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三国志 第四巻 宮城谷昌光

 曹操が大きく羽ばたき――呂布によって苦境に陥る。宦官を祖父に持つことが、英雄の足をかなり引っ張っている。そういう差別をする人間に乱世を生き抜く未来はないわけで、ちょうどよい篩になっていると考えられないではない。
 本人にとっても、度量を身につける動機になっている。

 むしろ袁紹と組んでいると周囲に思われていることの方が曹操の名声を貶めていたかもしれない。袁紹と袁術は対抗心をむき出しにやりたい放題で、関中に逼塞した董卓やその後継者よりも凶悪な混沌の発生源になっている。
 自分たちがやっていることへの自覚が少しでもあるなら、あんな風には振る舞えないのではないか。

 だが、同時代の人々の眼からは、袁紹はともかく、蜂蜜皇帝は大人物に見えていたらしい。そこが乱世のメディアの限界なのかなぁ。優れた人物も名声の後押しが足りなければ大事をなせないことを考えれば、この時代の「運」の力は魔術的に強いと思えてくる。
 まぁ、運があっても実力が伴わなければ、どこかで衰退するのが必然。出世できなくとも自らの力で未来を切り開いていける逆の方が好ましい。

 終盤では献帝を守って長安を脱出する楊奉たちの活躍が光っていた。まさに一世一代の大仕事。匈奴や盗賊団を仲間にして東へ向かう皇帝一行の旅は物語性に溢れていた。

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三国志〈第4巻〉
三国志〈第4巻〉
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