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宣戦布告 レン・デイトン/後藤安彦

 様々な時代、様々な地域の戦争の有様を描いた短編集。
 執拗なまでの情景描写が味わい深く、戦地の様子が肌に感じられて良かった。気温や湿度はまだしも、虫の多さは想像するだけでも耐えられないものがある――いまの軟弱な自分なら気温・湿度も駄目かもしれない。しかし、それが戦場なのだ。

 物語は登場人物たちの目的が最後になるまで説明されないことが多く、それが謎と不気味さ、ネタばらし時の驚嘆を与えると同時に、十分な説明を受けずに戦地に派遣される兵士の立場を物語っている気がした。

 中でも衝撃的だったのが「新時代の挨拶」で、てっきり第二次世界大戦後の話かと思い込まされた。更に後の時代の話であっても違和感がないように感じられる。人々の抱く悩みには意外と進歩がないらしい。
 あと、モルヒネ中毒は結局治ってないじゃんと突っ込まざるを得なかった。一時的には改善されたんだろうが……見事なまでに風刺的なセリフだったよ。

 ホラー成分が多い話では「コーラの飲める基地」が素敵に狂っていた。
 主人公の精神が静かに変容していく様子が淡々と描かれていて、目を背けたいのに目を離せない気分になる。「敵」が一度も姿を現わしていないにも関わらず、オチの怖さは格別だった。

宣戦布告 (ハヤカワ文庫NV)
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0)

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