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彼と人喰いの日常 火海坂猫

「明るい映画が好きです。明るい小説や漫画が好きです。BADENDは認めません」〜折り返し作者コメントより。

 ……どうやら火海坂先生は真性らしい。BADENDとまでは言い切れないものの、お世辞にも明るいと言えるお話ではなかった。特に幼馴染の境遇が辛すぎる。受け取りようによっては萌え要素なのかもしれないけど。
 かといって面白くないかと言えば、そういうわけでもなく、物静かな文体とダークネスな内容のハーモニーが趣深かった。それでいてラノベらしい読みやすさは維持されている。


 彼と人喰いの日常において最大の「売り」となるのは、ブラックホロとでも呼びたくなる人外ヒロイン黒衣(くろえ)だ。
 主の指示にしたがって――現実には逆に無理矢理選ばせているのだが――人間を月に一人は殺して食べるという恐ろしい設定をもっている彼女の存在は忘れがたい。しかも、殺人を指示したことを自覚させる露悪的な行動を繰り返す。猫が取って来たゴキブリの死骸を飼い主に見せるのとはワケが違う。
 存在からして罪と切り離せないため、好き嫌いが激しく別れそうなヒロインではあるが、なにやら不思議な魅力を湛えているのも事実。
 不覚にもラストには時めいてしまったよ……主人公の十夜が、吊り橋効果で人の吊り橋から落ちないことを切に願う。

 ところで、最後の人喰いは催眠術を使えば、もっと楽に回避できたよね?あの効力なら人格を変えるくらい楽勝だし、記憶喪失に追い込んで放浪させるだけでもいい。許せないにしても一ヶ月その状態でもたせてから始末すれば犠牲者を増やさずに済んだのに……後でそれを十夜に気付かせて更に追い詰めるつもりなのか?
 さすがは黒衣さん、えげつない。

彼と人喰いの日常 (GA文庫)
彼と人喰いの日常 (GA文庫)
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