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関ヶ原疾風伝2〜逆襲する家康の鬼謀! 尾山晴紀

 大垣表で膠着状態に陥った東西両軍の戦いは、さらなる膠着化をもたらすかに見える家康の一夜陣と、それに続く大垣城水攻めによって、大きく動き出す。
 小早川秀秋の寝返りが戦術ではなく戦略に近い段階で発動して、おもしろい混沌を関ヶ原の地に作り出した。寝返りを消えた直後の活き活きと諸隊を屠っていく秀秋がなんか好きだ。凄まじいフラストレーションの後ゆえに爽快感がある。
 積極的に兵を前に出して街道筋を封鎖する策を取っていたとしても、佐和山からの攻撃があるのでは助かるまい。適切に兵力を配分できていれば、まとまって北に脱出できる可能性はあったくらいか?
 武名にふさわしく裏切りの四将を粉砕して進撃する島津軍のシーンにあった「だが島津からは逃げられない」に笑った。さりげなく魔王化しとる。

 関ヶ原がえらいことになっている裏では、大垣城に残留した石田三成が、治部憎しで凝り固まった豊臣恩顧の大名たちを引きつけている。関ヶ原における福島正則の働きぶりを思えば、彼らが関ヶ原に進軍せず、大垣に留まった影響は大きい。
 まぁ、石田勢が関ヶ原で見せた戦いも目覚しいので、プラスマイナスゼロかもしれないが……。

 父との関係が微妙になった徳川秀忠もけっきょく史実と同じように関ヶ原の合戦に参加しない形勢になっている。反面、南宮山に陣取った毛利軍は西軍について戦う覚悟を固めつつある。そこに明石全登の「寝返るフリ」を加えれば、徳川家康と宇喜多秀家の決戦はずいぶんと面白いことになるはず。
 いや、明石全登の調略を行なっているのは、秀忠の方だったな。
 東北や九州など遠国の動きもあって、次の決戦で全てが片付きそうで片付かない状態になっている。しかし、関ヶ原に向けての盛り上がりは素晴らしかった。
 小早川秀秋は実によい前座をつとめてくれたよ。結果的に憎き秀家の草鞋を温めておいた感じだ――太閤に倣えてよかったな!

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関ヶ原疾風伝2: 逆襲する家康の鬼謀! (歴史群像新書 327-2)
関ヶ原疾風伝2: 逆襲する家康の鬼謀! (歴史群像新書 327-2)
 三人称の文章なのに、いきなり一人称になることが散見された。控えていただきたい……。
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:54 | comments(0) | trackbacks(0)

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