあるマリアナ諸島の“ガルダ島”で、メタンハイドレードを起源とする大規模な天然ガス鉱床が発見され、ここで製造される人造石油が日本の戦略環境を大きく変えていくという戦記シミュレーション。
 多くの作品を書かれている作者だが、それぞれに分かりやすいテーマがあるので、混乱せずに読み進められる。別にガルダ島の天然ガスは、恐竜たちの生息する特異空間から湧き出ているわけではないのだ!

 軍事施設を建設できない委任統治領が最重要拠点になったために、日本が開戦からの素早い要塞建設の必要に迫られるところが面白い。
 おかげで重機の導入が進んで、影響は日本社会全体にまで波及していく。海軍の下請け土木会社の立場が段々と苦しいものになっていく場面には、かなり微妙な気分になってしまったが……機械化が新しい資産を生み出す方向に転がってくれれば万々歳だ。

 日本とアメリカの戦いはガルダ島の石油施設に影響された諸般の事情があって、史実とはかなり違う方向に進んでいく。
 この作品では政治的な面から、真珠湾奇襲攻撃に厳しい評価が下されること著しい。そもそも軍事的要望からの行動で、政治的な環境を決定しちゃ本末転倒だよなぁ。真珠湾奇襲作戦にシェリーフェンプランに似た面を感じぬでもない。
 歴史からはなかなか学べない。特に海軍が陸軍史から学ぶことは――その逆も――至難の技だ。

帝国海軍ガルダ島狩竜隊 感想
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皇国の機動要塞―マリアナ海域、浪高し! (RYU NOVELS)
皇国の機動要塞―マリアナ海域、浪高し! (RYU NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:50 | comments(0) | trackbacks(0)

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