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管仲・下 宮城谷昌光

 1巻分くらい斉の襄公のターン!
 公然の秘密で、妹と逢瀬を重ねる意志力に畏怖すら覚えてしまう。行動が大きく制限される王族の立場では、人に知られず兄妹仲良くしすぎることはできないのだろうけど、それにしても根性がある。
 襄公と文姜はエジプトに生まれていれば幸せになれたのかもしれない。
 たくさんのヒロインが存在するのに、具体的な男女のシーンが襄公と文姜だけという事実に恐怖した。作者も結構、思い入れを持っているのか……禁じられた関係だけに物語になるからなぁ。小説家の性で拘ってしまっても不思議はない。

 襄公が公孫無知に倒され、その公孫無知もあっけなく倒れてからは、歴史に名高い二人の公子の即位レースが始まる。
 全体像をみれば、管仲の襲撃はいくら優れていても小手先の技にすぎず、潮流そのものを引っ張り込んだ鮑叔に及ばない。あそこで桓公が倒れていたら、斉にとっては良い結果にならなかったのではないか。

 ケチの続いた管仲だが、宰相になれば最高の人材なのも間違いない。おかげで、局所的には彼に上回る面をいくども見せつつ、友人を推挙することのできた鮑叔の凄さが、さらに際立つ。「隗より始めよ」の郭隗の例もあるように、最高の人材になれなくても最良の人材になることはできるのかもしれない。
 そうなることもまた士の冥利に尽きる。

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管仲〈下〉 (文春文庫)
管仲〈下〉 (文春文庫)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 22:53 | comments(0) | trackbacks(0)

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