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蒼穹の軌道爆撃隊 谷甲州

 オービットコマンドの傭兵らしいお仕事。衛星軌道上からの地上ピンポイント爆撃が描かれるSF冒険作品。
 ミサイル攻撃を受けたハスミ大佐とチャペックの無茶苦茶なロックオンの押し付け合いが楽しかった。なんで、この人たち死なないのか――普通に死んでいる平行世界もありそうだ。だが、決して描かれることがないために、傍若無人で無敵状態である。

 ヒマラヤの奥地で独立をもくろむウォンディ将軍の「人工衛星を人質にとる」計画が発想としてとても興味深い。赤道に近く、低緯度、そして高度が高いという土地の利点を徹底的に活かしている。モノは宇宙兵器でも基本はきちんとゲリラ戦だ。
 彼らが母なる土地を味方にする限り、敗北はありえないであろう。

 膨張した大気圏によって減速させるという地味だが凶悪な砲撃を受けるハスミ大佐の腕も際立っていて、空力学的な配慮がなされたシャトルの利点を限界まで引き出している。
 通常の大気圏外で上昇気流をつかむなんて、まともではできない。まともな腕とまともな頭では、という意味で。
 砲撃をかいくぐっての軌道爆撃は、どちらも稀有なものを持っているハスミ大佐だからこそ、成し遂げられた偉業だったと言える。

 B-52にシャトルを搭載するなんて無茶苦茶ではなく、ゼンガー兇鮗蠅貌れてからのオービットコマンド社の「正攻法」の活動もみたい気がするのだが、正統派の機材を手に入れても邪道を衝いていくのは変わらないんだろうな。コスト削減のために、命懸けで無茶をやる姿には他人事とは思えない哀愁が漂っていた。
 失敗が大被害をもたらしかねない宇宙時代にコンプライアンスの軽視は勘弁してほしい。傑作シャトルの量産によって、小さな国や企業でも宇宙船を持てる時代に必然的な問題が起こっている。

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蒼穹の軌道爆撃隊 (C・NOVELS)
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