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戦略戦術兵器事典2日本戦国編 歴史群像グラフィック戦史シリーズ

 日本の戦国時代における戦争の実相について豊富なデータを用いてまとめられた本。1994年の初版発行なので、いろいろと陳腐化している部分があるのは否めないが、逆に著者の先進性が垣間見える記事も存在している。山城から平城への進化が起こったわけではなく、軍事的政治的必要性から城が建てられていたとする記事などが好例だ。
 どうしようもないところでは長篠の合戦が鉄砲3千丁の三段撃ちと明言されてしまっている……ちょっとは疑義を挟んでほしかった。ただ、合戦の紹介は航空写真に記号を描き込んだものなので、文章とは別にかなりの見応えがあった。天神山の棚田が実に立派である――当時はなかっただろうし、今も存続しているか怪しいが。

 あと様々な著者の様々な記事の集合体であるせいか、鳥取城の干殺しがクドイほど繰り返し出てくる点が気になった。秀吉の買い占め作戦について5回くらい読まされた気がする。その点は酔っ払い親父みたいな本だ。
 甲陽軍鑑が大活躍している件については――記事中でも言われている通り――他に資料がないからしかたがないのかなぁ。陣形の章など江戸時代の軍学に影響を受けていると思われるが、話半分には面白い。

 不朽の価値をもっていると感じるのは当時の書状などから分析された一連の統計データで、兵が一日に必要とする兵糧や、250人がこもる城に蓄えられた物資の実際などが分かりやすくまとめられている。
 銃弾の材質について鉛、鉄、銅青銅の三つをまとめた記事も興味深かった。各大名家を紹介するところのデータが同じものになっていれば面白かったのだが、そうそう都合よく集まってはくれないか。

 巻末の戦例集もなかなか充実しているのだけど、日本の戦国時代に限っては同系の本が多いので、最新のモノよりは魅力に劣ると感じた。それでも、本を通して得られた知識をもって読めば、思うところは多々あった。

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戦略戦術兵器事典 2 日本戦国編 (歴史群像グラフィック戦史シリーズ)
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