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風は山河より 第一巻 宮城谷昌光

 東三河の交通の要衝、野田城城主「菅沼正則」を主人公とする歴史小説。
 三英傑よりも二世代前の、松平清康の時代から物語は始まっている。登場人物の名前に耳になじまないものが多く、その子供や孫の名前を挙げられて印象を新たにさせられることが繰り返された。
 その点、権威は衰えたりとはいえ足利将軍の名前は時代に一定の座標を与えられている。腐っても幕府と言ったところであろうか。

 まずは三河一国をまとめようとする松平清康の奮闘が描かれるのだが、そのために戦う三河人の「習性」がすさまじい。
 籠城を潔しとせず、勝つための戦術であっても一歩も退くことをせず、粉骨砕身して敵にぶつかっていく。まるで小説のような壮絶な玉砕を、そこまで重要ではない戦いで違和感なくやってしまえるのはいかがなものか。
 松平信定や後年には石川数正が付き合いきれないと考えるのも無理はない。

 まぁ、この不器用さが堪らなく愛おしいのであるが――見方によっては堪らなく不気味なんだろうけど。
 三河人の強烈さを、著者が非常に落ち着いたトーンで語るところが非常に趣味良く感じられて、楽しめた。


 野田城周辺の地理を草の臭いまで伝わってくる勢いで、描いているところも魅力。土地が人々を育むことが見えてくる。
 史料によれば当時の三河が29万石で、駿河が15万石であることに驚いた。


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風は山河より 第一巻
風は山河より 第一巻
カテゴリ:時代・歴史小説 | 10:53 | comments(1) | trackbacks(0)

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コメント
楽しみに讀み始めました。難語の多いこと。殆どの歴史小説に出てくる難語は調べ、どの本でも読めますが、この作品は難語が多く、小辞林、漢字字典にもありません。もう少し平易な表現でも良いのではないでしょうか。
| 島  稔 | 2015/02/23 9:14 PM |
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